俺の名前は木戸律(きど りつ)。22歳。空手馬鹿。っていうか空手しか取り柄のない唯の馬鹿。
こんな俺でもこの春就職出来た。しかも外資系。というか上司がイギリス人ていうだけでなんてことないスポーツジムのインストラクターなんだけど。
学歴ナシ経験なしの俺がまともに(?)就職できただけ有り難い話で、文句が言えた義理ではないのだが、だがこの職場は正直しんどい。
何がしんどいって人間関係が。
先ず同僚が最悪。
主に面つきあわせて仕事するのは三人。
エアロビのインストラクターでイタリア人のロッド。
こいつはとにかく軽い。いつもへらへら笑っていて、人の上げ足ばかりとる。手も早くてジムの女性会員にしょっちゅうセクハラで訴えられかけている。
俺にはおちょくった態度ばかりとるので腹が立つ。
次は紅一点。中国武術のインストラクターでマドカ。俺より年上だろうけど詳しい事はわからない。ものすごい美人ではあるが、性格が恐ろしく悪い。沈着冷静冷酷無比。人を人とも思わない態度でいる。女だけどメチャ強くてロッドがちょっかい出そうとして毎回酷い目にあわされている。
最後が後藤玄(ごとうげん)。柔道のインストラクターで190?の大男。無口で何考えてんのか全く解らない。あだ名はG。最初はイニシャルで呼ばれてんのかと思ってたけど、ジジ臭いから「じい」らしい。不愛想でとっつきにくい為コイツも苦手だ。
とにかくこの三人が新入りの俺に対して馬鹿にした態度でしか接しないのだ。立場としては俺は空手のインストラクターで、同等の筈なのに。パシリに使うわボーヤよばわりするわ。そりゃ、年は一番下かもしんねぇけど俺だって同じ社員なのに。
人権問題だと上司に訴えたらコイツがさらにドォしよーもねぇ外人で。
日本語がペラペラなのは助かるのだが、漬かりすぎっつーかなんつーか。
見た目以外は日本のダメ親父と変わらない。
酒乱、博打好き。部屋にはハズレ馬券と空の酒ビンが散乱し、明らかにカタギの人間とは思えない。髪形も自前の金髪を肩まで伸ばし放題で、とても紳士の国イギリスからきた人間とは思われない。
しかも名前がハーレム。どうよそれ?
コイツは他に輪をかけて傍若無人で自己中心。あと本当は馬鹿じゃないかと思う。
この間の飲み会で上機嫌でがはがは笑いながら全員の頭に噛み付いていた。
(俺はひそかに獅子舞と呼んでいる。)
今の同僚達の俺に対する態度を訴えたら減給された上ジム内の清掃まで俺の仕事に加えられた。

理不尽窮まりない。

虫の居所が悪いと直ぐに減給されるのだ。
なんでも
「学歴もねぇ掛け算もできねぇ彼女もいねぇオメェを雇ってやってるだけでも有り難く思えこの童貞貧乏」だそうだ。
最後の意味不明な単語とか彼女がいないとか俺の仕事と全く関係ないのでは?と言う部分まで罵られて、結局俺は今ジム内の掃除をしている。
もう夜も更けて既に人気のないジム内。

‥コレ本当に残業手当て出ないンすか?労働基準法に抵触してないんすか?(泣)

過酷な労働条件と最悪な人間関係でヘロヘロな俺が廊下を渡って帰ろうとすると獅子舞の部屋から明かりが漏れている。
光の他に若い女の啜り泣くような悶えるようなやたら色っぽい声が‥。
(なんだぁ!?あのオッサンAVでも見てんのかぁ?)
部屋の前を何気なく通り過ぎようとして俺は固まった。

「ん‥ッぁあ‥ふぁん‥ッハーレムさまぁ」

ハーレム様!?

マドカだ。
マドカの声だった。
今まで聞いた事もないような甘ったるい声を出して鳴いている。

(えぇえ!?マドカ、獅子舞とナニやってんだ!?)

つか、デキてたんだ‥。

オトナって汚い‥‥!
と思いつつも俺の脳内は妄想モードまっしぐら。二人が絡み合っている姿を思い浮かべて思わず赤面する。つーか、あのマドカがこんな声出すなんて‥。

やっべぇ‥。タッてきた。

ごくり‥と生唾を飲み込んだ処でバン!と扉がいきなり開いた。

「おーリッちゃんじゃねぇか!オメェも混ざれや!」

はぁ!?
動揺する俺の首ねっこを獅子舞の手が掴んで部屋へ引きずりこんだ。

すげぇ馬鹿力。
あぁ、そーいえばこの外人ムチャクチャ強かった。
飲んで暴れるときゃキングギドラより強いんだった。

「リッちゃん、盗み聞きする程溜まってるんなら混ぜてやるぜ?」
と、全裸(!)の獅子舞が楽しそうに見下ろして来る。
「‥ッその呼び方やめて下さいっ‥‥俺はそんなつもりじゃっ‥て服着て下さいよ!」

ああぁ、ツッコむところが多過ぎる。なんなんだこの外人!

‥にしてもデッケェな。
隠す気ゼロでぶら下がってるソレは確かに日本の規格とは違っておりました。自分のと比べる気持ちもおきませんて。ていうかコレでMAXじゃないのか!?こんなん入れられたらいくらマドカでも壊れるんじゃねぇ?

‥‥って部屋を見回したら。これまた全裸のマドカがいて俺は息を飲んだ。

なんていうか‥。
‥‥綺麗で。

しどけなくソファにへたりこんで、快楽に潤んだ瞳は普段のキツイ印象等なく、シミ一つない真っ白な肌は桜色に上気して。あらわになった乳房は思っていたよりも大きくて。細くしなやかな腰。長くすらりと伸びた四肢。形の良い頭とうなじがよくわかるショートカットの髪は汗でしっとりとしていて。

何より。
その整った美しい顔がどろりとした白濁液で汚されていたのが淫らで。

‥テント張っちまいましたよ。完璧に。

「ぎゃはははは。童貞には刺激が強すぎたかぁ!?」
獅子舞上機嫌。絶対飲んでる。

「‥っ俺童貞じゃないっすよ!」

「でも素人童貞なんだろう?」
間髪入れずにマドカの冷たいツッコミが入る。

‥やっぱりマドカだ。(泣)
「ま、どっちにしろ盗み聞ききなんてな社員教育しなおさなくちゃな」

獅子舞が全裸で煙草をふかしながらにいぃと笑った。
その笑顔を見た途端、俺は自分の血の気が引く音を聞いた。
やばい!俺の本能が逃げろと告げている!

だが時既に遅く。

俺は獅子舞に取り抑えられ、マドカに服を剥ぎ取られ、全裸の状態で鎖(!なんでこんなもんがあるんだ!)に繋がれた。

え!?
俺どうなんの!?

つづいている↓