自分(=Y) 30代半ば(会社員)
元妻  30代前半(小さな事務所勤め)
間男  20代後半(会社員)

ちょっと前の話なんだが聞いておくれ、

自分は、元妻が大好きだった。
色々と海外に連れて行ったり、テーマパークに連れて行ったりしたな。
元妻はディズニーランド関係が好きだったな。
そして、料理は壊滅的に下手というか、レパートリーが少なく、料理を作ろうとしないから、
休日にはかわりに自分(Y)が料理を作っていた。
元妻は子供は嫌いというので、結婚生活6年間の間ずっと避妊してて子供は作らなかったな。

或る年の冬に、元妻とディズニーランドに行った。
その3週間後、女子高時代の友人達と一緒にスキーに行くというのでカメラを貸したんだよ。
その週以降、やたらと「女子高時代の友人」と遊ぶんでというので、土日が別行動になった。
まあ、学生時代の友人は大切にするよに常々言っていたから、自分Yは別に咎めはしなかった。
でも、今にして思えば、このときに不貞行為をしていたんだよな。
元妻の「女子高時代の友人」には、自分Yは会った事がない。
自分Yが会ったことがあるのは元妻の中学時代の友人のみ。
だから体よく「口実」に使えたんだろうな。

元妻が自分と別行動というのが何週目かになったとき、あれっと思った。
何時もならば、一緒に週末を過ごしていたのに。

そして、その頃になると元妻が自分の些細な行動をなじり、けなしていた。
しかも自分がそう思うという言葉ではなく、元妻の兄(=義理兄)が・・・とか、
元妻の母(=義理母)が・・・、とか。
その行動というのも、「あなたは冠婚葬祭のときに○○すべきでだったのに、常識がないと義理兄に言われた」とか。
○○すべきだなんて、そんな常識あったか?
今、あらためてぐぐってみたがヒットしない。
女の場合には、そういう風にオブラートに包みながら、自分の本音を吐くんだよな。
「あなたが嫌だ」という本音を。

その週の半ばに、元妻から実家に泊まるという電話があって、
その2日後に、元妻は元妻父(=義理父)と一緒に来た。
元妻は、とてつもない仏頂面だった。
元妻の父いわく
「元妻ちゃんは自殺未遂をしていた、
今でも精神が不安定なので、これではY君のところには置いてはゆけないので連れて帰る。」
自分は気が動転した。最愛の妻が自殺未遂? なんでだ?
経緯は? 理由は?
とにかく自殺なんてとんでもない、
元妻の父に、元妻を良くお願いして見ていただくように言い、元妻の衣類などを用意し、
心療内科に行っていただくようにお願いした。

「自殺未遂」とは、ちかくの高層ビルのてっぺんから飛び降りたらどうだろうなあと思いながら道を歩いてたら、
携帯電話に着信して、はっと正気に返ったんで事なきを得た、ということらしい。
今ならば、なんだよそれ、と言えるけどな。

そして、元妻に翌日と翌々日に連絡したが、いっさい電話に出ないしメールも帰さない。
いままで、元妻と一緒に暮らしていた家が、がらんと空虚な空間になってしまった。
なにが悪くて自殺未遂なんだか皆目見当がつかなかった。
なぜか涙がでてしまった。元妻ともう二度と会えなくなるような気がしてな。

3日目には、元妻の「自殺未遂」の理由が知りたくて、元妻が残していたノートPCを漁ったら出てきた。
間男と元妻とのメールの内容を、以下に抜粋する。

元妻 : 「間男君とは別れたほうがいいのかなと思うけど、そんなのは嫌だという自分がいる・・・」
間男 : 「元妻ちゃんと、これからもずっと一緒にいられるといいなとおもっているよ(はあと)」
元妻 : 「間男君との次のデートを楽しみにしてるよ。ヌシとはもうウンザリだし。」
間男 : 「元妻ちゃんが旧姓の○○に戻るのを応援しているぜ。」

なかには性交渉を明示するような内容も含まれていた。
これを見てかあっと頭に血が上ってしまったね。間男にはメールで出てくるように連絡して
次の日の朝7時には元妻がいる実家に行ってきた。

元妻:「なんで間男君に連絡したのよ。彼のお陰で私は自殺から救われたんだから」

でも、自分は元妻の顔を見て、ともかく涙が出てたまらなかったね。
元妻を抱きしめてわあわあ泣いちまったよ。
ヘタレと言ってくれ。おまいら。

そうこうしているうちに、元妻の父親(義理父)と母親(義理母)がやってきて自分Yをなじるなじる

義理父 :「元妻ちゃんはY君のせいで精神が不安定になって自殺未遂しようとしたんだ。」
義理母 :「不倫っていっても色々あるでしょう。元妻ちゃんってどこまでしていいるの?」
元妻_ :「え、何もしてないよ。」
義理父 :「してないと言ってるじゃないか。」
・・・
義理父 :「そもそも不倫をしているとか責めているけど、
      元妻ちゃんが不倫をせざるをえないような悪いことをY君がしたからじゃないのか。
      そうでない限り元妻ちゃんが不倫をする訳がないじゃないか。」
義理母 :「おねがい、Y君、元妻ちゃんと離婚して」
義理父 :「自分の女房に自殺未遂させておいて、よくもまあ不倫がどうのと言いがかりを・・・」

もうポカーン状態でしたね。
よく義理両親が妻を叱って土下座とかいうけどさ、
元妻の義理両親の思考回路は違うね。

自分の娘は絶対に正しい。
⇒ 我娘が不倫した場合を考える。
⇒ 不倫は悪いことである。
⇒ よって、娘の夫のY君に原因があり、不倫したであろう。
⇒ 然るに、悪いのは夫のY君である。
まあ、こういう思考回路ですよ。

元妻の主張はこうでした。
「不貞行為はしていない、
 Y(自分)のもとでは抑圧されているので、精神的に不安定になった。
 車の運転をしたいし(すればいいじゃないか)、アパートを借りて自力で暮らしてみたい。
 今の仕事は続けるし、心療内科には行かない、Y(自分)の元から離れれば大丈夫だから。」

上記のように、とりつくしまもない感じだったので、
2週間から1月に1回の割合でこれからのことを話そうということになった。
間男君とも話をしようとしたが、自分自身が精神的にも肉体的にも持たなかった。

そういえば、元妻が実家に泊まった前の晩、
元妻は、職場の同僚が不貞行為をしていることを自分に話していた。
自分はそういうのは嫌だから、「最低だね」とか、
「不貞行為をした同僚側は有責配偶者で、自ら離婚をする権利はなく・・・」とか、その同僚を非難した。
もしかすると、元妻は職場の同僚にかこつけて、元妻自身の行為を自分Yに言っていたのかもしれない。
それを非難されて、怒り心頭に達したのかもしれない。
これは仮説だから、今ではもう検証不可能だ。

それからの1週間は、自分にとって厳しいものだった。
眠ろうとしても、これまでの元妻との6年間の結婚生活(結婚前の交際を含めると7年間)が
あんなこともあった、こんなこともあったという風にフラッシュバックして眠れない。
内科と心療内科でハルシオンをもらって、やっと眠れるようになった。
おまいらも、こういうときはまず睡眠だ。心療内科で眠れないと訴えれば
睡眠薬がもらえるぞ、ちゃんと眠ればまた戦える。

調査会社に元妻の素行を調査してもらったが、やっぱり真っ黒だったね。
よくもまあ、「何もしてないよ」なんて言えたもんだ。
写真で見た間男君は小太りのブサイクだったんで、がっくりしたよ。
タレントみたいなイケメンで、自分は容姿で負けたと思った方が、まだましだった。

例の「女子高時代の友達」とのスキーの写真を現像したが、不自然なものだった。
なにせ、元妻しか写っていない。
たぶん、間男君とスキーに行ったんだろう。
でも間男君を写すわけにはいかなかった、ということだと思う。

でも、この段階であっても、自分Yは、まだ元妻と話がしたかった。
なぜ、元妻は不貞行為なんかしたのか。
元妻は自分のどこがイヤだったのか。自分は何をどうすればよかったんだろうか。
間男君のどこが良かったんだろうか。
そもそも、自分が「ヌシ」なんていう不気味な存在として元妻に把握されているのもイヤだった。

それから何回か、元妻と話をするために週末にレストランで逢った。
元妻は酒が好きなんで、酒を飲んでざっくばらんな話を聞きたかったんだ。
元妻の主張は変わらなかった。
「アパートを借りて自力で暮らしてみたい。
 自分が生き生きとして暮らせるのが家族にとっても一番でしょう。
 心療内科には行かない。」
ここでいう「家族」には、自分は入っていないようだ。元妻の両親のことを指しているように思えた。

或るときは、レストランで自分に逢ったあとに「女子高時代の友人」と逢うということを聞いた。
元妻に、「女子高時代の友人」に逢って挨拶したい旨を告げると、
無茶苦茶嫌がって断られ、決して間男君に逢うのではないと断言した。
こちらも、そこまで嫌がられているのに無理は言えないので引き下がった。

何回目か、週末にレストランで逢って食事しているときに、
元妻は、不貞行為をしていることを義理両親や、学生時代の友人たちに
全部ぶちまけていた、ということを言った。
義理父は、渋い顔をして黙っていたそうだ。
そりゃそうだろう、自分の娘は不貞行為をしていない、と断言して、娘の旦那をなじったのに、
その断言が完全にひっくり返されたわけだから。
元妻は何の為に、わざわざ自分の不貞行為を吹聴してたんだろうかと不思議だった。
もし、こちらが離婚訴訟で慰謝料を得ようと考えていたならば、
元妻が不貞行為を自認すれば、元妻側が不利になる材料なのに。

或る日、元妻の携帯の中を見る時間があった、
何らロックされていなかったので、メール内容を見るのは簡単だった。
メールを見て驚愕した。間男君だけじゃなかった、メール全てが違う奴からのもので、
しかも全部のメールに性行為が示唆されている。
メールの文面から、出会い系のメールであることは明らかだった。
もう駄目だと思った。
ひとりだけの過ちならば、ラリっているのが静まるのを待てばいい。
でも、元妻の相手はひとりだけじゃない、
元妻は、誰とでもいいから男遊びがしたかったんだ。
それが元妻のいうところの「生き生きと暮らせる」ということだったんだ。
自分と結婚して、貞操の義務で抑圧されているのが嫌でたまらなかったんだ。
配偶者の自分は、元妻を貞操の義務で抑圧する「ヌシ」でしかなかったんだ。

自分との結婚生活は6年になる。
元妻は、最初に自分Yと出会ったのときめきを忘れ、
新たなときめきを求め、他の男を漁っていたんだろう。

元妻は、「私は風俗に通ったり浮気したりする男の人は嫌い、
あなたはそんな人にならないでね。浮気なんかしないでね。」と、言ってたよな。
でも、元妻は男遊びが大好きで、貞操の義務を守ろうとしない。
以前、レストランの食事のあとに「『女子高時代の友人』と逢う」と言っていたけど、
こういう相手と逢うためだったんだな。
メールの中身には、歯の浮くような台詞「元妻ちゃんは可愛くてスタイルが・・・」など書いてある。
出会い系の相手は、性行為をする為ならば、どんなにでも女を褒めまくるに決まっている。
元妻は、そんな褒め言葉が欲しかったのか・・・。

自分Yは、元妻に不貞行為をされるのは苦しくてたまらないと何回も伝えていたのに、
元妻は、自分Yの苦しみには何ら目を向けず、こういう男遊びを続けるのか。
元妻は、男遊びができない生活は、死にたいと思うほど嫌だったのか・・・。

しばらく悩んだあと、意を決して元妻に電話したけど繋がらなかった。
たいせつな電話だからかならずコールバックするように留守番電話に吹き込んでもコールバックしなかった。
このままでは、すぐさま離婚に向けての法的手段をとらざるを得ない、と、留守番電話に吹き込んだら、
すぐにコールバックしてきた。

元妻 「私のことを受け止めてくれると思ってたのに。」

このことばは、まったく信じられなかった。
まだ、「離婚して自由になりたかったの。ありがとう。」と言ってくれた方が自分Yには理解できた。
つまり、元妻は自分Yと結婚を続け、なおかつ男遊びを黙認してもらいたかったんだ。
元妻がどんなに男と遊んでも、自分Yには、それを見ないフリをしてもらいたかったんだ。
元妻が不貞行為をあちこちに吹聴していたのは、その不貞行為を周囲に承認してもらう為だったんだろう。

自分Yは元妻に、考える時間を一ヶ月あげた。
今後、不貞行為をしないことを態度で示したならば、またやり直そう、
でも、それが嫌ならば離婚しよう、という条件をつけて。

一ヶ月後に、自分Yは元妻と離婚したよ。
離婚条件の概要を以下(a)?(c)に列挙する。
(a)公正証書に、元妻が有責配偶者である旨を記載。
(b)財産分与無しとすること。
(c)慰謝料を元妻から自分Yに支払うこと。

慰謝料も元妻に決めさせたら、名目上○○万円で実質ゼロだった。
でも自分は、高額な慰謝料とかには拘らなかった。

離婚届を役所に出すときに、元妻に聞いたよ、
「自分Y以上に、お前のことを大事にしてくれる人は見つかったかい?」

元妻は絶句して、首を横に振って俯いていたよ。
どうせ男遊びの相手は、出会い系の男達。
SEXに持ち込むために元妻をチヤホヤして、SEXに飽きれば連絡を切る、ただそれだけの存在。
真面目に元妻を大事にする訳がない。
例の間男君も、ほんの3ヵ月ほどで関係を持っていただけ。
そんな事すら事前に読めなかった元妻が哀れだった。

元妻は、自分Yと離婚したあとでも友人として交流することを望んでいたようだが、
自分Yは、一切の接触と連絡とを禁ずるよう元妻に言い渡した。
自分Yは、元妻およびその家族とは、完全に縁を切りたかったんだ。

元妻へのいちばんの罰は、これまで自分Yが彼女に注いできた愛情が、
そして、これからもずっと元妻に注がれるはずであった自分Yの愛情が
未来永劫、完全に断ち切られること。
それで充分だと思った。

それから、元妻の姿を見たことはないし、連絡もない。
今でも、ときどきは元妻のことを思い出すけど、
もう思い出す周期もずいぶん長くなってきたし、元妻の記憶もだいぶん朧になってきた。
時間っていうのは優しいものでな、もう全てのことは過去の話として書けるようになった。