「あ…、あん、駄目だよ…雄太…。こんな…ところで…」
「大丈夫だって、誰も居ないから。ほら、未央、もっと脚開いて」
 山奥にある温泉宿。その少し離れにある露天風呂で、押し殺した甘い声が聞こえる。
旅館から風呂に向かう道からは見えない、岩影に隠れた場所では、雄太の愛撫に身を委ねる未央の姿があった。

 久しぶりにまとまった休暇の取れた雄太が連れて来てくれたのは、子宝に恵まれると評判の温泉宿。
しかし、混浴という事は内緒にされていた未央は、恥ずかしいと部屋に引き返そうとしたが、自分達以外に来ていた団体客が宴会中で、風呂には誰も来ていなかった。

未央は久々の旅行の解放感と雄太の強引さに負けて温泉エッチを許してしまった。

「もう、いいかな。いくよ、未央」
乳白色で熱い湯の中でも、指に絡み付く温泉よりも熱い未央の愛液が溢れてきたのを感じた雄太は、未央を、岩影に腰掛けさせて大きく脚を開かせると、いきり立った逸物を未央の中へと沈めていく。

「ん、ぁん、…ぅんああっ!」
野外でのセックス。誰かが来るかもしれないというスリルから、未央の性感はアップしていた。いつもより秘所を濡らして、溢れる愛液が律動に合わせて飛び散り、グッチョグッチョと卑猥な音を響かせる。

「あ、あ、は、アン、んあ!気持ちいい…雄太、雄太!」
「未央、うは、スゴ…もう…ダメ、ぉほう!」
いつもより早く迫ってくる大きな絶頂の予兆に、胸を高鳴らせていた未央だったが、
雄太は、なさけない声と共に未央の膣中に熱い精液を吐き出すと、突然の終了を迎えてしまった。

(……もうチョットだったのに…)
射精の余韻に浸りながら、未央の頬や唇にキスをする雄太。
それに反して、イク直前でおあずけを喰らった未央が不満気な眼差しを向ける。
それを感じとって少し焦った雄太が、再び愛撫を始めた。その時、

「おお! 結構でかい露天風呂じゃねえか」
「こりゃ泳げるな!オレいっちば?ん!」
「あっ待て!俺が先だっ!!」
「これはいい露天風呂ですねえ。酒も持ってきましたから飲み直しましょう」
温泉エッチに夢中になっていた二人は、団体客が近づいていた事に気付かなかったのだ。
男ばかりが5人。しかも、皆酔っている様で、飛び込んで泳いだり、酒盛りを始めたりとやりたい放題だった。

岩陰の二人は、今更出て行こうにも出られない。未央が身体に巻いていたタオルは、男達のいる場所に置きっぱなしで、未央の裸体を大勢の男達に晒さないと出られない状態だった。それに、

「ったくよ?、せっかく混浴だってのに、女いねえじゃねえかよ?」
「総務の女たちは俺たちが上がってから入るって言うし」
「なに言ってんだ。ついてきたのはババアばっかりじゃねえか」

「そういや、凄ぇ美人が宿に居ましたよ。…男連れだったけど」
「オッパイもデカかったし、いいケツしてたぜ?。男の方はショボかったけど」
「何にい!その女連れて来いよ!皆でヒィヒィいわしてやろうぜ!」
「男連れつっても一人だろ?オレ達全員でかかれば何とでもなるって、へへへ」
酔ったうえでの冗談かもしれないが、そんな事を言われて、未央はすっかり怯えきってしまった。そんな未央を強く抱き締め、声の方を睨みながらも、岩影に隠れながら息を殺す事しか、今の雄太には出来なかった…。
 
男達が露天風呂から出て行くまで、なんとか隠れていようと我慢していた雄太と未央。
しかし、露天風呂での騒ぎは、おさまる気配すらない。更に酒のまわった男達は、たちが悪くなる一方だ。

先程まで、熱い風呂で激しく愛し合って体力を使った上に、熱湯に浸かって息を潜めて隠れているという緊張感。そして、旅館の通路ですれ違った時、男達が未央に向けていた邪な視線を思い出し、その怒りが、雄太の頭の血を急速に昇らせる。

愛妻を守らなければという意志に反して、雄太の意識が、徐々に闇の中に沈み込まれてゆく。
(ああ…、未央…、オレ…が…守…ら…な……きゃ……)
 
震える自分を抱き締めてくれていた雄太の腕の力が、不意に緩んだ事に、ハッと顔をあげた未央の瞳に飛び込んだのは、目の前の雄太が、湯の中へ、ゆっくりと沈んでゆく光景だった…。

「イヤァァァーーーッ!!雄太あ!!」
突然、岩影から聞こえた女の悲鳴に、風呂で騒いでいた男達が何事かと集まってくる。
そこには、湯の中で力なく仰向けになった男を、美しい女が一糸纏わぬ姿で泣きすがる情景があった。

「誰か雄太を!雄太を助けて下さいっ!!」
湯の中ででグッタリと意識を無くした男を抱え、涙を流して必死に男の身体を揺する美女。透き通った湯の中で、その身体を隠す物は何も無く、たわわな乳房や艶めかしい桃尻。そして濡れた恥毛が、男達の獣欲にまみれた視線に晒されているのも気付かない程、今の未央には、雄太を救いたいという気持ちしか無かった。

つづく