カウンターで仕事をしていたら女性が

「買い取りやってると聞いたのですが」

と聞いてきた

「はい。ですが買い取りできないものもありますよ」

と言うと

「分かりました。お願いしたいのですぐに持って来ます」

と走って店を出て行った

その10分くらい後、さっきの女性が大きい紙袋二つ分を持って来た
中には本がぎっしり。
「CDもあります」

との言葉にまずは必要事項を用紙に記入してもらい、すぐに査定にとりかかった
本はすべてハロプロの写真集、CDもミニモニや鈴木あみなど、
今から見ると「懐かしい?!」と言いたくなるものばかり
全部で100冊はあったろうか。
そのうち20数冊は買い取りできなかった
女性を呼びその後の査定価格など話している時だった

「ババア!てめぇ、何、他人のものを持ってってんだよ」

と男性が怒鳴りながらカウンターに走って来た
それに

「黙りなさい!」

と一喝すると

「分かりました。それで結構です」

と女性

「役に立たない本やCDに現を抜かしてないで仕事見つけなさい」

と男性に言う

恐る恐る

「それでこちらは買い取り不能でして」

とできないものを見せると

「じゃあ処分で」

とあっさり
豪華版モーニング娘。
初代メンバーの写真集もその中にはあった

「ファンにはたまらないよね」

と店奥で同僚が言っていたが、
男性も(以下、会話の内容から息子とします)ファンだったようだ

「ふざけんなよ!処分って何だよ!」

そう言ってそれを引ったくろうとする手を女性がばしんと叩いた

「生きていくのに何の価値もないでしょ。
そんなに嫌なら今すぐこれ全部を買ったお金を渡しなさい。
 全部自分じゃ買ってないのに甘えたことを言うんじゃない」

女性の息子への言葉と私への言葉のあまりの温度の違いが。
「ぶっ殺すぞ!」
と息子が言えば

「そんな勇気もないくせに、何を偉そうに」

と笑ってもいた

宥める訳にもいかず、親子ゲンカにおろおろしていると

「あの?」

と別の男性が話し掛けて来た

「それ(写真集)いらないなら僕が200円で買います」

それに女性は

「200円なんてもったいない。持って行って下さい」

「それじゃあ悪いですよ」

「ゴミに価値なんてありません。どうぞ」

その言葉に息子はがなっていたが、完全無視で写真集は男性の手に最後まで

「200円払う」

と言っていたのを固辞していた
そしてお金を受け取ると女性は息子に

「お店の迷惑になるからさっさと出る。そのままどこへなりと消えなさい」

そう言うとさっさと店を出て行った
その後を顔面蒼白で追う息子

店長や他の店員はもしもに備えていたが、
息子はがなるだけでこっちに手出しは一切なし
しかし最後、笑みを浮かべての息子への言葉に後から来たお客がぽつりと

「よほど我慢してたんだな・・」

と呟いていた