俺が経験した思春期の修羅場です。
親父が何処かで浮気したらしくて、相手が家まで乗り込んできた事があった。
まじで怖い。鬼神のごとくだ。

玄関をすり抜けると、台所の包丁とまな板を持って
居間でくつろぐ親父の元へ。
「きえぇぇぇぇぇ!」と奇声を上げながら包丁かとおもいきや
まな板を振りかざす。
この間、俺、弟、お袋はあまりの突然の侵入者に驚きと怯えで
なすすべ無し。

親父「な、なんだお前!」
鬼神「あんたがぁ??あんたがぁ??」
親父「か、か、か、母さん!警察!警察!」
お袋「知らないわよ!あんたが悪いんでしょ、浮気なんてするから」

コタツのテーブルにめり込むまな板。
ベリベリという音。まさに恐怖、居間で暴れる浮気相手。
包丁相手じゃ迂闊に反撃も出来ない。
「ころ?すぅ?ころ?すぅ?きえぇぇぇ!」
怖すぎる。

親父「うわぁやめろ!なにするんだ!あぶねぇだろう!」
鬼神「あんた!結婚してたんじゃない!ぐるぅぁぁぁぁぁぁ!」
どうやら未婚とか言いながらスナック周りしてたらしい・・・バカス

鬼神は部屋のものを親父に投げ始めた。
パリン!バリン!ドカ!ボコ!
何から何まで親父に投げてる。
鬼神「壊してやるわぁぁぁぁぁぁぁ!」
親父「おぃ!警察呼ぶぞ!」
鬼神「来る前に殺して、私も死ぬわ!」

あぁ!弟の学校の課題が!と思った瞬間
お袋のドロップキック炸裂
お袋「あんたね!ひとんち来て、何でも投げればいいってもんじゃないでしょ!」
と再びジャンピングニー。鬼神唸る。

鬼神「ゆるせなーい!」
お袋「早く刺しなさい!」
鬼神「えっ?」
お袋「刺しに来たんでしょ、なら早く刺しなさい!」
親父「かかかか母さん!」

弟と俺は避難。ふすまの隙間から観察。
鬼神「ぐぅぅぅぅぅおぉぉわぁぁ!」
と雄叫びを上げながら親父に向かってまじ包丁。
ひらりとかわす親父、鬼神こける。そこへ親父の容赦ない顔面蹴り。アリエナス

お袋「2人とも出てけ!二度とくるんじゃないよ!」
つまみ出される親父と鬼神。
庭でしばらく攻防戦してたみたいだが、鬼神が諦めて帰ったみたいなので
俺達兄弟も一安心。親父家に入れてもらえず一晩庭暮らし。
お袋と三人で焼肉三昧。ジュージューしてる鉄板の向こうに
親父が縁側から開けろ!開けろ!と俺達にサインを送っていたが
お袋「開けたらあんた達お小遣いないからねw」

俺達が寝静まった後入れてもらえたのかな?と朝見てみたら
寒い縁側で1人凍えてた。
離婚一年前の冬でした。

鬼神再び。
二ヵ月後。
また来た!
今度は自分で武器持ってきた。
また玄関から入るとスルスルと居間まで来る。

お袋「いないよ」
鬼神「えっ?」
お袋「えじゃないだろう、土足で人の家に上がってきて」
鬼神「あっすいません」
お袋「あんたねぇ、うちの亭主の何処がいいんだい?えっ?」
鬼神「いや・・・その・・・」

親父帰還。
鬼神「ごぅぅぅぅぅらぁぁぁぁぁぁぁ!きー!」
親父「うわぁ!なんだまたお前か!」
鬼神「殺す殺す殺す殺す?ころぅぅすぅ!」
親父「おぃ辞めろ!いたたたた」

どうやらバットで殴られたらしい。
親父「いいかげんにしろ!」
鬼神宙を飛ぶ。
がちゃん。がしゃーん。食器ダンス直撃。
ムクっと起き上がる鬼神、まさにモビルスーツ状態な動き。

鬼神「がりゃぁぁぁぁぁ!」
振りかぶるバット。砕ける蛍光灯。
2人とも破片まみれ。お袋「wwww」俺達再び避難。
親父「こんにゃろ!」とか言いながら格闘中。
微妙に額にたんこぶ出来てる。

鬼神「しねぇ!しねぇ!あんたなんかしねぇ!」
親父「俺はしねねぇ!」羽交い絞めからスリーパーへ
暴れる鬼神、しかし鬼神ここで起死回生の一発。
バット股間割。親父「うっ」で悶絶。
そこへ鬼神の容赦ない全身蹴り。まさに蝶野。

親父ダウン。もうぐったり。
バットとかで超小突かれてる。
鬼神「幸せになんかさせてやらない!」
親父「ううううう・・・いてぇ」
鬼神「はははははははははは」
急に高らかに笑い始めた。
勝ち誇ってるww雄叫びも「うりー!」みたいな感じ。

うわ!こっち見たぞ!で弟が逃げ出して俺も後に続く。
鬼神「へへへへへ、へららへら、」とか言いながら
俺達を二階まで追いかけてくる。やばすぎる。

お袋再び登場。
むんず!と鬼神の腰を掴むと階段下へ引き摺り下ろす。
鬼神「ぎゃぁぁぁぁ」
お袋「子供達に手だしたら許さないよ!」
鬼神「あんたが・・・あんたが邪魔よぉぉぉぉぉぉぉ」

階段を駆け上がってくる鬼神に向かって蹴り。
ゴロゴロと転がり落ちる鬼神。
お袋「あんた!正気になんなさい!」
といいつつストンピング、後頭部ガンガン床に当たってる。
鬼神「あが、あが、あが」
床に叩きつけられる度にあがあが言ってた。

バットを取り上げられて、武器無しの鬼神は寝そべったまま
アリ対猪木状態。そこへ親父復活登場。
親父「だ、大丈夫か!」
お袋「あんたね!」でバットで太腿ミドルスイング、直撃。
親父回復したのに再び悶絶。うがぁ折れた!折れた!とかのた打ち回ってる。

2人とも廊下の片隅でうずくまる虫と化してた。
鬼神「うううう、殺すわ!むかつくのよぉ!」
なんという回復力、立ち上がるとは!
で今度は親父がストンピングの餌食。また親父戦闘不能。
二階の牙城はもはや鉄壁の守り、下側からしか攻められない。
弟「お兄ちゃん、これ。」
おぉ!我が弟よ!これは!エアーガン&ガスガンじゃないか!
それも・・・キャレコw弟はトミーガンとUZI。当時お年玉とか全部つぎ込んでた。

階段を再び上がろうと待ち構える鬼神。
腕組みして構えるお袋、そのお袋の後ろで銃を構える子供達。
鬼神「きぃぃぃぃぃぃえぇぇぇぇぃ!」
登ってきた!
俺「おぃ撃て!撃て!」

スパパパパパパパパパ
鬼神「痛い!いた、痛い!痛い」
顔とか平気で狙ってたし、近距離で。
鬼神「私が何したっていうのよ!」
スパパパパパパパパパ
鬼神「痛い!いた!いたた!痛い!痛い!」

廊下に散らばるBB弾、それを踏んでも痛い鬼神。
何気に弟はこういう時に弾の詰め替えしてるw
弟「ねぇお兄ちゃん、今度さ顔狙おうよ」
俺「なに?お前狙ってなかったの?」
弟「うん」
俺「俺なんて目狙ってるぜ」

スパパパパパパパパパパ
鬼神「いや、痛い!あぁ」と言いながら崩れ落ちる鬼神。
お袋「もう辞めてあげなさい」
兄弟「はい」
親父「な、なにやってんだお前達!」
お袋「もう二度と来るんじゃないよ!いいね!その人連れて出ておいき!」
親父「・・・」

鬼神「うっうっ・・・」
お袋「かわいそうな子ねぇ、あんた騙されたのね」
鬼神「うっ・・・」
お袋「一回家に帰りなさい、そして冷静になってまたいらっしゃい」
鬼神「はい・・・」

その後、お袋と親父が口をきく事は二度となかったと言う。
鬼神が家にお詫びに来て、300万置いてった。
親父に取り分なし、俺達の学費と三人の豪華旅行と新居に消えてった。
離婚して三人で暮らしたけど、それなりに楽しかった。
今でも鬼神の話すると三人で大笑いしてる。

えっ?親父?
鬼神とどうなったかは知らないけど、隣町で元気に暮らしてるよ。