「君のお母さんは、私が戴いたよ。」

父の一周忌が終わった日、親族関係者が帰った後も、
最後まで残っていた部外者の男に、突然話を投げつけられた。
なんだこの男は? 一体何のことを言っているんだ?
僕はいきなりのことに、言葉の意味が理解出来なかった。

「亡くなったお父さんには申し訳ないけど、由紀子はもう私の女なんだ。」
父が亡くなってまだ1年だと言うのに、僕の母を由紀子と呼び捨てにし、
あげくの果てに俺の女だと言われて、ようやく事の重大性に気付いた。
「私のことを見たことはあるだろう? まだ入院している時の病院でも会ったことがあるし、
 お父さんの葬儀の時や、49日の時にも会っているはずだ。」
確かにじっくり見てみると、見たことがあるような気もする。
「自己紹介をしておくと、私は君のお父さんの上司だった・・・生きていた時のね。
 亡くなってからのいろんな手続きや、残務処理のために、こちらに何度かおじゃましてるんだ。」
上司だったと言う男は、52才でなくなった父よりも若い感じがした。

「でも本当の理由は、君のお母さんを病院で見た時から、とっても気に入ってね。
 だいぶ年上のお父さんには、もったいない女だと思っていたけど、
 お父さんが亡くなったおかげで、私の自由にできるようになって感謝しているよ。」
この男は、父の病室で母を見た時から、狙っていたということなのか。
「お父さんも病気になってからは、男としての勤めは出来ていないだろうから、
 まだ十分魅力的なお母さんが可哀相でね。
 どうやってお母さんを慰めてあげようかと、いろいろと考えていたんだよ。」
この男は父が亡くなったから、母を自分のものに出来たと言っている。
それじゃ、父が死ぬのを待っていたということなのか。
もし父が病気から立ち直ったら、一体どうするつもりだったのだろう。
母を父の病室で見かけた時から、母を自分の物にしようと思っていたということは、
おそらく無理矢理にでも母を奪おうとまで考えていたのだろうか。
一体これから僕に、何の話をするつもりなのか。

「49日を過ぎて訪れてみたら、だいぶ落ち着いていたので、先ずは唇をいただいた訳だけど、
 随分抵抗されてね。 抱きしめてやっても、必死に押し返そうとしてね。
 舌を入れてやろうとしているのに、口を開いてくれないんだ。
 でもちょっと耳を触ってやったら、お母さんは耳が感じるんだね。
 口を開いてくれたので、それでは折角だからと、奥まで舌を突っ込んであげたね。」
なんだ、こいつは?
無理矢理母さんの唇を奪ったというのか!
それにしても、母さんも耳を触られたくらいで、舌まで入れられるなんて。

「舌の奥まで舐めてやったり、舌を吸ってやったりしている内に、キスの味を思い出したのか、
 段々息が荒くなってきてね。 舌を絡めても抵抗をしなくなったし、
 目も虚ろになってきたので、耳やうなじを唇で責めてやったら、とうとう声を出してくれてね。
 背中に廻って後ろから胸を触ってやろうとしたら、いきなり私を振り切って逃げられてしまったよ。」 
どういうことだ! こんな男と舌を絡めて、声まで出すなんて。
でも僕は、母がこの男の手を振り切って、逃げ出してくれたことがとても嬉しかった。
やっぱり、母は亡くなった父のことを、まだ愛しているんだ。
「でもね、感じてくれていたのは確かだから、二回目の時はあせらずじっくり、
 唇と首から上だけを集中的に可愛がってやったら、しまいにはお母さんの方から
 舌を伸ばして絡めてくれるまでになってね。」

信じられなかった。
この男を振り切って逃げて行った母が、今度は自分から舌を差し出すなんて。

「堕ちると確信したな。
 服の中に手を入れて、ブラジャーの上から乳首を摘んでやったら、
 喘ぎ声が段々大きくなってきたので、顎を持って後ろに振り向かせたら、
 素直に口を開けて舌を受け入れてくれたよ。
 それだけじゃない。私が唾液を注ぎ込んでやったら、飲み込んでくれた。
 もう私の物になるのは確実だと思ったね。」
舌を絡めるだけでなく、唾液まで飲み込んでしまうなんて、そんな背徳的な行為を母が・・・。