萌え体験談

萌え体験談、エッチな体験、投稿体験談を配信しています。

母親

中2でお医者さんゴッコその2

タイトルとジャンルが内容と合ってないが、前に投稿したやつの続きなので
ご勘弁を。

さて、中2の夏に幼なじみの理沙とお医者さんゴッコをしてから数ヶ月が経過した。
秋になったある放課後、俺は買い物に行こうと自転車をシャカシャカこいでいた。

前方からカワイイ姉ちゃんが歩いて来たので、うっかり目を取られてたら
深さ2mの用水路に自転車ごとまっさかさま。

水が流れておらずコンクリートにまともに叩きつけられた☆☆☆。
俺は両方の手首を骨折。
自転車もフレームがぐんにゃり曲がってしまい再起不能★★。

...病院に運び込まれ、全治6週間の大ケガ。
医者には笑われ、親には怒られ、散々な目にあった。
指も動かないほどガッチガチにギプスで固定され、何にもできない状況。

メシも食えない。
ウンコしてもケツが拭けない。
一番つらかったのはオナニーができない...

母親がケツは拭いてくれるが、オナニー手伝えとはとても言えず
もう4日めくらいで限界。タンクは満タン。

なんてったってまだ中2ですからね。毎日しててもモノ足らん年頃だし。
理由もなくイライラし、世話をしてくれている親にあたり散らしてた。

そして7日め。イライラがムラムラになってきた。
変な夢を見たと思ったら...

目がさめてパンツの中が変な感じになってるのに気づいた。
妙にベタベタする。

「やっぱり...」

俺は落ち込んだ。パンツを脱がしてくれた母親にも苦笑いされる始末。
ため息をついているうちに時間は流れさらに5日が過ぎた...

そろそろヤバイかなあと思ってたら、母親から酷な一言。

「ねえNちゃん、日曜だからお母さんちょっと今日一日出かけるから。」
「どこ行くんだよ。俺どうすりゃいいんだよ。」

「隣の理沙ちゃんにあんたの世話お願いしてあるから。」
「何!?よりによって理沙に頼んだのか?」

「そう。バイト代出すって言ったら喜んで引き受けてくれたわよ。」
「ちょっと待って。理沙はダメだって。」

「何で?いいじゃない。幼なじみなんだから。お尻拭いてもらったら?」
「冗談じゃねえよ。ほかの人にしてくれよ。頼むから。」

「じゃ、時間ないから行くわね。理沙ちゃんにあたり散らしたりしちゃダメよ。」
「...」

行ってしまった...
ちっきしょー。よりによって理沙だなんて。
絶対にウンコできねえじゃねえか。

しばらくして、玄関のチャイムが鳴った。

「誰?」
「あたし。理沙!!」

来やがった...

「開いてるよ。入れよ。」
「おはよー。しばらく学校休んでるけど大丈夫?」

ドアを開けて理沙が玄関に入って来た。
理沙がギプスに固められた俺の両手を見た。

「え?そんなにひどかったの?大丈夫?」
「大丈夫じゃない...」

「今日は私がNクンの面倒みるからね。自給1000円だし♪」
「やっぱ金か...」

「そりゃそうよ。報酬もなしに幼なじみに甘えようなんて虫が良すぎるっつーの。」
「...」

理沙は普通のカッコなんだが、溜まりに溜まっているこの状況。
お医者さんゴッコの光景がよぎり、どうしてもギラついた目で見てしまう。

「ちょっと何ジロジロ見てんのよ。」
「いや、そんなことないって。」

「ははーん。なーるほど。」
「な、何だよ。」

「ねえNクン。オナニーしてないでしょ。」
「!!!」

「あ、表情が変わった。やっぱりね。」
「そんなことおまえに関係ねえだろ!」

「ねえ、いつケガしたの?」
「えーと、今月の4日だったかな。」

「...今日で12日めか。」
「な、何数えてんだよ。」

「男の子ってそんなに溜め込んで大丈夫なの?」
「変なこと聞くなよ。」

「いいじゃん、お医者さんゴッコした仲なんだし。教えてくれたって。」
「おまえには関係ねえだろ?」

「ねえ、どうしてんの?教えてよー。」
「イヤだよ。」

「もし教えてくれたら...」
「え?」

「ちょっとだけサービスしてあげてもいいけどな。」
「サービスって?」

「内緒。お楽しみよ♪」
「ホントか?」

「あ、いきなり表情が明るくなった。このスケベ。」
「だ、だって...」

「じゃあ、教えて。どうしてんの?」
「じ、実は...ケガしたあと...7日めに夢精した...」

「夢精しちゃったの?やだー!!!」
「仕方ねえだろ。男なんだから。」

「夢精って気持ちいいってホント?」
「うん...変な感じだった。」

「7日で夢精か。今日はそれから5日め...そろそろ?」
「だから変な計算するなって。」

「ねえねえ、オナニーしたくてしたくてたまんないんでしょ。」
「うるせえったら!!」

「キャハハ。面白そう♪...」
「ちっきしょー...」

何をしでかすつもりか知らないが理沙の顔が悪魔に見えて仕方がない。
ツノとしっぽまで見えた気がする。

「この部屋暑いね。脱いじゃお。」

理沙が上に来ていたものを脱ぎ、Tシャツになった。
妙に襟元に余裕のあるデザイン。
下を向くと胸の谷間がチラチラ見える。

「理沙。」
「なあに?」

「おまえ、わざとだろ。」
「え?何のこと?」

この悪魔...
俺は歯ぎしりしそうになった。

俺の気持ちとはウラハラにチンポは正直に反応してる。

俺の下半身はファスナーがついているものは履けないので
すぐに用が足せるようにここ数日はジャージだった。

「ねえ、股間大きくなってない?」
「見るな!!」

「イヤだー。変態!!」
「仕方ねえだろ!!」

「こんな変態とひとつ屋根の下に一日中いるのは恐ーい。」
「...」

「バイト代あげてもらわなくっちゃ♪」
...ちっきしょー。

「ねえNクン、何か飲む?」
「冷蔵庫のお茶をコップに入れてくれよ。」

「はーい。変態ちゃんのためにお茶入れてくるねー。」
...ちっきしょー。理沙のやつ...

「はい。ストロー入れといたよ。」

俺は喉がカラカラだったので一気にそのお茶を飲み干した。
というより吸い上げた。

「すごーい。もう飲んじゃったの?」
「もう一杯。」

「はーい。」
俺は喉の渇きのままにお茶を飲み続けた。

2時間ほど...経過した。

「なあ...理沙...」
「なあに?」

テレビを見ていた理沙がこっちを向いた。

「あの...な...」
「なあに?」

「ちょっと...その...」
「どうしたの?」

「オ、オシッコが...」
「キャー、オシッコする気なの?」

「そりゃするよ。あたりまえだろ?」
「じゃあ、頑張ってねー。」

「おい...」
「なあに?」

「理沙...おまえ殺すぞ。」
「キャー、恐ーい。」

俺がモジモジしてると理沙はへその下あたりをツンツンと突いてくる。
「こら、や、やめろ!!」
「キャハハ、おもしろーい!!」

「ねえ、どうすればいいの?」
「ト、トイレまでついてきてくれ...」

俺は便器の前に立った。横に理沙がいる。
「どうすればいいの?」
「ジャージとパンツを...下ろしてくれ。」

「キャー、わたしそんなことできなーい。」
「てめー、早くしろよ!マジでもれるって!!」

「はーい。」
理沙はジャージをつまんで下ろした。

「パンツも下ろしてくれよ。」
理沙はパンツもつまんで下ろした。

「はい、どうぞ。」
「...」

俺は下っ腹に力を入れた。
まだ皮をかぶっていた俺のチンポから横90度にオシッコが飛んだ。

「キャー!!」
「あ、やばい。」

横にいた理沙にかなりの量をかけてしまった。
あわてて俺はオシッコを止めた。
かなりガマンしてたのでムリかと思ったが何とか止まった。

「何すんのよ。もう。」
「理沙、ゴ、ゴメン。」

「なあ、理沙...」
「何よ。こんな目にあわせてまだ何かあるの?」

「持ってくれ。」
「何を?」

「...チンポを...」
「え?イヤだー。」

「は、早く。オシッコ途中で止めてるからキツイ...」
「もう、仕方ないわね。」

理沙が俺のチンポを持ってくれた。
「方向を定めて...」
「けっこう面白いね。これ...」
ようやくねらいを定めてオシッコすることができた。

「はあー、気持ちよかった...」
「もー、どうすんのよー。私の服オシッコだらけだよ。」

「ゴ、ゴメン...謝るけど...でも男ならたまにあることなんだ。」
「ふーん。まあいいわ。バイト代上げてもらお。」

俺はパンツとジャージを履かせてもらってトイレを出た。

「ねえ、私着替えてくるね。」
「ああ...」

30分経過...いやに遅い。
オシッコかけたからシャワーでも浴びてんのかな。

やがて、再び理沙が家に来た。

「そのカッコ何だよ、お前...」
「いやー、暑くってー。」

理沙はタンクトップにミニスカートという姿で現れた。

...こいつ絶対わざとだ...

「Nクン今、面白いテレビやってるよ。見よ。」

理沙が俺の隣に座った。シャンプーのいい匂いが漂う。
一気に俺のチンポに血液が集まる。

理沙はミニスカート。白い太モモが視界に飛び込んでくる。
次第に俺の息が荒くなってくる。

「ちょっとー、なあに?さっきからフンフンって。」
「いや、何でもねえよ。」

「もー、やせ我慢して。興奮してんの?」
「そ、そんなことねえって。」

「だって、その股間。」
「ちっきしょー。」

「あとでサービスしてあげるからガマンしてね。」
「なあ、そのサービスって何だよ。」

「内緒。」
「ちっきしょー。」

数時間後...

「Nクンお風呂の時間だよ。」
俺はさっきのサービス発言に期待が膨らむ。

「何うれしそうな顔してんの?スケベ。」
「おまえも服脱ぐんか?」

「わたしは脱ぐわけないじゃん。Nクンの体洗ってあげるだけよ。」
一気に落胆の空気に包まれた。

「何しょんぼりしてんの?さあ、お湯がたまったよ。入って。」
「...」

「あ、そうか服脱げないんだったね。」
「...」

理沙に服を脱がしてもらい全裸になった。
脱がしてもらうのにものすごく恥かしさを感じた。

「もう、何でここは上向いてんの?」
「だって、仕方ねえだろ。溜まってんだから。」

「さあ入って。背中洗ってあげるから。」
理沙が俺の背中を一生懸命に洗う。

「さあ、流すねー。」
「あ、理沙...待て...」
理沙が蛇口をひねった。

「キャー!!!」

カランとシャワーの切り替えがシャワーになっているのに気づかず、
理沙がずぶ濡れになってしまった。

「もー、何なのよー。」
「だから、待てって言ったのに。」

「もー、パンツまでびしょ濡れじゃん。ちょっと待っててね。」
「...」

理沙が脱衣所に行ってしまった。
それからビックリすることは起きた。

「!!!」

曇りガラス越しにうっすらと理沙の姿が見える。
上半身の赤いタンクトップの色がなくなり、肌色っぽい色が見えた。

下半身のグレーのスカートの色が消え、白い色が見えた。
やがて、その色も肌色になった。

...ま、まさか...

「Nクン、タオル借りるねー。」

理沙がタオルで前を隠して風呂に入ってきた。

「な、何?り、理沙、おまえ...」
「うん、どうせ濡れちゃったし。いいでしょ?」

「ちょ、ちょっと待て。まだ心の準備が...」
「いいじゃん、この前裸の付き合いしたばかりなのに。照れることないじゃん。」

「恥かしくねえのかよ。」
「うん...ちょっと恥かしい...けど...Nクンなんにもできないし。安全だし。」

「ちっきしょー。」
「背中終ってるから前向いて。」

「ま、前向くのか?」
「いいからいいから。」

理沙が俺をクルっと回した。
裸の理沙が俺の正面にいる。
ギプスで固められた両手で俺はあわててチンポを隠した。

「隠したら洗えないよ。」
「ちょ、ちょっと待って。あ、こ、こら。ダメだって。」

理沙が俺のチンポに泡をつけ始めた。
...ものすごく気持ちいい...

目を開くと全裸の理沙が目の前にいる。
やばい...もうダメだ...

「はい、OK。お湯に入ろ。」
はあ...危ねえとこだった...でも正直、射精もしたかったな...

俺は先に浴槽に入った。

「ちょっとこの辺空けて。私も入るから。」

理沙も浴槽をまたいだ。
俺の顔の前を何かが通った。

...やわらかそうで...
...真ん中にスジみたいなワレメがあって...
...ワレメの上に毛のようなものが...

あれ?タオルで隠してない?

わああああ!!!
モロに見てしまった!!!

や、やばい...鼻血出そう。

「理沙、おまえ!!」
「ん?何かあった?」

こいつわざとだ。俺が手が出せないのをいいのことに。

「どうしたのー?そんな恐い顔して。」

理沙がニヤリと笑う。
こいつは絶対... 鬼!! 悪魔!!

「さ、あがろっか。」
「え?もうあがるのか?」

「うん。」
「サービスは?」

「え?これがサービスだけど?」
「え?もう終わりか?」

「もう終わりって?じゃあ、バイト代上げてくれる?」
「...」

ちっきっしょー...

「ねえねえ、出したいんでしょ?」
「...」

「出したいって素直に言いなさい。」
「だ、出したい...」

「僕の精子出して下さい。理沙様って言ってごらん。」
「ちっきしょー...」

「あ、言えないんだったらこれでサービス終わり。」
「...精子出して下さい...理沙...様...」

「はーい。よく言えましたー。」
「...」

「じゃあ、ここに座って。」
俺は言われるがままに腰かけた。
理沙が俺の股間の間に入ってきた。

「ねえ、ちょっと皮めくるね。」
ツルっという感じで皮がむけ、俺の亀頭が顔を出した。

「ちょ、な、何すんだよ!!」
俺は初めて亀頭が露出したのを見てあせった。

「元に戻せよ。」
「ここもちゃんと洗わないといけないんだよ。」

理沙は石鹸の泡を亀頭のまわりにぬりたくった。
「ちょ、ちょっと...くすぐったい...」
「もしかしてここ洗うの初めて?」

洗ったあとお湯で泡を流すとピンク色に輝く亀頭が現れた。
「キャー、きれい!!」

「キレイになったなら元に戻せよ。」
「いいことしてあげるね。」

理沙が俺の亀頭を口に含んだ。
「お、お...おまえ何しだすんだよ。」

理沙の舌が亀頭のまわりを這う。ものすごい気持ちいい。
やがて、それを口にめいっぱい含み、手でシコシコしだした。

...ああ...もう、もうちょっと...もうちょっとで...

突然、理沙が動きを止め、口からチンポを出した。
「な、何で?」
「今、イキそうになったでしょ。」

「何で?」
「何となくわかっちゃった。すごい硬くなったもん。」

「イカせてくれー!!もうちょっとだったのに。」
「へへっ。」

ちっきしょー。この悪魔...

再び理沙がチンポをしごき出した。
...あ...イク...もうダメだ...

...ビューッビューッビューッビュッ...

「キャー出たー。」
「ああ...気持ちいい...」

「えーっ?どんだけ出るの?」
長い長い射精が終わった。
もう...死んでもいいや...と思えるほど快感だった...

「はい、これでサービス終わりねー。バイト代アップお願いねー。」
「おまえどこでフェラなんておぼえたんだ?」

「お兄ちゃんのDVDでやってた。」
「何で今日はこんなことしてくれたんだ?」

「ちょっと興味あって...」
「理沙、もしかして...おまえ...俺の事...」

「好きなわけないじゃん。サービスだよ。バイト代お願いね。」
「ちっきしょー...」

俺と理沙は風呂からあがった。

「Nクン、ご飯作ってあげる。」
「何作るんだ?変なもの作んなよ。」

「あ、ひどおい。私の料理おいしいんだよ。」
理沙が台所で料理を作ってる。この時だけは理沙が天使に見えた。

「さー、できたよー。」
パスタのカルボナーラ、卵のスープ、サラダなどがテーブルに並んだ。

「あ、食べさせなきゃいけないのか。もー手間かかるなー。」
「バイト代もらうんだろ?」

「はーい、アーンして。」
何とか全部食べさせてもらった...

しばらく、まったりした時間が流れた。

ギュル...

ギュルギュル...
??

やばい...
お腹が...
昨日ウンコしてなかったのがよりによって今日来たか...

「さあ、Nクン私もう帰るね。」
「理沙、ちょっと待ってくれ...」

「なあに?もうサービス終ったよ。」
「ち...違う...」

「どうしたの?すごい顔色悪いけど。」
「お...お腹が...」

「え?もしかして...」
「ウンコ...したい...」

「えー?ウンコするのー?」
「頼む...マジで。」

「ウンコはしちゃダメー。」
「ダメって...ムリだって。頼む...ホントに。」

「じゃあバイト代上げてくれる?」
「ちっきしょー...わかった...何とかするから...」

俺と理沙はトイレに急いだ。
「じゃあ、ジャージとパンツ下ろすからね。」
俺は便器に腰掛けた。

$#&@л★ΣΔΩ...

「はあー、スッキリした...」
「くさあい!!早く流して!!」

「あ、ゴメン...」
「鼻が曲がるう...」

「なあ、理沙?」
「なあに?まだ何かあるの?」

「ケ...ケツ拭いてくれ。」
「え?」

「ケツ拭いてくれよ...」
「え?ウォシュレットついてないの?」

「もともとそんなものついてないよ。」
「えー!?何で今どきついてないの?」

「そんなこと言われても...ないもんはない。頼む...ケツを...」
「もう...女の子にそんなことさせないでよ。」

「だって...仕方ねえじゃん。」
「はい、じゃあちょっと腰上げてよ。」

さすがに理沙にケツ拭いてもらうのは恥かしかった。

「もう...Nクンのウンコくさい!」
「理沙、痛い痛い...もっとやさしく拭いてくれよ。」

「はあ...私の服にNクンのウンコの匂い染みついちゃったじゃん。」
「ご、ごめん...俺も恥ずかしかった...」

「じゃあ、私家に帰るね。おやすみ。」
「ああ...」

「り、理沙...」
「なあに?」

「今日は...ありがとな...」
「ううん、いいよ。Nクンのためだもん...」

「理沙...」
「なに涙目になってんの?バイト代よろしくねー。」

ちっきしょー...

...理沙に頭が上がらなくなったのはこの日からでありました...

高校3年の時、今度は理沙の失敗談があるのでまたそのうち書くわ。

村松の体験談

中・高の学生時代、俺は本当に腐った奴だった。
今の俺は、ただ償いたい。過去の過ちを懺悔し数々の罪を償いたいと思っている。

面白くも無い毎日だった。たしか中学1年から2年に上がる間の春休みだったと思う。
俺は当てもなくただ歩いていた。高野、庄司を連れて、ただ歩いていた。
偶然、小学校時代の同級生 翔太とばったり会った。俺の顔を見ると翔太は嫌な顔をした。
当然といえば当然か、俺達は翔太を散々虐めたのだから。
俺は翔太のその顔を見ると無性に腹が立って、虐めてやろうと思った。
ちょうど、近くにスーパーがあるので、そこで万引きさせようとした。
スーパーまで翔太を連れてくると、翔太が万引きしたくないとゴネやがった。
高野が蹴りを入れたり庄司が殴ったりして、やらせようとした。
すると、突然「君達!何をやってるの!」と厳しい声が聞こえた。
声の方を振り返ると、女が立っていた。
目が合うと、再度、俺に「やめなさい!」と叱り付けやがった。
俺は無言で、その女を観察した。かなりの美人だった。
汚ならしいスーパーの名前が入ったエプロンを付けているのに、なぜだか上品な美しさを感じた。
年齢は、20歳は超えていそうだが若々しく感じた。俺達は、とりあえず丁寧に謝罪してその場を逃れた。

庄司「今のお姉さん、めちゃくちゃ美人じゃなかった?」
  「怒られてるのに見とれちゃったよ」
高野「あんな人と、やってみてえな?」
  「やっぱ、年上がいいよ」
庄司「う?ん、俺はやっぱり菜穂子ちゃんが一番だな」
高野「小島菜穂子か・・たしかに最高だけど、あれは絶対無理だろ」
庄司「あの定森も告って振られたらしいからね、俺達の菜穂子ちゃんは簡単には落ちないのだ」
  「俺、菜穂子ちゃんだったら犯罪者になってもいいかも」
高野「アホ!、村松ぅ、庄司が変なこと言ってるぞ、何とか言ってくれ?」
俺 「ああ、そうだな」
高野「村松、どうしたの?」
俺 「いや、さっきの女ムカつくな?と思って。偉そうに文句言いやがって。」
庄司「村松、見とれてるように見えたけどw」
俺 「否定はしないよ。あ?ちくしょ、あの生意気な女、素っ裸にして好きなようにしてみてえな」

今日は面倒なテニスの日だ。テニスやってれば大学で女にモテルっていうから仕方なく始めたが、全く上達しない。
1人じゃ、つまらなすぎるから、庄司や高野にもやらせているが、相変わらず、つまらない。
コーチの清水は、女にばかり贔屓してウザイ奴だし、最悪だ。

俺は放課後、何の期待もせずに嫌々テニスへ出かけた。しかし、その日は、いつもとは違った。
有り得ないものを見たのだ。なんと!あの時のスーパーの女がいるではないか!
しかも、可愛らしいテニスウェアを着ていた。俺はミニスカートからのぞく細い脚に目が行ってしまった。
同級生の脚とは全く違った大人の脚だった。俺は、先日拝めなかった脚のラインを見て、股間が勃起するのが分かった。
だが、なぜここに?しかも、なぜテニスウェア?
俺はすぐに大人を捕まえて、「あの人は、どなたですか?」と聞いてみた。
すると期待していた以上の答えが返ってきた、来週から俺らのコーチになるというのだ。
今日は、テニスの腕を見せるために試合をしたそうだ。なるほど、それでウェアだったのか。
普段はコーチでもジャージのはずだから。この日から、俺はテニスの日が待ち遠しくなった。

覚えていなければいいな、と思っていたが、コーチは俺らのことを覚えていたようだ。
教室が終わった後で「もう、あんなことしちゃ駄目だからね!」と言われた。
俺は素直になることにした。
「はい。もう二度としません」「あの日は父親と喧嘩して、いつもの俺ではなかったのです。だからといって許されることではないですが・・」と色々言い訳しようとしたが、俺の言葉を遮って、コーチは
「二度とやらなければいいのよ。村松君、だっけ? 君、良い子だったんだね」
「最初、ここで君達を見た時、どうしようと思っちゃった」
俺は会話に合わせるように「こんな悪餓鬼が居たら、たいへ?んって思いましたか?」
「そうそう。いや嘘嘘。ごめんね。村松君、よろしくね!」
その日から、俺の頭の中はコーチで一杯になった。
授業中も遊んでいる時も、俺の頭の中のコーチは、あの美しい顔に微笑を浮かべながら、テニスウェアを脱いだ。
俺は気が狂いそうだった。

ところが、また信じられないことが起こった。
街で偶然、コーチに会ったのだ。しかも、同じクラスの健太と一緒だった。
俺は、なぜ、この人が健太と!しかも、かなり親しそうだ。
俺は殺意を押し殺して、健太に「二人は知り合いなの?」と聞いてみた。
健太は黙っていたが、コーチが「私の息子よ」と言った。
衝撃の告白だった!俺は、おったまげて、何をしゃべったか分からなかった。とにかく何かを話して自宅へ帰った。

俺は自宅で、まじまじと自分の母親を見てみた。うちの母親も美人だとよく言われる。それでもレベルが違った。
なんなんだ!いったい!健太はコーチと暮らしているのか。今も、あの美しい人と一緒にいるのか。
普通ならば、この事実で、自分の思いを諦めるのかもしれない。だが、俺は小学校の時、教師から悪魔と言われた男だ。
悪魔のような知恵を持つ、前代未聞の悪餓鬼。
この時、俺の頭はフル稼働していた。健太をうまく使えば、コーチともっと親しくなれるかもしれない。
いや、うまくやれば夢が現実となるかもしれない!あのコーチが俺の目の前で、テニスウエアを脱ぐ、そしてその先も。。

この日から、世の中が面白いものに感じられた。俺は、一つの目標のために、労力は惜しまないと誓った。

健太と親しくなるのは、非常に簡単だった。健太を虐めから一度助けて遊びに誘ったら、すぐに仲良くなれた。
俺はあえて、他の奴らとは距離を置いて、健太とだけ一緒にいるようにした。
俺の1番の友は健太だと思わせること、また、健太と他の奴が親しくならないこと この二つのためだ。
健太は、ウザイくらい俺の傍にいるようになった。毎日毎日、健太とつまらない会話をしたが、目的のことを思うとそれも苦痛ではなかった。

俺と健太の仲は、健太の家で、度々夕食を食べるようにまでになった。
食事中、何度か「コーチ」と呼びかけると、コーチは困ったように
「家でコーチというのは変だよ」「苗字も健太と同じで変だから、ゆずりって呼んで」と言った。
コーチの名前は「ゆずり」というのだ、もちろん知ってたよ。家では、俺も「ゆずり、ゆずり」と叫びながら、股間を・・
俺はコーチをゆずりさんと呼ぶようになった。俺がゆずりさんと呼ぶから、教室の他の奴らも、ゆずりさんと呼ぶようになった。

健太やゆずりさんと付き合いながら、なんとなく月日が経っていった。
ある日、俺は写生コンクールに出品する絵を、健太の家で描いていた。
そんなの狭い健太の家よりも、広い自宅で描くほうが、良いのだが、、
その日は、ゆずりさんが早く終わる日だったので、会いたいと思ったのだ。

健太と話をしながら絵を描いていると、ゆずりさんが帰ってきた。
安っぽいブラウスを着ていたが、相変わらず美しかった。
ゆずりさんは、この時間に家に帰ってくる時は、いつも隣の部屋で、服を着替える。
俺はそのことを知っていたから、今日は絵があるにも関わらず、健太の家にお邪魔したのだ。
案の定、ゆずりさんは「村松君、いらっしゃい。ちょっと待っててね」と言って、隣の部屋へ行った。
いつもの様に、服を脱ぐ音が聞こえた、俺はこの音を聞くのが大好きだった。
ゆずりさんが、服を着替えて出てきた。そして「ちょっと待ってね」と言ってジュースを持ってきた。
決して狙ったわけではない。しかし、ゆずりさんは俺が横に伸ばしていた足を踏んでしまった。
驚いたのか「きゃっ」と飛びのくようになった。そしてジュースの入ったコップは、俺の絵の上に落ちた。

俺の頭脳はすぐに計算した、ゆずりさんの粗相を利用することはできないか。
ただ、この絵は、拭けば問題なさそうだ。俺は、ゆずりさんが反応する前に、すぐに絵を持って、思い切り破った。
ボロボロに破って、ゴミ箱に捨ててから、「酷いよ。これ県の絵画展に出展する絵だったのに。」
そう言ってから、荷物をまとめて家へ帰った。家に帰ってから、俺はノートを出して、必死に考えた。どう行動すれば良いか。
どうすれば、ゆずりさんが、俺のために何でもしたくなるほど、罪の意識を持つか。ひたすら考えた。色々考えていると
自宅にゆずりさんから電話があった。親に出たくないと伝えてもらった。

俺は、翌日から健太を完全にシカトした。そしてクラスメイトに、「健太の母親に絵を破かれた」
「せっかく皆に選んでもらった絵なのに、ごめんな」と言った。
高野たちに指示したわけではなかったが、俺の意図を察したクラスの奴等は、勝手に健太を虐めだした。
健太は、高野たちに俺の前に連れて来られて、土下座しろと言われた。健太は床に頭を擦りつけて、
「ごめんね、本当にごめんね」と何度も謝った。高野達に言わされてるのではなく、本心で言ってるようだった。

健太は、家に帰る途中で俺を待っていた。そして、また謝った。俺は
「お前に謝ってもらっても仕方がない」と言ってから、強調するように、
「お前は悪くないだろ、お前は全く悪くない、それでも俺は、お前とは一生付き合わない」と言った。

俺は、テニス教室もしばらく休むことにした。夜になると、またゆずりさんから電話があった。
俺は、親に絵のことを言ってあった。ただ、親には、ゆずりさんが破ったというのは不自然だったので
健太に破られたと言ったおいた。そんなこともあり、親は俺には電話を取り次がずに
「我家では皆で展覧会を楽しみにしていたのに、本当に残念ですよ」
「あの子も、元気がなくなってしまって、、、もう謝罪は結構ですから、電話をするのは止めてください」と言ってた。

それから数日経ったある日、俺の帰宅途中の通学路で、ゆずりさんが立っていた。息子と同じことするんだなと思ったが
無視して通り過ぎようとした。もちろん、これは演技。
ゆずりさんは、「お願いだから、少しだけ話をさせて」と言った。だいぶ憔悴している感じだった。
俺は、そろそろ大丈夫かな?などと考えながら「なんですか?」と冷たく言ってみた。
ゆずりさんは「本当にごめんなさい、本当に悪かったと思ってます。どうか謝らせて」と半泣きで言った。
俺は「どんなに謝ってもらっても、もうどうにもなりません。俺は、貴女と、、健太を一生許しません!」と言った。
ゆずりさんは「私のことは恨んでもらってもいいけど、健太のことは、どうか許して」
「あの子は、村松君のことが本当に好きなの。なんとか許してあげて」と言った。
俺は「無理ですね。破かれた絵は、元には戻りません」と答えた。
ゆずりさんは「どうしたら、償えるの? あんなに仲が良かったのに、ずっと、こんな状態なのは、悲しすぎるよ」
「ねえ、どうしたらいいの!」と言った。
俺は勝負に出ることにした「だったら、絵を描かせて下さい。破れて粉々になった絵は元には戻りません、でも絵はまた書くことができます」
「ゆずりさんが、絵を描かせてくれるなら、俺は、許します。」と言った。
ゆずりさんは、嬉しそうに「本当に許してくれるの? 絵のモデルになればいいのね?なるよ。それで償えるなら。どんな絵なの?」と言った。
俺は「母親の絵が描きたいのです。でも自分の母親では恥ずかしいですから、お願いしています」
ゆずりさんは「母親の絵か?、いいよ、私も一応母親だし」
俺は「本当ですか、母さんに、裸でモデルになってとは、恥ずかしくて言えなかったのです。ありがとうございます。」と言った。
ゆずりさんは驚いて「え?裸でモデルって?」と質問した。
俺は「はい、裸の母を描きたいのです。お願いできますよね? 
   まさか恥ずかしくないですよね? 俺も健太と同じ年ですし、変に意識しないですよね?」と言った。
ゆずりさんは「そりゃ、変に意識したりはしないけど・・・」と
俺は「ですよね。いつが都合が良いですか? 健太も早く俺と仲直りしたそうだったけど。俺も早く健太と遊びたいな」と言った。

俺は、ゆずりさんのシフトが大抵、木曜日が休みだと知っていた。だから、「木曜日にしませんか?」
「昼間なら親も居ませんから、うちを使えます」と言った。
俺は心の中で「さあどうします?昼間に息子の友人の家で、素っ裸になれますか?」と思った。
ゆずりさんは悩んでいる様だった。でも、もう後には引けない筈だ。
ゆずりさんは、「本当に許してくれるんだよね?以前のように健太と仲良くしてくれるんだよね?」と言った。
俺は「はい、新しい絵が描きあがれば、あの絵のことは完全になかったことにします。」と答えた。
「ご両親は木曜日、本当に居ないんだよね?」「はい」
「分かった。じゃあ、木曜日に、村松君の家へ行くよ」と答えた。
この瞬間、俺は嬉しさで天にも昇る気持ちだった。とうとう、ゆずりさんの裸が見れる。
夢と同じように自分から脱いでくれるのだ。
俺は気が変わっては困るので「健太もかなり落ち込んでましたから、健太にも伝えて下さい」と言った。
ゆずりさんは、困ったように「健太にはモデルのことはちょっと言いにくいかな」と言った。
俺は「モデルのことじゃなくて、ゆずりさんが、きちんと俺に謝って、俺がゆずりさんを許したことを健太に伝えた方が良いのでは?と言ってるんです。」
ゆずりさんは、少し顔を赤らめて
「そうよね。健太喜ぶよ。私と口も聞いてくれないし、ご飯も食べなくて、本当に困ってたの」
「良かった。村松君が許してくれて。本当にありがとう。」と言った。

待ちにまった木曜日がやってきた。
前日から、両親は泊まりで主張に出ていた。俺は自分で学校へ電話した、両親が居ないことを伝えて、熱があることにして、さぼった。

時間よりも少し早めに、ゆずりさんがやってきた。
なんだか、普段よりもお洒落をしているように感じられた。
水色のワンピースにカーディガンを羽織っていたのだけど、かなり似合っていて、爽やかでとても美しかった。
俺は、心の中で「あと数分もすれば、あのワンピース脱いじゃうんだよな」と思って、興奮してしまった。

最初は、ゆずりさんに、ストリップさせようと思っていたのだけど、今回はそれはヤメテおくことにした。
最初はハードルを低くした方が良いと思ったからだ。
俺は、母のバスローブを用意しておいた。その方が脱ぎやすいと思ったからだ。
俺はゆずりさんをバスルームに案内して、「ここで用意してください、このバスローブを着て、居間に来て下さい。」と言った。
ゆずりさんは緊張しているようで、ただ頷いただけだった。

少し待つと、バスローブ姿でゆずりさんがやってきた。
これだけで、俺は、興奮してしまった。いよいよだと思った。
俺は鉛筆を持って、「では、そこで脱いじゃって下さい」と言った。
なるべく緊張しないで言ったつもりだったが喉に唾液が絡んだような変な声になってしまった。

ゆずりさんは、特に躊躇わずに、バスローブを脱いだ。

スーパーで叱られた時から、半年が過ぎていた。
あの時の生意気なお姉さんが、ついに、俺の前で真っ裸になった!!
感動的だった。やっとここまできた。でも、こんなので満足はしない。

ついに!ゆずりさんが、俺の前で一糸纏わぬ全裸となった。
俺は逸る気持ちをなんとか抑えつけて、
自分のスケベな思いを悟られぬよう、あまり裸身を見ないようにしていた。
ゆずりさんは、裸になって落ち着かなかったのか、どうしたら良いか分らない様子で
少し声をうわずらせながら「こ、この後はどうしたらいいの?」と尋ねてきた。
俺は『やっぱり我慢できねえ。ちゃんと裸を見させてもらうか』と考え、
「まだ、どんなポーズが良いかイメージが出来てません。すみませんけど、少し、色々ポーズを取ってもらいます
 まずは、目を閉じて髪を掻きあげるポーズを少しの間してもらっても良いですか?」とお願いした。
ゆずりさんは、少し恥ずかしそうにモジモジしてから、意を決したように、言った通りにしてくれた。
俺は心の中で歓声をあげた。
『目を閉じさせたので俺の視線は気づかれないはず。ゆずりさん!遠慮なく貴女の裸、鑑賞させてもらいます!』

俺はゆずりさんのボディラインの全貌を舐めるように、じっくりと見た。
さすが、スポーツを仕事としているだけあって、キュッと引き締まったボディ
その細い体に予想外なボリューム感で、ツンと形良く上を向いた双乳
そして、その乳房の隆起の頂点で、ピーンと立っている綺麗なピンク色の乳首
下半身はというと、、、
スラリと長い脚、それでいてプルルンっと白い豊かな太股、
その付け根で、はっきりと存在を主張している黒い艶やかな陰毛。
興奮しすぎて、爆発しそうになり、欲情していることを悟られないようにするのは不可能に近かった。
こんな風に、まともに、女の裸を見たのは初めてで、しかもそれが憧れの人なのだから、当然といえば当然だった。

ゆずりさんに、俺が欲情していることがバレれば、当然、この素晴らしいショータイムは終わりとなる。
俺の計画では、どうしても自分のスケベな心情をゆずりさんに悟られるわけにはいかなかった。
この日の目的は、ゆずりさんの裸身を楽しむことではない、俺の前で素っ裸になることに慣れさせることが最大の目的だ。
そのためには、あくまで、芸術的に!、そして純粋に!、母親の姿を描くものでなければならない。間違っても女を意識してはいけないのだ。

深呼吸をして、なんとか心を落ち着かせてから、
「ゆずりさん!なんとなくイメージが纏まりました。立ったままだと疲れてしまうので、椅子に座って下さい」と指示した。
そして、裸をなるべく意識しないように、顔を中心に絵を描き始めた。
絵を描きながら、俺は興奮しすぎて、いつの間にか射精していることに気づいた。パンツの冷たい感触が気持ち悪かった。
1時間程度、絵を描くと俺はどうにも我慢できなくなって、
「ゆずりさん!本日は、このくらいにしましょう、また、次回お願いします」と言って終わりにすることにした。
ゆずりさんは”また次回”という言葉に、「え?」という表情をしたが、「1日で絵を仕上げるのは無理ですよ」と言うと
素直に頷いてくれた。

ゆずりさんが帰った後で、ひたすら自慰に耽ったが、全く満足できなかった。
目を閉じると、ゆずりさんの清楚な笑顔と白い裸体が同時に浮かんで、いつまで経っても、俺の勃起は収まらなかった。
このままではマズイと考えた。早くゆずりさんを完全に自分のモノにしないと、
中途半端な状態でゆずりさんに手を出してしまい、計画は失敗してしまう。
予定より少し早いが、次回ゆずりさんがモデルになる時、ある程度、踏み込むことができないか、真剣に考えた。

再びゆずりさんがモデルになる日は、すぐにやってきた。この時、俺は二つのことを事前に準備した。
まず一つは、高野と庄司も家に呼んで3人で、ゆずりさんのヌードを描くこと。
この計画を伝えた時、高野、庄司、二人とも飛び上がって喜んだ。
二つ目は、母をうまく使うこと。母には、その日、外出してもらい、17時に必ず帰ってくるようにお願いしておいた。
母は1人息子の俺にべったり依存していて、俺に逆らうことは滅多にないので、この申し出も特に不審に思わずにOKしてくれた。

2回目ではあったが、裸になるために中学生の家を訪問したのだ、ゆずりさんは、かなり緊張しているようだった。
緊張を和らげるために冗談を言いながら、リビングまで連れてきた。リビングの入り口で
高野と庄司がいることに気づいたゆずりさんは、かなり驚き、「ふざけないで!」と慌てて帰ろうとした。
玄関まで戻ったところで、ゆずりさんは、玄関を出て帰るでもなく、ただドアの取っ手を握ったまま立ち尽くしていた。
「どうしました?帰っても良いのですよ」
ゆずりさんは、帰るのではなく「高野君たちがいることは聞いてない、話が違う」と抵抗した。
しかし、その抵抗は、長い時間は続かなかった。
ゆずりさんは切実に願っていたようだ。
絵を無事に描き終えてもらって、絵を駄目にしてしまったことを償いたい、自分を許して欲しい、
以前のように健太と仲良くして欲しい、と。だから、すぐに、自分の立場を理解してくれた。

それから10分後くらいだろうか
ゆずりさんは贖罪のために、最愛の息子のために、
テニス教室の生徒である3人の男子中学生の前で、着ているものを全て脱いで、全裸になった。

俺は二人に「エロイことを考えてることは、絶対に、ゆずりさんに悟られるな!」と何度も言っておいた。
それでも、ゆずりさんがバスローブを脱いだ瞬間、二人の生唾を飲み込む音は俺にまで聞こえた。
俺もエロ本などで女の裸に慣れる努力をしていたが、やはり、ゆずりさんの裸体を目の前にしてしまうと
股間が破裂するくらい勃起し、心がかき乱され、どうにもならなくなってしまった。
そんな俺達の様子に、ゆずりさんも気づいたのだと思う。
前回と違って、ゆずりさんは、すぐに裸身を手で覆って俺達の視線から逃れようとした。
今にも「もうこんなことはお終いにする!」と叫び出しそうだった。
ちょうどその時、外から車のエンジン音が聞こえた。母が帰って来たのだ。

俺は心の中で『お母さん、良いタイミングで帰ってきてくれたよ』と思いながら、叫んだ。
「ゆずりさん!大変、母が帰ってきたみたい」
それを聞くと、ゆずりさんは、完全にパニックに陥ってしまった。
それはそうだろう、息子の同級生達の前で全裸になっているのだから、大人にバレたら大変なことになる。
すぐに俺は「2階の俺の部屋に隠れて下さい」と急かして考える隙を与えずに、2階へ逃げるよう促した。
ゆずりさんは、素っ裸のおっぱいや、お尻を揺らしながら、急いで階段を上がった。
庄司と高野は、ゆずりさんの後ろについて、剥き出しのお尻を眺めながら階段を上がっていったが、俺はバスローブを持って
バスルームへ行き、ゆずりさんの着ていた服を隠してから、2階に上がった。
あらかじめ2階の俺の部屋には、ゆずりさんが体を隠せるものは全て排除しておいた。シーツや毛布なども全て、隣の部屋に隠しておいた。

母は「徳君、ただいま?」と、家に入ってきた。
ゆずりさんは、緊張が極限状態になり、プルプル震えていた。
俺は、この期を逃さず、計画を実行することにした。

俺は準備しておいたエロ本を開いて、ゆずりさんに見せた。
ゆずりさんが驚いて顔を背けるのを無視して
「この格好をして下さい」とエロ本の女がしているポーズをするように指示した。

「そ、そんな格好、できるわけないでしょ!」
ゆずりさんは顔を真っ赤にして、思わず声を張り上げてしまった。
自分の声が予想外に大きく響いたことに驚いて、慌てて口を押さえた。

エロ本では外人がM字に大きく股を広げ、どうぞ見てくださいと言わんばかりに股間を剥き出しにしていた。

俺は再度「お願いしますよ」と頼んだが、ゆずりさんは脚を固く閉じ、身を縮めて体を隠していた。
仕方なく、俺は若干大声で「お母さ?ん、庄司辰也たちが来ているから、飲み物とお菓子をお願?い」と叫んだ。
すぐに、母から「すぐに持っていくね」という返事が聞こえた。
ゆずりさんは体を震わせながら「ちょっと待って」と慌てた様子だったが、俺達は無視した。
少しして母が階段を上がってくる音が聞こえた、ゆずりさんは慌てふためき「ちょっと、どうしたらいいの」と悩ましげに呟いた。
俺はもう一度、エロ本を開いた「これをお願いします」
ゆずりさんは、いやいやと首を左右に振るだけだった。
いよいよ母が部屋の前まで来てノックした。俺はゆずりさんの方を見ながら「今、開けるね?」と言って、ドアの方へ歩いて行った。
ドアの鍵に手を掛けると、ゆずりさんは、両手を合わせて「お願い」と小声で囁いた。
無視して、鍵を開け、ドアノブに手を掛けた。その時、後ろから

「おおおぉ!」庄司と高野の歓声が聞こえた。
俺は、ゆっくりとゆずりさんの方を振り返った。この時の俺には衝撃的な映像だった。
細い綺麗な脚が、大きく広げられていた。
ゆずりさんは、目を固く閉じながら大開脚して、俺達の目の前で、完全におマンコを晒していた。
さすがは、庄司と言うべきか。
ゆずりさんの恥ずかしい大股開きは、次々と写メに収められていった。
俺は生唾を飲む込んでから、ドアを開けずに母に伝えた「今、勉強がちょうど良い感じだから、そこに置いといて」

母が去ると、ゆずりさんは「こんなの駄目だよ、早く家に帰らせて!」とすぐに股を閉じた。
「服は下にありますし、どうやって帰るのですか?、少しだけ触らせて下さいよ」と
ゆずりさんの剥き出しの肩を抱いてみた。
ゆずりさんの滑らかな肌の感触が堪らなかったが、それをよく味わう前に、突然、左の頬に激痛が走った。
ゆずりさんにビンタされたのだ。
俺は、突然のことに驚き、抑えていた凶暴な性格が、つい出てしまった。、
「痛えよ!元々、酷いことしたのは、どっちだよ?、もうモデルはいい、この痛みは健太に何倍にもして返してやるよ!」
ゆずりさんは、俺の剣幕に驚いてしまったようで、黙ってしまった。
「早く出て行けよ!」と言って、部屋から追い出そうとした。もちろん、ゆずりさんは現在、素っ裸、階下には母がいる。
ゆずりさんは、慌てて「ちょっと、待って!叩いたことは謝るから」と言ったが
「謝ってもらっても、仕方ないんだよ。母に全て話せよ。
 俺達の前で素っ裸になって俺の絵を駄目にしたことを許して貰いたかったんだろ? 出て行って、そう言えよ
 言っておくけど、俺は許さないからな、今までの苦労が水の泡だな。健太もかわいそうに」
俺のこの言葉で、ゆずりさんは、完全に萎縮してしまって、「そんなこと言えない。お願いだから許して」と小声で言っただけだった。

「ビンタのこと無かったことにするし、うちの親にもバレないように健太の元に帰らせてやるから、少し、触らせろよ」
ゆずりさんは、無言だったが、否定もしなかったので、俺は、素早くゆずりさんの腕を掴んで、用意していた手錠をはめた。
片方は、無事にはめられたが、ゆずりさんが、驚いて「何、これ、嫌だ」と言いながら暴れたので、両手にはめるのは失敗した。
「またビンタされたら嫌ですからね。ゆずりさんは、信用できないから、少しの間、拘束させて下さい。
約束しますよ、すぐに外すし、この手錠をはめさせてくれれば、さっきのこと水に流します。裸で帰るわけにはいかないでしょ?
健太だって俺に許されたと思って喜んでいます。このままで、良いのですか?、少しの間だけですから」

ゆずりさんは不安そうな顔だったが、健太という単語を聞くと
「本当に許してくれるのね。服も返してくれるんだよね。変なことしたら、大声出すから」と了承してくれた。
ゆずりさんはバンザイするように両手を挙げて、両手に手錠をはめさせてくれた。
庄司や高野の鼻息が荒くなるのが分かった。

中の中の処女JKから上の上へ

今36歳になるが34歳の時の話。
仕事場では全く出会いもなく結婚に焦っていた。
仕方なくサイトにも手を出し結婚目的で出すと返事が来た。
何と17歳の現役女子高生の明美と言う子。
顔は普通。
中の中であまりタイプではなかったが女子校だからか処女で結婚を約束できるまではエッチなことはしないと言った。
処女と久々にやりたいと思い慎重に話を合わせ気に入られるようにし1ヶ月後会うことに。
1人では怖いと言うことで親友だと言うひなが一緒に来た。
このひながめっちゃ可愛い。
上の上を越えてもいい位で透明感があって天使のよう。
まじにその辺のアイドルなんかよりずっと美少女でしかも明美と同じ考えで処女。
俺は密かにひなに狙いを定めた。
普通に話その後明美で2人でデートし何もせず送り2回3回とデートを重ねて5回目で初キス。
緊張してるのか震えていた。
それからはデートの度キスし1ヶ月後に信用を得たのかようやく体を許し俺はラブホに入った。

制服をゆっくり脱がし全裸を拝む。
おっぱいは結構あり聞くとEカップ。
乳首もピンクですでに固くなっていた。
俺は指でクリを触りながら乳首を吸い舐めた。

明美「あっ…あっ…」

体をビクビクさせ感じる明美。
足を開いてマンコを見るとかなり剛毛。
毛をよけクリを舐めるとお尻をグイッと高く浮かせ感じた。

明美「あっ…だ、だめっ!何か…あっ!」

しばらく舐めるとトロトロのマン汁が溢れ下半身も脱力していた。
俺は明美にフェラを教え舐めさせる。
チンポを興味津々で見つめゆっくり頬張る。
口の中はトロトロした唾液で舐め方は上手くなくてもヌルヌルで気持ちよかった。
しばらく舐めさせ勃起し唾液でヌルヌルのチンポを引き抜き明美の足を広げマンコに押し当てる。

明美「あっ…はぁ…ゆっくりね…?」

俺はゆっくりとチンポを入れた。
半分までは痛がらずそこから痛がる。

明美「痛いっ!痛い痛い!痛いよぉ?!はぁはぁ…」

俺は奥まで入れ明美を抱きキスしながらピストン。
明美はキスしながら痛がり涙を流した。
これが予想外に不細工で萎えそうになった。
顔を見ないようにしおっぱいを掴んでひなを思いながら痛がる明美を無視して激しくピストンし中出しはしたかったが妊娠されても困るので顔に出した。
チンポは赤く染まりマンコを見ると毛が真っ赤でアナルまで血が流れカピカピに乾いていた。
それからデートの度エッチし明美はエッチの快感に目覚めたのか俺に求めてくるまでに。
俺が下の毛剃ったらなと冗談言うとホントに剃ってきてエッチしようと言うほどだった。
しかし日が経つにつれ明美から連絡が少なくなっていった。
俺は好機と思い以前会った時に聞いたひなに電話し明美のことと言う名目で呼び出した。
案の定明美は他校の学生と遊びに行っているらしくがひなは断っているらしい。
俺はひなのこと素直に可愛いとか煽ててアピール。
ひなに俺を意識させようと色々話した。
それから毎日電話やメールし去年のクリスマスにプレゼントを渡すとひなは一緒に過ごしてくれた。
明美からはその後連絡があったが浮気みたいなことしてると言及するとあっさり別れると言いひなもそれは知っていた。
明美はすぐエッチしたがひなだけは結婚するまでしなくてもいい、我慢してでも抱きたかった。
元々照れ屋らしく手をつなぐだけで恥ずかしがった。
それから夏休み終わりまで手をつなぎキス止まりでデートした。
俺はとにかく慎重になりひなを大事にした。
そして去年のクリスマス。
付き合って1年経ちようやく解禁。
俺はひなをアパートに招き入れベッドに寝かせる。
明るさで恥ずかしがるが全身見たかったので却下し服を脱がせる。
夢にまで見たひなの体。
俺は脱がす前から勃起していた。
明美よりはおっぱいはないが色白でピンク色の乳首でプニプニで弾力がすごかった。
キスしながら乳首を触りひなは抱きつきながら舌を絡め寄り添う。
ゆっくり大事に味わいながらエッチしてあげようと思い前戯だけで1時間位かけた。
ひなはマンコも綺麗で毛が薄く明美とは正反対。
汚いと拒否るがマンコを舐め回しクリの皮を剥き責めると可愛い声を出した。

ひな「アンッ!そこっ!ヒャッ!ウゥッ…」

俺「ひな可愛い…大好きだよ…」

ひな「アッ…可愛く…ない…もん…ヒャッ…私も大好きだよ…」

俺は舐めながら手を繋いだ。
ひなはマン汁を垂らし腰を浮かせ初めてイク。
力が抜けた所でいざ挿入する。
フェラして欲しかったが初めてだし諦めた。
入れるのを感じたのかひな緊張気味。
俺は抱きついてキスしながらチンポをマンコに擦りつけマン汁をチンポにつけゆっくり入れる。

ひな「イタタッ…痛い…」

俺「大丈夫…ゆっくりしようね…」

ひな「うん…うぅ…痛いよぉ…はぁ…」

ひなのマンコは狭く入口ですでに締め付けがすごかった。
それでも数10分かけてようやく奥まで到達した。
そのままキスしたり少し話したりしリラックス。

俺「奥まで入ったよ?ひなの中気持ちいい…やっと1つになれた…」

ひな「うん…気持ちいい?よかった…1つだね…」

俺は中に出す気満々だったのでゆっくり動かしひなは痛がるが表情は可愛くて痛がる度になだめて愛情いっぱい注いだ。
そして中出し。

俺「あぁ…俺もイクかも…」

ひな「痛い…はぁ…はぁ…いいよ?はぁはぁ…イッても…イタタッ…」

俺「ひな…大事にするね…あっ…」

ひなは中に流れ込む精子を感じ脈打つ度に体をビクビクさせた。
そのままキスしまくりイチャイチャ。
抜くとやはり大量の出血と垂れる精子。
シャワーを浴び再びベッドでイチャイチャしながらくつろいだ。

ひな「幸せ…」

俺「俺もだよ…ひな…大好き…」

ひなは甘え俺はたまらなく幸せだった。

ひな「でも…私でいいの?」

俺「いいよ!ひながいいからエッチしたんだし中に出したんだし!」

ひな「ホントに?中?」

俺「ほらっ!ひなは卒業したらすぐ結婚して子供も欲しいって言ってたじゃん?!」

ひな「うん!私は○○とできたらいいなって思ってた…」

俺「俺も…だからひなの中に出したんだ!」

ひな「中に出すとできるの?」

俺「あれ?知らなかったの?」

ひな「う、うん…」

俺「この1回でできるかわからないけど可能性はあるよ?クリスマスプレゼントだね!」

ひなは涙目で俺に抱きつき甘えキスしてきた。
俺はもう1回ひなを抱き中出しした。
それから毎日ひなと会いエッチできなくともただ送りつなぎ止めた。
ひなは明美と違い俺だけをみてくれた。
ひなは片親で母親とは何度か顔合わせして仲良くなった。
それから年を越した今年卒業前に妊娠が発覚。
俺もひなも喜んだ。
ひなの母親も喜んでくれもちろん俺の両親も。
両親はいきなり18歳の嫁を連れてきて妊娠していることには驚いたが祝ってくれた。
それからすぐに結婚し元気な男の子出産した。
さらに今も第2子を妊娠中だ。
俺には勿体ない位可愛い幼妻と結婚した幸せ者の話でした。


不安心理1 の抜けているところ

月曜は会社に向かうために、家を出た瞬間から、急にどうしようもない不安感に襲われた。
会社に着いても不安感からくる胃のむかつきは収まらず、それどころか俺がこうして会社で働いている今、
まさにその瞬間にも、妻が他の男に抱かれているかもしれないという強迫観念が増すばかりで苛立ち、ささくれ、
いてもたってもいられなくなり、結局、極度の体調不良を理由に、昼前には退社した。
実際俺の様子は尋常ではなかったようで、早退を申し出た上司に「おい、大丈夫か?無理するな」と言われる始末だった。
俺は会社を出ると、せき立てられるように早足で駅に向かい、発車間際の列車に飛び乗った。
6区間、約20分ほどの時間で列車が俺の地元駅に着くと、商店街を抜け、男のマンションに向かった。
真っ先に駐車場を探した、あった。
男のシルバーのメルセデスは止まっていた、部屋にいるということだ。
この間の喫茶店は営業していて、店内に入ると、さすがに昼時で、作業員姿の二人組と、
くたびれたスーツを着た40代のサラリーマンが食事をしていた。
幸い窓際の席は空いていたので、俺はそこに座り、コーヒーを注文した。
店内は、4人掛けのテーブルが5セットと、事実上客が使うことはないだろう状態のカウンター席が4つ
小ぢんまりとした造りで、50代とおぼしき女性が一人で切り盛りしている。

結局午後3時を回っても、男も妻も出てはこなかった。
俺はあの時間にいったい何を考えていて、何をするつもりだったのか?
今もはっきりとはわからない。
ただ、時簡になっても正面玄関から現れない妻、その光景が見たかっただけだったのかもしれない。
冷静に考えれば、たまたまその日は違っただけのことで、依然として妻の疑惑が晴れたわけではないのだが。
それでも俺は、午前中のどうにも救いのない状態からは抜け出して、反動からか、少し楽しい気分になった。
俺は妻を心配させないように、適当に時間を潰して、いつもの時間に帰宅した。
お土産に、駅前にある地元の住人の間では人気のある洋菓子店でケーキを買って。
家に帰ると、いつものように、妻と娘が玄関で出迎えてくれた。
お土産だよと言って、ケーキを妻に手渡すと、娘は大喜び、妻は「どうしたの、なんか良い事あったの?」
とニコニコしながらも「お小遣い少ないんだから、無駄遣いしないでね」と一言を忘れない。
夕食は娘の大好物のカレーだった、娘の味覚に合わせて超甘口なので、俺は少し苦手だ。
妻の目を盗みつつ、唐辛子を大量にふりかけていたら、すかさず妻に注意された。
「もう、止めてよね、そんなことしたら味が滅茶苦茶になるでしょ、○梨がもう少し大きくなったら辛いの作るから」
夕食が終わり、家族でケーキを食べながらテレビの子供番組を見ていると、娘があくびをし始めた。
その日は、俺が久しぶりに娘と一緒に風呂に入り、妻に代わって眠るまで本を読んだ。
娘は何度か、「ママのほうがいい」と文句を言いながらも僅かな時間で眠りについた。
俺が居間に戻り、妻が後片付けを終えて風呂に入って少し経った時に、A田から電話があった。
そして、俺の短い、平和な幸せの時間は終わった。

その時のA田は最初から口が重かった。
俺ももちろん何もなければ掛かってくるはずがないことはわかっている。
矢継ぎ早に何があったと催促する俺に、A田はためらいながらボソボソと話しを始めた。
言葉を選びながら話すA田に苛立った俺が、「その相手はなんて言ってたんだ?はっきり聞かせてくれ」
そう言うと、A田は短いため息をついて「じゃあ話すけど、冷静に聞けよ、嫁さんには明日話せ、今夜は止めろ」
と忠告した上で話しを始めた。
「その女の話は7月ぐらいにあいつから聞いたことあるよ」
「なんか変な自慢してたぞ、結構どMで、駐車場でキスしながら弄ると、すぐにトロトロにするとか」
「乳は大したことないけど、すげー濡れるし、子供産んでるわりにあそこは具合がいい」
「もう一人の女より若いから肌がうんぬん」
あの男は、まだ他にも下品な表現で、妻の体や反応について、いろいろ言っていたようだが、途中から俺の耳には入らなくなった。
というより頭が言葉を理解することを拒んだ。
その後、A田が何を言い、どう締めくくって電話を切ったのか記憶が定かではない。
俺はしばら放心して、ただボーっと居間の椅子に腰かけていた。
しばらくして水が欲しくなり、キッチンの流しに行くと、電子レンジの前に置き忘れられた、
妻の携帯の、メールの受信を告げるライトが点滅していた。
俺が携帯を手に取り、新着メールを開くと
「…それから言い忘れたけど、明日はなるべく短めのスカートで下着はつけてこないこと…」
ふざけた感じのこんな内容が目に飛び込んできた。
それまでお互いやりとりしていたのだろうが、それ以前のやりとりは消されていてわからない。
明日か、明日俺の妻を抱く気なんだ…
殺意に近い感情が芽生えた。

妻が風呂からあがってパジャマに着替え、居間に入ってきた。
「○貴、話があるから座ってくれ」「なあに?」と言いながら少し不審そうな感じで妻が俺の向かい側の椅子に座った。
「おまえ、浮気してるよな?」瞬間ハッとして俺を見た妻は、目が合うとスローモーションのようにゆっくりと、
視線を外してうつむいた。
何十秒間かの沈黙の後で俺は「全部わかってるから話せ、おまえの口から聞きたい」
しかし妻はうつむき、固まったまま何も言わない。
「相手はスポクラの○○って男で、初めて抱かれたのが6月の17日だろ?」
「それで明日も、あいつに抱かれるつもりだったんだろ?」
そこで再び妻がハッとして俺を見た、その、妻の追い詰められ、おびえた目を見た瞬間に俺の感情が爆発した。
「…おまえ…なにやってんだ!」つい大声になってそう叫ぶと、俺は妻に歩みより、左手で妻の頬を思い切りビンタした。
鈍い音の一瞬後、妻は叩かれた頬をかばうようにしながら「…ごめんなさい…ごめんなさい」と繰り返し、静かに泣き始めた。
俺はこれまで妻を叩いたことなど一度もない、こんな瞬間がくるとは。
「それでどうするつもりだ、俺とわかれてあいつと一緒になるか?」
妻が少し泣きやんだころにそう聞くと、妻は「…あなたは、どうしたいの?」と問い返してきた。
「俺はおまえがどうしたいのか聞いているんだ、俺と娘を裏切ったのはおまえだろう?」
「それに、おまえがあいつと一緒になりたいなら、俺に選択肢なんてないだろう」
俺がそう言うと、少し間をおいて妻は「…離婚はしたくない、出来るなら」
「あなたと別れても、あの人と一緒になる気はないから」
「ならあいつと別れるのか?」
うつむきしばらく考えた後に妻は「うん…別れるから少し時間をくれない?」
「会ってちゃんと話さないと、あの人可哀想な人だから」

妻はいったい何を言っているんだ?可哀想なのは俺で、あいつじゃないだろう、俺は再び妻に怒鳴った。
「ふざけるな、時間なんてない、別れるなら今だ、今すぐあいつに電話しろ」
「俺はその後であらゆる手段であいつに復讐するから」俺が怒りに任せてそう言うと妻は、
「止めて、悪いのは私だから、あの人に何かするなら、私、死ぬから」
情けない話だが、その言葉を聞いて、俺の中で妻に対する愛しさとか、ある種の執着心のようなものが込み上げてきた。
俺は妻を強引に抱きしめながら言った「おまえはあんな男のために死ぬって言うのか?娘や俺はどうなる?」
妻は俺にしがみつき「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度も繰り返しながら、声を上げて泣きじゃくった。
ひとしきり泣いた後に妻は「明日の朝に電話して別れる、もう二度と関わらない」
「だからあなたも、復讐とかそういうことはしないで」と懇願した。
俺は妻に、男との始まりからの全てを話すことを条件にしぶしぶ了承した。
土曜に見た、あの男の他の女の話をしようか何度も迷ったが、結局これ以上妻を悲しませたくなくて、黙っていた。
冷えてきたので、寝室に移動して、妻の話が始まった。

wktk

一番可哀想なのは、嫁の頭だな。

4月の初めに、妻がスポクラに入会すると、いくつかのプログラムで男と一緒になった。
何度か顔を合わせていると、男は話かけてくるようになった。
他の女性会員たちの間では、いくつかのグループが出来上がっていて、派閥っぽい感じになっていたらしい。
そういうことが元々苦手な妻は、自然-に、いつも話しかけてくる男と話す機会が多くなっていった。
男は古参だけあって、始めたばっかりのエアロビでステップについていけない妻に、親切に教えてくれたり、
人気のあるプログラムなんかを紹介してくれたり、いろいろとマメにフォローしてくれたらしい。
男は年齢こそ妻や俺よりは上だが、言葉が優しく中性的な印象があり、
あまり男性を感じさせないところが話しやすかったと妻は言っている。
5月に入り、母の日の数日前に、妻が着替えを終えて帰ろうと、店外に出たところで男に声をかけられた。
男はニコニコと頬笑みながら「○貴さんもお母さんなんだよね、つまんないもんだけど母の日のプレゼント」
そう言って、包みを差し出した。
驚いて「ええ、そんなの頂けませんよ」と言う妻に男は「つまんない物だから気にしないで」
「それに俺、あんまり母親にあげられなかったから」と寂しげに言ったそうだ。
なんとなく返せない雰囲気と、男の言葉が気になっていたところで、ショッピングセンター内の喫茶店に誘われる。
プレゼントを受け取ってしまったこともあり、コーヒーぐらいならと思い、妻は付き合うことにする。

喫茶店で、男に手渡された包みを開けると、中からは、そこらでは売っていない超有名ブランドのエプロンが出てきた。
数万はするそうだ、驚いている妻に男は、照れ笑いを浮かべながら「ちょっとベタだよね、母の日にエプロンじゃ」
「まあでも、それで娘さんや旦那さんに美味しい料理つくってあげて」
「そういうの、俺の憧れだから」
男はもともとは、市内北部の地主の家の生まれで、兄弟は無く、両親、祖母の5人で暮らしていたらしい。
小学4年の時に父親が交通事故で亡くなり、その後、もともと祖父母と折り合いが悪く、鬱の気があった母親も、
男が小学校6年の秋に自殺してしまったらしい。
男は祖父母に溺愛されて育ったようだが、母親を自殺に追いやった祖父母を憎んでいたそうだ。
就職して2年後に、最後に残った祖母が他界すると、男は自分が生まれ育った家を二束三文で叩き売ったらしい。
「あんな呪われた家、無くなってせいせいした」
そんな重い話を淡々とする男と、自分も早くに母親を亡くしている妻は、泣きじゃくっていた弟の姿が重なってしまい。
ある種のシンパシーのようなものを感じてしまったようだ。
その日以降、少し甘えた態度を見せ、嬉しそうに懐いてくる男をだんだんとほっておけなくなって行った。
男は話を聞いて欲しいからと、ちょくちょくお茶や食事に誘うようになり、
妻が言うには「断ると、すごく傷つく人だから…」
メールアドレスも携帯の番号も男に聞きかれて、それでも心のどこかで、教えちゃダメだと思いながらも結局拒めずに…
そんな感じでズルズルと深みに嵌って行ったようだ。

6月17日は男の誕生日、妻は男に母の日の高価なプレゼントの、ある意味の「借り」を返そうと思い、何が欲しいか尋ねた。
男は「じゃあ○貴さんの手料理かな、俺はそういうのに飢えてるからね、俺の家でなんか作ってよ」
そう答える男に、さすがにまずいと思ったらしい妻は、自宅で作った料理を男のマンションまで持っていくと答えた。
男はあっさりと「ほんと、じゃあ楽しみに待ってる」と応じる。
当日昼直前に男の部屋の前で、料理を手渡して帰ろうとする妻に男がこう言った。
「今から食べるから、食べ終わるまで付き合ってよ、せっかく作ってきてくれた料理だけど、一人で食べたら意味ないじゃん」
「お茶入れるから、飲んでって」
ためらう妻を残して男は、さっさと部屋に入ってしまったらしい。
しかたなく妻は男の部屋に入る。
警戒している妻を前に、男は大げさに、楽しそうに妻の作った手料理を食べる。
嬉しそうに食事を取りながら、楽しそうに話す男の様子になぜだか妻は安心したらしい。
こんな話を、妻が積極的にしたわけでは決してなく、嫌がり、沈黙する妻を俺は、脅し、すかして無理やりさせた。
怯えながら、ためらいながら、苦しそうに辛そうにそれでも妻は話した。

いいね いいね

男が食事を終え、妻が男に別れを告げて玄関に向かった時に、いきなり男が妻を抱き寄せた。
必死で抵抗する妻を男は押し倒し、好きだと告げ、何度も懇願する「お願いだから」。
戸惑いと、ある種の憐れみから瞬間妻の体から力が抜ける。
しかし、着衣を1枚剥ぎ取られるごとに、危機感と恐怖から抵抗する妻
男は抵抗する妻に、人が変わったように「じっとしてろ」と怒鳴りつけ、次の瞬間には「お願いだから」と懇願を繰り返す。
全ての着衣を剥ぎ取られ、全裸にされた時には、妻はもう精神的にも肉体的にも疲れ果て、抵抗する気力を失っていた。
男が入ってきた瞬間、妻は自分の中で何かが終わった気がして、涙が止まらなかったと言っていた。
泣きながら壊れた人形のように無抵抗になった妻の中で終わると、男は、自分も泣きながら、
「ごめん、ほんとうにごめん、でもわかって、俺には○貴さんしかいないから」
そう何度も繰り返し「○貴さんはおれのそばからいなくならないよね」と子犬のような視線で妻を見つめる。
妻の胸に顔をうずめて、甘えるように縋るように見つめる男を見ながら、妻は思ったそうだ。
「この人は、弱い可哀想な人、私が守ってあげなくちゃ」と。
こんなチンケな手で妻は落とされたのか、そう思うと俺は怒りと悔しさで妻を怒鳴りつけたい衝動に駆られた。
しかし、これまでの人生で俺とのたった一度の恋愛しか経験したことのない妻には、どうすることも出来なかったのかも知れない。

簡潔に頼むわ

家に帰り、幼稚園から帰ってきた娘をみて妻は、急に現実感に襲われ、不安と恐怖に、
「どうしよう、どうしよう…」あまりの後悔に苦しくて、何度も吐いたそうだ。
帰ってきた俺とまともに目を合わせられなかっと言っていた。
しかし、妻のそんな様子に気がつかない俺に、自分の身にその日起こった出来事を、
正直に全て話そうと半ばまで決心していた妻の決意は、急速にしぼんでしまったそうだ。
不安で眠れない一夜を明かし、結局俺に言えないまま妻は、その出来事を自分の胸にしまいこむことにする。
俺は正直その日の妻の様子について全く記憶がない。
その日の妻の必死のSOSのサインに気づいてやれなかったことが、今更ながら悔やまれる。
そのころから妻は、夫である俺にとって自分の存在はなんなのだろうとか、時々考えるようになったらしい。
自分は俺にとって、娘の母親で、家族というパズルの1ピースにすぎないんじゃないかと。
そんな俺と違い、男は自分の存在そのもの求めてくれる、自分がいないとあの人はダメになってしまうかもしれない。
必要とされている、私が守ってあげなくちゃ、あの人は弱い人だから。
そうして、すがり付くように自分を求める男に妻は溺れて行く。
俺以外の男に一度でも抱かれてしまったことで、妻は、もう自分は汚れてしまった、汚れてしまったのだから後はどうなろうと同じ。
半ば捨て鉢な気持ちになって、拒めば人が変わったようになって激怒する男の求めるままに、体の関係を繰り返し、
夫である俺に対する嫉妬から、さまざまな行為を強要するようになる男の、なすがままに抱かれた。
男のSEXに溺れたとかそんな話ではないそうだ、そんな関係になりながら、それでも妻は
性的な関係がなければと、いつも願っていたらしい。
そんな話を聞かされて俺は、たまらなくなって妻を求めた。
今夜はやめてと懇願する妻を裸にして、必死で愛撫した、濡れない妻に怒り、気持ちと裏腹に勃たない自分に絶望した。
妻に対する、執着と、怒りが交互に訪れて、俺も妻もほとんど眠れない一夜を過ごした。

>「止めて、悪いのは私だから、あの人に何かするなら、私、死ぬから」
>自分も早くに母親を亡くしている妻は、泣きじゃくっていた弟の姿が重なって

娘に自分と同じ境遇にさせる気満々。
思いっきり心も持ってかれてるじゃん。

今朝妻は、俺が見ている前で男にメールした、主人にわかってしまったからもうこれ以上続けられないと。
それに対しての男からの返事は、「そうなの?仕方がないね、少し時間を空けよう」
と言う簡単で緊張感や、真剣さのかけらも感じられないもの。
さらに、もう会えないと返信した妻に、「わかった、じゃあしばらくは連絡しない」とふざけた内容の返信をしてきた。
そんなやりとりに対して不満そうな俺に、もう二度と会わないから大丈夫とむりやり笑む妻。
妻は、決して嘘つきな人間でも、嘘の上手な人間でもない。
不安げな妻の様子を見ているだけでわかってしまう、これで終わりなどではないことが。
俺が直接男と対峙して決着をつけることが、一番簡単な解決であろうことはわかっている。
しかし今はやめる、もし今そうすれば、俺と妻の間に何かしらの、決定的な溝ができてしまうような気がするから。
俺はゆうべ何度も妻に聞いた、あの男のことを愛しているのか?
妻は考え込みながら「少し違うような気がするけど、でもそうなのかも知れない」と答えた。
じゃあ俺のことは愛していないのか?と聞くと妻は、
「愛している、でもあんまりにも長く一緒にいるからそれがわからなくなってた」と言った。
男について妻はさらに続ける。
「あの人は不幸な出来事のせいで、心のどこかが壊れてしまった可哀想な人」
「普通の女性じゃあの人と長く一緒にはいられない、だからあの人はいつも一人」
自分ぐらいしかあの男のことを受け入れられないだろう、だから自分がいてあげないと。
そう妻は思ったそうだ。
「でも、あなたを失わないことが前提でしか、あの人との関係は成り立たないことがわかった」
そう告げる妻に俺は、言葉にすることなくつぶやいた。
「おまえにはあの男の正体がわからないのか]

不安心理2

依然としてあの男から妻への連絡や接触は無い。
どうやら完全に妻のことは諦めたようだ、もっとも、このまま俺が何もしなければ、ほとぼりがさめた頃に再び接触してくる可能性は捨てきれないが。
妻は日に日に目に見えて精神的に安定してきている。
しかしビデオの回収の話を俺が持ち出すと、途端に人が変わってしまう。
頑なに「もういいでしょ、あいつだって馬鹿じゃないんだからあれを表に出したら自分だってただじゃ済まないことぐらい分かってるよ」
そう言って俺にもう忘れろと執拗に迫る。
俺はそんな妻の様子にどうしようもない不信感を感じ、何度か妻を問いただした。
「なあ○貴、ひょっとして俺にまだ言ってないことが何かあるのか?もしそうなら全て聞かせて欲しい」
その度に妻は「なんにも隠してることなんてないけど…だってあなた、あいつからビデオ回収したら見るでしょ?」
「それが嫌なの、いくら私が言った通りの内容だったとしても、あなた見ちゃったらまた落ち込んで荒れるでしょ?」
畳みかけるように妻は続ける。
「もうあいつのことは二人で忘れようよ、私はもうあいつのことなんて何とも思ってないから」
「私が愛してるのはあなただけ、今も、10年後も、その先もずっと私はあなたのそばにいる、それじゃダメなの?」
妻が言うことは恐らく正論で、正しいのだと思う。
あの男の亡霊に怯え、妻との関係にひびを入れるよりも、すっきりと忘れて明日を考えるべきなのだろう。

…しかし、何かが妙にひっかかる…
その思いが日増しに強まり、まるで抜けない棘かなにかのように俺を苦しめる。

その日の昼過ぎにA田から、例の2年前に短い期間あの男と付き合っていたという女性の話が聞けたという連絡があった。
俺たちは久しぶりに直接会って話すことにした。
いつもの、駅の近くのファミレスで待ち合わせると、約束の時間の5分ほど前にA田はやってきた。
A田は俺に「おまえやっぱ少し痩せたな、まあ仕方がねーよな、ダイエットには苦悩が一番かもな」などと軽口をたたきながら本題に入った。
その女性がまだA田や妻が通っていたのと同じ店舗に来ていたころに、A田とその女性は当然に面識があり、
お互いに会えば挨拶ぐらいはする間柄だったようだが、一応共通の女性の友人に間に入ってもらい3人で食事をしてきてくれたそうだ。
その女性は今は、近郊大都市の中心部にある店舗に通っているため、当然こちらの店舗の事情には詳しくないため、
A田は自分の知り合いの妹があの男から交際を申し込まれていて、相談を受けているというシチュエーションを創作して話を進めた。
女性は明るくあっけらかんとした性格らしく、かなり突っ込んだ話にも元気に答えてくれたようだ。
A田「…それでね、あんまりあの人のいい噂が聞こえてこなくてね、実際どんな人なの?」
女性「私も2カ月も付き合ってなかったからあんまりわかんないけど、でもはっきり言って、あれは絶対に止めたほうがいいと思うよ」
女性「強度のマザコンでね、お母さん死んでるからどうしようもないよ、一言で言えば気
持ち悪い、馬鹿だし」
女性「それにあれはれっきとした変態だから」
はっきりと侮蔑の表情を見せながら、半ば嘲笑するようにそう言い放つ女性に、笑いながらA田が突っ込む。
A田「変態って何?SMとか3Pとかそういうの?」
笑いながら女性が「それぐらいならやってみたい思ってる男は結構多いんじゃない?」
女性「あいつはね、なんて言えばいいのかな?もっと根が深いんだよね、付き合いきれな
い、無理、さすがに詳しいことは言わないけどね」

逆にその女性からA田は質問される
女性「あの馬鹿に付き合ってくれって言われてるのって20代の独身の子なんだよね?」
「…あの馬鹿にしちゃ珍しいな…あいつが大好きなのって30代の子供がいる人妻のは
ずなんだけどな…」
A田「…?」
女性「あの馬鹿はマザコンだからさ、あいつの母親が死んだ時がたしか30代の中盤なんだ
よね」
  「それであいつはその年代の人妻に異常な執着があるのね、気持ち悪いことに」
  「私には軽い気持ちだっただろうし、全く本気じゃなかったと思うよ」

その女性からA田が聞きだしてきてくれた情報は大体こんなところだった。
俺とA田はその情報について話し合った。
俺はその女性に「変態」と切り捨てられたあの男の性的な異常性が激しく気にかかる。
SMや3Pなどと言った行為を笑って話せる女性が言い淀むほどの根深いものとはいったいどんなおぞましいものなのだろう…
あの男のそのおぞましい性的な異常性と、俺ののど元に刺さったままの小さな抜けない棘は関係があるのだろうか…
残念ながら現時点では、俺にもA田にも全く想像すら出来ない。
妻を問い詰めたとして答えは得られるのだろうか…
俺は先日の妻のビデオをめぐるやり取りを話した。
A田は言った「回収はするべきだが、たとえ回収できたとしても、奥さんの言うとおりで、おまえは見ない方がいいと思うぞ」
「いくら内容を知ってたって、映像として見てしまえば絶対にトラウマになるような機がする…」
確かにA田の言うとおり、ビデオを手にしてしまえば、俺は見ずにはいられないだろう。
そしてその結果また激しく嫉妬して妻を責めてしまうと思う。
A田は回収には自分も立ち会い、俺に手渡すことなく自分が処分すると主張する。
恐らくそれが一番良いのだろうと思う、しかし…

あの男が強度のマザコンだという話は、妻が俺に語った内容からも十分に推測できる。
妻に対しての子供のように甘えた言動や、異常な執着も恐らくそこから来ているのだろう。
男の執着の対象は子供を持つ女性の「母性」そのものなのだろう、自分が母親から十分には与えてもらえなかったもの。
生きていた頃の母親の姿形に最も近い年代の、「子を持つ女性」を、自分の記憶に重ね合わせているのだろう。
哀れな男と言えなくもないが…

妻には、いまだに俺とA田があの男のことを調べていることは黙っているつもりだったが、
家に帰り、娘が眠って、妻と二人だけになると結局聞かずにはいられなかった。
俺がA田から聞いた例の女性の話をすると妻は、あの男の異常な性癖についての話には、
「私は知らない、全然気がつかなかった」と淡々と一言話しただけで、頑としてそれ以上話そうとしない。
普段見たこともない、その妻の冷淡な無言の拒絶に俺は戸惑うばかり…
結局それ以上俺は何も言えない、しかし妻はあの男の強度のマザコンの話については色々なエピソードを話してくれた。

「…そうだよね、あいつはマザコンだったんだよね、それも強烈なね
 私が細かいことで世話を焼いたりすると、“イエス、マーム”とか言っちゃ
ってすごい嬉しそうなんだよね、膝枕で耳掃除がすごい好きでさ…
母親の生前の写真が30枚ぐらいしか残ってないみたいだけど
豪華なアルバムに入れて大事にしまってあってね、あいつの宝物みたいだよ
頼んでもいないのに何度も見せられた
年は私ぐらいかな?少し影がある感じだけど、ほっそりしてて綺麗な人だよ」

あっけらかんと、憎からぬ様子でそう語る妻に俺は苛立ちを隠せない。
そんな俺の様子に気がついた妻は、急に黙りこむ。
そして、しばらく間の気まずい沈黙の後で妻が言った。
「…もう忘れようって私が言ってもあなたは忘れてくれないんだね…」
○貴、出来ることなら俺だって全て忘れたいさ、心の中で俺はつぶやいた。
翌朝から妻の様子が少し変わった。
ふとした瞬間に、何か考え込んでいるような表情を見せることがある。

俺は会社帰りに時間があると、あの男のマンションの前の古びた喫茶店に寄る。
いつもの窓側の席でただボーっと男のマンションの正面玄関と駐車場を見ている。
男は部屋にいる時もあれば、いない時もある。
出入りするあの男を見たことはあの日以降では一日もない。
俺も、見張っていたところで何かが掴める可能性がほとんど無いことは頭では分かっている。
ただ、そこでボーっと見張っていると何故か心が落ち着く。

土曜日の午前に会社の後輩の結婚式があった。
妻は久々に娘をつれて、俺のマンションから車で30分ほどのところにある実家に出かけると言っていた。
夕方の6時ごろには帰ってくる予定で。
神父の前で厳かに永遠の愛を誓う後輩達の様子や、披露宴会場の華やいだ空気の中で、俺の心は沈み、なんともいえない寂しさを感じていた。
こんな瞬間が俺と妻にもあった、ただ…
寂しい瞬間だった、どうしようもなく、祝辞を述べる関係になかったことが幸いだった。

2時過ぎに披露宴が終わり俺は家路についた。
しかし今帰っても、妻と娘は妻の実家に行っているので誰もいない。
俺は地元駅に着くと、そのままあの男のマンションの前のいつもの喫茶店に向かった。

その日は男は出かけているようで、駐車場にあの男のシルバーのメルセデスは止まっていない。
俺が煮詰まって少し焦げ臭い感じのコーヒーをすすりながら新聞を読んでいると、
突然視界の端から、一瞬妻に似た女の後姿が、足早にマンションの正面玄関に入っていくのが見えた。
油断していたこともあり、はっきりとはわからなかったが、背格好や髪型、雰囲気が妻に酷似しているような気がした。
俺はにわかに緊張した。
男は部屋にはいない、あれが妻だったとしたらいったい何をしにきたんだ?
男の部屋の合鍵を持っているということか?いまだに?疑問符だらけだ。
あの男と俺に隠れてまだ続いていて、会いにきた?
それも不自然な感じがする、しかしこの後男が帰ってくればそういうことになる。

俺の頭が、結婚式の披露宴で飲んだアルコールのせいで少し緩んでいる状態からにわかに急回転し始め、全力で答えを求めた。
事件発覚後の俺と妻の苦悩の再構築の日々はなんだったのか?
もしもまだあの男と続いているのなら、到底俺は許せない。
湧き上がる怒りと、喪失感、恐怖で俺の心臓が激しく動悸する。
あの男が帰ってきたら俺はもう我慢を止める、男に詰め寄り妻を呼び出してケリをつける。
それしかない、もう無理だ。
俺がそう決心した矢先、現れた時と同じように唐突にマンションの正面玄関から先ほどの女が出てきた。
今度はきちんと確認できた、間違いなく妻だった。
妻は手ぶらで、あたりをさりげなく警戒するようにして出てくると、普段見せたことの無い険しい表情で足早に去っていった。
妻が男のマンションに入ってから出てくるまでおよそ10分少々。
妻は男の留守に勝手に上がりこんでいったい何をやっていた?
それに出入りの時のあの険しいただ事でない様子はどういうことだ?
ピンと来た、恐らくはあのビデオだろう。
妻はあれを密かに回収に来たのではないか?
それしか考えられない、
俺とA田がビデオの回収を諦めていないことを前日に知った妻が、先回りして回収しようと今日男の留守宅に勝手に上がりこんだ。
そういうことなのだろう。

妻の姿が消えて10分ほどしてから俺は喫茶店を出た。
駅に戻り自宅へ向かうバスに揺られながら俺は、妻のこの突然の大胆な行動の理由を考え続けた。
ここまでしてでも俺に見られたくないもの、あのビデオにはいったい何が映っているのか?
昨夜、男の性的な異常性についての話の時の妻の驚くほどの淡白な無反応。
○貴、おまえはいったい何をされた?何をした?
気になりだしたらそれこそきりが無く、俺はある種の得体の知れない気持悪さをどうすることも出来なかった。
そして妻は、今日男のマンションで目的のビデオを無事に回収したのだろうか?
そのビデオを男がどういう状態で保存していたのかが不明なのでなんとも言えない。
妻はマンションから出てきた時に手ぶらだった。
しかしそのビデオがポケットに収まるサイズのものだったとしたら持っていた可能性も捨てきれない。
わからないことだらけだ…
ただこれだけは分かる、俺は妻に今日の話を聞くことは出来ないし、妻も正直に話すことはありえないだろう。

午後5時過ぎに妻は娘と一緒に帰ってきた。
ジーンズに細かいストライプのシャツ、羽織った黒のカーディガン、やはり間違いなくあれは妻だった。
妻の様子は俺が朝出かけた時と別段変化は無く、「お嫁さんどんな人だった?」などと聞きながら
俺が結婚式で貰ってきた引き出物を娘と二人で広げていた。
娘にせがまれて入っていたバームクーヘンを切り分けて皿に盛り、娘にはジュース、俺と自分にはコーヒーを入れた。
俺は「ビデオは回収出来たのか?」と聞きたくてたまらない欲求を抑えるのに苦労した。

もしもストレートに聞いた場合に妻はどう答えるだろう?
もしも今日妻があの男の部屋から回収していれば、当然にもう処分しているだろう。
そして妻はありのまま正直にそう答えるのではないか?
それならばそれである意味では問題は解決する。
ビデオの内容は永久に闇の中で、俺がそれを知る機会は永久にこない。
それならばそれでいい、綺麗さっぱりあの男ごと忘れてしまえばいいのではないか?
しかし妻がもしも回収出来ていなかったとすればどうなるだろう?
恐らくその場合も妻はこう言うのではないだろうか?
「無事に取り戻してもう処分したから大丈夫」
やはり妻には今日のことは話せない、妻が今日回収していないことを前提に進めるしかない。
あの男の手元にビデオが残る事態だけは避けなければならない。
こんなことを考えながら、皿に乗ったバームクーヘンを口にすることなく弄んでいる俺に妻が「どうしたの?何考えてるの」と聞いてきた。
俺ははっとして我に帰り、無理やりに愛想笑いをして「いや、なんでもないよ」と曖昧に誤魔化す。
これからは妻に状況を話せなくなった、いきなり何も話さないのも怪しまれるだろう。
何気なく興味を失っていく姿を演じなければならない。

妻に対する大きな疑心暗鬼と、妻があの男にいったい何をされたのかという疑問、
そしてその忌まわしい想像がもたらす恐怖に、俺の精神は徐々に蝕まれてきている。
毎晩妻を問いただしたい欲求が膨らんでいき、何も言わない妻をどんどん信じられなくなっていった。
しかしその、俺にとっての出口の見えない精神の迷路は、A田からの電話によって、唐突に終わりを告げる。
その日のA田は最初から緊迫していた。
大至急会って話したいことがあると言う。
俺は夕方仕事を終えると、待ち合わせの、駅そばのいつものファミレスに向かった。
A田の言葉少なに緊張した様子が気にかかる、間違いなく良くない知らせだろう。
時間通りにファミレスの入り口に現れたA田は足早に俺の席に向って歩いてくる。
席に座ると、険しい表情で開口一番「ちょっと、嫌な話が出てきた…」と言い難そうに話しを始めた。
その日の昼休みにA田は例の、今年の2月までスポクラに来ていて、あの男と仲が良かった20代の男性会員に会って話を聞いてきてくれた。
(A田と男性会員の勤務先は共に近郊大都市中心部にあり、徒歩圏内の至近距離にある)
A田は例によって、自分の知り合いの妹があの男から交際を申し込まれていて、自分が相談を受けているという設定で話を進める。
その男性は始めのうち、核心部分については話したがらなかったようだが、A田に頼みこまれてしぶしぶ話してくれたそうだ。
仮にその男性を○本とする。
あの男と○本とは、ある人気インストラクターのプログラムで毎週一緒になっていて、次第に話しをするようになる。
そのうちに○本はあの男に誘われる形で、一緒にその人気インストラクターを追っかけて別の店舗のプログラムにも参加するようになる。
しだいに関係は深まっていき、スポクラの帰りなどにちょくちょく近所の居酒屋などで一緒に飲むような関係になった頃に、
あの男はその当時付き合っていた、30代後半の麻○という名の美人人妻を同席させるようになる。

そして彼らはスポクラの内外で、しだいに3人での行動が増えていくようになる。
○本はもちろんあの男とその人妻の噂は知っていたし、交際しているという話はそれまでにあの男の口から直接聞いて知っていた。
しかし、勝気だが、細身でスタイル抜群のその美人妻は男性会員達の話題に上ることも多く、彼女がいない○本は3人での行動が内心楽しかったそうだ。
あの男は、○本と二人の時に麻○という人妻の体やSEXについて詳細な話をしていたようだ。
○本は、身近な美人妻のリアルなSEXの話にずいぶん興奮したと言っていた。

そして年が変わり、今年の1月が始まり、○本とあの男がスポクラの帰りに居酒屋で新年会と称して飲んでいた時に、あの男がある提案をする。
あの男を仮に○川とする。

○川「○本君さ、麻○を抱きたくない?」
○本「えええ?何言ってるんですか、そりゃああれだけ綺麗な人ですからしたいに決まってますけど(笑)」
○川「じゃあ抱かせてやるよ、麻○も○本君ならいいって言ってるよ?」
○本「3Pとかってことですか?…ちょっと待ってくださいよ…」
○川「違う違う、そういうのじゃなくてね、俺の部屋に麻○を呼んでおくから、○本君が麻○を一人で好きなように抱けばいいんだよ」
○本「えええええ、だって麻○さんは○川さんの彼女でしょ?」
○川「俺と麻○はそんなヘビーな関係と違うから、それに俺にも麻○にもいい刺激になるんだよ」
○川「○本君も大人にんればわかるよ(笑)、麻○って旨そうな体してるだろ?気が強いけどあの時は可愛い声出すよ」
その時に○本は、興奮と緊張で喉がカラカラになり、頭がグラグラしたと言っていた。
あの男に押し込まれるような形でその夜○本は、何がなんだかわからないうちに承諾させられる。
○本「…でも、麻○さん本当にいいんですか…」
○川「大丈夫、大丈夫、麻○は何度かやってて慣れてるから、それに俺も寝室のドアを少し開けてこっそり見てるから」

その日以降○本は、自分がほのかな思いをよせていた、美しい人妻を抱きたいという欲望と、自分の中の倫理観や罪悪感との間で激しく心が乱れていく。
身近に接してきたからこそ妄想が膨らみ、その日以降麻○と顔を合わせる度に何度も激しい欲望を感じるようになる。
しかし結果的には○本はその話を断る、約束の日が近づくにつれ、次第に○本が生まれ持った倫理観や常識が顔を出し始める。
彼が言うには、一番大きな理由は麻○という名のその女性が人妻であったことだったらしい。
あの男は麻○のただの浮気相手に過ぎず、麻○には家庭があり、夫がおり、娘がいること。
それを考えた時に、○本の頭の中で何かの危険信号が灯り、我に返る、巻き込まれてはいけない、こんな人間達に係わってはいけない。
そして、そんな異常な行為が平気で出来る麻○という人妻のことを、それまでと同じように、ある種の憧れの対象として見られなくなっていく。
そして○本はフェードアウトするようにあの男と麻○という名の人妻の前から姿を消した。
最後に○本はこう締めくくる、「結局俺はまだ綺麗な女性に夢見たいんですよ、そんなシビアな現実は見たくなかったです」
「とか言いながら、惜しかったな?なんて思いもいまだに感じますけどねヘヘヘ」
「年は離れてるけどあんなにいつもきちんとしてる綺麗な人知りませんから、でもなんかがっかりしました」

○本という男性の話を終えるとA田は回りくどい言い方で俺に言った。
「この話はあくまでその人妻の話で、まあ○貴さんに限ってそんなことは無いと思う…」
「ただその人妻がどうしようもない女だたって話しかもしれん」
「この話だけで○貴さんのことを判断するな、男も女も付き合う相手によってその関係は全然違うものになるんだよ」
「俺のこの話だけで短慮は止めろいいな?俺はもう少し探るから待て」
沈痛な面持ちでやっとそう言うA田に俺は礼をいい、ファミレスを後にする。

しかし俺はそのまま駅ではなく、あの男のマンションに向った。
ファミレスから男のマンションまでの道のりは一瞬だったような気がする。
俺はもうこんなどうにも出口のない牢獄に囚われ、徐々に精神が蝕まれていくことに到底耐えられない。
今夜様々な疑問や苦しみにケリをつける、もう俺に残された僅かな精神のかけらを維持するにはそれしかなかった。
男のマンションの前につくと俺は、端から3番目の男の駐車場を確認する。
メルセデスは止まっていない、あの男はいないようだ。
俺はいつもの古びた喫茶店にはいるとコーヒーを注文した、代金は先に払っておく。
全く味のしないコーヒーを時折喉に流し込んでいて、様々な最悪な妄想に襲われ気が狂うかと思い始めて、
しかしそれから俺が2時間の心の地獄を経験し、耐えられなくなる寸前に、駐車場にあの男のメルセデスが入ってきた。
俺は急いで喫茶店を出ると、足早にマンションの正面玄関に向かう、入り口の数メートル手前で、男の斜め後ろから呼び止めた。

「○川さん」
男は反射的に俺の方に振り返り、怪訝な表情で俺を見つめる。
「俺は○貴の夫です…」
男の端正な二重の瞼がわずかにピクリと反応する、次の瞬間男は大きく眼を見開き絶句する。
俺が構わず「…どうします?ここで話しますか?」と投げかけると、男は諦めたようにガクっと肩を落とし
「…いえ…どうぞ…」と言うとマンションの中に入っていく。
俺とあの男は無言のままエレベーターに乗ると、8階の男の部屋に向う。
リビングの応接セットのソファーを俺に進めると男は、あの男は仕方がなさそうに土下座する。
「とりあえずお詫びします、申し訳ありませんで…」
俺は最後まで言わせなかった、「とりあえず」その男の一言で俺は完全にキレた。
土下座している男の頭を思いっきり蹴りあげた、男は仰向けにひっくり返る。
俺は近づいていき、頭といわず腹といわずところ構わず何度も何度も蹴った。
男に馬乗りになると両手の拳で男の顔面を滅多打ちにした。
鼻や唇、目じりや目の上から大量の血を流しながら、男は必死で「すいません、すいません、ごめんなさい、許してください」と泣きながら懇願する。
それでも俺は殴り続ける、男が何も言わなくなるまで。
俺はそれまでの人生で何度か殴り合いの喧嘩をしたことがある。
ただこの瞬間の俺は、生まれて初めて相手を殺しても構わないと思って殴った。
自分にこれほどの仮借のない暴力性があったことに自分自身でで驚いた。
やがて男がぐったりして何も言わなくなると俺は男から離れた。
しかし次の瞬間に再び衝動的な殺意に襲われ、男に近づくと思いっきり腹を蹴った。
男は「ウグッ」と呻いて胃液か何かを吐いていた。
俺はソファーに倒れ込むようにして座ると、殺意が鎮まるのを待った。
両手の拳が激しく痛む、へたしたら骨折ぐらいしているかも知れない。
男は苦しそうに呻き、泣いている。

どれぐらいそうして座り込んでいただろう?ようやく俺を取り巻いていた怒りの赤い靄のようなものが俺の頭から消えると、俺は男に聞いた。
「ビデオはどこにある?」
男はビクッとして血まみれの顔を俺の方に向ける。
俺はゆっくりと繰り返す
「俺の妻を映したいやらしいビデオはどこにある?」
まだ俺の質問の意味が理解できない様子の男の頬ほ平手で何度かはたいた。
俺の質問内容をようやく理解したらしい男が怯えて震えながら答える。
「…ベッドの下に…」
俺が男の寝室のベッドのマットを力づくでひっくり返すと、中ほどにDVDラックがあり、20枚弱のDVDがケースに入れて保管してあった。
ケースには麻○や恵○と言った名前が書き込んであり、○貴と書かれたものも4枚あった。
俺はそれを全て男の部屋のキッチンで見つけた45リットルのごみ袋に詰め込んだ。
その後俺は男から携帯を取り上げて、たたき割った上で、前日の残り湯が張ってあったバスタブに放り込んだ。
そして男の部屋を家探しして見つけた、男のパソコンとビデオカメラも、同様に破壊した上ででバスタブに沈めた。
男はショック状態で、俺が何をしていても、完全に無反応だった。
そして、帰ろうとしていた俺の眼にあるものが飛び込んできた。
それは、リビングの大画面TVの下のラックに置いてある豪華なアルバムだった。
豪華なアルバム、それに俺は反応する。

先日の妻の言葉が脳裏に浮かぶ。

「母親の生前の写真が30枚ぐらいしか残ってないみたいだけど
豪華なアルバムに入れて大事にしまってあってね、あいつの宝物みたいだよ」

俺がそのアルバムを手に取り、開いてみると、30代と思しき影のある、儚げな細身の女性が映っていた。
今とは時代が違う髪型や服装の、その異常に病的に色白のその女性は、一人であったり、小学生の男の子供と一緒であったり、あるいは家族であったり。
しかしどの写真を見てもその女性は暗い思いつめた表情をしていた。
おおよそ30枚ほどのそのアルバムの写真を見終えると俺は、1枚づつ取り出して、男の眼の前で破いていく。
最初、海老のように丸まって、ショック状態だった男は、俺が何をしているのか気がつくと、ばね仕掛けの人形のように突然跳ね起き、
「…なにしてんだよ…止めろおおお!」と絶叫して俺に向ってきた。
俺は再び男が抵抗しなくなるまで殴る。
そして男の母親の写真を1枚づつ丁寧に破いていく。
男は再び泣き叫びながらまた向ってくる。
そして俺はまた抵抗しなくなるまで男を殴る。
何度かそれを繰り返すと、男は土下座しながら振り絞るような声で懇願し始めた。
「お願いします、それだけは止めてよ、お願いだから、なんでもします、いくらでも払いますから、やめて、母さんを殺さないで、お願いだから」
「…許してください、お願いします…なんでもします…許して、もう止めて」
悲痛な男の叫びが室内に響き渡る、しかし必死で懇願する男の眼の前で、俺は機械的に写真を破いていく。
俺は全ての写真を破り終えると、ゴミ袋に入れたDVDを手に、男のマンションを後にした。
俺が最後に男の部屋で見た光景は、びりびりに破られた写真をかき集め、胸に抱きしめるようにして号泣している男の後ろ姿だった。
人がこれほど悲しく泣けるのかと思えるぐらいに男は泣いていた。
その男の後ろ姿を見て俺は思った、死ねよゴミ、殺してやろうか?

俺の白にグレーのストライプのワイシャツの胸のあたりは、あの男の返り血が点々と飛び散っていている上に、
両手の拳は、その頃になると紫色がかってきていて、とてもバスには乗れそうもない。
仕方なく駅前でタクシーを拾い家に向った。
タクシーの運転手は、明らかに不審そうな様子を見せていたが、俺の尋常でない様子にあえて何も言わなかった。

家に着いた時には、すでに9時を回っていた。
俺を玄関に出迎えた妻は、一目で事態を察したようだった。
一瞬で顔色が蒼白に変わり、俺が右手に持っていたDVDの入ったゴミ袋を指差して言う
「それを渡して」ためらう俺に、妻は一歩前にでて強く迫る「それを渡して、私が処分するから」そして手を伸ばし、俺から奪い取ろうとする。
俺が反射的に奪われないようにすると、眦を決してキッと俺を睨みつけて妻は言う。
「そのビデオは私があなたに言った通りの内容しか映ってないから、あなたは見なくていいの!渡して」
「…見たらもう戻れなくなるよ、全部ダメになっちゃう…あなたはそれでいいの?」
俺の体から力が抜ける、そして俺はそのゴミ袋を妻に差し出した。
妻の瞳から大粒の涙が数滴滴ると、俺に激しく抱きついてきた。
「ありがとう……ごめんなさい…」
妻は○貴と書かれたDVDケースの中身を、電話帳の上に載せ、金づちとドライバーで、執拗な執念で粉々になるまで叩いていた。
静まり返った深夜のリビングに、ガツッ、ガツッという、妻がDVDをたたき割る音が無機質に響いていた。

俺の両手の拳はいよいよ紫色にはれ上がり、どうしようも無い状態になっていた。
明日は会社に遅刻の電話を入れて、病院に行くしかない、多分骨折しているだろう。
激しい痛みをこらえて、しかしそれでも風呂に入った俺の両手の拳の応急手当てを済ませた妻は、激しく俺を求める。
反応しない俺を、必死で咥え、舐め、しゃぶる、舌を絡めてキスをし、乳房を押しつける。
長い時間そうしていて、少しだけ固くなった俺に自分が上になり、無理やりに入れると、激しく腰を使う。
何かに憑かれたように激しくあえぐ妻、やがて俺が妻の中に射精すると、最後の一滴まで搾り出すように腰をゆっくりと使う。
そうしてようやく妻は安心した様子で、俺の腕の中で思いっきり甘える。
何度も舌を絡めてキスをして、俺の瞼は目じり、乳首や首筋にねっとりとしたキスをした後で妻が言った、
「フフフ、すごいいっぱい出たね、凄い入れしい、あのね、今日はね、可能性高い日だから、二人目出来てるといいね」
嬉しそうに俺に甘える妻を左腕に抱きながら俺は考えていた。
俺は、タクシーの車内で知美と書かれたDVDケースに入れ替えてある、鞄の中の妻のDVDの内容が激しく気になった。

その夜、俺は全く眠れなかった、妻も眠れない様子だったが、午前2時を過ぎたあたりで眠りに落ちたようだった。
俺の頭の中で、見れば戻れない、終わりになると言う妻の言葉が何度も浮かんでは消えた。
もうすでに過去の出来事であり、今更どうすることも出来ない事実など、知らなくてもいいじゃないかと何度も自分に言い聞かせる。
しかし俺は結局知りたい欲望に負ける。
午前4時を回ったところで、俺は苛立ちと焦燥感でどうにもならなくなり、妻を起こさないように、そっとベッドから抜け出す。
寝室のドアを閉め、リビングに向うと、鞄の中から4枚ある妻のDVDを取り出した。
しかしそこでまた、俺の中に迷いと躊躇いが生まれる。
妻がしたように、俺もその4枚のDVDを粉々に破壊することが一番いいのではないか?
しかしそれで本当に良いのか?それだと俺はこの先一生抜けない棘が刺さったままで妻と生きていかなければならない。
全てを知った上で妻を許し、受け入れなければ今回の問題は終わったことにならないのではないか?
しかしもし許せない内容がそのDVDに収められていたらどうなる?
妻は、見れば戻れない、終わってしまうと言っている。
答えなど決して出ない問題を俺は延々と考え続け、そして最後に疲れてしまった。
考えることに疲れ切ってしまった俺は、半ば機械的にPCに1枚目のDVDをセットした。
1枚目のDVDは妻の自慰の映像だった、ただしそれは妻が自分で言っていた内容とはかなりの違いがあった。
まず、それは妻が言っていたのとは違い、携帯ではなくて、ビデオカメラで撮影されたものだった。

DVDは、あの男のマンションの寝室のベッドに腰かけた、妻の全身映像から始まる。
白い体にフィットしたTシャツに、デニムのミディアム丈のスカート姿の妻が俯いている。
やがて妻はカメラのレンズを見ないようにしながら、Tシャツを脱ぐ。
そしてスカートを脱ぐと下着だけになった、背中を向けながらしばしの躊躇いを見せていた妻はやがて、背中のブラジャーのホックを外す。
両腕から肩ひもを抜くと、ベッドの端に外したブラジャーを置く。
背中を向けたまま立ち上がり、両手でショーツを脱いでいく。
カメラに裸の尻を晒し、全裸になった妻はそのままベッドに横たわる。
カメラが回り込み、妻の全身を捉えようとすると反射的に妻は、両足を寄り合わせ、片方の腕で胸を、もう片方の手で顔を隠す。
男の声が苛立ったように手をどけろと言っている、躊躇しながらやがて妻は両手をどけて、諦めたように全てを見せる。
男の声は足を広げろと言っている、おずおずと足を広げる妻に男はもっと広げろと命じる。
結局妻は左右の足を大きくM字型に広げさせられる。
カメラはじっと目を閉じている妻の顔のアップ、乳房のアップ、そして妻の秘部のアップへと移っていく。

妻の睫がふるふると震えている。
ひとしきりアップを撮り終えると男は、妻に自分の指で秘部を広げろと命じる。
躊躇い、従わない妻に男は苛立ちやれと怒鳴る、妻は悲しそうに、諦めた様子で従う。
カメラに向って、自分の両手で秘部を広げて見せる妻に男は、もっと広げろと命じる。
限界まで広げられた妻の秘部をカメラに収めた男は、妻に言う、「じゃあ始めて」
妻は両足をM字に開いたままの状態で、左手で左の乳首を摘むように弄りながら、もう片方の手でクリトリスを弄る。
しかし数分間そうしていても、妻が感じている様子は無い。
イクところを見せろと何度も命じても、無理な妻の様子に、やがて男は20センチほどの電動のマッサージ器のスイッチを入れて手渡す。
妻は男に渡されたマッサージ器をクリトリスに軽く押し当てる、妻はほんの1分ほどであっけないほど簡単に、ウッっと小さく呻き、
足と腰を2度ほどビクビクと痙攣させ、ギュッと固く目を瞑り逝ってしまった。
男は逝った直後の妻にまた、広げろと命じる。
さすがに妻は躊躇いをみせるが、再び男に広げろと強い口調で命じられると、諦めたようにおずおずと秘部をカメラの前に広げて見せる。
男は少し湿り気を帯びた妻の入り口を男はしつこくアップで映し、フェードバックするようにカメラを引き、妻の全身の映像で終了する。

正直に言って俺は、このDVDの内容に怒りを覚えたし、また激しく動揺もした。
しかし妻の自己申告よりは遥かにいやらしい内容ではあっても、基本的には妻が言っていたことと大差が無いとも言える。
何よりも妻の、というか、妻しか映っていないことで、ある意味ではまだ俺は大丈夫だった。
2枚目のDVDを見るまでは。

2枚目のDVDはやはり男の寝室のベッドの上で、紺の半袖のブラウスに薄いピンクのタイトスカートをはいた妻が横たわっているところから始まった。
映像は少し離れた場所からの固定アングルだが時々ブレているので男が手で持って撮影しているものと思われる。
簡単に言えば、隠し撮りのような感じの映像だ。
カメラの視界の外から突然40代と思しき中肉中背のメガネをかけた男が現れ、ベッドの妻に近づいていく。
ベッドの上で無言で無反応、人形のようにただじっと横たわる妻に近づくと男は、キスをしながら洋服の上から妻の胸や太ももを揉みしだく。
妻のタイトスカートの中に手を入れて、ショーツとパンストの上から股間をまさぐっていた男が、やがて興奮した様子で妻のブラウスのボタンを外しにかかる。
男は不器用な手つきでブラウスのボタンを全部外して脱がすと、妻を少し横向きにしてブラジャーを外した。
妻は何も言わず、人形のようにされるがまま。
男は妻の乳房を揉みしだき、乳首を弄る、妻の口から耳、脇や首筋に舌を這わせ、執拗に乳首を吸い、舐めまわす。
妻の胸を散々楽しむと男は、妻のタイトスカートのホックを外し、ジッパーを下げる。
腰のあたりに手を差し入れてスカートをずり下げるようにして脱がすと、さらにパンストを破かないように注意しながら脱がす。

男はショーツの上から、妻の秘部をしばらく弄んだ後で、妻のショーツをずりおろし全裸にする。
男は自分もベルトをはずし、スーツのズボンを脱ぎ、全裸になる。
男は妻に覆いかぶさるようにして、再び妻にキスをして乳首を口に含む。
妻の両足を開かせると、右手で秘部を広げて弄る。
妻が、男に膣の中に指を入れられた瞬間に一瞬苦痛の表情を浮かべたのが分かった。
全く濡れていないのだろう。
そのうち男は妻の両足をM字の形に折り曲げて、太ももに何箇所もキスをすると、両手で妻の秘部を広げて執拗に吸い、舌を使い舐めまわす。
しばらくそうした後で男は、自分のペニスを妻の顔の方に持っていき、フェラチオを促すが、妻は全く無反応で応じない。
諦めた男は再び妻の両足を抱え上げて、自分のペニスで妻の入り口を押し広げるようにこすりつけると、一気に妻の中に挿入した。
その瞬間に妻は、今度ははっきりと苦痛の表情を浮かべ、初めてウッと声を上げた。
男は「ごめんね、痛かった?」と妻に声を掛けるが、妻は無反応。
音声は、男に突かれ揺すられながら一切声を出さない妻の代わりに、ぎしぎしと僅かな軋みを上げるベッドと、撮影しているあの男の少し荒い息遣いしか拾っていない。
やがて男の腰使いが早まり、男は妻の腹の上に射精する。
男はティッシュで自分の後始末をすると、妻に背中を見せ、そそくさと身支度を始める。
男が再びカメラの視界から消えるとレンズは、男に腹の上に射精されたままじっと動かない妻だけを映し出す。
妻の肩がわずかに震えている、距離があるのではっきりとは分からないが、どうやら妻は泣いているようだ。
そこで映像は終了する。

3枚目のDVDも男がもう少し若く30代の中盤であることと、妻が着ている洋服が違うぐらいで、内容はほぼ同じ。
空虚な人形のように無反応な妻を、男が好きなように弄び、抱くだけ。
ただ唯一の違いは、終わった後に妻に泣いている様子が見られなくなったことぐらいだ。

4枚目のDVDは、妻の服装が長袖に変わったことと、髪型からかなり最近に撮られたものであることが窺い知れる。
男はまた別の男で50歳手前ぐらい、妻は相変わらず空虚で無反応だが、このDVDで妻は、
相手の男の要求どおりに機械的にフェラチオをしている。
また、男のなすがままに、四つん這いになりバックで抱かれている。
男の上に乗せられ、騎乗位で機械的ではあるが自分で腰を揺すっている。
だからと言って感じている様子などは微塵も無いが…

俺は全てのDVDを見終えると、怒りでは無く、とてつもない疲労感と虚脱感に襲われて天を仰ぎ、放心してしまった。
あまりに理解できない状況に直面して何をどう考えればいいのか全く分からなくなった。
どの映像からも、妻が積極的にやっている様子や、喜んでいる様子は全く見られない。
はっきり言えば嫌々、無理やりにやらされているようにしか見えない。
なんだこれは?妻はあの男に脅されて無理やりに売春をさせられていた。
そう考えることが一番自然のようにも思われる、しかし…
そもそもあの男は金には困っていない。
嫌がる妻に無理やり売春をさせて小銭を稼ぐ必要など無いはずだ。
俺の頭の中に先日のA田の話が蘇る「あの男の性的な異常性」の話が蘇る。
俺の頭の中で何かが形をなそうとした瞬間に俺は背後に人の気配を感じ、振り返った。

幽鬼のように蒼白な表情を浮かべた妻が立っていた。
妻は振り返った俺に、それまでに聞いたことも無いような低く掠れた声で言う。
「…見ちゃったんだね…、あれほど見ないでって頼んだのに…」
そして、無理やりにほほ笑むと続けた
「ほら、言ったとおりでしょ、もう終わりだよね、私を許せるはずがないでしょ?」
そう言うと背中を向けて、ふらふらと玄関に向う妻を俺は呼び止める。
「○貴、待て、待ってくれ、なんだこれは?どういうことか説明してくれ」
立ち止り、俺の方に振り返って妻が言う。
「どういうことかって?あなたが見たまんまだよ、私はあの男以外にも一度も会ったことすら無かった3人の男達におもちゃにされて抱かれた、それだけ…」
俺はさらに
「おまえが嫌々だったことは映像からわかる、いったい何があったんだ?ちゃんと説明してくれ!」
必死でそう迫る俺に、妻はしばらく俯いていたが、やがて頭を上げるとフラフラとした足取りで俺の前に座る。
そして妻の長い話が始まった。

○川の母親は、夫を交通事故で亡くした後、小学校6年だったあの男を残し33歳の若さで自殺する。
もともと、○川の父親が存命中から夫の両親と不仲だった彼女と義理の両親の関係は、夫の死によって決定的に悪化していく。
大きなストレスの中で、躁鬱の気があった彼女の心はどんどん壊れて行ったようで、次第に行動が破滅的になっていく。
○川の世話をほとんど放棄するようになり、どうでも良い男をとっかえひっかえしては溺れていく。
美しい○川の母は、男に不自由することは無かったようだ。
やがて、義理の親の不在の度に男を家に引っ張り込むようになる。
ある時小学校が短縮授業でいつもより早く終わった○川が家に帰ると、母親の部屋からなにやらくぐもった声が聞こえてくる。
○川が近付いていくと母親の部屋の襖がわずかに開いていた、息苦しい胸騒ぎを感じながら○川がそっと覗くと、
部屋の中央に布団が敷いてあり、その布団の上で○川の見知らぬ男に全裸で、激しく絡み付くようにして抱かれている母親の姿があった。
早くに父親を亡くしている○川にとって、美しい母親は密かな自慢だった。
その大切な、美しい、自分の母親が、白い裸身を晒し、淫らな声を上げ、髪を振り乱して悦んでいる姿に○川は激しく動揺する。
自分は見てはいけないものを見ている、早くここを離れなきゃ、そう心の声が伝えるが○川は母親の裸身から目が離せない。
その時の心境を○川はこう表現している
「喉から心臓が飛び出しそうだったけど、母さんがすごい綺麗でね、眩しいぐらいだった」
○川は激しく勃起している自分を感じ、そしてそのまま小学校6年の4月、初めて射精する、覗き見た母親の情事の様子によって。
それ以降、母親が男に抱かれている姿をこっそり覗き見ることが○川の何よりの楽しみになる。
妻と肉体関係ができると○川は、自分のことをわかって欲しいからと言って、しだいにそんな話をするようになっていった。

自分を構ってくれない母親に対する、○川の捻じれた愛情はどんどんエスカレートしていく。
母親の入浴姿をこっそりと覗き、一人で自分の部屋にいる母親を覗く。
そして○川は自慰に耽る母親の様子も何度か目にする。
しかし、そんな○川の密かな楽しみは、その半年後にいよいよ心を病んだ母親の服毒自殺によって唐突に終わりを告げる。
巨大な喪失感を抱えたまま成長していった○川は、やがて自分の性的な反応が同年代の友達たちと微妙にスレていることに気がついて行く。
中学生になり、高校生になっても他の同級生たちのように同年代の女子に全く性的な興味がわかない。
○川にとって性的興味の対象は30前後の子持ちの女性だった。
そして自分のマスターベーションのための妄想の対象は何年たっても、男に抱かれて喘ぐ母親の姿だった。
しかしやがて自分も30代になるわけで、時がたてば自然と解決する問題だと当時の○川は、あまり深くは考えなかった。
しかしやがて大人になった○川は、もっと本質的な部分の自分の性の「歪み」に気がついていく。

○川が初めて女性と肉体関係を持ったのは、22歳。
当時地元の国立大の4回生だった○川はバイトで家庭教師をしており、相手はその生徒の母親の36歳の女性。
細身ではなかったようだが、太っているわけではなく、バランスの良い肉感的な体つきの女性だったようだ。
関係の始まりは、○川が中学1年のその男子生徒を教えるために、その女性の家に週2回通うようになった3ヵ月後。
○川はその生徒の母親に初めて会った瞬間から、それまで同年代の女性に一度も感じたことの無い激しい欲情を感じていた。
その母親が夫に抱かれる姿を想像して毎晩マスターベーションをするようになる。
そしてその母親も、自分のことを明らかに「女」として激しく意識し、どぎまぎした様子で、
まともに目も合わせられない○川のことを憎からず思っていたようだ。
ある時○川は、生徒がまだ学校にいっている時間の昼間に、生徒の勉強の相談があると言われて呼び出される。
○川が家に行くと、その母親は昼食を作って○川に食べさせてくれた。
そして昼食が終わると○川は誘惑される。
○川は毎晩思い続けた、そして自分にとって初めての女性の体に激しく溺れていく。

若い○川は情事の度に何度でも出来たし、毎日のようにその女性の体を求めた。
そして次第にその女性のことを本気で愛するようになっていく。
自分の母親以外の女性を始めて本気で愛した○川の中で、母親とその女性が重なっていく。
女性との情事の最中に頭の中に、母親が男に抱かれている映像が度々浮かぶようになる。
そして○川はある種の激しい「渇き」を感じるようになっていく。
「渇き」はどんどんと激しくなり、そして愛した女性を抱きたいと思う気持ちとは裏腹に、自分の下半身は冷えていく。
相手を愛すれば愛するだけ渇きは酷くなって行く。
症状はどんどん悪化し、SEXのたびに思い通りにならない自分の男性自身に苛立ち、嘆く○川のことを本気で心配する女性…
○川は女性に懇願する、夫に抱かれているその女性の姿が見たいと。
そしてその女性は、夫に抱かれる自分の姿をビデオカメラで隠し撮りして○川に見せる。
○川の脳裏に10年前の母親の情事の映像が鮮烈に蘇り、その女性と母親が完全に重なる。
○川は激しく欲情し、その日何度も何度もその女性の体を求めた。
結局○川とその女性の関係は、6年もの間続く。
別れは○川から、理由は、妻の推測では、女性が段々と年を取り○川の記憶にある母親の姿と離れていき、重ならなくなったから。

○川にレイプされ、無理やり始まった関係が、妻にとってあまり苦痛ではなくなったころに、妻は麻○という人妻の存在を知る。
○川と妻が一緒に出ているスポクラのプログラムに突然顔を出すようになり、妻に敵意をむき出しにして、執拗に○川に付きまとう。
その場では○川は当たり障りの無い対応をしていたようだが、麻○がいなくなると必死で妻に弁解する。
○川は妻に、○貴さんのことを本気で好きになったから麻○とはもう分かれたいのに、付きまとわれて困っていると告げる。
妻の目から見ても○川に麻○に対しての未練がある様子は見られなかったので、別に気になりはしなかった。
しかし麻○はその後も一ヶ月以上も二人に付きまとい、2度ほど妻はスポクラの帰りに待ち伏せされる。
麻○は妻に、○川と自分は1年以上付き合っている、自分達の交際の邪魔をするなと迫り、自分のことは棚に上げて、
「旦那さんも、小さな子供もいるくせにあなた何やってるの?バカじゃないの」と妻のことを激しく罵り、
そしてあざ笑うように「フン、あなたじゃあの人のこと満足させられない」と言い放つ。
妻の中で、○川に対しての愛情とは別の、女同士の闘争心に火がつく。
妻はこの女には負けたくないと強く思う。

妻はそのころ日々どんどん強くなる○川の自分に対する恋慕を感じるが、○川の男性自身はSEXの度ごとにダメになって行く。
そして○川はその度ごとに激しく落ち込み、自分自身を罵る。
そして相変わらず見え隠れする麻○の影。
自慰しているところが見たいと○川に懇願されて仕方なく応じると、その時の○川は久々に元気になり、無事SEXが出来る。
しかしそれも何回かすると、やはり○川は勃たなくなって行く。
妻は自分のせいだと思い込み悩む。
そしてしばらく前に麻○に待ち伏せされた時に言われた「あなたじゃあの人のこと満足させられない」と言う言葉が何度も脳裏に浮かぶ。
そしてある時○川は、自分の少年時代の衝撃的な母親の話と、初めての相手だった大学時代の女性との話を聞かせた上で懇願する。
「○貴さんが他の男に抱かれているところが見たい」と。
妻が驚き激しく拒否すると、その時の○川はあっさりと引き下がる。
しかしその後○川は、妻とのSEXでダメな度ごとに、激しく落ち込みながら必死で懇願するようになる。
しだいに妻の精神は追い込まれていく、妻はある時○川に提案する。
夫とのSEXを隠し撮りして見せるので、それでダメかと。
しかし○川は、ビデオで見るのじゃなくて、直接見ないとダメだと言う。

「○貴さんのことも俺のことも当然全く知らない、他県の男性を会員性のサイトで見つけて呼ぶから心配ないよ」
「もちろんそれ一回きりで○貴さんが顔を合わせることは一生無いから大丈夫」
「俺が見てるんだから、変なことされたりする心配なんて全くないよ」
「一度だけでいいから、そうすれば俺は救われるんだよ、お願いだ○貴さん」
「こんなに俺が苦しんでるのに助けてくれないの?」

○川は、脅し、すかし、泣きながら懇願し、必死で妻を説得する、何度も何度も会うたびに。
恐らくその頃の妻の頭の中で世界は、自分と○川、そして麻○の3人で成り立っていたのではないだろうか?
どうにもならない所まで追い込まれた妻は、結局○川のこの一言で承諾してしまう。
「麻○はやってくれたのに…やっぱ○貴さんじゃダメなのかな…」
妻は○川が麻○と完全に分かれることを条件に承諾する。
○川はその場で麻○の携帯に電話をかけ、厳しい口調できっぱりと別れを告げる。
一旦は承諾してしまったものの、その直後から妻は巨大な不安と、言いようの無い恐怖に激しく後悔する。
しかし○川はそんな妻を決して逃がしはしなかった。
毎日電話を何度もかけ、頻繁にメールを送ってくる。
そして妻は承諾した日から僅か3日後にそのおぞましい行為をさせられる。

その日、○川のマンションで相手の男がやってくるまでの時間に妻は何度もパニックを起こし、やっぱり無理と泣き叫ぶ。
帰りたいと懇願し、出口に向かう妻を○川は怒鳴りつけ、頬を何度も叩き、そして抱きしめながら懇願する。
妻はどうしても許してくれない○川の態度に、しだいに逃れられない運命を受け入れ無反応になって行く。
そして妻にとっての地獄が始まる。
男にキスをされ、体中を舐めまわされている時に妻は、麻痺しかかった頭でただ漠然と「気持ち悪い」と感じ、
ひたすら早くその時間が終わることだけを願っていた。
男が自分の体から離れ帰っていくと、急激に正気に戻っていった妻は、激しい吐き気に襲われる。
2枚目のDVDの続きは、ベッドから跳ね起きてトイレに駆け込み、何度も何度も何も出ないのに吐き続ける妻。
その妻の背中を必死でさすり続ける○川、○川に向き直り号泣しながら掴みかかる妻。
そんな妻を○川は抱きしめる。
妻の抵抗が弱まり、体から力が抜けると○川は妻を抱き上げベッドに運ぶ。
「大丈夫だよ○貴さん、俺が綺麗にしてあげるから」そう言うと○川は裸の妻の体中に丁寧にキスをする、何度も。
そしてその日○川は、妻が時間になり帰るまでの間、ずっと妻を抱いていてそして3度妻の中に射精する。

自分が犯してしまったとてつもなく罪深い行為に妻は恐れおののき、苦しむ。
もう自分は絶対に死ぬまで自分自身を許せないだろうと何度も絶望する妻。
そして自分にそこまでの代償を払わせた○川を憎むと同時に、一方で激しく執着する。
一度だけと言う○川の約束は、結局守られることはなかった。
しかし一度一線を越えてしまった妻にはもう拒む気力も無ければ、守らなければならない何も残ってはいなかった。
○川に求められるまま2度、3度と繰り返してゆく。
妻は言う「2回目からはやっぱり知らない男に体を弄られたり、舐めまわされたりするのは気持ち悪いけど、別に悲しくはならなかった」
「どうでもいいからこの男の人早く逝かないかな、なんて考えてた」
「あいつは私が他人に抱かれて感じてるところを見たかったみたいだけど、それは無理だよね、だって私何にも感じないもん」
「3回目の時にあいつが感じてるふりでいいからしてくれって頼むから、フェラとかしたけど…後からその映像私も見たけど、全然ダメだよね」
「男の人が終わって帰ると、あいつはすごく喜んで興奮して何回もしたがるから、なんかこれでいいのかななんて思ってた」

妻は、俺に○川との浮気が発覚した晩以降、日にちが経つにつれて急速に醒めて行く。
今となっては、最初から好きでもなんでもなかったあの男に振り回され、
なぜ言いなりにあんなことまでしたのか全くわからないと言う。
「どこが良かったんだろう?」と自分で何度も繰り返していた。
ただ○川には、ある種のワールドと言うか、強烈な自分の世界があり、一旦それに捕まると催眠術かなにかのように自分では抜け出せなくなるらしい。
妻は、知らないうちに○川の世界が世界の中心だと思い込まされていたみたいと言っている。
そして「なんて言うの?ストックホルム症候群だっけ?そんな感じだったような気もする」
しかし、○川の世界から引き戻されて、こちら側に帰ってきた途端に妻を再び強烈な現実が襲う。
俺が毎日苦しむ様子を見るたびに、自分がさせられた許されない不道徳な行為の記憶が蘇りその度に頭がどうにかなりそうだった。
そして俺に毎晩抱かれる度に、自分の忌まわしい記憶を消して欲しいと願ったそうだ
「わすれたい…」なんども妻は俺の腕の中で呟いていた。
それこそが妻の紛れも無い心情だった。
それでも何度か妻は俺に全てを打ち明けようと考えた。
しかし、やはり言えるはずもなかった。
妻は自分が永遠に封印したい忌まわしい事実が、○川の口から俺に伝わることを恐れた。
そして、俺を○川と接触させないように必死で二人で忘れようと説き伏せる。
俺とA田が○川からビデオを回収しようとしていることを知ると、いよいよ妻はいてもたってもいられなくなる。

妻は俺に隠して何度か○川に連絡をする。
始めの頃、○川は妻が俺に隠してそれまで通り自分との関係を続けるならDVDを渡すと言っていたらしい。
しかし妻は激しく拒否した上で、改めてDVDを渡せと強く迫る。
妻の頑なな態度に、妻の心が完全に自分から離れたことを悟った○川は、今度は自分の保身のためにDVDは渡せないと言い張る。
それどころか、もし俺が自分に何かすればDVDを公開すると脅しをかける。
そして切羽詰った妻はあの日、実家の父親に娘を預けると、もしも顔を合わせたらまたあの地獄に引き戻されるかもしれないという
言いようの無い恐怖を必死にこらえて、○川のマンションに向かう。
妻は早い段階からこの可能性を考えていたために、あえて○川から渡されていた部屋の鍵を返さなかった。
妻は○川の部屋に忍び込み、必死で置いてありそうな場所を探すが、結局見つけられずに落胆して部屋を後にする。

妻は俺から昨夜俺が○川にした仕打ちを聞くと冷たい表情で
「ザマミロ、あんなバカ死ねばいいのに」と言い放つ。
そして俺が○川の母親の写真を全て破ったと知ると
「…あいつやっと母親の亡霊から解放されるかもね」と呟いた。

ひとしきり話が終わると妻は、キッと挑戦的な目で俺を見据えて聞いた。
「…それでどうする?分かれる?あなたもう私のこと汚くて抱けないでしょ?」
俺は淡々とこう答えた
「いや、少し時間をかけて二人で考えよう」
気色ばんでいた妻は、明らかに拍子抜けした様子で、ただ短くわかったと答えると
何事も無かったかのように台所で朝食の支度を始めた。
もうすでにそんな時間になっていた。
俺がどうしてそう答えたのかと言うと、正直俺は疲れていた。
それにやらなければいけないことや、考えなくてはいけないことが沢山ある。
これ以上、目の前に座っている30過ぎのくたびれた女の話に付き合う気にはなれなかったから。
人間興味の持てない女の話に付き合うほど苦痛なことは無い。
まず○川の部屋から回収してきたDVDに映っている女全員の身元を割り出さないといけない。
A田に協力してもらって急いでやらなければ、ただ、一人だけ麻○と言う名の人妻の身元だけはすでにわかっている。
詳細な説明文と一緒に今日中にDVDを旦那に手渡してくることにする。

今日の投稿を最後にしたいと思います。
もう書けません。

その日俺は、朝、会社に病院に寄る旨の連絡を入れ、午前中は有給扱いにしてもらった。
俺は、娘を迎えの幼稚園バスに乗せて見送った後、その足で病院に向った。
マンションから10分ほどの場所にある、内科兼外科の50代の個人病院の先生は、俺の両手を見るなり
にやりとして「喧嘩かなにかですか?それにしても随分おやりになりましたね」と笑う。
俺は曖昧に言葉を濁し、愛想笑いで返す。
幸い骨折はしていなかったが、シップと包帯で両手をグルグル巻きにされた。

病院を後にすると俺は、市内中心部にある、あの、麻紀と言う名の人妻の夫が経営する工務店に向った。
予め病院からアポはとってある。
運良く直接当人が出てくれたので、俺がなるべく簡潔に事実関係を説明したうえで、証拠のDVDを渡したいと言うと、
麻紀のご主人は、絶句して激しく動揺している様子だったが、結果「…お待ちしています」と言ってくれた。

麻紀のご主人が経営する工務店は、自宅に併設された、茶色のタイル張りの鉄筋2階建。
1階が事務フロア兼簡易な応接、2階に社長室と会議室がある。
ガラス張りの扉を開けて中に入り、カウンターの前まで行くと、奥まで見渡せる。
事務机が6つ向き合うように配置され、その奥に一回り大きな机が置いてある。
一番手前の事務机に座っていた20代後半の女性が立ち上がり、カウンターに向って歩き出そうとしたところで、
奥の一回り大きな机に座っていた40代前半の男性が俺に気が付き、「伊藤さん、僕のお客さんだから」と声をかけ、
足早に俺のほうに向って歩いてきた。
事務室内には他に社員はいなかった。

俺は、麻紀の夫に2階の社長室に通された。
並ぶと麻紀の夫は俺より少し低い程度、身長180ちょうどぐらいか?精悍な感じで、某外務大臣に似た、少し濃い目の二枚目だ。
麻紀の夫は、俺に社長室のソファーを進めると、切羽詰まった様子で、詳しい話を聞きたがった。
俺は包み隠さず、自分が知っている全ての話をした上で、テーブルの上に、麻紀と書かれている6枚のDVDを置いた。
麻紀の夫は数秒間そのDVDを凝視し、一瞬目を泳がせた後に、俺の両手を指差して
「それは、これを回収した時にですか?」と聞いてきた。
俺が肯定すると、さらに「それで、その西川と言う男はどうなりました?」と続けた。
俺「がまだ生きていますよ…」そう答えると、一言「…分かりました」とだけ答え
しばし無言。
麻紀の夫に、今後のためと言われ、お互いの携帯番号を交換すると俺は、社長室を後にした。

時間が押してきたので、俺はそのまま駅に向い会社に出勤した。
勤務時間中に俺は、浅田の携帯に電話をし、夕方いつものファミレスで会う段取りをつけた。
浅田は俺の両手の包帯を見ると絶句していたが、さらに俺が前日からの出来事を余すことなく話し終えると、いよいよ黙りこんでしまった。
そして俺が3人の女の名前が書かれた、6枚のDVDを差し出し、何処の誰か特定して欲しいと言うと、考え込んでしまった。
DVDに映る女達の家庭を破壊することに浅田は大きな躊躇いを感じつも、西川のような男を許せないと言う正義感との間で揺れ動く。
結局浅田は、俺に強引に押し込まれるような形で、しぶしぶ引き受けた。

家に帰るといつものように、娘と妻が玄関で出迎えてくれる。
少し複雑な表情で俺を見つめる妻を、俺は空虚な瞳で眺めていた。
俺が一人で風呂に入り、寝室に行くと、先に休んでいた妻が、パジャマを脱ぎ全裸になって俺の腕の中に潜り込んできた。
緊張しているのか、心臓の鼓動が妻の体から伝わってきた。
妻は長い時間そうしてじっとしていた、しかしやがて何もしない俺を悲しげに見つめる。
そして、自分のことを見つめ返す俺の瞳に何も映っていないことに気がつくと、ゆっくりと俺の腕の中から抜け出して、背中を向ける。

今日は家族で動物園に行った、妻は早起きして一生懸命弁当をこさえた。
急な計画だったが、幸い好天に恵まれ暖かい一日だった。
娘は大はしゃぎだったが、クマやライオンなどの大型の動物には、やはりある種の恐怖を感じるようで、あまり近づこうとしなかった、
しかしキリンを見て喜び、カラフルな小動物たちを見てはうっとりしていた。
昼になると3人で芝生の上にレジャーマットを引いて弁当を食べた。
最後なので、娘が前から行きたがっていたディズニーランドに連れて行ってやれれば良かったのだが…
いかんせん遠すぎて、急きょ日帰りで出かけるわけにはいかなかった。
娘がそろそろ疲れてきたところで俺たちは、動物園を後にして今度は郊外にある大型のオモチャ屋に行った。
大喜びで店内をあっちこちしている娘が欲しがるオモチャを、俺は手当たり次第に買ってやった。
娘は帰りの車中の間ずっと、俺が運転する車の後部座席で、妻に膝枕されながら、獲得した戦利品の山に囲まれて幸せそうに眠っていた。

俺達家族が暮らすマンションが近付いてきた、俺は少し離れた裏道に車を止めた。
俺が運転席を降りると、眠っている娘を起こさないように、娘の頭をそっと膝から下ろし、ゆっくりと妻が後部座席から降りてきた。
妻と娘の衣類などの生活物資は、すでに2個のスーツケースに詰め込んで、車のトランクに乗せてある。
ベッドや服ダンスなどは、日曜に引っ越し便で送ることになっている。
色々考えた結果、これがベストな選択だと思う。
今、娘を妻から引き離すことは出来ない、あまりに可哀想だ。
俺が一緒にいなくても、妻の実家ならまだ祖父も健在だ。

妻は俺の前にやってくると、しばらく無言で俺を見つめる。
眉間に皺を寄せ、涙をこらえ、首を左右に2度小さく振る、ゆっくりと俺の腕の中に入ってくる。
そして曖昧に力無く抱きしめる俺の腕の中で、目を伏せ呟く。
「私は一番綺麗だった時間の全てをあなたにあげた、…忘れないで、あなたは私の物」
それだけ言うと妻は、さっと身をひるがえし車に乗り込んだ、そして二度と振り返ることなく、妻と娘を乗せた車はゆっくりと走り去る。
俺は誰もいなくなった俺達の家の残骸に戻ると、少しガランと殺風景な感じになった居間のダイニングテーブルの椅子に腰かけて、
長い時間ただボーっとしていた、どれぐらいの時間そうしていたのか分からない。
室内が夕闇に包まれてしっかりと暗くなったころに、突然の携帯の着信音で我に返った。

電話は浅田からだった。
西川は俺に襲われた日の翌日から、必死で自分の知り合いのスポクラ関係者に、手当たりしだいに電話をかけて、ようやく浅田に辿り着いた。
西川は浅田に自分と俺の間に入って欲しいと言っているそうだ。
「さっき西川から突然電話があってな、奴はおまえが納得できる形でなんとか和解したいと言っている」
「あいつはDVDを見たおまえが、自分が美貴さんにしたことの報復のために、今度こそ本気で殺しに来るんじゃないかと怯えているんだよ」
浅田に俺は「じゃあ5000万払えと伝えてくれ」と言って電話を切った。
もしも金が手に入ったら、全額のキャラクターの絵が書いてある娘の貯金通帳に入金してやろう。

それにしても“美貴”って誰だ?

なぜか、ダイニングテーブルの端の方、ハンカチの上に使用済みの妊娠検査薬が置いてある。

不安心理1

少し書かせてもらってもいいかな?迷惑なら消えるから。

さっき非通知で家電に電話がかかってきた。
俺が名乗ると一瞬の沈黙の後で割と落ちついた年代、たぶん30代半ばぐらい?の女性が非常に緊張しながら、
「…○○さんのご主人ですか?…奥さん浮気してますよ」だって。
いたずら電話かなとも思ったけど、それにしては真剣な感じだった。
「あなたはどなたですか?どういうことですか?」って聞いても、お調べになればわかりますの一点張り。
そうこうするうちに唐突に電話切られてしまった。
正直妻が浮気なんて考えたこともなかったから晴天の霹靂状態。
一旦疑い始めたらきりがない感じ、それまで気にもならなかったことが急に不安になってくる。
取り合えず今夜中に妻の携帯や、カードの利用明細、その他考えられることを調べて見るつもり。
ただのいたずらならそれが一番だけど調べないではいられないよ。

俺は某地方都市近郊のベッドタウンのマンションに住んでる31歳の会社員。
妻も同い年の専業主婦、結婚6年、娘は今年から幼稚園に行っている。

怪しいと思える行動は、子供が幼稚園に行き始めてから妻は車で15分ぐらいのところにある
某ショッピングセンター内のスポーツクラブに行き始めたんだけど、
どんどん頻度が増してきて、初夏のころから急にアンダーヘアの手入れなんてし始めてかなりマメにしてる。
本人曰く、スポクラでシャワー入るからきちんとしていないと恥ずかしいとのこと。
これまではそんなもんかって聞き流してたけど、良く考えたらなんか変な感じがしないでもない。
子供が生まれてからは初産の女性にはよくあることみたいだけど急にSEXに淡泊になってたんだけど、
スポクラに通いだしてしばらくしてかえら下着に凝り出して、通販とかでいろいろ買ってるみたいだ。
それまでびっくりするぐらい無頓着だったから今にして思えば違和感を感じる。
まあ友だちも増えたんだろうけど携帯を始終弄ってる。
こんなところかな。

きのう妻が寝たのが11時過ぎ、30分ほど時間を空けてから色々調べてみた。
携帯はロックされてなかったので簡単に見ることができたけど、浮気の直接的なやり取りのメールはなかった。
ただ友達とのやりとりのなかで「最近彼とはうまくいってるの?」って1文があって、それに対しての妻の答えが、
「1週間前に喧嘩してから話してない」というものだった。
あっさりとしたこれだけの会話だけど、友達も俺のことを「彼」とは呼ばないだろうし、
該当日近辺で俺は妻と喧嘩した記憶はない。
なにか手がかりはないかと思い残ってるメールを片っ端から読み漁ったけど、これ以外には何も出てこなかった。
妻のクレカの利用明細も調べてみたけど、別段怪しいところはなかった。
しかしバッグの中から恐らくラブホと思われる小さなシールが貼られたフィルム式の口臭消しが出てきた。
これとて友達にもらった物かもしれないし確定とはいえないかもだが、
ただ俺としてはもうほぼ妻の浮気は事実として受け入れざるお得無いと思う。
結局夜中の3時過ぎまでかかって見つけたのはそれだけで、
妻の浮気相手に直接つながる物は何も得られていない。
暗澹たる気持ちで眠れないまま今も職場で仕事に身が入らない。

妻と俺とは同じ高校の同級生で、彼女は少し気が強いところがあるのだが、
ほっそりとしてて可愛かったからわりと人気があった。
実は俺はそのころから妻に思いをよせていたのだけれど、
告白する機会もないまま別々の大学に進学した。
直接的なきっかけは大学の2年の夏に、妻となかが良かった友達のグループと偶然にコンパをした際に、
その友達から、実は妻も高校の時に俺のことを割と好いてたみたいな話を聞いて、
その翌日に俺が妻に電話をして交際を申し込みそれから交際が始まった。
俺にとって妻は始めての女性ではなかったけど、妻には俺が始めての相手だった。
それから5年後に結婚するまでお互いに浮気したりなんてことも一度もなく順調な交際だった。
妻は優柔不断な感じとは真逆でハッキリした性格なので男にだらしが無いタイプとは違うし、
正義感も強く少しウザイぐらいだ。
何が言いたいのかと言うと、まあみんなそうなのかも知れないけど、
俺にはそんな妻が浮気だなんて信じられないし、どう考えてどう受け入れればいいのか…
愚痴を言っていてもしょうがないよね。
とりあえず出来ることは、マメに妻の携帯をチェックすることと、妻の日常の行動範囲から調べていくしかないと思う。

きのうの夜のあの電話から、いくら考えないようにしても自然と妻の浮気のことを考えてしまう。
午後からもやはり仕事が手につかない、取引先との打ち合わせが入っていたので外出できたことはありがたかった。
取引先の担当者から「体の調子でも悪いんじゃないですか?大丈夫ですか」と心配されつつ心ここにあらずで、
なんとか打ち合わせを終えたが、どうにもそのまま帰社する気になれず、途中のファミレスでボーっとしながら、
味のしないコーヒーを飲んでいた。
最悪なことは今現在、妻の相手も浮気の具体的な状況も何もわからないことだ。
不安感がまるで氷柱のようになってチクチクと体と心を刺し続けるような感じがする。
こんな状態では長くは持ちそうも無い、一刻も早くケリをつけるしか道は無さそうだ。

妻の浮気相手について、出会い、きっかけ等を可能性という点で考えれば膨大な範囲になってしまう。
娘の幼稚園の関係者、昔の知り合い、行きつけの美容院やスーパー、妻はネット関係はあまりやらないが、
それでも可能性が無いわけではない。
しかしやはり一番可能性が高いのはスポクラの関係だろうと思う。
通い始めてから確かに妻の様子は変わった、出産から子育てに追われる日々を過ごしていて、
いわゆる「母親」であった妻が、再び「女」の部分を取り戻していく過程がはっきりと見て取れた。
瞳に輝きを取り戻して生き生きと楽しげに語る妻の様子は俺にとっても嬉しいことだった。
しかし妻を綺麗にさせ、生き生きとさせた理由が他の男の存在だとしたらやり切れないよね…

俺は生まれてこのかた今住んでいる市から出たことは無い、3年前に今住んでいるマンションを購入したのだが、
それも実家から車で20分程度の同一市内(勿論大学や職場は近隣の大都市)。
なので、昔からの友人知人は大量にいる。
誰か妻と同じスポクラの会員がいないかと、今でも付き合いのある友人に順番に電話してみたところ、
3人目の友人がA田が行ってるぞと教えてくれたので早速A田に電話して今日の夕方に会う段取りをつけた。
A田は小学校と中学の同級生で高校も大学も別だったので妻とはほとんど面識はないが、
男っぽくて面白い奴で、俺とは昔から割りと気があったので結婚式にも呼んだし、
今でも2年に一度ぐらいは他の仲間も交えて飲んでるような間柄だ。
ただ…どこまで話すかな…難しいところだね、全面的に協力してもらうなら話さないわけには行かないだろうけど。
さて、会社にいてもどっちみち仕事が手に付かないから、そろそろ切り上げにかかって今日は定時で上がるかな。
A田との待ち合わせには少し時間が早いだろうけど、先に行って飲んでるかな。

A田と俺は、近郊大都市と俺達の地元を結ぶ路線の駅前に広がる裏寂れた商店街の中の、
ある、チェーン展開している焼鳥屋で待ち合わせた。
最初いつものように陽気だったA田も、結局全て話すしかないと覚悟を決めた俺の話しが進むにつれて、
どんどんと表情を曇らせていった。
A田の話しによると、スポクラには昼しか来ない連中と夜しかこない連中、昼夜関係なくくる連中の
3種類がいるそうで、夜組のA田達と、昼組の妻達の間にはほとんど接点が無く、当然に話題に上ることもないので、
妻が来てることも知らなかったし、情報も何もないということだった。
しかし、昼夜来てる、とくに昼組の主婦達のボス的な存在の主婦と知り合いだそうで、ほかにも何人かつてはあるから、
俺が疑ってるって気付かれないように、それとなく探ってみるから少し時間が欲しいと言っていた。
A田が言うには、その手の話はスポクラにはつきもので、会員同士、会員とインストラクター、話のネタには事欠かないそうだ。
A田に聞かれた「それでおまえ、もしそうだったとしたらどうするつもりだ?」って、しかし俺は答えられなかった。
俺はどうしたいんだろう?それがわからない…心が決めかねるとか、そんなことでは無いと思う。
そこまで考えられないというか、考えるべきなのかもしれないが、頭が拒否してる。
ただ、今望むことはきのうの電話がただの悪質な悪戯で、そんな事実は一切なくて妻は初めて見かけたあの日のままの妻、
「実は○貴、前にこんな電話があってさ、死ぬほど心配したことがあったよ」「何言ってるのバカじゃないのフフ」
そんあたわいもない会話が出来る瞬間がだけかもしれない。
でも、恐らくその瞬間が永遠に訪れることはないだろうこともわかっている。

A田とわかれて、家までの20分足らずを、いつものクッションの悪いバスに俺と同じ疲れ切った勤め人達に囲まれて、
揺られているいる間に束の間旧友と過ごした時間で少しだけ元気になった俺の心はどんどんしぼんでいった。
俺の毎日の停留所に着くころには雨にぬれた老犬のような心境だった。
そこから自宅までのたった5分の道のりがものすごく長く感じた。
マンションの玄関を開けると、少しの間をおいて(俺が靴を脱ぐあいだに)俺の知らない女がニコニコと、
まるでデパートの受付や、フライトアテンダントが客にそうするように微笑んで「お帰り、飲んでくるって言ったから遅いと思ったのに早かったね」
なんて意味不明のことを言っている、「あのーあなたはどなたですか」って質問をするべきか迷っていたら、
スリッパの音をパタパタさせて俺の可愛い娘がやってきた「パパお帰りー」、おまえは本物だ。
正直この瞬間にまるで溜まった澱のような疲れが消えた、涙が出そうだった、可愛い○梨、おまえがいてくれれば俺はまだ大丈夫だ。
部屋に入っても相変わらず俺の知らない女がいろいろ話しかけてくる、俺は知らない人だから丁寧に話を聞かなければいけないし、
ちゃんと返事をしなければ失礼だから、愛想よくちゃんと相手をした。
しかしここはどこなんだろう?俺が知っている俺の「家」とは微妙に違う感じがする。
知らない「女」が寝たら、俺は今夜もいなくなってしまった俺の妻を探さないといけない。

今日の昼過ぎにA田から俺の携帯に連絡があった。
何かわかったのかと聞くと、少し言いにくい話だから会って話すから時間をつくれという。
まあ覚悟したほうがいいと言われているようなものだが、それにしても落ち込む。
会社帰りに駅から徒歩圏内にあるファミレスで落ち合うことにして電話を切った。

昨夜俺は妻が寝たのを確認して、前日にやり残した妻の手帳の調べをした。
妻はひと月が1ページに碁盤状に並んだ、薄いシンプルな手帳を使っている。
手帳は前年の12月から始まっているのだが、前半は別段怪しいところはなく、
俺も知っている行事や予定が短い言葉で淡々と記入された、ごく普通の状態だった。
しかし、ページを捲っていくと6月の17日に赤いボールペンで描かれたハートマークを境に様相が一変する
その日以降は毎日36.8、36.5っていう感じで、恐らく体温であろうと思われる数字が記入され、
×マークで生理の周期が記されている。
日付を囲んだハートマークは生理の期間以外で平均すると週に2個ほど付いている。
もっとも8月ごろからハートマークはただの○に変わるのだが…
これがいったい何を意味するのかは、俺でなくても手帳を見た人間なら誰でもわかると思う。
そしてそれが俺とのためではないことも。
妻はこの手帳をもっぱらそれ用として使っているようで、残念なことに先の予定は記されていない。
俺はすぐに妻を叩き起こして、これは何だ?と問い詰めたい衝動を抑えるのが大変で、
しばらくの間、リビングの椅子に腰かけて宙を睨んでいた。

夕方約束のファミレスで俺が、相変わらず味のしないコーヒーを飲んでいると、
しばらくしてA田が現れた。
A田は少しばつが悪そうな表情で、あくまでも今の段階ではまだ噂だからと前置きしたうえで、
俺と目を合わせないようにして、ぼそぼそと話を始めた。
妻はある男性会員との関係を確かに噂されていて、昼間の主婦たちの間ではそれは既成事実化しているそうだ。
クラブ内では本人達は一応周りを意識しているようだが、それで誤魔化せる訳もなく、
見ている側からは一目瞭然で、郊外のステーキハウスに一緒にいたところを見たとか、
駐車場で二人で車に乗って話し込んでるところを見たなんていう目撃情報もあるらしい。
妻の相手の男は35歳の独身で、早くに両親を亡くしているそうで、今は市内のマンションで一人暮らし。
両親が多くの不動産を残して亡くなっていて、以前は某企業に勤めていたらしいが、
辞めて今は、両親が残した物件の賃貸収入で暮らしているそうだ。
スポクラでは古参だそうだが、妻以前にも何人もの女性会員と噂があるらしい。
A田は名前は知ってるが、たまに見かける程度で、話したことは無いと言っていた。

事の起りは、スポクラに通い始めた妻に目を付けた男が、妻が出ているプログラムに顔を出すようになり、
盛んにアプローチする姿が目撃され始め、しばらくしてクラブ内で会話する二人が目に付くようになった。
「あの娘、最初地味だったのに、男が出来たら急に色気づいちゃって、馬鹿じゃない」
なんてことまで妻は言われているらしい。
A田は「ただ、これはあくまで噂だから、誰かが本人達から聞いたわけじゃないからな」
「それに、もう少し調べてもらってるし、俺も男の周りに探り入れるからしばらく待て」
俺はA田に、男の住所と写真を入手してくれるように頼んで別れた。
A田はもう少し確実な話が聞けるまでは、くれぐれも早まった行動はとるなと言い残し、
帰って行った。
ただ俺には主婦達の話の中に登場する女と、妻が同じ人物だとはどうしても思えない。
この疑惑が芽生えてから俺は、なぜだか異様に優しく接してしまう。
不安とある種の恐れが入り混じり、無意識にそうなってしまう。

土曜の昼過ぎにA田から再び連絡があった。
早速男の住所と写真を入手してくれたらしい。
前日に待ち合わせたファミレスで2時過ぎにA田と落ち合った。
写真はスポクラの何かのイベントの時の参加者の集合写真で、20名ほどが一緒に写っている。
当然かなり小さくしか写っていないが、全身が写っているので、実際に会えば見分けはつくだろう。
男が住んでいるマンションは、なんと驚いたことに俺が毎日使っている路線の駅前、
商店街を北に抜けて少し行ったところ、駅からだと徒歩8分ぐらいのところに建つ8階建ての分譲マンションだった。
待ち合わせのファミレスからでも、徒歩5分の距離だ。
A田と別れた後、俺の足は自然と男のマンションに向かった。
妻は娘と家にいるので、行ったところでどうにかなるものではないのだが…

男は、1階から7階までが東西に各階5戸ずつ、8階は2戸の合計37戸のマンションの、
最上階の西側の部屋に住んでいる。
西側にある正面玄関の北側に、20台ほどの駐車場があるが、A田に教えられたシルバーのドイツ製スポーツタイプの男の車は止まっていない。
どうやらいないようだ。
西側正面玄関の道を挟んだ反対側に、もう何十年も前からやっているような古びた小さな喫茶店があり、
俺はその喫茶店の窓側の、正面玄関と駐車場が見渡せる席で2時間近くただボーっと眺めていた。
帰ろうと思い支払いを済ませて外に出た直後に、マンションの駐車場の端から3台目のスペースに、
滑り込むようにして、シルバーメタリックのメルセデスが入ってきた。
俺が唖然としてつっ立っていると、ついさっきA田に手渡された写真の男が降りてきた。
男は、ジーンズに紺色の細身のシャツという軽装で、写真で見るほど大柄な印象はなく、少し華奢な感じ、
身長175センチ、体重60キロといったところか。
彫りの深い端正な顔立ちだが、少し口が小さめのせいか、気弱な印象を受ける。
男が助手席側に回りドアを開けると、20台半ばと思われる小柄な女が降りてきた。
女はセミロングの黒髪に、膝丈ほどのシンプルなデザインの薄いピンクのワンピース姿で、
年齢のわりには地味な身なりだが、よく言えば清楚と言えなくもない。
女が幸せそうにニコニコしながら、時折男にジャレ付き、二人はマンションの中に入って行った。
その様子は、傍目から見ればどこにでもいる、ごく普通の交際中の男女の姿以外の何者でもなかった。

俺は家に帰ってからもずっと、昼間見た光景や、前日にA田から教えられた情報の意味について考えていた。
一番簡単な解釈は、男には今現在妻以外にも付き合っている女がいるという解釈だが、
ひょっとすると噂好きの主婦達の妄想に過ぎず、妻とあの男とはなんの関係もないのではないか?
妻の浮気相手は別にいるのか?
あるいは、あの日の電話自体が悪質な悪戯で妻は潔白なのではないのか?
などといった身勝手な願望までが顔を出す始末だ。
夜になって娘が眠ってから、俺は妻を求めた。
妻の体に残る他の男の僅かな痕跡を探しまわるように愛撫して、他の男の影を追い払うように激しく抱いた。
妻は久しぶりに満足した様子だが、俺は妻の中で果てた後には、なんとも言えない後味の悪さと言うか…
ある種の罪悪感のようなもの、不安と不満、底の抜けたバケツで水を汲もうとしているような虚しさetc
同じ高校に入学して、初めて出会ってから16年、いろいろなことがあったような気がするが、何もなかったような気もする。
負けん気が強くて、意地っ張りで、クリクリと大きな目の痩せっぽちの少女が、妻になり、母親になって、今俺の隣で眠っている。
愛想はいいけど、恋愛に奥手で、愛情表現の下手だったおまえにいったい何があったんだ。
妻の寝顔を見ながら、声に出さずに聞いてみた。
「おまえのその頭の中には、もう俺はいないのか?」

今朝は少し遅めの朝食を家族で取った。
妻は中学2年の時に母親をすい臓がんで亡くしていて、父親と3歳下の弟の食事はその当時から妻が作っていた。
本人曰く「なんてったって年期が違うからさ、そこらへんのベテラン主婦には負けないんだから」
実際妻の料理の手際の良さと味付けはなかなかのものだ。
朝食を取り、妻が片づけを終えてから、娘が少し前から欲しがっていた、キャラクターのおもちゃを買いに行くことになった。
ついでに食材や洋服も見たいということになり、郊外にある大型のショッピングモールに車で出かけた。
欲しかったおもちゃを手にし、嬉しそうにはしゃぐ娘と、そんな娘と手をつないで一緒になってはしゃいでいる妻。
つかの間俺は、そんな絵に描いたような幸せな家族の一員となって、ここ数日の悪夢を忘れた。
午後2時過ぎに、ショッピングモールの食堂街がすいてきたころに、中華のチェーン店で遅い昼食を取った。
娘は大好きなチャーハンを食べながら、妻が小皿に取り分けたラーメンと格闘していた。
満腹になり、少し疲れた娘は、帰りの車中の40分をほとんど眠っていた。
あの電話があって以降、俺のある種の不審な行動でためらいを見せていた妻は、昨夜のSEXで安心したのか、
運転している俺の左腕を、両方の腕で抱きかかえるようにしてもたれかかり、上目遣いに見上げるような感じで、
「どうしたの?なんか会社で困ってるの?元気だして頑張って」と聞いてきた。
俺は曖昧な微笑みを浮かべ「なんでもないよ…」と返すのが精一杯だった。

自宅のマンションに着くと俺は、眠っている娘を極力起こさないように抱きかかえて部屋に運んだ。
買い込んだ品は妻が両手いっぱいに抱えて、苦戦しながら部屋に運んだ。
それから1時間ほどして、眠っていた娘が起き出してきたころに、A田から携帯に電話があった。
俺はかけ直すと言って一旦切り、しばらく時間を空けてから、妻にタバコを買いに行くと言って家を出た。
A田は普段は、平日の夜しかスポクラに行かないそうなのだが、この土日も俺のために顔をだしてくれたらしい。
A田がもたらしてくれた情報は、妻の前にあの男と噂があった女性に関するもの。
その女性は30代後半の既婚者で、スポクラの土日だけの会員だったそうだ。
男とは1年ほど前からそれらしい噂が立っていたそうだが、8月を最後に来なくなったらしい。
ちょうど盆の前後に、スポクラの店外や駐車場で、言い争いをしている二人を見かけたと言う証言があるそうだ。
仮に妻の相手があの男だとすると、2ヶ月以上も三角関係が続いたことになる。
どうにも俺の知る妻の姿からは、あまりにもかけ離れ過ぎていて、実感がわかない…

男と交際していたと思われる女性は、年齢よりはかなり若く見え、細身でスタイルが良く、
ロングの少し茶色に染めた髪を大きめにカールさせた、派手だが、大層な美人たそうだ。
小学校4年の男の子と1年の女の子の母親で、ご主人は地元の小規模な工務店の2代目。
舅さんはすでに亡くなっているそうで、今は姑と、市内の割と中心の栄えた場所の大きな家で同居している。
男と毎週日曜日の午後からのプログラムに一緒に出ていて、終わった後に、バスルームで全身を丹念に洗っている姿が見られ、
歯磨きまでしていることがたびたびあって、そんな日は、主婦たちの間で「○○さんこれからデートなんだ」
「やる気満々な感じ」とか、いろいろな陰口を言われていたらしい。
俺はA田にきのうの昼に男のマンションで見た光景を話した。
A田は、多分その女性はスポクラの関係者ではないだろうと思うと言っていた。
ここまで彼が調べた限りでは、きのうの昼に俺が見た女性の年齢や外見に該当しそうな女性の話は、
どこからも聞こえてこないそうだ、もちろんその女性のことも聞いてはみるが、可能性は低いだろうとのこと。
A田は月曜の夜のプログラムで、あの男と多少の付き合いのある知り合いと一緒になるので、
終わった後でお茶に誘って話を聞いてくれるそうで、ひょっとするとそこである意味決定的な話がきけるかもしれない。

土曜の昼過ぎにA田から再び連絡があった。
早速男の住所と写真を入手してくれたらしい。
前日に待ち合わせたファミレスで2時過ぎにA田と落ち合った。
写真はスポクラの何かのイベントの時の参加者の集合写真で、20名ほどが一緒に写っている。
当然かなり小さくしか写っていないが、全身が写っているので、実際に会えば見分けはつくだろう。
男が住んでいるマンションは、なんと驚いたことに俺が毎日使っている路線の駅前、
商店街を北に抜けて少し行ったところ、駅からだと徒歩8分ぐらいのところに建つ8階建ての分譲マンションだった。
待ち合わせのファミレスからでも、徒歩5分の距離だ。
A田と別れた後、俺の足は自然と男のマンションに向かった。
妻は娘と家にいるので、行ったところでどうにかなるものではないのだが…

男は、1階から7階までが東西に各階5戸ずつ、8階は2戸の合計37戸のマンションの、
最上階の西側の部屋に住んでいる。
西側にある正面玄関の北側に、20台ほどの駐車場があるが、A田に教えられたシルバーのドイツ製スポーツタイプの男の車は止まっていない。
どうやらいないようだ。
西側正面玄関の道を挟んだ反対側に、もう何十年も前からやっているような古びた小さな喫茶店があり、
俺はその喫茶店の窓側の、正面玄関と駐車場が見渡せる席で2時間近くただボーっと眺めていた。
帰ろうと思い支払いを済ませて外に出た直後に、マンションの駐車場の端から3台目のスペースに、
滑り込むようにして、シルバーメタリックのメルセデスが入ってきた。
俺が唖然としてつっ立っていると、ついさっきA田に手渡された写真の男が降りてきた。
男は、ジーンズに紺色の細身のシャツという軽装で、写真で見るほど大柄な印象はなく、少し華奢な感じ、
身長175センチ、体重60キロといったところか。
彫りの深い端正な顔立ちだが、少し口が小さめのせいか、気弱な印象を受ける。
男が助手席側に回りドアを開けると、20台半ばと思われる小柄な女が降りてきた。
女はセミロングの黒髪に、膝丈ほどのシンプルなデザインの薄いピンクのワンピース姿で、
年齢のわりには地味な身なりだが、よく言えば清楚と言えなくもない。
女が幸せそうにニコニコしながら、時折男にジャレ付き、二人はマンションの中に入って行った。
その様子は、傍目から見ればどこにでもいる、ごく普通の交際中の男女の姿以外の何者でもなかった。

俺は家に帰ってからもずっと、昼間見た光景や、前日にA田から教えられた情報の意味について考えていた。
一番簡単な解釈は、男には今現在妻以外にも付き合っている女がいるという解釈だが、
ひょっとすると噂好きの主婦達の妄想に過ぎず、妻とあの男とはなんの関係もないのではないか?
妻の浮気相手は別にいるのか?
あるいは、あの日の電話自体が悪質な悪戯で妻は潔白なのではないのか?
などといった身勝手な願望までが顔を出す始末だ。
夜になって娘が眠ってから、俺は妻を求めた。
妻の体に残る他の男の僅かな痕跡を探しまわるように愛撫して、他の男の影を追い払うように激しく抱いた。
妻は久しぶりに満足した様子だが、俺は妻の中で果てた後には、なんとも言えない後味の悪さと言うか…
ある種の罪悪感のようなもの、不安と不満、底の抜けたバケツで水を汲もうとしているような虚しさetc
同じ高校に入学して、初めて出会ってから16年、いろいろなことがあったような気がするが、何もなかったような気もする。
負けん気が強くて、意地っ張りで、クリクリと大きな目の痩せっぽちの少女が、妻になり、母親になって、今俺の隣で眠っている。
愛想はいいけど、恋愛に奥手で、愛情表現の下手だったおまえにいったい何があったんだ。
妻の寝顔を見ながら、声に出さずに聞いてみた。
「おまえのその頭の中には、もう俺はいないのか?」

今朝は少し遅めの朝食を家族で取った。
妻は中学2年の時に母親をすい臓がんで亡くしていて、父親と3歳下の弟の食事はその当時から妻が作っていた。
本人曰く「なんてったって年期が違うからさ、そこらへんのベテラン主婦には負けないんだから」
実際妻の料理の手際の良さと味付けはなかなかのものだ。
朝食を取り、妻が片づけを終えてから、娘が少し前から欲しがっていた、キャラクターのおもちゃを買いに行くことになった。
ついでに食材や洋服も見たいということになり、郊外にある大型のショッピングモールに車で出かけた。
欲しかったおもちゃを手にし、嬉しそうにはしゃぐ娘と、そんな娘と手をつないで一緒になってはしゃいでいる妻。
つかの間俺は、そんな絵に描いたような幸せな家族の一員となって、ここ数日の悪夢を忘れた。
午後2時過ぎに、ショッピングモールの食堂街がすいてきたころに、中華のチェーン店で遅い昼食を取った。
娘は大好きなチャーハンを食べながら、妻が小皿に取り分けたラーメンと格闘していた。
満腹になり、少し疲れた娘は、帰りの車中の40分をほとんど眠っていた。
あの電話があって以降、俺のある種の不審な行動でためらいを見せていた妻は、昨夜のSEXで安心したのか、
運転している俺の左腕を、両方の腕で抱きかかえるようにしてもたれかかり、上目遣いに見上げるような感じで、
「どうしたの?なんか会社で困ってるの?元気だして頑張って」と聞いてきた。
俺は曖昧な微笑みを浮かべ「なんでもないよ…」と返すのが精一杯だった。

自宅のマンションに着くと俺は、眠っている娘を極力起こさないように抱きかかえて部屋に運んだ。
買い込んだ品は妻が両手いっぱいに抱えて、苦戦しながら部屋に運んだ。
それから1時間ほどして、眠っていた娘が起き出してきたころに、A田から携帯に電話があった。
俺はかけ直すと言って一旦切り、しばらく時間を空けてから、妻にタバコを買いに行くと言って家を出た。
A田は普段は、平日の夜しかスポクラに行かないそうなのだが、この土日も俺のために顔をだしてくれたらしい。
A田がもたらしてくれた情報は、妻の前にあの男と噂があった女性に関するもの。
その女性は30代後半の既婚者で、スポクラの土日だけの会員だったそうだ。
男とは1年ほど前からそれらしい噂が立っていたそうだが、8月を最後に来なくなったらしい。
ちょうど盆の前後に、スポクラの店外や駐車場で、言い争いをしている二人を見かけたと言う証言があるそうだ。
仮に妻の相手があの男だとすると、2ヶ月以上も三角関係が続いたことになる。
どうにも俺の知る妻の姿からは、あまりにもかけ離れ過ぎていて、実感がわかない…

男と交際していたと思われる女性は、年齢よりはかなり若く見え、細身でスタイルが良く、
ロングの少し茶色に染めた髪を大きめにカールさせた、派手だが、大層な美人たそうだ。
小学校4年の男の子と1年の女の子の母親で、ご主人は地元の小規模な工務店の2代目。
舅さんはすでに亡くなっているそうで、今は姑と、市内の割と中心の栄えた場所の大きな家で同居している。
男と毎週日曜日の午後からのプログラムに一緒に出ていて、終わった後に、バスルームで全身を丹念に洗っている姿が見られ、
歯磨きまでしていることがたびたびあって、そんな日は、主婦たちの間で「○○さんこれからデートなんだ」
「やる気満々な感じ」とか、いろいろな陰口を言われていたらしい。
俺はA田にきのうの昼に男のマンションで見た光景を話した。
A田は、多分その女性はスポクラの関係者ではないだろうと思うと言っていた。
ここまで彼が調べた限りでは、きのうの昼に俺が見た女性の年齢や外見に該当しそうな女性の話は、
どこからも聞こえてこないそうだ、もちろんその女性のことも聞いてはみるが、可能性は低いだろうとのこと。
A田は月曜の夜のプログラムで、あの男と多少の付き合いのある知り合いと一緒になるので、
終わった後でお茶に誘って話を聞いてくれるそうで、ひょっとするとそこである意味決定的な話がきけるかもしれない。

妻と俺の不器用な日々が始まった。
俺は男の影に怯えながら毎日妻を求め、妻は一生懸命に応じる。
俺は過激な行為を次々と要求し、妻は一生懸命に応じる。
時々不安定な感情から激しく妻を問いただす、そんな時妻はよく泣く。
時々無性に妻が愛しくなり強く抱きしめる、そんな時妻は困惑している。
毎日何度も昼間に家に電話しては妻の在宅を確認し、家に帰れば真っ先に男からの連絡の有無を確認する。
毎日妻は男からの連絡は無いと答える。
あの後すぐに妻はスポクラをやめ、メールアドレスを変更して、男の電話は着信拒否にしてある。

その日俺が家に帰ると、妻にPCを使ったヤフーメールでの男とのやり取りを見せられた。
かなりの数があったが、内容を要約すると、妻との関係の継続を、寂しいという言葉を武器に必死で求め、
とにかく直接会って話がしたいと迫る男に対して、俺をもう悲しませることは出来ない、
もう二度と会わないから、自分のことは忘れて欲しいと、宥めすかしながらも突っぱねる妻。
最後は男のすねて怒った感じの「じゃあもう終わりってことだね、もう連絡しない」という返信で終わっている。
妻は俺に「隠れてメールしてたことは悪かったけど、ちゃんと話して終わりにしたかったから」
「でも、あの人も納得してくれたし、終わったから安心して」
俺にしてもあの朝のメールで片がつくとはとうてい考えていなかったし、妻が何らかの形で連絡してることは想像していたので、
あえて怒りはしなかった、ただしかし、これで終わったともまた思えなかった。

昨夜残業で遅くなり、帰ったのは9時近かった。
家に入ると妻が蒼白な顔で居間の椅子に座り込んでいた。
俺がその尋常でない様子に「どうしたんだ?何があった」と声をかけると、しばしの沈黙の後、妻は唇を少し震わせながら話し始めた。
1時間ほど前に、男から、とにかく一度でいいから直接会って話がしたいとメールがきた。
さすがにうんざりしたらしい妻が、少し強い調子で、主人には全て話したし、メールも見せてる、
もう二度と会うつもりはないので連絡しないで欲しいと返信したところ、急に男が激昂したようで、
「おまえ、俺のメールを旦那に見せたのか!ふざけるんじゃねーぞ!俺を裏切ったなおまえ、今からおまえの家行くから待ってろ!」
この、男からのメールを見て妻は怯えていたようだ。
「あの人すぐにキレちゃう人だけど、今までこんな汚い言葉で罵ったりしたことなかったのに…」
そうつぶやく妻に俺は「あいつぶっ殺してくるから少し待ってろ」と告げ、玄関に向かって歩き出した。
妻は突然立ち上がり、俺の背中にしがみついて「やめて、お願いやめて」と必死で叫ぶ。
俺は怒りのあまり、爆発した。
「おまえはまだあの男を庇うつもりか、あいつはおまえ以外にも他に女がいるんだぞ!」
ハッとして、瞬間少し目を見開き、低い声で妻は言った。
「…どういうこと?」
俺は妻に土曜に男のマンションで見た光景を話した。

俺の話が終わると妻は、視線を落とし、低い声のままで話し出した。
「…やっぱりな、おかしいと思ってたんだよね…」
男との関係が深まっていくと、ふとした拍子で男の影に、他の女の存在が感じられることがあり、しだいに妻は疑心暗鬼になって行く。
男の部屋の洗面所にわざと置いてきたハブラシや、ベッドの下に置いておいたストッキングが、次に行くときちんと片付けられている。
寝室の床で、明らかに自分のものではない女性の髪を見つけたこともあった。
大きな罪悪感に責めさいなまれながらの、心の壊れた男との関係は、妻にとって時折耐え難く辛いものであり、
何度も逃げ出そうとして別れ話を切り出したが、その度に男に無理やり引き戻されるの繰り返しだった。
妻は思ったそうだ、もしも男に自分以外に付き合っている女性がいるなら、今度こそ気持ちに整理をつけて終わりに出来ると。
しかし何度男に正直に話して欲しいと懇願しても、男は頑として認めず「俺には○貴さんしかいない」と繰り返すばかり。
逆にどうして自分を信じないのかと詰め寄る男のことを、どうしても信用できなかった妻は、なんとか確証を掴もうとしたが上手くいかなかった。
「なんだ、そんなに簡単にあいつの尻尾をつかまえられたんだ…私もやればよかった…」
男の呼び方が「あの人」から「あいつ」に変わった妻、ただそれでもなんだか物憂げで、
なんとなく寂しそうな様子に俺は心が痛かった。

妻の独白は続く。
男には躁の状態と鬱の状態が交互に不規則に訪れ、突然怒りだすことがしばしばあった。
関係が始まった頃にはそれほどでもなかったようだが、深まるにつれてどんどん酷くなって行く。
それで何度も激しい喧嘩をして、何度も別れようと思い、別れを告げる。
しかし、一週間も経たないうちに、泣いて必死で謝り、まるで小さな子供のように自分を求める男に結局ほだされる。
その繰り返し、次第に妻の中にある種の諦観が生まれていく「この人は可哀想な人だから」
男は時には自虐的に、悲しそうに「俺はどうしようもない男だよね、自分でもわかってる、○貴さんにはほんと悪いと思ってるよ」
「でもさ、母親の血かな、どうしようもないんだよ」と激しく落ち込むこともあったらしい。
妻は激しく怒った男に何度か聞いたことがあったそうだ「そんなところをみんなに見せているの?」
そう聞く妻に男は「親しい人だけ、俺は不器用だからほんとに信じた人にしか本当の自分を見せられないんだ」
妻が言うには、あの男のことをどうしても信じられなかった反面、疑いきれなかったのは、
「こんな男と一緒にいられる女性は私ぐらいしかいない」と、そう思ったからだそうだ。
「なんでそんな奴がよかったんだ」と聞いた俺に妻は
「よかったとか、そういうのじゃ無かったと思う、でもあいつ凄い悲しそうに泣くの、死んじゃいそうな感じでさ、それ見せられちゃうとね…」

少し遠い目の妻に俺は、A田に教えられた、妻と恐らくしばらくの間三角関係にあったと思われる人妻の話を切り出した。
妻は少し目を伏せ、何故か話したく無さそうな様子で言葉少なく話した。
「あの人ね、知ってたよ、結構綺麗な人みたいね、でも自己中心的な人だったみたい」
「あいつがもう終わりにしたいって言っても、簡単に終わらせてくれなかったって」
「最後の頃にはストーカーみたいになって、脅してきたりしたってあいつこぼしてたよ」
「あいつとその人の間のことだから私は詳しいこと知らないけど」
それだけしか言わない妻の目が、なんだか少し泳いでいたような気がした。
俺がさらに、そもそもの発端の、あの日の匿名の電話の話をすると妻は、ほんの一瞬かすかに表情を歪めて
「…そんな電話があったんだ…あの人かもね、変な女」
それだけ言うと急に黙りこんだ。
俺はしばらく無言で待ったが、妻はそれ以上この話しを続ける気はないようで、何も言わない。

俺はそんな妻の様子が妙で、なんだかだか抜けない棘のような引っ掛かりを覚えた。
少しの沈黙の後で俺は妻に告げる。
「俺はもうこれ以上我慢するつもりは無い、この馬鹿と俺がケリをつけることに何の問題がある?」
妻は、必死で、そんなことじゃなくて、綺麗に終わりたい、自分の周りの人達が争う姿はみたくないなどと言っている。
どうにも説得力の無い妻のその反応に、納得できるわけも無い俺は、「ちゃんと話しするから心配するな」と告げ、
再び玄関に向かうと、また妻はすがり付いてきて、必死で「やめて」と訴える。
いったいどうしてだ?今更あの男に未練があるのか?じゃなければどんな理由がある?
俺は強い調子で妻に言った「何でだ?」
俯き、苦しそうに、言葉を探していた妻がやがてぽつりとつぶやいた。
「…ビデオがあるの…」
俺は固まった。
「…おまえ…」」
怒りのあまり蒼白になりながら俺は妻に詰め寄った。
「どんなビデオだ…」
妻は俺と目を合わせないように俯いて、唇をわなわなと震わせて押し黙っている。
1分、2分、3分、実際にはどれだけの時間だったか定かではないが、沈黙に耐えられなくなった俺は、
「やってるところを撮らせたってことか?何考えてるんだおまえは!何やってんだ馬鹿が!」怒りにまかせて怒鳴りつけた。
「違う、そんなのじゃない」追い詰められた目で俺を見つめ、必死に否定する妻。
「じゃあどんなビデオなんだ」そう繰り返す俺。
再び視線を落とし、苦しそうに妻は説明を始めた。

8月の始めのある時、妻は男に自慰しているところが見たいとせがまれる。
当然に妻は激しく拒否、しかし男は執拗に食い下がる。
した事がないと拒否する妻に、マネだけでもいいからして見せろと言って段々と怒り始める男。
うんざりして、仕方なく、どうすればいいのか聞く妻に男は、下着を脱いでベッドに横になり、さらに…細かい動作を指示する。
妻が不貞腐れながら男の言うとおりにすると、男が携帯の動画で撮影し始めた。
驚いてベッドから起き上がり、「やめてよ!」と叫ぶ妻に男は「いいから、続けろよ、俺が後から一人で楽しむだけだから」
なおも拒否する妻に、男はいよいよ激怒し始める。
激怒しながら執拗に要求する男との口論に、妻はしだいに疲れて、結局最後は男の言いなりになる。
「ほんの数分のことだし、いやいや真似事しただけだし、感じるはずなんてないのに、あんなの撮って何が楽しいんだか…」
急に早口になって弁解している妻に俺は聞いた「顔は映ってるのか?」
「…片手で顔を隠してたけど、髪型とか雰囲気とかで、知ってる人が見たら私だってわかると思う…」
俺は思わず大きなため息を漏らし、ガックリと居間の椅子に座りこみ、頭を抱えた。
「おまえ自分が何をしでかしたか分かってるのか?そんな物が公になってみろ、○梨の人生どうなるんだよ」
「おまえがそんな馬鹿だったとは…がっかりだ」
俺にそんな冷たい、棘のある言葉を浴びせられながら妻は、じっと俯いて唇を噛んでいた。
ただ、この時の妻は最後まで泣かなかった、それが妙な違和感となって引っかかる。

妻が言うには、男は自分を残して自殺した母親の事件で精神的に大きなトラウマがあり、
今日は妻に捨てられたと感じた男が発作的にあんなメールを送ってきたが、時間がたてば忘れるだろう。
それに少し心が壊れているだけで、自分に直接的な暴力をふるったこともないし、悪人というわけではないから、
こちらが何もしなければ、危害を加えてきたり、あのビデオを誰かに見せたりはしないはずだと言う。
しかし俺はそれを鵜呑みにすることは到底できないし、第一これ以上あの男が妻に付きまとうことに我慢がならない。
だが結局、今夜のところは、俺があの男にメールを送るだけにとどめておいた。
妻に、あの男は気が小さくて、臆病なので追い詰めないで欲しいと散々懇願され、
たった、これだけ、本当はもっと過激に脅したかったのだが…

「俺は○貴の夫だ、おまえのことは全て聞いている。
これ以上妻に付きまとうなら、合法、非合法のあらゆる手段でおまえに報復する。」

はたしてこれで効果があるのかどうか、はなはだ疑問だが…
ただある意味このメールは俺の本心でもある。

深夜になって気まずいまま俺と妻はベッドに入った。
当然二人とも簡単に眠れるわけもなく、とりわけ俺は、男のためにそんなことまでして見せた妻が許せず、
また、男の前で淫らなショウを演じる妻の姿が何度も浮かび、いくら考えないようにしても頭から離れない。
どんどん深みにはまり、苛立った俺は、そんな俺の様子を怯えたようにそっと窺っていた妻に、
あの男にして見せたのと同じことを俺にもして見せろと迫った。
妻は一瞬悲しそうに俺を見つめ、何も言わずにパジャマを脱ぐと、顔をそむけ、目を閉じて始めた。
しばらくして、妻の体が小刻みに震えていることに気がついた。
顔を覗き込むと妻は、閉じた瞼から涙を溢れさせ、それでも嗚咽が漏れないように懸命に我慢していた。
俺は妻を抱きしめ詫びた「…ごめん、悪かった」
妻は俺にしがみつくと、裸の肩を震わせながら、まるで涙腺が壊れてしまったかのように泣いた。
俺はそんな妻の頭をずっと撫でていた。
泣きじゃくりながら妻は「…どうしよう」、「私が馬鹿だから」、「なんであんなこと…」、「…とんでもないことしちゃった…」、
そんなとりとめのない言葉を何度も繰り返していた。

どれくらいの時間そうしていたのかわからないが、泣き止んだ妻に俺は言った。
「なあ、○貴、もう一人子供作ろうか」
俺がそう言うと妻の目には、再び大粒の涙が浮かぶ。
「うん…うん」何度もうなずいたあとで小さく「忘れたい」とつぶやいた。
それが一番いいのかも知れない、再び妻を「女」から「母親」に戻し、新たに生まれた命に振り回され、心配して、一緒に育てていく。
日常に翻弄され、忙殺されて、こんな話は過去の些細な出来事、時がたち妻も俺もそんな過去なんて綺麗さっぱり忘れてる。
やがてそんな「時」が訪れるかも知れない。

その夜俺は久々に裸の妻を一晩中抱いて眠った、そして知った。
妻の体がたった数時間の睡眠の間にも何度か硬直することを。
結局俺は朝方のほんの2時間ほどしか眠れなかった、目覚めたら左の腕に鈍痛がした。
俺が短い睡眠から目覚めて居間に行くと、すでに綺麗に化粧を終えて朝食の用意をしていた妻が、
少し恥ずかしそうに目を伏せて「おはよう」と言った。
しばらくすると娘が起き出して来た、妻は元気に甲斐甲斐しく娘の世話を焼く。
俺はこんな平穏な時間がずっと続けばいいと思った。

俺がメールを送った翌日に来た「もう俺には構わないでくれ、迷惑を掛けるのはやめてくれ」
というメールを最後に、それっきり男からのメールは途絶えた。
妻は安心するのと同時に、少し拍子抜けしたようだ。
あれほど自分に執拗に執着していたくせに、夫である俺のたったあれだけの脅しで手のひらを返して逃げ出した男に対して、
呆れると同時にある種の怒りや憎しみを感じているようだ。
「あいつらしいと言えばそうだけど、なんかあんな男のために苦しんだ自分がバカみたい」
妻は何度か自嘲気味につぶやいていた。
一応問題は片付き、表面上は穏やかな日々が訪れた.
しかし、問題はそんなに簡単ではなく、とりわけ俺は妻を取り戻した安心感から少し精神的に落ち着きはしたが、
それでも妻に裏切られた事実が消えるわけではなく、時折激しい怒りが湧いてきて自分で自分が抑えられなくなる。
俺は激しく妻に詰め寄ることがたびたびあり、そのつど妻は一生懸命に謝る。
こんなこともあった、一生懸命に謝っていた妻が急に胃を押さえてうずくまり、苦しげに呻き泣きながら
「…やっぱり一度あんなことがあるとダメなんだよ…どんなに頑張ったって元には戻れないんだよ…」
そうつぶやきながら激しく泣いた。
我に返った俺は妻に駆け寄り、抱きしめながら詫びた。
俺も妻もわかってはいたことだが、お互いの心の中にある、この出来事とあの男の記憶を無害なものに変えることは容易なことではない。

人には知らないほうが良いことのほうが多いのかもしれない。
しかし、俺は知らないことに怯え、嫉妬した。
妻とあの男の間にあったことの全てを知った上でないと、自分の中で消化できそうも無かった。
毎晩俺は妻に、あの男と何を話し、何をして、どこに行ったのか、さらにはどんな風に抱かれていたのか尋ねずにはいられなかった。
妻は、俺を刺激しないように、言葉を選び、表現を考えながらも淡々と話す。
俺は、苛立ち、心が騒ぎ、平静でいられなくなる。
たまらなくまって妻を求める、そして妻の中に射精すると俺はやっと冷静に戻る。
妻はそんな俺に抱かれ、俺が妻の中で終わると安心して眠る。
こんな日々を重ねながら、それでも少しずつだが俺と妻は、不幸な出来事が起こる以前の状態に戻りつつある。
ただ、時々妻は、遠い目で、なにか抜け殻になったような感じで、
「…どうしてあんなことしたんだろう…」とつぶやくことがある。
そんな時俺は、不安心理からくる疑心暗鬼なのかもしれないが、何か妙な違和感を感じることがある。
なんと言えばいいのだろう、前提が違うと言うか、例えるならお互いが違うものを見ながら、話をしているようなそんな感じ?
異なる事実を基に話しをしているような感じ?
些細なことなのかも知れないが。

俺は毎晩妻に自分が納得のいかないことや、疑問に思うこと、聞かずにいられないことを、もう、それはいろいろと根掘り葉掘り聞いた。
納得できるまで。
そんな俺のとりとめのない質問に妻は、毎晩ガラスの様な目をして淡々と話した。
時折言葉に詰まり、辛そうにしながら。
辛そうに、言葉に詰まる時の妻の目は普通の瞳。
それも一瞬で、次の瞬間に妻の目は再びガラスになり、妻は話を続ける。

俺が浮気の事実を突き付け、詰め寄った晩に妻は「あなたと別れても、あの人と一緒になる気はないから」と言った
その言葉の意味について改めて聞いてみると妻は
「だって、あいつはダメなやつだもん、自分が守られたいだけで、誰かを守って一緒に生きていくことなんて出来そうもないから」
「不安定でいつだって自分のことだけで精いっぱい、お世辞じゃなくて、男として比べたらあなたの足元にも及ばないよ」
妻は続ける「そりゃあ、あいつとの人生を考えたことが一度もないわけじゃないけど…」
「でも、無理、絶望的な未来しか想い浮かばないもの」
「私はあいつとの関係が永久には続かないことが最初からわかってた、だから耐えられたんだと思う」

それなら、あの男のSEXがそんなに良かったのかと聞く俺に、妻が答えて言うには。
「あいつはそもそも性的に決して強いわけじゃなくて、はっきり言えばかなり弱い部類に入るんじゃないかと思う(俺と比較して)」。
会えば必ず妻の体を求めたそうだが、妻を裸にして、執拗に愛撫を続けても勃たないことが度々あり、男はしだいに苛立っていく。
妻を抱きたいのに思うようにならない自分自身に苛立つ男に、しかたなく妻はじっと身を任せる。
しかし酷い時には2時間近くそうしていても結局ダメな時もあったようだ。
もちろん妻がフェラをしてもダメ、何をしてもダメ。
もう止めようよと妻が言うと、しぶしぶ男は妻の体から離れて「ちくしょう…なんで勃たないんだよ…」と呟きながら激しく落ち込む。
そんな時がたまらなく厭だったと妻は言う。
勃った時でも基本的に男は早く、大抵の場合は1分から長くても3分程度しか持たないそうで、
十分に勃起していない状態で、半ば無理やりに挿入して、柔らかい状態のまま、ほんの数秒で射精してしまったこともあるらしい。
妻は「あいつに抱かれていったことは一度もない」と断言していた。
そして「あいつが毎回会えば必ず私を抱きたがったのは、コンプレックスの裏返しだったのかもね」と妻は分析していた。
妻のオナニービデオの件も、そんな男の「性」的な面での「歪み」と言うのか、「弱さ」が大きく関係していたようで、
必死で懇願されて、結局妻は最後には拒みきれなかったと言っていた。
本人が言うには「…ある種の同情って言うのか、憐れみって言うのか…」

妻が手帳に生理周期や体温を毎日書き込んでいた理由や、無理やり犯されながらなぜあの男と付き合うことにしたのかも聞いた。

6月17日、妻があの男にレイプされた時に、妻は膣内に射精されてしまう。
生まれて初めて男に力ずくで犯されて、放心状態の妻は、泣きながら謝り、必死で妻を求める男の姿に、
自分を襲った受け入れられない現実からのある意味の逃避を見出す。
「この人は悪い人じゃない、可哀想な人、私が助けてあげなくちゃ」
そう思うことで壊れかけた自我を保つ。
しかし、開放されて家に帰り、娘の姿を見た瞬間に現実が襲いかかる。
そのころ俺と妻は新しく子供を作るつもりは無かった。
しかし、娘も幼稚園に通うようになり、ある意味では出来たら出来たでそれはそれで何の問題も無かった。
俺も妻も自然に避妊に無頓着だった。
妻は妊娠の危険がある期間のぎりぎり前で俺に抱かれ、ぎりぎりで危険な後期に男に膣内に射精された。
排卵日がいつだったのか、おおよそしかわからない妻は苦悩する。
もしも妊娠していれば、子供の父親は俺なのかあの男なのかわからない。
その現実に妻は恐怖し、心から怯えた、あの日妻が何度もトイレで吐いたのはその現実を考えたからだった。
あの夜俺に自分の身に起こった出来事を話すことが出来なかったもう一つの理由はそれだった。
妻は翌朝から自分の体温を毎日手帳に記入するようになる。

妻は男を憎んだ、しかし男は毎日何十回も電話とメールをしてくる。
必死で謝りながら、自分と会って話を聞いて欲しいと。
妻は拒否する、しかし男は諦めない。
そうして10日程が過ぎ、妻に生理が訪れる、予定より少し早かったようだが、妻は心底安心したそうだ。
その4日後に男から家の電話にTELがあった。
「今、○貴さんのマンションの前にいる、俺の話聞いてくれないなら家に行くよ」
そう言って脅す男に妻は屈服する、
結局そのまま、まともな会話も無いままに男の車に乗せられ、妻は再び男のマンションに連れ込まれる。
無抵抗な妻と強引に2度目の体の関係を結んだ男は、終わった後で言う。
「俺はなにも○貴さんの家庭を壊そうとかいうのじゃないんだ、ただこうして俺とも付き合って欲しいだけなんだ」
妻は身勝手な男の言い分を、理解したわけでも納得したわけでもなかったが、ある種の諦感がしだいに妻を支配していく。
心の中の罪悪感に苦しみ、葛藤しながら、仕方が無く付き合い始めると、男は優しく、とてもよく気が回り、
妻が行ったことの無いような高級なレストランや、オシャレなスポット、他にもいろいろな所に連れて行ってくれた。
洋服や装飾品だと俺が気づくといけないからと、妻の体のサイズを聞き出して、頼みもしないのに、何万もするような高価な下着を自分で買ってきて、
今度これを着けて来てといいながら、プレゼントしてくれたことが何度もあったそうだ。
そんな男の言動に妻は「この人は本当に私のことが好きなんだ…」それだけは強く感じたと言っていた。
妻は、最初は嫌でたまらなかったが、だんだんとそうではなくなって行く。
「罪悪感が無くなったわけじゃないけど、この人は可哀想な人で、私のことを本当に必要としている。
そう考えることで無理やりに罪悪感を押さえ込んでいた感じかな」
そう妻は述懐していた。

妻が手帳に男と性的な関係を持った日にハートマークをつけるようになったのは、初めて犯された日から随分たってから、遡って付けたそうだ。
男とのSEXで妻は男に避妊具を使うように言うが、男は俺が妻とのSEXで使用していないことを理由に拒否する。
(男に聞かれて妻がおしえた、妻は正直に言わなければよかったと後悔していた)
男は一応中に出さないように気をつけてはいたようだが、基本的に早い上に、自分で上手くコントロール出来ないようで、
体位や、体調によっては、間に合わずに中に出してしまうことが度々あったそうだ。
そんな男の避妊を全く信用出来ない妻は、手帳の記載から、危険日の前後だけは、男と会うことを頑なに拒否していた。
もっとも、妻は、その前後には俺に抱かれることも拒否していたようだが。
妻が言うには、手帳の記載は妻が妊娠の危険から身を守るための術だったそうだ。

俺は妻に聞いた、そんな男のどこが良くて付き合っていたのかと。
妻が言うには「そうだよね、どこが良かったんだろう?自分でもわからないよ…」
「始めのころには、可愛いなんて思えた時期もあったんだけどね…」
「ただね、どうしてかな、あいつと会って話してると、なんでかこの人は私が守ってあげなくちゃとかね…」
「それが自分の義務みたいに思えてくるんだよね…」
「今みたいに関係が断絶された状況だとね、私、なんであんなこと考えてたんだろうって不思議な感じがする」
「あなたのことが嫌いになったとか、SEXに溺れたとか、そんなことじゃなくてね」
「ただあいつのことをどうしてもほって置けなくなった感じかな、どうしてかは今もわからないよ…」
そう言って妻はこの話を締めくくった。

妻はあの男との係わりを俺達夫婦が今後一切持たないことを望んでいる。
俺は表面上妻に合わせているが、このまま放置することは出来ない。
俺の男としてのケジメの問題を差し引いたとしても、妻のビデオはどうしても回収しなければならないと思っている。
憎い相手に俺達家族の決定的な弱みを握られたまま平穏に暮らしていけるはずがないし、
それに、妻のそんな姿を映したビデオを他人が持っている事実に、俺は男として耐えられない。
俺はA田にここまでの経過を包み隠さずに全て話している。
A田は「奥さんは、たまたまたちの悪い狂犬に目を付けられて噛まれたようなものだろう」
「忘れられないだろうけど許してやれよ」と妻に同情的なスタンスだが、妻のビデオに関しては俺と同意見で、
「そんなものがあってはお前は安心して寝てられないよな、なんとかして回収すべきだ」
と言っている。
どうやって男から回収するか相談しているが、なかなか難しい。
弁護士などの専門家に依頼して話をする案も考えたが、男にビデオの存在を否定されればそれまでになる。
あるいは、男とA田の共通の知り合いに話をさせる案も検討したが、妻のこんな話がこれ以上広まることはどうしても避けたい。
結局、今のところベストな解決策は、俺がどこかのタイミングで男と直接話をつけることだと思われる。
その場合の男の反応を予測し、逃げ道を塞ぐためにも、引き続き男の周りの人間に可能な限り男の話を聞くべくA田は調べを続けてくれている。

恐らくあの日の匿名電話の主で、しばらくの間妻と交際期間が重複していたと思われる人妻から話が聞ければ早いのだが、
今はスポクラに来ていない上に、自分の立場上からも何も話してはくれないだろうとA田は言う。
代わりに、少し時間がかかるかも知れないが、あの男と2年近く前に短い期間交際していて、
すぐに自分から一方的に分かれを告げて去って行った独身の20代の女性がスポクラの別の店舗に来ているそうで、
共通の知人を通して話が聞けるかもしれない。
その女性は乗りの良い、イケイケっぽい感じの女性で、過去には人気インストラクターとの関係も取りざたされていたそうだ。
さっぱりとした性格だったらしいが、あの男と別れた後で親しい人間に、あの男のことを「気持ち悪い」
などとぼろ糞に言っていたという話が伝わっているそうだ。
そこらへんの詳しい話が聞ければ良いのだが。
それとは別に、今はスポクラには来ていないが、2月ごろまで来ていて、その当時にあの男と仲がよく、
何度か一緒に飲みに行っていた間柄の30歳手前の独身男性がおり、その男性からも話が聞けるだろうとA田は話していた。
その男性会員も、スポクラを辞めるころにはあの男とは疎遠になっていたらしい。
その男性会員はその件について何も語ってはいなかったようだが、恐らく何らかのトラブルがあったのだろうとA田は予想している。
いずれにしても少し時間が必要だ。

事件発覚直後には、妻のことで頭がいっぱいで、正直男のことはどうでもよかった。
しかし時間が経過して、妻との関係が安定し、男が何を言い、妻と何をしていたのかがわかってくるにつれ、
日増しに憎しみが膨らんできている。
もしも罪に問われないのなら、俺は迷わずあいつを殺す、きっと殺せると思う。
俺のこれまでの人生など所詮平凡なものに過ぎないが、しかしこれまでの人生でこれほど他人を憎いと感じたことなどないし、
また人が人のことを、ここまで憎めることに驚きを感じている。
俺の心の平穏は、あの男に徹底的な復讐をする瞬間を想像することで保たれている。
許せるはずもないし、許すつもりもない。
もっとも、俺は妻とあの男を切り離し、男だけを憎むことであえて「妻の裏切り」という事実から目をそむけようとしているだけなのかもしれないが。
そうすることによって、俺にとって一番受け入れられない現実を無理やりに否定しているだけなのかも…

正直に言って、今、俺は妻が愛しい、昔、高校生のころに妻に恋していた当時よりもさらに愛しく感じる。
愚かなことだが、一度他人に奪われたことによって、初めてその大切さを痛感している。
俺はこれまで妻を大切にしてこなかったわけではない、むしろ人並み以上に大切にしてきた自信はある。
ただ、最初の晩に妻が言っていた「あまりにも長く一緒にいたから、大切さが分からなくなっていた」その言葉は俺にも当てはまる。
いつごろからか俺は妻を一人の「女」としてではなく、「妻」としてしか見なくなっていたような気がする。
そして妻は俺の前で「女」であることを止めてしまい、俺も妻の前で「男」であることを止めていたのかも知れない。

俺が家に帰ると、妻と俺はずっと一緒にいる。
色々な話をして、一緒にテレビを見て、毎晩一緒に風呂に入る。
妻は俺の髪を洗ってくれたり、背中を流したりしてくれる。
俺は毎晩妻を抱く、俺に抱かれる時に妻は以前と違いすごく濡れる、何度もいく。
俺は裸の妻に、以前と違い激しく欲情する。
終わると妻は毎晩俺の腕の中で眠る。

俺は毎日、嫉妬と妄想、憎しみや怒りといった感情に翻弄されながらも、再び「女」に戻った妻との生活が、ある意味新鮮で、楽しくもある。
もちろんこれは、俺のような状況に陥った男に共通の、一時的な感情なのかも知れない。
他人から見れば滑稽で愚かに見えるかもしれない。
それでも構わない、俺は今度こそ、この女が傷ついたり、悲しい思いをすることが無いように全力で守ってやりたいと思う。
そのためにも俺は一刻も早く、なんとしてでもあのビデオを男から回収しなければならない。
あれが万が一公にされて、妻が苦しむことになるぐらいなら、俺は自分が罪に問われてもかまわない。
非合法な手段しか回収の道がないなら、俺はためらわずにやるつもりだ。
しかしそれは最後の手段、押し入って力づくで奪うことはある意味いつでもできるだろう。

タックル姫(絶頂作戦)

前作で、みんなに怒られた。

たしかに、一本を二本にしてごまかそうとしてた。

ゴメンです。反省です。続きです。飛ばします!

十月に入り、大きな仕事も片付いた。忙しいことには変わりはないが、
少しだけ気持ちに余裕が出てきた。母親が、玄関のフェンスが壊れて
いると言う。「ああ、次の日曜にでも直しに行くよ」ついでに、高い
木の剪定も頼まれた。

日曜の朝。快晴。まだまだ暑い。久しぶりに庭に来た。今思うとあの
荒れた庭がずいぶんキレイになったと感じる。懐かしさすら覚える。
さっそく、フェンスの修理を始める。おそらくトモはここに来る。
オレの勝手な予定では、午前中のうちに作業を終わらせる。仮に午後
にズレても早めに終わらせる。昼飯を食べ終える頃にトモが登場。
そこで二人で話す。つらい話になるが仕方が無い。もし、来なかった
ら、電話する。そのためにも、早く作業を終える必要がある。

「オレさん、デートしよ」トモだ!もう来たのかよ。
「おう、トモか」
「忙しかったの?ずっと連絡くれないからさ」
トモ、前に買ってやった洋服を着ている。Tシャツはなく、キャミソール
に見せブラ。さすがに秋だもんでその上からGジャン。ミニスカート。
黒いニーハイのタイツ。それに合わせたブーツ。薄く化粧なんかしていや
がる。でも、全然イケてる。
「ああ、」早すぎるって!
「何してんの?」
「フェンスの修理」
「デートしよ」
「今は手が離せない」
「手伝おっか?」
「キレイな服を汚したくない」
「じゃあ、着替えてくる」
「いいって。これが終わるまで、かまってられないんだよ」
「じゃあさ、オレさんの仕事終わるまで、ここで見てる」
「気持ち悪い奴だなー。夕方来いよ。夕方!」
「イヤ」
「オレもトモに話があるから、それまで家に帰って勉強でもしてろ」
「せっかく、キレイにしてきたのに」
「じゃあ、誰かとデートでもしてこい」
「…何でそういうことを言うんですか?」
無視。オレ、トモを見ないで手を動かす。
「冷たくなりましたね」
「……」
「嫌われましたか?」
「……」
「ヤリ逃げですか?」
「そんなんじゃない」
「そういう風にしか見えませんよ」トモの声がだんだん大きくなる。
「だから、後でちゃんと話そう」
「今、話してください!」涙声だ。
「ムリ言うな」
「つらかったんだから……。ずっと独りで淋しかったんだからー!」
トモ、泣き出す。
「いいかげんにしろ!オレたちは親子ほど年が離れてるんだぞ。オレ
みたいなオッサンと、もう関わり合うな。忙しくても作ろうと思えば、
トモと会う時間ぐらいどうにでもなったのに酒ばっか飲んでた。トモ
と約束したのに塾に迎えに行くことさえしなかった。オレみたいな、
ろくでなしはトモの将来に何のメリットもない
「メリットってー、そんなつもりで一緒にいたんじゃないのにーー!」
「泣くな、今は良くてもきっと後悔する。もっと自分を大切にしろ」
「次するときー、もっと気持ちよくなるって言ったのにーー!」絶叫。
「バカ、大声で言う言葉か!」
隣の畑で農作業をしてたバアサンが、心配して寄ってくる。
「アレーッ、オレさん、トモちゃん泣かしちゃダメだよー」
「スミマセン、大騒ぎして。すぐに家に帰らせますから」
「もー、イヤ。大…嫌い…です!ワァーーーー!!!」
トモは泣き叫びながら、ログハウスの中に消えていった。
そっちかよ。

オレはかまわず作業を続けた。トモのことは放っておいた。
昼飯でも一緒に食べれながら、話するしかないと思った。昨夜、考え
てたことを頭の中でくり返す。インポのことも言うしかないだろう。
気が重いが仕方が無い。
11時を過ぎた頃には、大体の作業も終わった。車に乗り、街に出て、
コンビニでおにぎりを買う。もちろんトモの分も。
機嫌直しにケーキとアイスもついでに購入。トモの好きなやつ。

庭に帰り、ログハウスの中に入った。トモがいない。帰ったか…。
テーブルの上には、トモのGジャンとバックが置いてある。
ん?トモどこだ。ふと見回したら、居間の隅っこで壁に向かって
膝に顔をあてて体育座りのトモがいた。何やってんの?
「トモ、おにぎり買ってきたぞ」
返事がない。
「ト?モちゃん、君の好きなケーキとアイスもある」
微動だにしない。
「ト?モちゃん、遊びましょ!」
ピクリともしない。
「勝手にしろ」
オレはシャワーを浴びにいった。着替えて居間に戻っても、トモは
同じ態勢でいた。
「トモ、飯にしようぜ」
静寂。なんか場違いな空気が部屋中に漂ってる。
トモの背中から、それを感じる。
「トモ…?」
トモが小声で何か言っている。
「何っすか?」
「????????」
「何言ってるか分かんないぞ」
「そんなものにごまかされないから」トモが言う。
「飯食ってから話そうや。アイス冷蔵庫に入れとくぞ」
「絶対に、ごまかされないから」
「ハイハイ」
トモ、突然立ち上がる。涙目。唇を思いっきり噛んでる。肩がプルプル
震えている。拳を握りしめている。トモが怒り狂ってる。
何だコイツ?やんのか。

「トモ、落ち着けよ」トモに近づく。
「来るなーーー!!バカーーーー!!!」トモ。
「大声出すなーーー!!ボケーーーー!!!」オレ。
「初めて、本気で好きになったのにーーー!!!」
「大声出すなって…」
「オレさんのこと……、本気で好きになったのにーーーーー!!!」
「……」
「あきらめませんから…、絶対なあきらめませんから!!!」

「ワァーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」

トモが叫び声を上げて走り出し、突っ込んでくる。
クソッ!来やがった!!!

タックルーーーー!!!!

タックル姫(代名戦争)

はじめに。
なんか米欄とか見ると、トモのファンがいるみたいなので、
ちょっとだけ。
トモはアダ名。本名は全然違う。きっと「ともこ」とか
「ともみ」だと、みんな思ってると思う。
トモと初めて会った時は、彼女は小6で、普通に同級生から
ずっと、トモって呼ばれてた。オレもそう思ってた。
一人一人の名前を覚えるため、担任の先生から名簿のコピー
をもらう。もちろん、フリ仮名をつけてもらう。
いつも「トモ」って呼ばれてる女の子が、全然違う名前だと
いうことに気づく。
「先生、何で彼女はトモって呼ばれてんすか?」
「さすが、気づきましたか」
5年生の時、重度の障害者の子を体験学習の一環としてクラ
スで受け入れ、トモが一生懸命、身の回りのこととか世話し
たそうだ。その障害者の子が、トモのことをトモ=友として
呼んでたらしい。それがクラスメイトに浸透してトモになっ
た。普段はオレとか地元の同級生以外、トモのことをトモっ
とは呼ばない。本名は「さやか」です。
身長150ぐらい。体重40キロないと思う。透けるような白い肌。
栗毛のショートカット。身体は発展途上。でも、最近はけっこ
う胸も大きくなった。腰回りもギュッて細くなったし、お尻も
ふくよかな感じになってる。
ショートカットって言いましたが、今は伸ばしていて、やっと
肩にかかるぐらいになった。
先日、スポーツ新聞で足立梨花さんって娘を見ましたが、トモ
けっこう似ている。もっと目をするどくした感じ。体型は、ト
モに近いと思う。新聞を見せながら、似てるくない?って聞い
たら「全然似てない!」逆にキレられた。
本人はあくまでガッキー似。ホント、自分の好きな人で置き換
えてイイと思います。

やります。続編です。

九月。2学期が始まり夏休みをとったツケがまわってきたのか、
バカみたいに忙しくなった。学校の行事も多かったし、それ以外
でも、予想してなかった大きな仕事が舞い込んできて、ありがた
い事だが、頭がおかしくなりそうだった。母親も体調が万全では
なく、時々病院に検診に連れていかなくてはならなかった。
自分のことは全て後回し。慌ただしく動き回っていて、トモのこと
を考えてる余裕もなかった。土日も仕事でつぶれ、深夜に酔いつぶ
れて眠るだけの毎日。

トモとの夏休みの出来事が、遠い昔のように思える。
寄り添っていたトモの肌の感触。毎日交わしたバカな会話。
思い出すと、やっぱり淋しく感じてしまう。
トモのことを思い出してオナニーしてみようと思ったが、勃たない
のは相変わらずだった。
それでも、初めのうちは電話とかしてた。
「もしもし、オレさん」
「トモか。かけ直す」
「もしもし、トモ」
「何してました?」
「まだ、仕事だ」
「お忙しいようですね」
「ああ、最悪だ」
「何か、お手伝いでもしましょうか?」
「オレのことはいいから、勉強しなさい」
「淋しいです…」
「オレもだ…」
「今度また、デートでもしましょうか?お父さん」
「暇がないんだよ」
「……」
いつもこんな感じ。トモと実際に会って話ぐらいしたかったんだが、
そんな状況ではなかった。トモからメールは良く来る。新しいバイト
のことや塾のこと。たわいもない内容だ。以前同様返信はしない。
トモに仕事のグチを言ってもしょうがない。ホント、トモに話せること
なんて何もない。

特に大きな仕事を抱えたこの一週間は、かなり追い詰められた。
毎日2時間程度しか寝られず、学校の行事も連発で、かなり参ってた。
焦り過ぎて車で事故しかけた。トモもそんなタイミングの悪い時に、
よく電話してくる。
「あのっ!オレさんっ」
「トモか、悪いけど切るぞ」ブチッ。
こんなことが何回も続いた。
やっと、片付いたと思っても、次の仕事が待っている。元来、オレは
社交的な方ではなく、人との絡みが嫌いでコツコツ一人で仕事をして
いる方が好きな性分で、大きな仕事とかで必要以上に多くの人と関わる
と、ついついストレスを感じてしまう。
次第に夏休み前のオレに戻りつつあった。お客さんの前では愛想笑い。
仕事中はひどくイライラしていて、神経質になりながら常に焦燥感に
さいなまされている。いつも心に余裕がなく、体も疲れを感じている。
限界を感じて、何とか日曜に休みをとることにする。前日の夜から飲
んだくれて、昼ごろまで寝ている始末。起きても飯は食べず、また酒
をあおる。完全にふさぎ込み、外にすら出たくない。テレビの音すら
わずらわしい。ずっと独りでベッドにこもったまま、酒を飲み続けて
いる。そうやって、自分をごまかしている。

トモからメールが来る。
「天気イイですね。どこか行きませんか?それともお仕事でしょうか?」
「返事くださいね」
うるせーー!
もう、酔っぱらってるからムリだ。カーテンも閉めっぱなしだから天気
なんてカンケーねーよ。
シカト。
ハァ…。オレって最低だ。
まだ昼過ぎなのに、もう明日からの仕事のことで憂鬱になってる。
トモどころではない。
再び酔いが回ってきた。いつの間には、眠りこけてた。

ケータイの着信音で目が覚める。トモの番号だった。シカト。
何回かかかってきたが、今のオレはろれつがまわらないし、酔ってると
こをトモに知られたくはない。
トモ、もういいよ。こんなオッサンと絡んでても、ろくな未来はない。
デートした時、トモに褒められた事を思い出す。
オレは、トモが思っている人間じゃない。今のオレが本当のオレだ。
年が違いすぎるし、忙しい割には収入はたいしたことない。
機械のローンはまだ残ってるし、貯えもほとんどない。
こんな風にウツ気味だし、キレ痔だし、加齢臭はするし、定期検診なんて
したことないから、どんな病気もってるか分からないし。
第一、トモに対してインポだし。

とっくに終わってるよ。オレは。

なんか、死にたくなってきた。

翌日からも目まぐるしい日々。結局、トモには返信も電話もしなかった。
可哀想なことをしたと思ってる。それでも、仕事がある程度片付いたら、
電話してやろうとは思ってた。それなのに、なかなか気がのらず、面倒
くさがって結局かけることはなかった。土日に半日ぐらい時間がとれる
と、相変わらず飲んだくれて、休んだ気になってた。
その後、トモから電話はなかったが、メールは入っていた。
全部同じ文面だった。
「淋しいです。会いたいです」

庭にいる母親が、奇妙なことをオレに言った。土日になると、若い女の子
が庭を見にくるらしい。母親に話しかけることもなく、庭の周りをひと回
りして帰っていく。毎週来るみたいだ。すぐにトモだと分かった。

先日も、客の予定に合わせて遅い時間に打ち合わせをした。
その帰りに、車でトモが通っている塾の前を通りかかった。
偶然、トモが塾から出てきた。トモの隣にはお母さんらしき人がいた。
そして、塾の前に停めてあった車に二人が乗り込む。

遅くなったら、迎えに行くなんてトモに平気で嘘をついている。
忙しさを理由に、トモのことを裏切っている。
自分のことで頭がいっぱいで、トモのことを傷つけてることに目をつぶっている。

クソッタレ!最低だ。

気づくとオレ、泣いていた。
どうしても涙が止まらなかった。
いい年こいたオッサンが、泣きながら車を運転してる。
素晴らしく間抜けな光景。

いずれにしても、トモとは近いうちちゃんと会って話をしないといけない。

こうして九月が終わった。

続けてイイですかね。

蕎麦(つ)



姉は蕎麦アレルギー。
けっこう重症で、多めに摂取すると命にかかわるので
本人も家族も十二分に注意して生活してる。
蕎麦アレルギーっていうと「蕎麦だけが駄目なんでしょ?」と誤解されがちだが
けっこう駄目なものが多い。
まず蕎麦を出す店には一歩も入れないし(店内に蕎麦粉が舞ってると駄目)
そばまんじゅうを始め、ある種のお菓子、パン、もち、お茶、蜂蜜等に蕎麦成分が入ってることがある。
化粧品やビタミン剤に入ってることもある。あともちろん旅館の蕎麦ガラ枕も駄目。

今は成分表示してくれる食品が大部分になってくれて助かったけど
卵・蕎麦アレルギーの父と、蕎麦アレルギーの姉を持つ我が家は
昔からとても食生活に気を使っていた。

そんな姉に彼氏ができた。
私も一度会わせてもらったが彼氏は優しくて男前で、姉のアレルギーにも理解がある人だった。
姉と彼氏はトントン拍子に結婚の話が進み
「親に紹介したいから」とGWに彼氏実家に2人で行くことになった。
事前に彼氏から「うちの母親は料理自慢だ」と聞かされていたそうで
姉も楽しみにしていた。
着いたところは結構な農村地帯。

もう展開に予想がつくだろうけど、着いて、挨拶を済ませて早々に
「今、蕎麦打ちに凝ってるの!姉子ちゃんも是非食べていってね?!」と彼母。
姉、慌てて
「お気持ちは嬉しいんですが、アレルギーで…」と断る。

すると彼母、急にオロオロし出して
「そんな!お蕎麦以外のものは用意してないのよ。
第一私、毒を盛るような意地悪姑じゃないわ。信じてもらえないなんて悲しい」
と目をうるうるさせ始める。

「ええ?…」と思って姉がまわりを見渡すと、
彼父、彼弟が
「母さんの蕎麦はうまいんだよ。素人だと思って、食わず嫌いは良くない」
「なに警戒してるの?何かされると思ってる?メロドラマの見すぎじゃない?」
などとしらーっとして言い放つ。

姉、彼氏に目でヘルプを要請する。
彼氏は父と弟を「まあまあ」と取り成したものの、
小声で姉に、
「ごめん、今だけ我慢してくれない?お母さん、一度言いだすと聞かないから」
「お母さんの機嫌をそこねるのは、今後のきみのためにもならないから、ね?」
と囁いてきた。
なぜか「アレルギーで蕎麦が食べられない」ことが
「彼の母親に悪意があって料理を拒んでいる」ことにすり替えられ
いつの間にか「食わず嫌いのわがまま女」扱いになっていることに気付く姉。

というか食べる前に、蕎麦打ちを始められたらそこでアウト。
空気中に舞う蕎麦粉で姉にはすでに命取り。
姉が「私、帰ります」と言うと、彼母がワーっと泣きだす。
「ひどい、私は姉子さんと仲良くやっていきたいと思って、今日のために準備したのに」。

彼、彼父、彼弟が姉を睨む。
でも彼母、ヒーッ、ヒーッと泣いてはいるけど全く涙が出てなかったらしい。
こんなところで死にたくないと、姉、バッグを掴んで逃走。
「このお話はなかったことに!」
と言いながら靴もはかずに逃げた。

彼氏はなぜか追ってこなかった。
姉に「こんなところじゃタクシーもつかまらないぞ!」と怒鳴っただけ。
なぜか代わりに追ってきたのは彼弟。
でも見るからにピザな彼弟、最初の勢いだけは良かったがすぐに失速し、
死にものぐるいで走る姉には追いつけずに200mほどで地面にへたりこんだ。
姉はそのままランナーズハイ状態で明りが見えるまで走り続け
セーブオン(知ってる人いるかな)に止まっていたタクシーをつかまえて
やっと家に帰ることができた。

タクシーの中で姉は号泣し、心配したタクシーの運転手さんが玄関前まで姉に付き添ってきてくれた。
裸足で、髪ぐちゃぐちゃ、号泣して顔はドロドロ、どこを走ったのか草だらけの姉を観て
「何をされた!!」
とうちの家族、激怒。

泣きながら顛末を語る姉に、家族はさらに激怒。
知らずに食べさせようとしたならまだしも、これはもう殺人未遂だろうと。
姉に携帯にはたんまり彼氏からのメールと着信が溜まっていた。
携帯が鳴ったので父がとった。
彼氏が何かガーっと言っているようだが、父、無言。

しばらくしてぽつりと、「きみは、うちの娘を殺すつもりだったようだな」
彼氏、ようやく電話してる相手が姉じゃないと気付く。
音漏れしてた携帯がシーーーンとなる。

父「うちの娘の命より、ママの機嫌の方が大事か」
母に代わる。
母「二度とうちの娘に近づくな、人殺し」
また父に代わる。
父「いいか、これは警告じゃないぞ」
また母に代わる。
母「うちの娘に今後一度でも近づいたら、ただじゃおかない。わかったか」
母、フンッと鼻息を吹いて
「切れたじゃないの!ふざけんな!」と叫んでかけ返す。
彼氏は観念して電話に出たらしい。そこからみっちり両親の説教タイム。
その間に、私はフラフラだった姉を着替えさせ、顔と手足を拭いてベッドに寝かせた。

その後彼氏は悲劇のヒーローと化し、姉に復縁をせまったが
姉はもう彼の存在そのものがトラウマになっていて無理。

彼氏は同僚や仲間にいきさつを愚痴って姉を悪者にしようとした。
でももちろん誰も彼氏の味方をする人はなく、みんなドンビキ。

同じく蕎麦アレルギーの幼い娘さんを持つ上司の耳にも噂が入って、彼氏はコテンコテンに説教食らった。
でも彼氏、そこで反省するどころか、逆ギレして辞表を叩きつける。
誰にも引きとめてもらえず辞表は受理され、彼氏、無職になり田舎へ帰る。

一度だけ彼母から実家に「私が無知だったばかりに…息子を許して…」と
ヨヨヨと泣き崩れた電話があったそうだが、母が
「女の泣き真似は、同じ女には通用しませんよ」と言ったら
瞬時にガチャ切りだったらしい。

今は平和です。

教師と女生徒の恋愛物語

よーし、パパも参加しちゃうぞ、、

叩きたくなるだろうど、優しくしてね!

それはインターフォン越しだった。

ピンポーン
嫁「はい、嫁田です。」←明らかに若い声
俺「あの私、嫁子さんのクラスの副担任の俺川ですが、嫁子さんいらっしゃいますか?」
嫁「…嫁子なら学校に、、、家には居りません」
俺「…失礼ですが、お母様でいらっしゃいますか?」
嫁「…ハイ、嫁子の母です」
俺「…嘘つくな、お母さんなら仕事に行ってるだろ、何で3日連続で無断欠席したんだ?」
嫁「………」
俺「おい、黙ってないで開けろ!」ドンドン
嫁「………」

思いっきり青春をこじらせた嫁は不登校中(本人がいうには友人関係での悩み)。
人使いの荒いおババな担任から家にいるかどうかを確認して来いと言われた。
新人だった前年度散々、弄られたから女生徒に対して苦手意識があったので、辛い会話だった。

以後、嫁からの反応なし、、すごすごと引き返す以外に手はなかった。
それを担任に報告すると普段からの指導力不足をネチネチと指摘されたので良くおぼえている。

五月の連休明けくらい、とある鉄骨2階建アパートでの出来事。
当時、俺は新任2年目教師(23)で嫁は高校2年(16)

全然記憶にないが結婚直前に嫁から、
「絶対俺がお前の事を守ってやる、約束する」とドア越しに叫んでたんだよ、と言われた。

このままだと叩かれそうなんで、自分からkwskするから優しくしてね!

2回目は担任と学年主任と一緒に母親のいる時間に訪問した(嫁は母子家庭で一人っ子)。
つまり、1回目は単に家で引篭もっているか、外で遊んでいるかの調査だったと言うわけである。
話し合いの最中、俺は何もしなかった。
担任や学年主任とは視線を合わせない嫁はときおり俺をみて眉間にしわを寄せた。
結局、母親の説得で学校には行く事になった。

登校はしたもののクラスに居辛かったらしく嫁は保健室に、、は行かず、俺のいる教科準備室にきた。

嫁「せんせー、暇だよー、なんか話して!」
俺「何をだよ、まぁ、色々あるんだろうからしばらくここに居てもいいよ」

以後、時間を見つけては準備室に入り浸り、タメ口で俺と話してた。
だが、親密に見える関係が生徒達の間で噂になり教科主任から俺が強い指導を受け、

俺「おい、俺をクビにさせたくないなら、もう来んなよ」
嫁「ゴメン迷惑だったね、…もう来ないけど、代わりに毎日メールしてくれる?」
俺「する、だからもう来んな」
嫁「本当に毎日だよ?」

それから年度が変わって、接点がなくなっても毎日嫁の日常エッセイ風のメールが来た。
返事は当然毎日書いた(嫁がキレるので)。
メール以外でも廊下ですれ違うと、わざと隠す感じで手を振ったりしてきた。

こそこそ隠れて嫁と二人で会っていたような気もするが、、多分気のせいだと思う。
うん、車で嫁を隣町まで連れ出して、月一くらいでプチデート、、、はしていない(と言い切るw)

俺は卒業までの我慢と思い、嫁の出すラブラブなオーラはスルーして
やっとの事で問題を起さず(=手を付けず←これはガチに真実)嫁の卒業まで持ち込んだ。
卒業式の日に泣きながら抱き付こうとする嫁を避けながら自分で自分を褒めていた。

が、その後も専門学校にいった嫁から毎日メールが来た。
二三日返事をしないと電話をかけて来て泣き出す。

俺「おい、卒業したんだぞ、生徒じゃないのにもう止めてくれよ、お前は何がしたいんだ?」
嫁「…(俺の下の名前)と結婚したい、かな?」
俺「おい!お前の場合はいきなり結婚かよ!普通付き合ってからだろ!」
嫁「うん、良いよ(急に喜んで)」
俺「何が良いんだよ」
嫁「だからあ、(俺の下の名前)と付き合ってあげるww」
俺「違うだろ!」
嫁「えー、なんでー、彼女居ないくせにー、意地をはる意味がわからない、私の事嫌い?」
俺「嫌いじゃないが、生徒には手をだせんだろ!」
嫁「さっき自分でもう生徒じゃないっていったじゃん、問題ないじゃん」
俺「…そうか、そういうもんか?」
嫁「そうだよ、もう誰の目も気にしないで良いし、何をしても良いんだよ?」
俺「…(ゴクリ)」

この4年後ほとぼりがさめたのを見計らって結婚、
「やっちまったな」って周りから冷笑交じりで言われたorz。



アクセスカウンター

    QRコード
    QRコード