「キャーー、優子ちゃん凄ーい」
「ホント、手の動きが一瞬見えなかったわー」
と、女性陣が優子ちゃんに拍手を送る一方で、健太君は固まっていた。
「ほら健太! 負けたんだから服を一枚脱ぎなさい」 と、沙希に言われ
「エェーー!」 と豆鉄砲を食らった様な顔をする健太君だったが、
まあ、今のは偶々だろうと自分に言い聞かせ、上着を脱いだ。  しかし、
「じゃーどんどん行きますよー。 猿も木から~」  「はいっ」
又しても、優子ちゃんが素早くカルタを取ったのだ。
「キャーー」 と、女の子達から歓声が起こる。
健太君は、もうパニック状態だ。
「ほら健太! さっさと脱げ」 と、又しても沙希に言われ、今度はシャツを脱ぐ。
健太君は、今更ながら後悔していた。
靴下を履いておくべきだった、じゃなく、この勝負を受けてしまった事を。
仮に、ここで謝って許してもらおうとお願いしても、母と姉二人の性格から、絶対に無理な事も健太君は分かっていた。
「じゃあ、次読みますよー」 と、勝負は続いて行く。
覚悟を決め、せめて優子ちゃんの下着姿だけでも見てやろうと、必死でカルタに目を配る健太君。
しかし、力の差は歴然。  優子ちゃんと健太君の野球拳対決は、たちまち健太君のストリップショーへと化して行ったのである。