数年前の話。
俺がまだ中学3年生だった頃、最後の文化祭ということでみんな気合が入っていた。
公立だからなのかお化け屋敷や休憩所は作れないし、他校生徒が入れなくて全く面白くない文化祭だった。
うちのクラスは的屋をするということで準備していた。
みんな楽しそうに、真剣に準備に取り掛かっていた、多分…受験のことを忘れたかったんだろう。
少なくとも俺はそう思っていた。

そのうち外はオレンジ色になって帰るやつがチラホラでてきた。
そして太陽が沈んでいよいよ暗くなる中俺と同じクラスのミホだけが残って作業していた。
ミホは普段はおとなしいが友達同士で談笑してる時はリーダーというか、よく引っ張っていく感じの子だった。特に好きという感情もなく、俺としてはただのクラスメイトぐらいに思っていた。
俺はひたすら的屋で使うゴム銃を割り箸で作っていて、ミホは的を作っていた。

休憩がてら俺はトイレに行くことにした。
「トイレ言ってくるわ。」
「早く帰ってきてね。」
そんな形式的な会話をして廊下にでた。俺はビックリしてしまった。
廊下は真っ暗で奥が見えなかった、(夜8時くらいだったかな)見えるのは非常口の緑の明かりだけ。それでも普段生活している学校なので苦労はしなかったが、ただ少し不気味な感じで怖かったのを覚えている。

トイレを済ませ教室の前でそーっと教室の中を覗くと、
ミホは、すでに的を作り終えたらしく俺の作ったゴム銃で試し撃ちをしていた。
そこで俺はある計画を立てていたので、教室の電気をそっと消してみた。
「ひゃあっ!」
暗くて姿は見えなくなったがミホはそう声を上げて衣擦れ音だけが教室に響いていた。
その後罪悪感により教室の電気をつけてネタバラシ・・・と思ったがここでもイタズラ心、というか偽善者っぷりを見せ付けてしまうことに。
「大丈夫?どこにいる?」暗い教室でミホを探す
「ユウスケ君(´;ω;`)教卓の前だよ。」ミホは半べそを掻いてる様子。
手がミホの頭に当たり居場所を特定、するとミホは抱きついてきた。
「怖かったぁ・・・。」と小さな声で言った。
俺はミホとはそんなに仲良くなく朝挨拶する程度の仲…のはずなんだが。

「急に停電とか焦るなあ、全く」←電気消した張本人
「他のクラスの子はいないの?」
とミホは安心を求めるように聞いた。
「いや、居ないみたい、廊下真っ暗だったし。」
というとため息をついて抱きつく手を離した。
「・・・トイレ。」
暗くて顔は見えなかったが、恥ずかしながら言ってるのが分かった。
「行ってらっしゃい、暗いから気をつけて。」
俺は冗談でもイタズラ心でもなく本心からそういった、俺もかなり怖かった。
学校の怪談とか見てるので内心ドキドキしていて、テケテケ?がでるんじゃないかとかかなりビビっていた。
「じゃなくて!付いてきて欲しい。」
俺はここで気づいた。
「ん、分かった。」少し偉そうというか大人っぽくそう言って付いていくことに

トイレ前。(既に電気は消し済み)
ミホは俺の腕を掴んだままトイレに入ろうとする。
「ちょ、待てよ。女子便だろ?」
「いいじゃんかあ、誰も居ないんだし。」
ミホは終始ビビっている様だった。
自分より下の者を見ると安心するのは昔からの日本人のクセなのだろうか、ミホがビクビクすることで、俺はそのときだけ強気になれた。

結局、グイグイ引っ張られ便所の前で待つことにした。
このときはかなり怖かった、トイレの花子さんとか出るんじゃないかと真剣にビビっていた。
「寒いなあ」とか「まだか?」とか適当に話しかけまくって怖さをしのいでいたが、話していると力が入れられないのかミホは黙っていた。
(ちなみにミホは大をしていたのだが、そういう話ではないので音とかはカットする)
ジャーっと水の流れる音がして扉が開いた途端ミホは抱きついてきた。
その手は汚いんじゃなかろうか、俺はそんな心配をしていた。
「怖かったあ・・・」とミホ
「スッキリしたか?今日はもう帰ろう。」と俺は言って少し強く抱きしめた。

教室へ戻るとき当たり前かの様に手を繋いで廊下を歩いた。これもまた俺自身がかなり怖かったからである。
学校の暗さにも慣れて教室で帰る用意をしているとミホは
「今日はありがとう。ユウスケ君、以外とカッコイイね」と頬にキスしてくれた。

教室の鍵を閉め、職員室に向かってる途中廊下で警備員に見つかったが事情を説明すると「はよー帰りやー」と言ってくれて、俺は元気が出た。

そして、校門の前。
少し雑談した後、「じゃあまた明日」
そういってミホと別れた。キスはしてくれなかった。



家に帰ると母親が血相かいて「ユウ君、あんたトモキ君知ってるよね?」
トモキ君とは子供(幼稚園くらい)の時からよく家で遊んだりお泊りしたりしていた。
「トモキがどうしたの?」と俺が聞くと。

「トモキ君・・・死んじゃったんだって。」

俺は耳を疑った。すぐさま問い詰めると
「原因は分からないけど、家で包丁を刺して死んでたって・・・多分自殺。」
母は続けた。
広告の裏に遺書書いてたらしく、そこには「ユウスケ君ごめん」とだけ書かれていた。
それで俺の家に連絡があったらしい

後に分かった話だが、ユウスケのパソコンの履歴に「妊娠、中出し、中絶」の文字があった。

そして妹のマイが妊娠したのはまた別の話。