僕の風俗体験記


健太郎が晴れて大学生になったにもかかわらず、駿台予備校で勉強にいそしむ
かわいそうな隆志。友達がみんな大学生になり、ある意味嫉妬に近い感情を携えつつ
予備校に通うのは至難の業であった。

 あの日初めて触れた、みゆきさんの柔肌。おっぱい。その他色々・・。
隆志の脳には化学式ひとつ入る隙間もなく、ただただみゆきさんでオナニーするのが精一杯であった。
「ああ。。あのシックスナインは忘れられない・・みゆきさんハァハァ…」

溢れる18歳の性欲。当然ながら「カネさえあれば・・風俗に行けるのにっ」という思考に
至るまでに、そんなに時間はかからなかった。
6月になり、大チャンスが到来した。そう、予備校の夏期講習である。
夏期講習というのは講座ごとにカネを払う。つまり親に「俺、化学が出来ないから化学講座とろうと思うんだ」
と言えば数万円が手に入るのだ。性欲の前には「良心」「親への裏切りへの呵責」など、軽く消し飛ぶ。
はれて3万ほど手に入れた隆志。

 7月になろうと言う頃には、隆志はすっかり風俗に詳しくなっていた。
当時はインターネットなどマイナーだった時代。風俗情報誌を立ち読みし、
安い店を探す。健太郎と童貞を捨てようと決めていた隆志は、ヘルスを中心に探す。
ついに探り当てたベスト オブ ヘルス。
「ベストはこの店だ・・。」

探り当てた店は「L」(仮名)。この店は普段はそんなに安くない。
その代わり日の出から9時の間に入店すれば早朝サービスで非常に安くなる。
7月のある日、隆志は決意する。
「明日、行こう・・!」

「母さん、俺早めに予備校行って自習するよ。化学講座もあるし。」
親を騙して、7時ごろに家を出る。
いつも遅刻三昧だった隆志にとって、通勤ラッシュの時間帯は辛いものだった。
だが、希望だけはいっぱいだった。
「俺はこの通勤ラッシュを乗り越え、Lに行く。あんなことやこんなことの為なら平気さ!」

Lについたのは8時半ごろだった。無愛想な店員が隆志を迎える。
「アイヨ、5000円ね。」
5000円を渡し、番号札をもらう。
「38・・番っ?」

そう。Lの早朝サービスは安いので人が多かったのだ。先に番号札を持って待っているむさい男たち。
「こ、こいつらのあとかよっ・・。」
すでに20番くらいの番号が呼び出されているとはいえ、ここに並んでいる男たちより
隆志があとなのは明白。少々凹みながら、隆志もイスに座る。
「むせえ男たちだな、全く。こいつらのあとなんてやだよ?!」
自分もそう思われているのを棚に上げ、心の中で罵倒する隆志。

待ち時間が長い。隆志の男性器は常に勃起している。
勃起して、勃起して、勃起しぬいた頃、ついに神の声、降臨。

「38番の番号札お持ちのお客様・・・」

この瞬間は2度目だが、それでもなお興奮するものだ。
(来たっ!)

このLと言う店には、個室が無い。隣とカーテンで仕切られているだけである。
廊下のような場所に行き待っていると、女がきた。

「ジュリアでーす」

か、かわいい・・。みゆきさんもかわいかったが、ジュリアさんはめちゃくちゃかわいい・・。

興奮気味の隆志。だがその瞬間隆志の脳裏に怒りが走った。
(このジュリアさんが、あのむさい男の相手をしたなんて・・)

ちょっとした悲しみの中、プレイが開始される。
だが、あんなことされてもこんなことされても、男たちのことが気にかかる。
射精した後も、なにか心にわだかまりが残っていた。
ふと耳を澄ますと、小さく隣の声が聞こえてくる。
そうだ、ジュリアさんがいかにキレイでも、ここはやはりヘルスだったのだ・・。

(彼女・・・欲しいなあ・・。)

空しさいっぱいの7月の早朝でした。

(不発ながら、Fin)