萌え体験談

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生徒

平均以下のブサメンが学校一の美少女を落とした

私は外見も中身も平凡な、何処にでもいる普通の男です。
しかし、ただ一つだけ同級生の誰に言っても羨ましがられることがあります。
それは、私が高校時代に菜穂子という物凄い美少女と付き合っていたということです。

菜穂子とは中学も同じでしたが、全てにおいて、ぱっとしない私と
超の付くほどの美少女で、生徒会の副会長をしている優等生の菜穂子とでは、
全く接点もなく、町で擦れ違っても挨拶すらしない関係でした。
中学の時、生徒会役員である菜穂子が学校行事などで壇上に立つと、私も含め男達は皆、食い入るように菜穂子を見つめていました。
スケベな友人達と、初めてのオナニーは菜穂子がオカズだったとか、夏の薄着から透ける下着を見て股間がやばかったなど
よく話していたものでした。
恐らく、同級生のほとんど全ての男は、菜穂子に憧れ、菜穂子で初めての自慰を行ったのではいかと思います。
はっきりいって、菜穂子程の美少女は、普通であれば、私のような男が関わりを持てるような女性ではないでしょう。
しかし、、、現実では、普通でないことが起こったのです!

私が育ったのは、田舎の”村”です。今はもう市に統合されて、無くなってしまった村です。
ただ、村とはいってもそこそこ人口もあり、1学年8クラスありました。
そんな村で村立中学校を卒業し、高校は県庁所在地にある高校に進学しました。
私は成績が優秀というわけではなかったのですが、たまたま体が大きかったため
部活道の柔道で、本当に偶然、県大会でBEST4に入りました。
その結果が大きく作用して、県内でも有数の進学校に入学することが出来ました。
うちの中学から、その高校に進学したのは、私と、(予想されているかもしれませんが)菜穂子の2人だけでした。
偶然にも、高1の時、私と菜穂子は同じクラスになりました。
3代に渡るお調子者家系に生まれた私は、すぐにクラスに溶け込み、また体が大きく全国的に強豪と言われる柔道部に入ったこともあり
クラスでも一目置かれる存在になっていました。しかし、同じ中学出身の
菜穂子はというと、、、中学時代のような皆にチヤホヤされる感じとは程遠い感じでした。
入学して1月経ったくらいでしょうか、、明らかに菜穂子はクラスで浮いた存在になっていました。
同じ中学出身者が、私(異性)しか居なかったことも原因であったと思います。
皆、最初は同じ中学の人で固まってグループになっていたから、出遅れてしまったのだと思います。
ある時、ある女子が菜穂子を”ヴィレッジャー”と呼んでいるのを耳にしました。
村出身であることを馬鹿にしているようでした。中学の時いつも元気で笑っていた菜穂子は、
いつも俯きかげんで、一人ぼっちでいるようになり、クラスで総スカン状態になっていました。
ある晴れた日、私は、教室の隅で、1人、弁当を広げる菜穂子に思い切って、声を掛けました。
「外で、飯一緒に食べない?」と、菜穂子は驚いたような表情になり、「いいの?」と言って
私の申し出を受け入れてくれました。それからは、毎日、一緒に弁当を食べたり、休み時間に話をするようになりました。
私と話をするようになったからという訳では、断じてないと思いますが、、、以前にも増して菜穂子は女子から総スカンになり
学校で話をするのは、完全に私だけ状態となってしまいました。
休み時間は、教室に居場所のない菜穂子のため、使っていない視聴覚室などの部屋や、屋上に続く階段など
あまり人と会わない場所で、2人で時間を潰していました。
あるとき、ふと菜穂子が、「圭ちゃん(私)が居るから、私、学校に行けるんだ?」とボソッと言いました。
私はそれを聞いて、行ける!と思ったのか、どうかは今は分かりませんが、、、菜穂子の肩を抱きよせてキスをしてみました。
予想外にも嫌がられはしませんでした。あの菜穂子にキスしてるんだ?と思うと
すごく興奮してきて、たまらなくなって私は、舌も入れてみようと試みました、しかし、歯を閉じられ完全に拒まれてしまいました。
それでも自分を押さえられず、今度は胸を触ろうとしました、しかし、これも酷く拒まれてしまいました。
このとき、私は何とも言えない衝撃を受け、悲しくなり「やっぱ、俺、不細工だから、キモイよね」と言って、
その場から逃げるように去りました。
その後、なんとなく気まずかったので、菜穂子に全く話しかけず、授業が終わってすぐに部活に行きました。
部活が終わって仲間と途中まで一緒に帰って、自分の最寄駅(無人)に着くと、菜穂子が待っていました。
菜穂子は心配そうに「キモイとかぜんぜん思ってないから」と言ってきました。
私は、悪い奴だな?と思いながらも、「話す気分じゃない」とか言って、無視して行こうとしました。
すると、菜穂子は、「ごめんね、ごめんね」とすがりつくようにしてきました。
私は、意識したわけではなかったのですが、駅の隅の人目に付かない場所に、いつの間にか来てしまっていることに気づきました。
私の中で悪い奴が目を覚まし、私は菜穂子を思い切り抱きしめました。
私の鼻腔に菜穂子の甘い香りが広がり、これだけでも堪りませんでしたが、菜穂子は抵抗するどころか、自分も抱きしめ返してきました。
これは!いけるか!と思い、私は菜穂子にキスをし、再び舌を入れようと試みました。今度は、予想通り、菜穂子は全く歯を閉じず、
舌を絡めかえしてきてお互いの唾液が行き来する状態になりました。
正直堪りませんでしたよ。中学校時代の奈緒子のことを思い出したりしながら、私は無我夢中で菜穂子の口内を味わいました。
すると、だんだん頭が冴えてきて、これは胸も行けるか!と思いました。
中学の頃から何度視線を向けたか分からない、憧れていたその胸に手を伸ばし
軽く持ち上げるように、揉んでみました。抵抗はないと予想していたのですが、菜穂子は手でガードしてきました。
私は少し残念な気持ちになったのと、少し試してみるか?という悪戯心から、
キスしていた唇を離して、菜穂子に言いました。「分かったよ、そんなに嫌なら、もうしないよ」そう言って帰ろうとしました。
(これは完全に演技です、本当はキスだけでももっとしていたかった)
すると予想通りの反応を菜穂子が示してくれました「ごめん、嫌じゃないよ、少し恥ずかしいだけ」と言ってきました。
私はそれを聞いて「恥ずかしいのは俺も同じだよ。これからもずっと一緒に居るから(この言葉、菜穂子が妙に好む)」と言いながら
菜穂子の胸に再び手を伸ばしました。今度は、菜穂子は顔を恥ずかしそうに背けただけで、全く抵抗はしてきませんでした。
私は天にも昇る気持ちでした。今、俺は、あの菜穂子の胸を自由にしているんだ、と。中学時代、菜穂子に告って撃沈したサッカー部の
イケメンモテ男、清水よ、ざまあみろ、と。そんなことを考えながら、菜穂子のさほど大きくはない胸を揉みしだきキスをしまくりました。
どのくらいそうしていたか分かりませんが、疲れて足がフラフラになるまで、菜穂子にキスしたり、胸を揉んだり尻を撫でたりをしていました。その日は、それでお終いでした。しかし、私は菜穂子の体が欲しくて欲しくて堪らなくなり、
翌日、菜穂子に「今日は部活休むから、うちに来ないか?」と誘ってみました。
無論、菜穂子を抱くためです。私の親は共働きだったので、放課後すぐに帰ると家に誰もいないのです。

菜穂子も私の目的を察したようで、一瞬躊躇した様子でしたが、「うん、行きたい」と答えてくれました。
その瞬間は、またまた天にも昇る気持ちでした。あと数時間もすれば、あの菜穂子が、自分の前で素っ裸になって
なんでもしてくれる、そう思うと興奮して授業など全く集中できませんでした。
しかし、そんなのは童貞の妄想であったと、、すぐに思い知りました。
家について、すぐに、菜穂子を抱きしめキスをしました。1分1秒でも惜しい感じに
菜穂子の唇を貪り、胸を揉みしだき、服を脱がせようとしました。
しかし、服を脱がせることは、どうしても、出来ませんでした。菜穂子が拒んだのです。ブラウスのボタンを外し、
白のブラジャーまでは拝ませてもらいました。でも、それだけでした。何度、裸を見せてと言っても泣きながら
それは嫌というばかりです。カーテンを閉めて部屋を真っ暗にするから、と言っても嫌がり続けました。
私は私を拒む菜穂子に苛立ち、強引に服を脱がせようとしました。
しかし、菜穂子は必死に抵抗し、その様子にたじろいだ私は、悲しい気持ちになり、結局、諦めました。
そして、愚かなことに「もう帰れ、お前なんか知らない!」と罵声を浴びせてしまいました。
菜穂子は服を纏めると急いで帰って行きました。あ?あ終わっちゃったか・・・という喪失感の様なものだけがその場に残りました。
私は翌日から菜穂子と話さなくなりました。それから3日くらい経った頃でしょうか、
菜穂子を嫌っている中心人物の島屋という女が私の席に来て「小島さんと喧嘩したの??」と菜穂子に見せ付けるように話しかけてきました。
私は、もう奈緒子とは終わったと思っていたので自棄になって、菜穂子の前で島屋と楽しそうに会話をしました。
その後も何度か島屋グループと親しそうに話をしたと思います。それからどれだけ経ったか分かりませんが、7月22日という日にちは覚えています。
神は私を見捨ててはいませんでした。
7月22日、私は菜穂子に呼び出されました。無視しようかとも思いましたが気になったので待ち合わせ場所(校庭の隅)に行きました。
私を見ると菜穂子は泣き出して「圭ちゃん、島屋さんと付き合うの?」と聞いてきました。全くそんなつもりはないし、
そんな話すら全くないので、呆気に取られていると、菜穂子は「この間はごめんね、お願いだから、もう一度だけチャンスを頂戴」「今日、圭ちゃん家に行きたい」と言い出しました。私は、マジかよ!どうなってるんだ!と思いながらも、この降って沸いたラッキーに感謝し、あっさり部活を休むことにしました。

2人で私の家まで一緒に帰り、家の中に入りましたが、前回と違い全くお互いに触れ合おうとはせずに、お互い緊張しながら
私の部屋まで行きました。私は、緊張しながらも、菜穂子のことを盗み見ました。やっぱり可愛いい、超可愛いい。と心の中で思いながら
思い切って切り出しました。本当にストレートに言いました。「裸が見たい」と。童貞の私はHをするよりも、菜穂子の裸が見たかったのです。中学の頃から、菜穂子の裸を夢見てきました。正直な話エロ本なども恥ずかしくて買えなかったため女の裸をまともに見たことなかったです。
私のその言葉に、菜穂子は一瞬びくっとしましたが、すぐに、手をブラウスのボタンに持って行き、外そうとしました。
しかし、中々進みません。私は思い切って、菜穂子の手をどかして、自分でブラウスのボタンを外そうとしました。
抵抗するかと思いましたが、菜穂子は全く抵抗せず、私にブラウスのボタンを外されていきました。
私はそんな菜穂子の姿に愛おしさを感じ、唇に軽くキスをして。「これからもずっと一緒にいるから」と菜穂子の好きな台詞を言いました。
菜穂子はそれを聞くと「本当に?、私のこと嫌いにならない?捨てない?」と言ってきました。
私は、すぐに「捨てない、ずっと一緒にいるよ」と言いながら、手を菜穂子の背中に回しブラのホックを外しました。
そして、ブラを上に捲り上げました。感動でした!ついにあの菜穂子のバストが目の前に露になりました。
私の手のひらで隠れるくらいの小振りな胸でした。恥ずかしそうに顔を背ける菜穂子の姿が堪りませんでした。
私は菜穂子に「これからはずっと一緒だよ。俺らもう家族みたいなもんだよ」と言い、改めて「菜穂子のこと全部見たい」と言ってみました。
菜穂子はそれを聞くと、無言で、脱ぎかけてたブラウスを脱ぎ、ブラジャーを完全に取り去りました。
私は心の中で、おおぉ!と歓声をあげ、食い入るように菜穂子を見ました。
次に菜穂子は靴下を脱ぎ、立ち上がるとスカートに手を掛け、一気に降ろしました。
ついにパンツ1枚だけになってしまった菜穂子でしたが、最後のパンツだけは脱ぐことを躊躇っているようでした。
私は、菜穂子に恥じらいが出てこないように、あえて話しかけていなかったのですが、躊躇っている菜穂子を見て、試しに
「島屋とは、もう2度と話をしないよ」と言ってみました。それを聞くと菜穂子は私の顔をちらっと見て、
パンツに手を掛け一気に降ろしました。慎ましいヘアが私の前に晒され、菜穂子はついに全裸になりました。
私は、菜穂子の体をもっとよく見ようと、菜穂子のそばに行き、腕を掴んで頭の上に挙げさせて
「もっと見ていい?」と聞いてみました。菜穂子は恥ずかしそうに「うん」と答えたので、
顔、腋の下、胸と・・菜穂子の体を至近距離でじっくり見ました。
アソコも見てみたいと思い、カーペットの上に寝転がらせ、足首を掴んで足を開かせようとしたのですが
足の力が強く、中々開きません。。緊張もあったと思います。
私は「島屋に明日はっきり言うよ、菜穂子も立ち会ってくれ」と(別に島屋に告られてもいないのに)言ってみました。
特に作戦だったわけではないのですが、それを聞くと菜穂子は、少し弾んだ声で「本当に?」と言い、
明らかに足首から力が抜けるのが分かりました。私は、その瞬間を逃さず、足首を掴んでいた両手に力を入れ思い切り開きました。
7月の良く晴れた日でした。
真夏の陽射しが差し込む明るい部屋で、、、菜穂子は真っ裸になって足を全開に広げ、私の前で自分の全てを晒しました。
私は、ずっと憧れていた美少女が恥ずかしさで全身をピンクに染めながら、体を広げている姿を見て、
悪戯心が芽生え、もっと辱めてみたいと思いました。私は開かれた菜穂子の両足を上方に徐々に上げて行きました。
ちょうど菜穂子の整った顔の下に、菜穂子の尻の穴がむき出しになるような格好にさせて、菜穂子の顔、アソコ、尻の穴を同時に
見比べました。菜穂子は自分のしているあまりに恥ずかしい格好に、顔をイヤイヤと横に振って必死に耐えているようでした。
私は、菜穂子のイヤイヤに合わせてヒクヒク動く尻の穴に着目し、人差し指でそっと撫でてみました。
すると、菜穂子が「っあん」と小さい声をあげました。私は興味本位に尻の穴の周りから秘部にかけて、人差し指で撫でました。
丁寧に丁寧になぞるように何度も何度も撫でていると、撫でている場所が湿っぽくなってきて、菜穂子も「あっあん、あんっ」と首を振りながら小声でかすかに
鳴く感じなりました。
私は、菜穂子の体を弄くり回していると、自分の股間が破裂しそうになっていることに気づきました。
しかも、恥ずかしながら漏らしたかのように、パンツが冷たく感じるようになっていました。
私は、菜穂子に「いいよね?」と聞きました。菜穂子はあっさり「うん、いいよ」と小さく返事をしてくれたので、すぐに服を脱いで
菜穂子の足の間に私の体を入れて、破裂しそうな私の股間を、菜穂子の股間に当てて、ゆっくり挿入して行きました。
この間、菜穂子は目を硬く閉じ、私の手を思い切り握り締めて痛みに耐えているかのようでした。
私は、菜穂子に、「大丈夫か?」と声を掛け、頭を撫でてやりながら、さらに奥に挿入して行きました。
なんともいえない感覚が私を襲って来て、私は我を忘れて、腰を動かしました。
これが、私の童貞喪失、菜穂子の処女喪失の瞬間でした。
その後、私は部活を辞め、学校が終わると、ほとんど毎日、菜穂子とHをするようになりました。
私の趣味なのか、初体験時のトラウマなのか、今でも、その傾向はあるのですが、家に着くと、必ず、まず一番に
菜穂子はオールヌードになって、明るい所で全て広げ、体の隅々までを私に見せました。
15歳から16歳にかけての菜穂子の体が成長していく過程を、私は毎日事細かに見ていたことになります。

そんな生活をしていたからか、だんだん菜穂子だけでなく、私までもクラスで孤立するようになり、
学校は完全に2人だけの世界になってしまいました。
そんな日々が半年くらい経つと、菜穂子の私への依存度が異常に増し、家でHをした後も、菜穂子は自宅に帰りたくないと
言うようになり、私と結ばれてから明るくなった菜穂子に安堵したご両親も簡単に外泊を許すようになったため
(といっても、まさか男の家に泊まっていることは知りません。女友達が出来て明るくなったと思っていたようです)
菜穂子と私は1日のほとんどを一緒に過ごすようになりました。

菜穂子の私への依存度に比べ、私はというと、
半年以上も、ほとんど毎日、菜穂子を抱いて、
学校でも家でも、やりたくなったら、菜穂子の体を好きなように抱くようになっていたので、
いくら滅多にいないような美少女であっても、さすがに飽きてきていました。
時が経つにつれ、私と菜穂子とのお互いに対する温度差はどんどん開いていったのです。

後で、知ったことですが、菜穂子は、私が部活を辞めたり、クラスで浮いてしまったのは、
全て自分のせいだと思って、責任を感じ、思いつめていたようです。

不安心理2

依然としてあの男から妻への連絡や接触は無い。
どうやら完全に妻のことは諦めたようだ、もっとも、このまま俺が何もしなければ、ほとぼりがさめた頃に再び接触してくる可能性は捨てきれないが。
妻は日に日に目に見えて精神的に安定してきている。
しかしビデオの回収の話を俺が持ち出すと、途端に人が変わってしまう。
頑なに「もういいでしょ、あいつだって馬鹿じゃないんだからあれを表に出したら自分だってただじゃ済まないことぐらい分かってるよ」
そう言って俺にもう忘れろと執拗に迫る。
俺はそんな妻の様子にどうしようもない不信感を感じ、何度か妻を問いただした。
「なあ○貴、ひょっとして俺にまだ言ってないことが何かあるのか?もしそうなら全て聞かせて欲しい」
その度に妻は「なんにも隠してることなんてないけど…だってあなた、あいつからビデオ回収したら見るでしょ?」
「それが嫌なの、いくら私が言った通りの内容だったとしても、あなた見ちゃったらまた落ち込んで荒れるでしょ?」
畳みかけるように妻は続ける。
「もうあいつのことは二人で忘れようよ、私はもうあいつのことなんて何とも思ってないから」
「私が愛してるのはあなただけ、今も、10年後も、その先もずっと私はあなたのそばにいる、それじゃダメなの?」
妻が言うことは恐らく正論で、正しいのだと思う。
あの男の亡霊に怯え、妻との関係にひびを入れるよりも、すっきりと忘れて明日を考えるべきなのだろう。

…しかし、何かが妙にひっかかる…
その思いが日増しに強まり、まるで抜けない棘かなにかのように俺を苦しめる。

その日の昼過ぎにA田から、例の2年前に短い期間あの男と付き合っていたという女性の話が聞けたという連絡があった。
俺たちは久しぶりに直接会って話すことにした。
いつもの、駅の近くのファミレスで待ち合わせると、約束の時間の5分ほど前にA田はやってきた。
A田は俺に「おまえやっぱ少し痩せたな、まあ仕方がねーよな、ダイエットには苦悩が一番かもな」などと軽口をたたきながら本題に入った。
その女性がまだA田や妻が通っていたのと同じ店舗に来ていたころに、A田とその女性は当然に面識があり、
お互いに会えば挨拶ぐらいはする間柄だったようだが、一応共通の女性の友人に間に入ってもらい3人で食事をしてきてくれたそうだ。
その女性は今は、近郊大都市の中心部にある店舗に通っているため、当然こちらの店舗の事情には詳しくないため、
A田は自分の知り合いの妹があの男から交際を申し込まれていて、相談を受けているというシチュエーションを創作して話を進めた。
女性は明るくあっけらかんとした性格らしく、かなり突っ込んだ話にも元気に答えてくれたようだ。
A田「…それでね、あんまりあの人のいい噂が聞こえてこなくてね、実際どんな人なの?」
女性「私も2カ月も付き合ってなかったからあんまりわかんないけど、でもはっきり言って、あれは絶対に止めたほうがいいと思うよ」
女性「強度のマザコンでね、お母さん死んでるからどうしようもないよ、一言で言えば気
持ち悪い、馬鹿だし」
女性「それにあれはれっきとした変態だから」
はっきりと侮蔑の表情を見せながら、半ば嘲笑するようにそう言い放つ女性に、笑いながらA田が突っ込む。
A田「変態って何?SMとか3Pとかそういうの?」
笑いながら女性が「それぐらいならやってみたい思ってる男は結構多いんじゃない?」
女性「あいつはね、なんて言えばいいのかな?もっと根が深いんだよね、付き合いきれな
い、無理、さすがに詳しいことは言わないけどね」

逆にその女性からA田は質問される
女性「あの馬鹿に付き合ってくれって言われてるのって20代の独身の子なんだよね?」
「…あの馬鹿にしちゃ珍しいな…あいつが大好きなのって30代の子供がいる人妻のは
ずなんだけどな…」
A田「…?」
女性「あの馬鹿はマザコンだからさ、あいつの母親が死んだ時がたしか30代の中盤なんだ
よね」
  「それであいつはその年代の人妻に異常な執着があるのね、気持ち悪いことに」
  「私には軽い気持ちだっただろうし、全く本気じゃなかったと思うよ」

その女性からA田が聞きだしてきてくれた情報は大体こんなところだった。
俺とA田はその情報について話し合った。
俺はその女性に「変態」と切り捨てられたあの男の性的な異常性が激しく気にかかる。
SMや3Pなどと言った行為を笑って話せる女性が言い淀むほどの根深いものとはいったいどんなおぞましいものなのだろう…
あの男のそのおぞましい性的な異常性と、俺ののど元に刺さったままの小さな抜けない棘は関係があるのだろうか…
残念ながら現時点では、俺にもA田にも全く想像すら出来ない。
妻を問い詰めたとして答えは得られるのだろうか…
俺は先日の妻のビデオをめぐるやり取りを話した。
A田は言った「回収はするべきだが、たとえ回収できたとしても、奥さんの言うとおりで、おまえは見ない方がいいと思うぞ」
「いくら内容を知ってたって、映像として見てしまえば絶対にトラウマになるような機がする…」
確かにA田の言うとおり、ビデオを手にしてしまえば、俺は見ずにはいられないだろう。
そしてその結果また激しく嫉妬して妻を責めてしまうと思う。
A田は回収には自分も立ち会い、俺に手渡すことなく自分が処分すると主張する。
恐らくそれが一番良いのだろうと思う、しかし…

あの男が強度のマザコンだという話は、妻が俺に語った内容からも十分に推測できる。
妻に対しての子供のように甘えた言動や、異常な執着も恐らくそこから来ているのだろう。
男の執着の対象は子供を持つ女性の「母性」そのものなのだろう、自分が母親から十分には与えてもらえなかったもの。
生きていた頃の母親の姿形に最も近い年代の、「子を持つ女性」を、自分の記憶に重ね合わせているのだろう。
哀れな男と言えなくもないが…

妻には、いまだに俺とA田があの男のことを調べていることは黙っているつもりだったが、
家に帰り、娘が眠って、妻と二人だけになると結局聞かずにはいられなかった。
俺がA田から聞いた例の女性の話をすると妻は、あの男の異常な性癖についての話には、
「私は知らない、全然気がつかなかった」と淡々と一言話しただけで、頑としてそれ以上話そうとしない。
普段見たこともない、その妻の冷淡な無言の拒絶に俺は戸惑うばかり…
結局それ以上俺は何も言えない、しかし妻はあの男の強度のマザコンの話については色々なエピソードを話してくれた。

「…そうだよね、あいつはマザコンだったんだよね、それも強烈なね
 私が細かいことで世話を焼いたりすると、“イエス、マーム”とか言っちゃ
ってすごい嬉しそうなんだよね、膝枕で耳掃除がすごい好きでさ…
母親の生前の写真が30枚ぐらいしか残ってないみたいだけど
豪華なアルバムに入れて大事にしまってあってね、あいつの宝物みたいだよ
頼んでもいないのに何度も見せられた
年は私ぐらいかな?少し影がある感じだけど、ほっそりしてて綺麗な人だよ」

あっけらかんと、憎からぬ様子でそう語る妻に俺は苛立ちを隠せない。
そんな俺の様子に気がついた妻は、急に黙りこむ。
そして、しばらく間の気まずい沈黙の後で妻が言った。
「…もう忘れようって私が言ってもあなたは忘れてくれないんだね…」
○貴、出来ることなら俺だって全て忘れたいさ、心の中で俺はつぶやいた。
翌朝から妻の様子が少し変わった。
ふとした瞬間に、何か考え込んでいるような表情を見せることがある。

俺は会社帰りに時間があると、あの男のマンションの前の古びた喫茶店に寄る。
いつもの窓側の席でただボーっと男のマンションの正面玄関と駐車場を見ている。
男は部屋にいる時もあれば、いない時もある。
出入りするあの男を見たことはあの日以降では一日もない。
俺も、見張っていたところで何かが掴める可能性がほとんど無いことは頭では分かっている。
ただ、そこでボーっと見張っていると何故か心が落ち着く。

土曜日の午前に会社の後輩の結婚式があった。
妻は久々に娘をつれて、俺のマンションから車で30分ほどのところにある実家に出かけると言っていた。
夕方の6時ごろには帰ってくる予定で。
神父の前で厳かに永遠の愛を誓う後輩達の様子や、披露宴会場の華やいだ空気の中で、俺の心は沈み、なんともいえない寂しさを感じていた。
こんな瞬間が俺と妻にもあった、ただ…
寂しい瞬間だった、どうしようもなく、祝辞を述べる関係になかったことが幸いだった。

2時過ぎに披露宴が終わり俺は家路についた。
しかし今帰っても、妻と娘は妻の実家に行っているので誰もいない。
俺は地元駅に着くと、そのままあの男のマンションの前のいつもの喫茶店に向かった。

その日は男は出かけているようで、駐車場にあの男のシルバーのメルセデスは止まっていない。
俺が煮詰まって少し焦げ臭い感じのコーヒーをすすりながら新聞を読んでいると、
突然視界の端から、一瞬妻に似た女の後姿が、足早にマンションの正面玄関に入っていくのが見えた。
油断していたこともあり、はっきりとはわからなかったが、背格好や髪型、雰囲気が妻に酷似しているような気がした。
俺はにわかに緊張した。
男は部屋にはいない、あれが妻だったとしたらいったい何をしにきたんだ?
男の部屋の合鍵を持っているということか?いまだに?疑問符だらけだ。
あの男と俺に隠れてまだ続いていて、会いにきた?
それも不自然な感じがする、しかしこの後男が帰ってくればそういうことになる。

俺の頭が、結婚式の披露宴で飲んだアルコールのせいで少し緩んでいる状態からにわかに急回転し始め、全力で答えを求めた。
事件発覚後の俺と妻の苦悩の再構築の日々はなんだったのか?
もしもまだあの男と続いているのなら、到底俺は許せない。
湧き上がる怒りと、喪失感、恐怖で俺の心臓が激しく動悸する。
あの男が帰ってきたら俺はもう我慢を止める、男に詰め寄り妻を呼び出してケリをつける。
それしかない、もう無理だ。
俺がそう決心した矢先、現れた時と同じように唐突にマンションの正面玄関から先ほどの女が出てきた。
今度はきちんと確認できた、間違いなく妻だった。
妻は手ぶらで、あたりをさりげなく警戒するようにして出てくると、普段見せたことの無い険しい表情で足早に去っていった。
妻が男のマンションに入ってから出てくるまでおよそ10分少々。
妻は男の留守に勝手に上がりこんでいったい何をやっていた?
それに出入りの時のあの険しいただ事でない様子はどういうことだ?
ピンと来た、恐らくはあのビデオだろう。
妻はあれを密かに回収に来たのではないか?
それしか考えられない、
俺とA田がビデオの回収を諦めていないことを前日に知った妻が、先回りして回収しようと今日男の留守宅に勝手に上がりこんだ。
そういうことなのだろう。

妻の姿が消えて10分ほどしてから俺は喫茶店を出た。
駅に戻り自宅へ向かうバスに揺られながら俺は、妻のこの突然の大胆な行動の理由を考え続けた。
ここまでしてでも俺に見られたくないもの、あのビデオにはいったい何が映っているのか?
昨夜、男の性的な異常性についての話の時の妻の驚くほどの淡白な無反応。
○貴、おまえはいったい何をされた?何をした?
気になりだしたらそれこそきりが無く、俺はある種の得体の知れない気持悪さをどうすることも出来なかった。
そして妻は、今日男のマンションで目的のビデオを無事に回収したのだろうか?
そのビデオを男がどういう状態で保存していたのかが不明なのでなんとも言えない。
妻はマンションから出てきた時に手ぶらだった。
しかしそのビデオがポケットに収まるサイズのものだったとしたら持っていた可能性も捨てきれない。
わからないことだらけだ…
ただこれだけは分かる、俺は妻に今日の話を聞くことは出来ないし、妻も正直に話すことはありえないだろう。

午後5時過ぎに妻は娘と一緒に帰ってきた。
ジーンズに細かいストライプのシャツ、羽織った黒のカーディガン、やはり間違いなくあれは妻だった。
妻の様子は俺が朝出かけた時と別段変化は無く、「お嫁さんどんな人だった?」などと聞きながら
俺が結婚式で貰ってきた引き出物を娘と二人で広げていた。
娘にせがまれて入っていたバームクーヘンを切り分けて皿に盛り、娘にはジュース、俺と自分にはコーヒーを入れた。
俺は「ビデオは回収出来たのか?」と聞きたくてたまらない欲求を抑えるのに苦労した。

もしもストレートに聞いた場合に妻はどう答えるだろう?
もしも今日妻があの男の部屋から回収していれば、当然にもう処分しているだろう。
そして妻はありのまま正直にそう答えるのではないか?
それならばそれである意味では問題は解決する。
ビデオの内容は永久に闇の中で、俺がそれを知る機会は永久にこない。
それならばそれでいい、綺麗さっぱりあの男ごと忘れてしまえばいいのではないか?
しかし妻がもしも回収出来ていなかったとすればどうなるだろう?
恐らくその場合も妻はこう言うのではないだろうか?
「無事に取り戻してもう処分したから大丈夫」
やはり妻には今日のことは話せない、妻が今日回収していないことを前提に進めるしかない。
あの男の手元にビデオが残る事態だけは避けなければならない。
こんなことを考えながら、皿に乗ったバームクーヘンを口にすることなく弄んでいる俺に妻が「どうしたの?何考えてるの」と聞いてきた。
俺ははっとして我に帰り、無理やりに愛想笑いをして「いや、なんでもないよ」と曖昧に誤魔化す。
これからは妻に状況を話せなくなった、いきなり何も話さないのも怪しまれるだろう。
何気なく興味を失っていく姿を演じなければならない。

妻に対する大きな疑心暗鬼と、妻があの男にいったい何をされたのかという疑問、
そしてその忌まわしい想像がもたらす恐怖に、俺の精神は徐々に蝕まれてきている。
毎晩妻を問いただしたい欲求が膨らんでいき、何も言わない妻をどんどん信じられなくなっていった。
しかしその、俺にとっての出口の見えない精神の迷路は、A田からの電話によって、唐突に終わりを告げる。
その日のA田は最初から緊迫していた。
大至急会って話したいことがあると言う。
俺は夕方仕事を終えると、待ち合わせの、駅そばのいつものファミレスに向かった。
A田の言葉少なに緊張した様子が気にかかる、間違いなく良くない知らせだろう。
時間通りにファミレスの入り口に現れたA田は足早に俺の席に向って歩いてくる。
席に座ると、険しい表情で開口一番「ちょっと、嫌な話が出てきた…」と言い難そうに話しを始めた。
その日の昼休みにA田は例の、今年の2月までスポクラに来ていて、あの男と仲が良かった20代の男性会員に会って話を聞いてきてくれた。
(A田と男性会員の勤務先は共に近郊大都市中心部にあり、徒歩圏内の至近距離にある)
A田は例によって、自分の知り合いの妹があの男から交際を申し込まれていて、自分が相談を受けているという設定で話を進める。
その男性は始めのうち、核心部分については話したがらなかったようだが、A田に頼みこまれてしぶしぶ話してくれたそうだ。
仮にその男性を○本とする。
あの男と○本とは、ある人気インストラクターのプログラムで毎週一緒になっていて、次第に話しをするようになる。
そのうちに○本はあの男に誘われる形で、一緒にその人気インストラクターを追っかけて別の店舗のプログラムにも参加するようになる。
しだいに関係は深まっていき、スポクラの帰りなどにちょくちょく近所の居酒屋などで一緒に飲むような関係になった頃に、
あの男はその当時付き合っていた、30代後半の麻○という名の美人人妻を同席させるようになる。

そして彼らはスポクラの内外で、しだいに3人での行動が増えていくようになる。
○本はもちろんあの男とその人妻の噂は知っていたし、交際しているという話はそれまでにあの男の口から直接聞いて知っていた。
しかし、勝気だが、細身でスタイル抜群のその美人妻は男性会員達の話題に上ることも多く、彼女がいない○本は3人での行動が内心楽しかったそうだ。
あの男は、○本と二人の時に麻○という人妻の体やSEXについて詳細な話をしていたようだ。
○本は、身近な美人妻のリアルなSEXの話にずいぶん興奮したと言っていた。

そして年が変わり、今年の1月が始まり、○本とあの男がスポクラの帰りに居酒屋で新年会と称して飲んでいた時に、あの男がある提案をする。
あの男を仮に○川とする。

○川「○本君さ、麻○を抱きたくない?」
○本「えええ?何言ってるんですか、そりゃああれだけ綺麗な人ですからしたいに決まってますけど(笑)」
○川「じゃあ抱かせてやるよ、麻○も○本君ならいいって言ってるよ?」
○本「3Pとかってことですか?…ちょっと待ってくださいよ…」
○川「違う違う、そういうのじゃなくてね、俺の部屋に麻○を呼んでおくから、○本君が麻○を一人で好きなように抱けばいいんだよ」
○本「えええええ、だって麻○さんは○川さんの彼女でしょ?」
○川「俺と麻○はそんなヘビーな関係と違うから、それに俺にも麻○にもいい刺激になるんだよ」
○川「○本君も大人にんればわかるよ(笑)、麻○って旨そうな体してるだろ?気が強いけどあの時は可愛い声出すよ」
その時に○本は、興奮と緊張で喉がカラカラになり、頭がグラグラしたと言っていた。
あの男に押し込まれるような形でその夜○本は、何がなんだかわからないうちに承諾させられる。
○本「…でも、麻○さん本当にいいんですか…」
○川「大丈夫、大丈夫、麻○は何度かやってて慣れてるから、それに俺も寝室のドアを少し開けてこっそり見てるから」

その日以降○本は、自分がほのかな思いをよせていた、美しい人妻を抱きたいという欲望と、自分の中の倫理観や罪悪感との間で激しく心が乱れていく。
身近に接してきたからこそ妄想が膨らみ、その日以降麻○と顔を合わせる度に何度も激しい欲望を感じるようになる。
しかし結果的には○本はその話を断る、約束の日が近づくにつれ、次第に○本が生まれ持った倫理観や常識が顔を出し始める。
彼が言うには、一番大きな理由は麻○という名のその女性が人妻であったことだったらしい。
あの男は麻○のただの浮気相手に過ぎず、麻○には家庭があり、夫がおり、娘がいること。
それを考えた時に、○本の頭の中で何かの危険信号が灯り、我に返る、巻き込まれてはいけない、こんな人間達に係わってはいけない。
そして、そんな異常な行為が平気で出来る麻○という人妻のことを、それまでと同じように、ある種の憧れの対象として見られなくなっていく。
そして○本はフェードアウトするようにあの男と麻○という名の人妻の前から姿を消した。
最後に○本はこう締めくくる、「結局俺はまだ綺麗な女性に夢見たいんですよ、そんなシビアな現実は見たくなかったです」
「とか言いながら、惜しかったな?なんて思いもいまだに感じますけどねヘヘヘ」
「年は離れてるけどあんなにいつもきちんとしてる綺麗な人知りませんから、でもなんかがっかりしました」

○本という男性の話を終えるとA田は回りくどい言い方で俺に言った。
「この話はあくまでその人妻の話で、まあ○貴さんに限ってそんなことは無いと思う…」
「ただその人妻がどうしようもない女だたって話しかもしれん」
「この話だけで○貴さんのことを判断するな、男も女も付き合う相手によってその関係は全然違うものになるんだよ」
「俺のこの話だけで短慮は止めろいいな?俺はもう少し探るから待て」
沈痛な面持ちでやっとそう言うA田に俺は礼をいい、ファミレスを後にする。

しかし俺はそのまま駅ではなく、あの男のマンションに向った。
ファミレスから男のマンションまでの道のりは一瞬だったような気がする。
俺はもうこんなどうにも出口のない牢獄に囚われ、徐々に精神が蝕まれていくことに到底耐えられない。
今夜様々な疑問や苦しみにケリをつける、もう俺に残された僅かな精神のかけらを維持するにはそれしかなかった。
男のマンションの前につくと俺は、端から3番目の男の駐車場を確認する。
メルセデスは止まっていない、あの男はいないようだ。
俺はいつもの古びた喫茶店にはいるとコーヒーを注文した、代金は先に払っておく。
全く味のしないコーヒーを時折喉に流し込んでいて、様々な最悪な妄想に襲われ気が狂うかと思い始めて、
しかしそれから俺が2時間の心の地獄を経験し、耐えられなくなる寸前に、駐車場にあの男のメルセデスが入ってきた。
俺は急いで喫茶店を出ると、足早にマンションの正面玄関に向かう、入り口の数メートル手前で、男の斜め後ろから呼び止めた。

「○川さん」
男は反射的に俺の方に振り返り、怪訝な表情で俺を見つめる。
「俺は○貴の夫です…」
男の端正な二重の瞼がわずかにピクリと反応する、次の瞬間男は大きく眼を見開き絶句する。
俺が構わず「…どうします?ここで話しますか?」と投げかけると、男は諦めたようにガクっと肩を落とし
「…いえ…どうぞ…」と言うとマンションの中に入っていく。
俺とあの男は無言のままエレベーターに乗ると、8階の男の部屋に向う。
リビングの応接セットのソファーを俺に進めると男は、あの男は仕方がなさそうに土下座する。
「とりあえずお詫びします、申し訳ありませんで…」
俺は最後まで言わせなかった、「とりあえず」その男の一言で俺は完全にキレた。
土下座している男の頭を思いっきり蹴りあげた、男は仰向けにひっくり返る。
俺は近づいていき、頭といわず腹といわずところ構わず何度も何度も蹴った。
男に馬乗りになると両手の拳で男の顔面を滅多打ちにした。
鼻や唇、目じりや目の上から大量の血を流しながら、男は必死で「すいません、すいません、ごめんなさい、許してください」と泣きながら懇願する。
それでも俺は殴り続ける、男が何も言わなくなるまで。
俺はそれまでの人生で何度か殴り合いの喧嘩をしたことがある。
ただこの瞬間の俺は、生まれて初めて相手を殺しても構わないと思って殴った。
自分にこれほどの仮借のない暴力性があったことに自分自身でで驚いた。
やがて男がぐったりして何も言わなくなると俺は男から離れた。
しかし次の瞬間に再び衝動的な殺意に襲われ、男に近づくと思いっきり腹を蹴った。
男は「ウグッ」と呻いて胃液か何かを吐いていた。
俺はソファーに倒れ込むようにして座ると、殺意が鎮まるのを待った。
両手の拳が激しく痛む、へたしたら骨折ぐらいしているかも知れない。
男は苦しそうに呻き、泣いている。

どれぐらいそうして座り込んでいただろう?ようやく俺を取り巻いていた怒りの赤い靄のようなものが俺の頭から消えると、俺は男に聞いた。
「ビデオはどこにある?」
男はビクッとして血まみれの顔を俺の方に向ける。
俺はゆっくりと繰り返す
「俺の妻を映したいやらしいビデオはどこにある?」
まだ俺の質問の意味が理解できない様子の男の頬ほ平手で何度かはたいた。
俺の質問内容をようやく理解したらしい男が怯えて震えながら答える。
「…ベッドの下に…」
俺が男の寝室のベッドのマットを力づくでひっくり返すと、中ほどにDVDラックがあり、20枚弱のDVDがケースに入れて保管してあった。
ケースには麻○や恵○と言った名前が書き込んであり、○貴と書かれたものも4枚あった。
俺はそれを全て男の部屋のキッチンで見つけた45リットルのごみ袋に詰め込んだ。
その後俺は男から携帯を取り上げて、たたき割った上で、前日の残り湯が張ってあったバスタブに放り込んだ。
そして男の部屋を家探しして見つけた、男のパソコンとビデオカメラも、同様に破壊した上ででバスタブに沈めた。
男はショック状態で、俺が何をしていても、完全に無反応だった。
そして、帰ろうとしていた俺の眼にあるものが飛び込んできた。
それは、リビングの大画面TVの下のラックに置いてある豪華なアルバムだった。
豪華なアルバム、それに俺は反応する。

先日の妻の言葉が脳裏に浮かぶ。

「母親の生前の写真が30枚ぐらいしか残ってないみたいだけど
豪華なアルバムに入れて大事にしまってあってね、あいつの宝物みたいだよ」

俺がそのアルバムを手に取り、開いてみると、30代と思しき影のある、儚げな細身の女性が映っていた。
今とは時代が違う髪型や服装の、その異常に病的に色白のその女性は、一人であったり、小学生の男の子供と一緒であったり、あるいは家族であったり。
しかしどの写真を見てもその女性は暗い思いつめた表情をしていた。
おおよそ30枚ほどのそのアルバムの写真を見終えると俺は、1枚づつ取り出して、男の眼の前で破いていく。
最初、海老のように丸まって、ショック状態だった男は、俺が何をしているのか気がつくと、ばね仕掛けの人形のように突然跳ね起き、
「…なにしてんだよ…止めろおおお!」と絶叫して俺に向ってきた。
俺は再び男が抵抗しなくなるまで殴る。
そして男の母親の写真を1枚づつ丁寧に破いていく。
男は再び泣き叫びながらまた向ってくる。
そして俺はまた抵抗しなくなるまで男を殴る。
何度かそれを繰り返すと、男は土下座しながら振り絞るような声で懇願し始めた。
「お願いします、それだけは止めてよ、お願いだから、なんでもします、いくらでも払いますから、やめて、母さんを殺さないで、お願いだから」
「…許してください、お願いします…なんでもします…許して、もう止めて」
悲痛な男の叫びが室内に響き渡る、しかし必死で懇願する男の眼の前で、俺は機械的に写真を破いていく。
俺は全ての写真を破り終えると、ゴミ袋に入れたDVDを手に、男のマンションを後にした。
俺が最後に男の部屋で見た光景は、びりびりに破られた写真をかき集め、胸に抱きしめるようにして号泣している男の後ろ姿だった。
人がこれほど悲しく泣けるのかと思えるぐらいに男は泣いていた。
その男の後ろ姿を見て俺は思った、死ねよゴミ、殺してやろうか?

俺の白にグレーのストライプのワイシャツの胸のあたりは、あの男の返り血が点々と飛び散っていている上に、
両手の拳は、その頃になると紫色がかってきていて、とてもバスには乗れそうもない。
仕方なく駅前でタクシーを拾い家に向った。
タクシーの運転手は、明らかに不審そうな様子を見せていたが、俺の尋常でない様子にあえて何も言わなかった。

家に着いた時には、すでに9時を回っていた。
俺を玄関に出迎えた妻は、一目で事態を察したようだった。
一瞬で顔色が蒼白に変わり、俺が右手に持っていたDVDの入ったゴミ袋を指差して言う
「それを渡して」ためらう俺に、妻は一歩前にでて強く迫る「それを渡して、私が処分するから」そして手を伸ばし、俺から奪い取ろうとする。
俺が反射的に奪われないようにすると、眦を決してキッと俺を睨みつけて妻は言う。
「そのビデオは私があなたに言った通りの内容しか映ってないから、あなたは見なくていいの!渡して」
「…見たらもう戻れなくなるよ、全部ダメになっちゃう…あなたはそれでいいの?」
俺の体から力が抜ける、そして俺はそのゴミ袋を妻に差し出した。
妻の瞳から大粒の涙が数滴滴ると、俺に激しく抱きついてきた。
「ありがとう……ごめんなさい…」
妻は○貴と書かれたDVDケースの中身を、電話帳の上に載せ、金づちとドライバーで、執拗な執念で粉々になるまで叩いていた。
静まり返った深夜のリビングに、ガツッ、ガツッという、妻がDVDをたたき割る音が無機質に響いていた。

俺の両手の拳はいよいよ紫色にはれ上がり、どうしようも無い状態になっていた。
明日は会社に遅刻の電話を入れて、病院に行くしかない、多分骨折しているだろう。
激しい痛みをこらえて、しかしそれでも風呂に入った俺の両手の拳の応急手当てを済ませた妻は、激しく俺を求める。
反応しない俺を、必死で咥え、舐め、しゃぶる、舌を絡めてキスをし、乳房を押しつける。
長い時間そうしていて、少しだけ固くなった俺に自分が上になり、無理やりに入れると、激しく腰を使う。
何かに憑かれたように激しくあえぐ妻、やがて俺が妻の中に射精すると、最後の一滴まで搾り出すように腰をゆっくりと使う。
そうしてようやく妻は安心した様子で、俺の腕の中で思いっきり甘える。
何度も舌を絡めてキスをして、俺の瞼は目じり、乳首や首筋にねっとりとしたキスをした後で妻が言った、
「フフフ、すごいいっぱい出たね、凄い入れしい、あのね、今日はね、可能性高い日だから、二人目出来てるといいね」
嬉しそうに俺に甘える妻を左腕に抱きながら俺は考えていた。
俺は、タクシーの車内で知美と書かれたDVDケースに入れ替えてある、鞄の中の妻のDVDの内容が激しく気になった。

その夜、俺は全く眠れなかった、妻も眠れない様子だったが、午前2時を過ぎたあたりで眠りに落ちたようだった。
俺の頭の中で、見れば戻れない、終わりになると言う妻の言葉が何度も浮かんでは消えた。
もうすでに過去の出来事であり、今更どうすることも出来ない事実など、知らなくてもいいじゃないかと何度も自分に言い聞かせる。
しかし俺は結局知りたい欲望に負ける。
午前4時を回ったところで、俺は苛立ちと焦燥感でどうにもならなくなり、妻を起こさないように、そっとベッドから抜け出す。
寝室のドアを閉め、リビングに向うと、鞄の中から4枚ある妻のDVDを取り出した。
しかしそこでまた、俺の中に迷いと躊躇いが生まれる。
妻がしたように、俺もその4枚のDVDを粉々に破壊することが一番いいのではないか?
しかしそれで本当に良いのか?それだと俺はこの先一生抜けない棘が刺さったままで妻と生きていかなければならない。
全てを知った上で妻を許し、受け入れなければ今回の問題は終わったことにならないのではないか?
しかしもし許せない内容がそのDVDに収められていたらどうなる?
妻は、見れば戻れない、終わってしまうと言っている。
答えなど決して出ない問題を俺は延々と考え続け、そして最後に疲れてしまった。
考えることに疲れ切ってしまった俺は、半ば機械的にPCに1枚目のDVDをセットした。
1枚目のDVDは妻の自慰の映像だった、ただしそれは妻が自分で言っていた内容とはかなりの違いがあった。
まず、それは妻が言っていたのとは違い、携帯ではなくて、ビデオカメラで撮影されたものだった。

DVDは、あの男のマンションの寝室のベッドに腰かけた、妻の全身映像から始まる。
白い体にフィットしたTシャツに、デニムのミディアム丈のスカート姿の妻が俯いている。
やがて妻はカメラのレンズを見ないようにしながら、Tシャツを脱ぐ。
そしてスカートを脱ぐと下着だけになった、背中を向けながらしばしの躊躇いを見せていた妻はやがて、背中のブラジャーのホックを外す。
両腕から肩ひもを抜くと、ベッドの端に外したブラジャーを置く。
背中を向けたまま立ち上がり、両手でショーツを脱いでいく。
カメラに裸の尻を晒し、全裸になった妻はそのままベッドに横たわる。
カメラが回り込み、妻の全身を捉えようとすると反射的に妻は、両足を寄り合わせ、片方の腕で胸を、もう片方の手で顔を隠す。
男の声が苛立ったように手をどけろと言っている、躊躇しながらやがて妻は両手をどけて、諦めたように全てを見せる。
男の声は足を広げろと言っている、おずおずと足を広げる妻に男はもっと広げろと命じる。
結局妻は左右の足を大きくM字型に広げさせられる。
カメラはじっと目を閉じている妻の顔のアップ、乳房のアップ、そして妻の秘部のアップへと移っていく。

妻の睫がふるふると震えている。
ひとしきりアップを撮り終えると男は、妻に自分の指で秘部を広げろと命じる。
躊躇い、従わない妻に男は苛立ちやれと怒鳴る、妻は悲しそうに、諦めた様子で従う。
カメラに向って、自分の両手で秘部を広げて見せる妻に男は、もっと広げろと命じる。
限界まで広げられた妻の秘部をカメラに収めた男は、妻に言う、「じゃあ始めて」
妻は両足をM字に開いたままの状態で、左手で左の乳首を摘むように弄りながら、もう片方の手でクリトリスを弄る。
しかし数分間そうしていても、妻が感じている様子は無い。
イクところを見せろと何度も命じても、無理な妻の様子に、やがて男は20センチほどの電動のマッサージ器のスイッチを入れて手渡す。
妻は男に渡されたマッサージ器をクリトリスに軽く押し当てる、妻はほんの1分ほどであっけないほど簡単に、ウッっと小さく呻き、
足と腰を2度ほどビクビクと痙攣させ、ギュッと固く目を瞑り逝ってしまった。
男は逝った直後の妻にまた、広げろと命じる。
さすがに妻は躊躇いをみせるが、再び男に広げろと強い口調で命じられると、諦めたようにおずおずと秘部をカメラの前に広げて見せる。
男は少し湿り気を帯びた妻の入り口を男はしつこくアップで映し、フェードバックするようにカメラを引き、妻の全身の映像で終了する。

正直に言って俺は、このDVDの内容に怒りを覚えたし、また激しく動揺もした。
しかし妻の自己申告よりは遥かにいやらしい内容ではあっても、基本的には妻が言っていたことと大差が無いとも言える。
何よりも妻の、というか、妻しか映っていないことで、ある意味ではまだ俺は大丈夫だった。
2枚目のDVDを見るまでは。

2枚目のDVDはやはり男の寝室のベッドの上で、紺の半袖のブラウスに薄いピンクのタイトスカートをはいた妻が横たわっているところから始まった。
映像は少し離れた場所からの固定アングルだが時々ブレているので男が手で持って撮影しているものと思われる。
簡単に言えば、隠し撮りのような感じの映像だ。
カメラの視界の外から突然40代と思しき中肉中背のメガネをかけた男が現れ、ベッドの妻に近づいていく。
ベッドの上で無言で無反応、人形のようにただじっと横たわる妻に近づくと男は、キスをしながら洋服の上から妻の胸や太ももを揉みしだく。
妻のタイトスカートの中に手を入れて、ショーツとパンストの上から股間をまさぐっていた男が、やがて興奮した様子で妻のブラウスのボタンを外しにかかる。
男は不器用な手つきでブラウスのボタンを全部外して脱がすと、妻を少し横向きにしてブラジャーを外した。
妻は何も言わず、人形のようにされるがまま。
男は妻の乳房を揉みしだき、乳首を弄る、妻の口から耳、脇や首筋に舌を這わせ、執拗に乳首を吸い、舐めまわす。
妻の胸を散々楽しむと男は、妻のタイトスカートのホックを外し、ジッパーを下げる。
腰のあたりに手を差し入れてスカートをずり下げるようにして脱がすと、さらにパンストを破かないように注意しながら脱がす。

男はショーツの上から、妻の秘部をしばらく弄んだ後で、妻のショーツをずりおろし全裸にする。
男は自分もベルトをはずし、スーツのズボンを脱ぎ、全裸になる。
男は妻に覆いかぶさるようにして、再び妻にキスをして乳首を口に含む。
妻の両足を開かせると、右手で秘部を広げて弄る。
妻が、男に膣の中に指を入れられた瞬間に一瞬苦痛の表情を浮かべたのが分かった。
全く濡れていないのだろう。
そのうち男は妻の両足をM字の形に折り曲げて、太ももに何箇所もキスをすると、両手で妻の秘部を広げて執拗に吸い、舌を使い舐めまわす。
しばらくそうした後で男は、自分のペニスを妻の顔の方に持っていき、フェラチオを促すが、妻は全く無反応で応じない。
諦めた男は再び妻の両足を抱え上げて、自分のペニスで妻の入り口を押し広げるようにこすりつけると、一気に妻の中に挿入した。
その瞬間に妻は、今度ははっきりと苦痛の表情を浮かべ、初めてウッと声を上げた。
男は「ごめんね、痛かった?」と妻に声を掛けるが、妻は無反応。
音声は、男に突かれ揺すられながら一切声を出さない妻の代わりに、ぎしぎしと僅かな軋みを上げるベッドと、撮影しているあの男の少し荒い息遣いしか拾っていない。
やがて男の腰使いが早まり、男は妻の腹の上に射精する。
男はティッシュで自分の後始末をすると、妻に背中を見せ、そそくさと身支度を始める。
男が再びカメラの視界から消えるとレンズは、男に腹の上に射精されたままじっと動かない妻だけを映し出す。
妻の肩がわずかに震えている、距離があるのではっきりとは分からないが、どうやら妻は泣いているようだ。
そこで映像は終了する。

3枚目のDVDも男がもう少し若く30代の中盤であることと、妻が着ている洋服が違うぐらいで、内容はほぼ同じ。
空虚な人形のように無反応な妻を、男が好きなように弄び、抱くだけ。
ただ唯一の違いは、終わった後に妻に泣いている様子が見られなくなったことぐらいだ。

4枚目のDVDは、妻の服装が長袖に変わったことと、髪型からかなり最近に撮られたものであることが窺い知れる。
男はまた別の男で50歳手前ぐらい、妻は相変わらず空虚で無反応だが、このDVDで妻は、
相手の男の要求どおりに機械的にフェラチオをしている。
また、男のなすがままに、四つん這いになりバックで抱かれている。
男の上に乗せられ、騎乗位で機械的ではあるが自分で腰を揺すっている。
だからと言って感じている様子などは微塵も無いが…

俺は全てのDVDを見終えると、怒りでは無く、とてつもない疲労感と虚脱感に襲われて天を仰ぎ、放心してしまった。
あまりに理解できない状況に直面して何をどう考えればいいのか全く分からなくなった。
どの映像からも、妻が積極的にやっている様子や、喜んでいる様子は全く見られない。
はっきり言えば嫌々、無理やりにやらされているようにしか見えない。
なんだこれは?妻はあの男に脅されて無理やりに売春をさせられていた。
そう考えることが一番自然のようにも思われる、しかし…
そもそもあの男は金には困っていない。
嫌がる妻に無理やり売春をさせて小銭を稼ぐ必要など無いはずだ。
俺の頭の中に先日のA田の話が蘇る「あの男の性的な異常性」の話が蘇る。
俺の頭の中で何かが形をなそうとした瞬間に俺は背後に人の気配を感じ、振り返った。

幽鬼のように蒼白な表情を浮かべた妻が立っていた。
妻は振り返った俺に、それまでに聞いたことも無いような低く掠れた声で言う。
「…見ちゃったんだね…、あれほど見ないでって頼んだのに…」
そして、無理やりにほほ笑むと続けた
「ほら、言ったとおりでしょ、もう終わりだよね、私を許せるはずがないでしょ?」
そう言うと背中を向けて、ふらふらと玄関に向う妻を俺は呼び止める。
「○貴、待て、待ってくれ、なんだこれは?どういうことか説明してくれ」
立ち止り、俺の方に振り返って妻が言う。
「どういうことかって?あなたが見たまんまだよ、私はあの男以外にも一度も会ったことすら無かった3人の男達におもちゃにされて抱かれた、それだけ…」
俺はさらに
「おまえが嫌々だったことは映像からわかる、いったい何があったんだ?ちゃんと説明してくれ!」
必死でそう迫る俺に、妻はしばらく俯いていたが、やがて頭を上げるとフラフラとした足取りで俺の前に座る。
そして妻の長い話が始まった。

○川の母親は、夫を交通事故で亡くした後、小学校6年だったあの男を残し33歳の若さで自殺する。
もともと、○川の父親が存命中から夫の両親と不仲だった彼女と義理の両親の関係は、夫の死によって決定的に悪化していく。
大きなストレスの中で、躁鬱の気があった彼女の心はどんどん壊れて行ったようで、次第に行動が破滅的になっていく。
○川の世話をほとんど放棄するようになり、どうでも良い男をとっかえひっかえしては溺れていく。
美しい○川の母は、男に不自由することは無かったようだ。
やがて、義理の親の不在の度に男を家に引っ張り込むようになる。
ある時小学校が短縮授業でいつもより早く終わった○川が家に帰ると、母親の部屋からなにやらくぐもった声が聞こえてくる。
○川が近付いていくと母親の部屋の襖がわずかに開いていた、息苦しい胸騒ぎを感じながら○川がそっと覗くと、
部屋の中央に布団が敷いてあり、その布団の上で○川の見知らぬ男に全裸で、激しく絡み付くようにして抱かれている母親の姿があった。
早くに父親を亡くしている○川にとって、美しい母親は密かな自慢だった。
その大切な、美しい、自分の母親が、白い裸身を晒し、淫らな声を上げ、髪を振り乱して悦んでいる姿に○川は激しく動揺する。
自分は見てはいけないものを見ている、早くここを離れなきゃ、そう心の声が伝えるが○川は母親の裸身から目が離せない。
その時の心境を○川はこう表現している
「喉から心臓が飛び出しそうだったけど、母さんがすごい綺麗でね、眩しいぐらいだった」
○川は激しく勃起している自分を感じ、そしてそのまま小学校6年の4月、初めて射精する、覗き見た母親の情事の様子によって。
それ以降、母親が男に抱かれている姿をこっそり覗き見ることが○川の何よりの楽しみになる。
妻と肉体関係ができると○川は、自分のことをわかって欲しいからと言って、しだいにそんな話をするようになっていった。

自分を構ってくれない母親に対する、○川の捻じれた愛情はどんどんエスカレートしていく。
母親の入浴姿をこっそりと覗き、一人で自分の部屋にいる母親を覗く。
そして○川は自慰に耽る母親の様子も何度か目にする。
しかし、そんな○川の密かな楽しみは、その半年後にいよいよ心を病んだ母親の服毒自殺によって唐突に終わりを告げる。
巨大な喪失感を抱えたまま成長していった○川は、やがて自分の性的な反応が同年代の友達たちと微妙にスレていることに気がついて行く。
中学生になり、高校生になっても他の同級生たちのように同年代の女子に全く性的な興味がわかない。
○川にとって性的興味の対象は30前後の子持ちの女性だった。
そして自分のマスターベーションのための妄想の対象は何年たっても、男に抱かれて喘ぐ母親の姿だった。
しかしやがて自分も30代になるわけで、時がたてば自然と解決する問題だと当時の○川は、あまり深くは考えなかった。
しかしやがて大人になった○川は、もっと本質的な部分の自分の性の「歪み」に気がついていく。

○川が初めて女性と肉体関係を持ったのは、22歳。
当時地元の国立大の4回生だった○川はバイトで家庭教師をしており、相手はその生徒の母親の36歳の女性。
細身ではなかったようだが、太っているわけではなく、バランスの良い肉感的な体つきの女性だったようだ。
関係の始まりは、○川が中学1年のその男子生徒を教えるために、その女性の家に週2回通うようになった3ヵ月後。
○川はその生徒の母親に初めて会った瞬間から、それまで同年代の女性に一度も感じたことの無い激しい欲情を感じていた。
その母親が夫に抱かれる姿を想像して毎晩マスターベーションをするようになる。
そしてその母親も、自分のことを明らかに「女」として激しく意識し、どぎまぎした様子で、
まともに目も合わせられない○川のことを憎からず思っていたようだ。
ある時○川は、生徒がまだ学校にいっている時間の昼間に、生徒の勉強の相談があると言われて呼び出される。
○川が家に行くと、その母親は昼食を作って○川に食べさせてくれた。
そして昼食が終わると○川は誘惑される。
○川は毎晩思い続けた、そして自分にとって初めての女性の体に激しく溺れていく。

若い○川は情事の度に何度でも出来たし、毎日のようにその女性の体を求めた。
そして次第にその女性のことを本気で愛するようになっていく。
自分の母親以外の女性を始めて本気で愛した○川の中で、母親とその女性が重なっていく。
女性との情事の最中に頭の中に、母親が男に抱かれている映像が度々浮かぶようになる。
そして○川はある種の激しい「渇き」を感じるようになっていく。
「渇き」はどんどんと激しくなり、そして愛した女性を抱きたいと思う気持ちとは裏腹に、自分の下半身は冷えていく。
相手を愛すれば愛するだけ渇きは酷くなって行く。
症状はどんどん悪化し、SEXのたびに思い通りにならない自分の男性自身に苛立ち、嘆く○川のことを本気で心配する女性…
○川は女性に懇願する、夫に抱かれているその女性の姿が見たいと。
そしてその女性は、夫に抱かれる自分の姿をビデオカメラで隠し撮りして○川に見せる。
○川の脳裏に10年前の母親の情事の映像が鮮烈に蘇り、その女性と母親が完全に重なる。
○川は激しく欲情し、その日何度も何度もその女性の体を求めた。
結局○川とその女性の関係は、6年もの間続く。
別れは○川から、理由は、妻の推測では、女性が段々と年を取り○川の記憶にある母親の姿と離れていき、重ならなくなったから。

○川にレイプされ、無理やり始まった関係が、妻にとってあまり苦痛ではなくなったころに、妻は麻○という人妻の存在を知る。
○川と妻が一緒に出ているスポクラのプログラムに突然顔を出すようになり、妻に敵意をむき出しにして、執拗に○川に付きまとう。
その場では○川は当たり障りの無い対応をしていたようだが、麻○がいなくなると必死で妻に弁解する。
○川は妻に、○貴さんのことを本気で好きになったから麻○とはもう分かれたいのに、付きまとわれて困っていると告げる。
妻の目から見ても○川に麻○に対しての未練がある様子は見られなかったので、別に気になりはしなかった。
しかし麻○はその後も一ヶ月以上も二人に付きまとい、2度ほど妻はスポクラの帰りに待ち伏せされる。
麻○は妻に、○川と自分は1年以上付き合っている、自分達の交際の邪魔をするなと迫り、自分のことは棚に上げて、
「旦那さんも、小さな子供もいるくせにあなた何やってるの?バカじゃないの」と妻のことを激しく罵り、
そしてあざ笑うように「フン、あなたじゃあの人のこと満足させられない」と言い放つ。
妻の中で、○川に対しての愛情とは別の、女同士の闘争心に火がつく。
妻はこの女には負けたくないと強く思う。

妻はそのころ日々どんどん強くなる○川の自分に対する恋慕を感じるが、○川の男性自身はSEXの度ごとにダメになって行く。
そして○川はその度ごとに激しく落ち込み、自分自身を罵る。
そして相変わらず見え隠れする麻○の影。
自慰しているところが見たいと○川に懇願されて仕方なく応じると、その時の○川は久々に元気になり、無事SEXが出来る。
しかしそれも何回かすると、やはり○川は勃たなくなって行く。
妻は自分のせいだと思い込み悩む。
そしてしばらく前に麻○に待ち伏せされた時に言われた「あなたじゃあの人のこと満足させられない」と言う言葉が何度も脳裏に浮かぶ。
そしてある時○川は、自分の少年時代の衝撃的な母親の話と、初めての相手だった大学時代の女性との話を聞かせた上で懇願する。
「○貴さんが他の男に抱かれているところが見たい」と。
妻が驚き激しく拒否すると、その時の○川はあっさりと引き下がる。
しかしその後○川は、妻とのSEXでダメな度ごとに、激しく落ち込みながら必死で懇願するようになる。
しだいに妻の精神は追い込まれていく、妻はある時○川に提案する。
夫とのSEXを隠し撮りして見せるので、それでダメかと。
しかし○川は、ビデオで見るのじゃなくて、直接見ないとダメだと言う。

「○貴さんのことも俺のことも当然全く知らない、他県の男性を会員性のサイトで見つけて呼ぶから心配ないよ」
「もちろんそれ一回きりで○貴さんが顔を合わせることは一生無いから大丈夫」
「俺が見てるんだから、変なことされたりする心配なんて全くないよ」
「一度だけでいいから、そうすれば俺は救われるんだよ、お願いだ○貴さん」
「こんなに俺が苦しんでるのに助けてくれないの?」

○川は、脅し、すかし、泣きながら懇願し、必死で妻を説得する、何度も何度も会うたびに。
恐らくその頃の妻の頭の中で世界は、自分と○川、そして麻○の3人で成り立っていたのではないだろうか?
どうにもならない所まで追い込まれた妻は、結局○川のこの一言で承諾してしまう。
「麻○はやってくれたのに…やっぱ○貴さんじゃダメなのかな…」
妻は○川が麻○と完全に分かれることを条件に承諾する。
○川はその場で麻○の携帯に電話をかけ、厳しい口調できっぱりと別れを告げる。
一旦は承諾してしまったものの、その直後から妻は巨大な不安と、言いようの無い恐怖に激しく後悔する。
しかし○川はそんな妻を決して逃がしはしなかった。
毎日電話を何度もかけ、頻繁にメールを送ってくる。
そして妻は承諾した日から僅か3日後にそのおぞましい行為をさせられる。

その日、○川のマンションで相手の男がやってくるまでの時間に妻は何度もパニックを起こし、やっぱり無理と泣き叫ぶ。
帰りたいと懇願し、出口に向かう妻を○川は怒鳴りつけ、頬を何度も叩き、そして抱きしめながら懇願する。
妻はどうしても許してくれない○川の態度に、しだいに逃れられない運命を受け入れ無反応になって行く。
そして妻にとっての地獄が始まる。
男にキスをされ、体中を舐めまわされている時に妻は、麻痺しかかった頭でただ漠然と「気持ち悪い」と感じ、
ひたすら早くその時間が終わることだけを願っていた。
男が自分の体から離れ帰っていくと、急激に正気に戻っていった妻は、激しい吐き気に襲われる。
2枚目のDVDの続きは、ベッドから跳ね起きてトイレに駆け込み、何度も何度も何も出ないのに吐き続ける妻。
その妻の背中を必死でさすり続ける○川、○川に向き直り号泣しながら掴みかかる妻。
そんな妻を○川は抱きしめる。
妻の抵抗が弱まり、体から力が抜けると○川は妻を抱き上げベッドに運ぶ。
「大丈夫だよ○貴さん、俺が綺麗にしてあげるから」そう言うと○川は裸の妻の体中に丁寧にキスをする、何度も。
そしてその日○川は、妻が時間になり帰るまでの間、ずっと妻を抱いていてそして3度妻の中に射精する。

自分が犯してしまったとてつもなく罪深い行為に妻は恐れおののき、苦しむ。
もう自分は絶対に死ぬまで自分自身を許せないだろうと何度も絶望する妻。
そして自分にそこまでの代償を払わせた○川を憎むと同時に、一方で激しく執着する。
一度だけと言う○川の約束は、結局守られることはなかった。
しかし一度一線を越えてしまった妻にはもう拒む気力も無ければ、守らなければならない何も残ってはいなかった。
○川に求められるまま2度、3度と繰り返してゆく。
妻は言う「2回目からはやっぱり知らない男に体を弄られたり、舐めまわされたりするのは気持ち悪いけど、別に悲しくはならなかった」
「どうでもいいからこの男の人早く逝かないかな、なんて考えてた」
「あいつは私が他人に抱かれて感じてるところを見たかったみたいだけど、それは無理だよね、だって私何にも感じないもん」
「3回目の時にあいつが感じてるふりでいいからしてくれって頼むから、フェラとかしたけど…後からその映像私も見たけど、全然ダメだよね」
「男の人が終わって帰ると、あいつはすごく喜んで興奮して何回もしたがるから、なんかこれでいいのかななんて思ってた」

妻は、俺に○川との浮気が発覚した晩以降、日にちが経つにつれて急速に醒めて行く。
今となっては、最初から好きでもなんでもなかったあの男に振り回され、
なぜ言いなりにあんなことまでしたのか全くわからないと言う。
「どこが良かったんだろう?」と自分で何度も繰り返していた。
ただ○川には、ある種のワールドと言うか、強烈な自分の世界があり、一旦それに捕まると催眠術かなにかのように自分では抜け出せなくなるらしい。
妻は、知らないうちに○川の世界が世界の中心だと思い込まされていたみたいと言っている。
そして「なんて言うの?ストックホルム症候群だっけ?そんな感じだったような気もする」
しかし、○川の世界から引き戻されて、こちら側に帰ってきた途端に妻を再び強烈な現実が襲う。
俺が毎日苦しむ様子を見るたびに、自分がさせられた許されない不道徳な行為の記憶が蘇りその度に頭がどうにかなりそうだった。
そして俺に毎晩抱かれる度に、自分の忌まわしい記憶を消して欲しいと願ったそうだ
「わすれたい…」なんども妻は俺の腕の中で呟いていた。
それこそが妻の紛れも無い心情だった。
それでも何度か妻は俺に全てを打ち明けようと考えた。
しかし、やはり言えるはずもなかった。
妻は自分が永遠に封印したい忌まわしい事実が、○川の口から俺に伝わることを恐れた。
そして、俺を○川と接触させないように必死で二人で忘れようと説き伏せる。
俺とA田が○川からビデオを回収しようとしていることを知ると、いよいよ妻はいてもたってもいられなくなる。

妻は俺に隠して何度か○川に連絡をする。
始めの頃、○川は妻が俺に隠してそれまで通り自分との関係を続けるならDVDを渡すと言っていたらしい。
しかし妻は激しく拒否した上で、改めてDVDを渡せと強く迫る。
妻の頑なな態度に、妻の心が完全に自分から離れたことを悟った○川は、今度は自分の保身のためにDVDは渡せないと言い張る。
それどころか、もし俺が自分に何かすればDVDを公開すると脅しをかける。
そして切羽詰った妻はあの日、実家の父親に娘を預けると、もしも顔を合わせたらまたあの地獄に引き戻されるかもしれないという
言いようの無い恐怖を必死にこらえて、○川のマンションに向かう。
妻は早い段階からこの可能性を考えていたために、あえて○川から渡されていた部屋の鍵を返さなかった。
妻は○川の部屋に忍び込み、必死で置いてありそうな場所を探すが、結局見つけられずに落胆して部屋を後にする。

妻は俺から昨夜俺が○川にした仕打ちを聞くと冷たい表情で
「ザマミロ、あんなバカ死ねばいいのに」と言い放つ。
そして俺が○川の母親の写真を全て破ったと知ると
「…あいつやっと母親の亡霊から解放されるかもね」と呟いた。

ひとしきり話が終わると妻は、キッと挑戦的な目で俺を見据えて聞いた。
「…それでどうする?分かれる?あなたもう私のこと汚くて抱けないでしょ?」
俺は淡々とこう答えた
「いや、少し時間をかけて二人で考えよう」
気色ばんでいた妻は、明らかに拍子抜けした様子で、ただ短くわかったと答えると
何事も無かったかのように台所で朝食の支度を始めた。
もうすでにそんな時間になっていた。
俺がどうしてそう答えたのかと言うと、正直俺は疲れていた。
それにやらなければいけないことや、考えなくてはいけないことが沢山ある。
これ以上、目の前に座っている30過ぎのくたびれた女の話に付き合う気にはなれなかったから。
人間興味の持てない女の話に付き合うほど苦痛なことは無い。
まず○川の部屋から回収してきたDVDに映っている女全員の身元を割り出さないといけない。
A田に協力してもらって急いでやらなければ、ただ、一人だけ麻○と言う名の人妻の身元だけはすでにわかっている。
詳細な説明文と一緒に今日中にDVDを旦那に手渡してくることにする。

今日の投稿を最後にしたいと思います。
もう書けません。

その日俺は、朝、会社に病院に寄る旨の連絡を入れ、午前中は有給扱いにしてもらった。
俺は、娘を迎えの幼稚園バスに乗せて見送った後、その足で病院に向った。
マンションから10分ほどの場所にある、内科兼外科の50代の個人病院の先生は、俺の両手を見るなり
にやりとして「喧嘩かなにかですか?それにしても随分おやりになりましたね」と笑う。
俺は曖昧に言葉を濁し、愛想笑いで返す。
幸い骨折はしていなかったが、シップと包帯で両手をグルグル巻きにされた。

病院を後にすると俺は、市内中心部にある、あの、麻紀と言う名の人妻の夫が経営する工務店に向った。
予め病院からアポはとってある。
運良く直接当人が出てくれたので、俺がなるべく簡潔に事実関係を説明したうえで、証拠のDVDを渡したいと言うと、
麻紀のご主人は、絶句して激しく動揺している様子だったが、結果「…お待ちしています」と言ってくれた。

麻紀のご主人が経営する工務店は、自宅に併設された、茶色のタイル張りの鉄筋2階建。
1階が事務フロア兼簡易な応接、2階に社長室と会議室がある。
ガラス張りの扉を開けて中に入り、カウンターの前まで行くと、奥まで見渡せる。
事務机が6つ向き合うように配置され、その奥に一回り大きな机が置いてある。
一番手前の事務机に座っていた20代後半の女性が立ち上がり、カウンターに向って歩き出そうとしたところで、
奥の一回り大きな机に座っていた40代前半の男性が俺に気が付き、「伊藤さん、僕のお客さんだから」と声をかけ、
足早に俺のほうに向って歩いてきた。
事務室内には他に社員はいなかった。

俺は、麻紀の夫に2階の社長室に通された。
並ぶと麻紀の夫は俺より少し低い程度、身長180ちょうどぐらいか?精悍な感じで、某外務大臣に似た、少し濃い目の二枚目だ。
麻紀の夫は、俺に社長室のソファーを進めると、切羽詰まった様子で、詳しい話を聞きたがった。
俺は包み隠さず、自分が知っている全ての話をした上で、テーブルの上に、麻紀と書かれている6枚のDVDを置いた。
麻紀の夫は数秒間そのDVDを凝視し、一瞬目を泳がせた後に、俺の両手を指差して
「それは、これを回収した時にですか?」と聞いてきた。
俺が肯定すると、さらに「それで、その西川と言う男はどうなりました?」と続けた。
俺「がまだ生きていますよ…」そう答えると、一言「…分かりました」とだけ答え
しばし無言。
麻紀の夫に、今後のためと言われ、お互いの携帯番号を交換すると俺は、社長室を後にした。

時間が押してきたので、俺はそのまま駅に向い会社に出勤した。
勤務時間中に俺は、浅田の携帯に電話をし、夕方いつものファミレスで会う段取りをつけた。
浅田は俺の両手の包帯を見ると絶句していたが、さらに俺が前日からの出来事を余すことなく話し終えると、いよいよ黙りこんでしまった。
そして俺が3人の女の名前が書かれた、6枚のDVDを差し出し、何処の誰か特定して欲しいと言うと、考え込んでしまった。
DVDに映る女達の家庭を破壊することに浅田は大きな躊躇いを感じつも、西川のような男を許せないと言う正義感との間で揺れ動く。
結局浅田は、俺に強引に押し込まれるような形で、しぶしぶ引き受けた。

家に帰るといつものように、娘と妻が玄関で出迎えてくれる。
少し複雑な表情で俺を見つめる妻を、俺は空虚な瞳で眺めていた。
俺が一人で風呂に入り、寝室に行くと、先に休んでいた妻が、パジャマを脱ぎ全裸になって俺の腕の中に潜り込んできた。
緊張しているのか、心臓の鼓動が妻の体から伝わってきた。
妻は長い時間そうしてじっとしていた、しかしやがて何もしない俺を悲しげに見つめる。
そして、自分のことを見つめ返す俺の瞳に何も映っていないことに気がつくと、ゆっくりと俺の腕の中から抜け出して、背中を向ける。

今日は家族で動物園に行った、妻は早起きして一生懸命弁当をこさえた。
急な計画だったが、幸い好天に恵まれ暖かい一日だった。
娘は大はしゃぎだったが、クマやライオンなどの大型の動物には、やはりある種の恐怖を感じるようで、あまり近づこうとしなかった、
しかしキリンを見て喜び、カラフルな小動物たちを見てはうっとりしていた。
昼になると3人で芝生の上にレジャーマットを引いて弁当を食べた。
最後なので、娘が前から行きたがっていたディズニーランドに連れて行ってやれれば良かったのだが…
いかんせん遠すぎて、急きょ日帰りで出かけるわけにはいかなかった。
娘がそろそろ疲れてきたところで俺たちは、動物園を後にして今度は郊外にある大型のオモチャ屋に行った。
大喜びで店内をあっちこちしている娘が欲しがるオモチャを、俺は手当たり次第に買ってやった。
娘は帰りの車中の間ずっと、俺が運転する車の後部座席で、妻に膝枕されながら、獲得した戦利品の山に囲まれて幸せそうに眠っていた。

俺達家族が暮らすマンションが近付いてきた、俺は少し離れた裏道に車を止めた。
俺が運転席を降りると、眠っている娘を起こさないように、娘の頭をそっと膝から下ろし、ゆっくりと妻が後部座席から降りてきた。
妻と娘の衣類などの生活物資は、すでに2個のスーツケースに詰め込んで、車のトランクに乗せてある。
ベッドや服ダンスなどは、日曜に引っ越し便で送ることになっている。
色々考えた結果、これがベストな選択だと思う。
今、娘を妻から引き離すことは出来ない、あまりに可哀想だ。
俺が一緒にいなくても、妻の実家ならまだ祖父も健在だ。

妻は俺の前にやってくると、しばらく無言で俺を見つめる。
眉間に皺を寄せ、涙をこらえ、首を左右に2度小さく振る、ゆっくりと俺の腕の中に入ってくる。
そして曖昧に力無く抱きしめる俺の腕の中で、目を伏せ呟く。
「私は一番綺麗だった時間の全てをあなたにあげた、…忘れないで、あなたは私の物」
それだけ言うと妻は、さっと身をひるがえし車に乗り込んだ、そして二度と振り返ることなく、妻と娘を乗せた車はゆっくりと走り去る。
俺は誰もいなくなった俺達の家の残骸に戻ると、少しガランと殺風景な感じになった居間のダイニングテーブルの椅子に腰かけて、
長い時間ただボーっとしていた、どれぐらいの時間そうしていたのか分からない。
室内が夕闇に包まれてしっかりと暗くなったころに、突然の携帯の着信音で我に返った。

電話は浅田からだった。
西川は俺に襲われた日の翌日から、必死で自分の知り合いのスポクラ関係者に、手当たりしだいに電話をかけて、ようやく浅田に辿り着いた。
西川は浅田に自分と俺の間に入って欲しいと言っているそうだ。
「さっき西川から突然電話があってな、奴はおまえが納得できる形でなんとか和解したいと言っている」
「あいつはDVDを見たおまえが、自分が美貴さんにしたことの報復のために、今度こそ本気で殺しに来るんじゃないかと怯えているんだよ」
浅田に俺は「じゃあ5000万払えと伝えてくれ」と言って電話を切った。
もしも金が手に入ったら、全額のキャラクターの絵が書いてある娘の貯金通帳に入金してやろう。

それにしても“美貴”って誰だ?

なぜか、ダイニングテーブルの端の方、ハンカチの上に使用済みの妊娠検査薬が置いてある。

教師と女生徒の恋愛物語

よーし、パパも参加しちゃうぞ、、

叩きたくなるだろうど、優しくしてね!

それはインターフォン越しだった。

ピンポーン
嫁「はい、嫁田です。」←明らかに若い声
俺「あの私、嫁子さんのクラスの副担任の俺川ですが、嫁子さんいらっしゃいますか?」
嫁「…嫁子なら学校に、、、家には居りません」
俺「…失礼ですが、お母様でいらっしゃいますか?」
嫁「…ハイ、嫁子の母です」
俺「…嘘つくな、お母さんなら仕事に行ってるだろ、何で3日連続で無断欠席したんだ?」
嫁「………」
俺「おい、黙ってないで開けろ!」ドンドン
嫁「………」

思いっきり青春をこじらせた嫁は不登校中(本人がいうには友人関係での悩み)。
人使いの荒いおババな担任から家にいるかどうかを確認して来いと言われた。
新人だった前年度散々、弄られたから女生徒に対して苦手意識があったので、辛い会話だった。

以後、嫁からの反応なし、、すごすごと引き返す以外に手はなかった。
それを担任に報告すると普段からの指導力不足をネチネチと指摘されたので良くおぼえている。

五月の連休明けくらい、とある鉄骨2階建アパートでの出来事。
当時、俺は新任2年目教師(23)で嫁は高校2年(16)

全然記憶にないが結婚直前に嫁から、
「絶対俺がお前の事を守ってやる、約束する」とドア越しに叫んでたんだよ、と言われた。

このままだと叩かれそうなんで、自分からkwskするから優しくしてね!

2回目は担任と学年主任と一緒に母親のいる時間に訪問した(嫁は母子家庭で一人っ子)。
つまり、1回目は単に家で引篭もっているか、外で遊んでいるかの調査だったと言うわけである。
話し合いの最中、俺は何もしなかった。
担任や学年主任とは視線を合わせない嫁はときおり俺をみて眉間にしわを寄せた。
結局、母親の説得で学校には行く事になった。

登校はしたもののクラスに居辛かったらしく嫁は保健室に、、は行かず、俺のいる教科準備室にきた。

嫁「せんせー、暇だよー、なんか話して!」
俺「何をだよ、まぁ、色々あるんだろうからしばらくここに居てもいいよ」

以後、時間を見つけては準備室に入り浸り、タメ口で俺と話してた。
だが、親密に見える関係が生徒達の間で噂になり教科主任から俺が強い指導を受け、

俺「おい、俺をクビにさせたくないなら、もう来んなよ」
嫁「ゴメン迷惑だったね、…もう来ないけど、代わりに毎日メールしてくれる?」
俺「する、だからもう来んな」
嫁「本当に毎日だよ?」

それから年度が変わって、接点がなくなっても毎日嫁の日常エッセイ風のメールが来た。
返事は当然毎日書いた(嫁がキレるので)。
メール以外でも廊下ですれ違うと、わざと隠す感じで手を振ったりしてきた。

こそこそ隠れて嫁と二人で会っていたような気もするが、、多分気のせいだと思う。
うん、車で嫁を隣町まで連れ出して、月一くらいでプチデート、、、はしていない(と言い切るw)

俺は卒業までの我慢と思い、嫁の出すラブラブなオーラはスルーして
やっとの事で問題を起さず(=手を付けず←これはガチに真実)嫁の卒業まで持ち込んだ。
卒業式の日に泣きながら抱き付こうとする嫁を避けながら自分で自分を褒めていた。

が、その後も専門学校にいった嫁から毎日メールが来た。
二三日返事をしないと電話をかけて来て泣き出す。

俺「おい、卒業したんだぞ、生徒じゃないのにもう止めてくれよ、お前は何がしたいんだ?」
嫁「…(俺の下の名前)と結婚したい、かな?」
俺「おい!お前の場合はいきなり結婚かよ!普通付き合ってからだろ!」
嫁「うん、良いよ(急に喜んで)」
俺「何が良いんだよ」
嫁「だからあ、(俺の下の名前)と付き合ってあげるww」
俺「違うだろ!」
嫁「えー、なんでー、彼女居ないくせにー、意地をはる意味がわからない、私の事嫌い?」
俺「嫌いじゃないが、生徒には手をだせんだろ!」
嫁「さっき自分でもう生徒じゃないっていったじゃん、問題ないじゃん」
俺「…そうか、そういうもんか?」
嫁「そうだよ、もう誰の目も気にしないで良いし、何をしても良いんだよ?」
俺「…(ゴクリ)」

この4年後ほとぼりがさめたのを見計らって結婚、
「やっちまったな」って周りから冷笑交じりで言われたorz。

Color

俺の通っている高校は、周りの人から「オタク高校」といわれていた。
それは単なる「口コミ」なのだが、子供がこの高校入りたい!というと、親はきまって
「あそこはちょっとおかしいからやめなさい。」や
「あんなオタク高校には入っちゃだめだよ。」の様に必ず否定する。
だから年々入学者数は減っていって、俺が高校1年生の時は1クラスしかなくて、しかも生徒が18人しかいなかった。ちなみに2年は14人、3年生は15人なので、俺らの代は比較的多いほうだった。
18人と言っても、9人9人で男女分かれている訳ではない。男子14人、女子4人で圧倒的男子のほうが多かった。でも唯一の女子4人はこれっぽっちも可愛くなくて、彼女すらセックスもしたくない程度の顔だった。

この学校に入ったことだけあって、俺、井上 夏も結構なオタクだった。オタクと言っても鉄道オタクやアニメオタク、いろいろな種類があるが俺はパソコンオタクだった。パソコンを分解できるほどの知能もあるし、インターネットだってほぼ毎日見ていた。もちろんブラインドタッチもできる。
とにかくこの学校はオタクが集まる高校、だから「オタク高校」と言われていた。

運動会もかなりグダグダに終わって秋に入った。
秋に入ったとことで大きなイベントが行われるわけでもなく、文化祭だってこの高校にはなかった。
しかし10月26日、俺の、いやこのクラスの転機が訪れる。この日はいつまでたっても覚えている。

いつも通りやる気のない朝のHRHが始まろうとして先生が教室に入ってきた。
「おいうるさいぞー!」その声で教室内の話声は消えた。
「えー、今日は大事なお知らせがある。この学校に新しく入るクラスメイトがいる。」瞬間、クラスメイトが声を上げた。
「マジかよ!!!」
「うそだろっ!?」
先生が再び注意を促して、
「今はまだ校長先生と話しているから、そうだな、9時くらいにこの教室に来るだろう。」
するとクラス一お調子者の隆貴が先生に質問をした。
「先生っ!女子ですか!?」
「男子ですか?」を言わなかったため、皆笑いあった。
「まったく隆貴はそういうことしか考えられないのか…。まぁ隆貴の言っている通り女子だ。」
「おっしゃぁぁぁ!!!きたーー!!」雄叫びとも思える大声が教室内を響かせた。
それから朝のHRHは普通に、でもちょっと意外な内容で終わった。

1時間目は歴史だった。ちなみにクラスの中には歴史オタクが2人いた。歴史は担任の授業で、そこまでふざけて受ける生徒もいなかった。
すると教室のドアがガラッと空いた。
「あっ来た来た。こちらが今日からこの学校に転校してきた朝野 紗希さんだ。じゃあ自己紹介してくれるかな。」
彼女はすこし恥ずかしいのか、顔を赤らめながら自己紹介した。
「えっと、親の関係でこの学校に転校してきました朝野 紗希と言います。みんなと仲良くなりたいので、いっぱい話しかけてくれると嬉しいです。よろしくお願いします。」
礼をした彼女にクラスから拍手が送られた。
しかし歓声がなかった。お調子者の隆貴から誰ひとり口をあけることはなかった。
その理由は―――――可愛いから。彼女が可愛いから皆少し見とれていた。もちろん、セックスも、彼女にもしたい子だった。
「朝野の席は井上の隣だ。ほら、あいつが井上。」
一瞬何を言われているか分からなかった。その意味を理解するのに時間がかかった。そして心の中ではものすごくドキドキしていた。フル勃起状態だった。このときだけは仕方ないんじゃないか。
朝野は席に座る前、俺に、
「よろしくお願いします。」と軽く会釈をしてから座った。
「好きです!」と今すぐ言ってしまいたかったが、早すぎると自分でツッコミを入れた。いくらなんでも某マンガの転校生にはなりたくなかった。

1時間目が終わって休み時間になると俺の周りに人が集まった。いや、正確に言うと「俺の近くにいる朝野の周りに人が集まった」だ。
「朝野さんはどこに住んでたの?」「北海道のほうだよ。」
「朝野はなんでこの学校に来たの?」「親の仕事場が移転しちゃって。」
「なんて呼んだらいい?」「んー朝野でも紗希でも…なんでもいいよ(笑)。」
最初から気に入られようとする奴もいたし、唯一の女子4人組も朝野と仲良くなりたいようだった。
するとお調子者の隆貴、時に空気をブチ壊す男がこう聞いた。
「朝野さんは何オタク?」
「えっオタク?オタクってなに?」
この瞬間、皆の顔から笑顔は消えて、驚いた顔に変っていた。朝野は自分が何をしたか分からないで、
「えっ?私、変なこと聞いちゃった?」と焦っていた。
ここでチャイムが鳴ってしまった。朝野を取り囲んでいた連中はぞろぞろと自分の席に戻った。

「さっきのオタクって何のことなの?」
授業中、朝野は小声で俺に聞いてきた。なんていうか迷ったが、俺は適当な知識を拾い集めて、
「んー、何かに熱中してることかな。例えば鉄道に熱中していたら鉄道オタク、アニメが好きでそれに熱中してるやつはアニメオタク、みたいにオタクにはいろんな種類があるの。朝野さん知らないと思うけど、この高校はオタクばっかりが集まってる高校なの。ちょっと変わってる、っていうか結構変わっている。」
ちょっと適当すぎたか、朝野はまだよくわかっていない様子だった。でも朝野は気を利かしてくれて、
「いの…えっと」
「井上ね。井上 夏。」
「あっごめん。で、井上君は何オタクなの?」
「俺はパソコンかな。パソコンいじるのとか、とにかくパソコンなら結構知ってるって感じ。あと井上でいいよ。」
「へぇ?パソコンかぁ?。お父さんがいじってるのは見たことあるけど、私はあんまり知らないな?。井上だとちょっと抵抗あるから、井上君にさせて。井上君は朝野でいいよ。」
朝野だと抵抗あるから…、と言ってしまうと埒が明かないので、承諾することにした。
「でもここの高校、そうだったんだ?。全然知らなかった。でもちょっと面白そうだな?。」
「このクラスの女子もオタクだよ。全員アイドルオタク。あっ、アイドルって言っても男のほうね。」
「へぇ?!私あんまりテレビとか見ないけど、このクラスになじみたいから今日から見よっかな(笑)。」
個人的には唯一クラスの可愛い女子がオタクにはなってほしくなかった。が、それを否定するわけにもいかず、
「テレビは飽きないからね(笑)。」と、朝野の話に合わせた。

朝野が来てから1カ月たった。
もうすっかり朝野はクラスになじんでいたが、オタクにはなっていなかった。周りの奴も朝野をオタクにしようとする奴はいなかったし、仲良くするのに夢中だった。そういう意味では俺らのクラスは仲が良かったのかもしれない。
俺と朝野もたぶんクラスメイトの中でも結構仲が良かった。授業中はよく話すし、たまに休み時間でも話したりしていた。ただ話している内容は決まってパソコン関係の話だった。
「私、昨日インターネットやったよ!」
「パソコンのキーボードって難しいね^^;」
「パソコンってゲームもできるんだ!初めて知った!」
話している内容は変わっていたが、それでも朝野との距離は1歩ずつ近づいていった。
時には俺が遅刻して遅れて学校に歩いて行ったら、偶然朝野に会ったこともあった。お互い走って競争した。意外にも朝野は足が速かった。

しかし今までうまくいっていた分、残念な出来事があった。
それは普通の学校ならなにより楽しみな、2chなら「wktk」が大量発生するであろう、「席替え」だった。
朝野と席が遠くなり、話す回数も日に日に減っていった。隣だった時は毎日話していたが、今ではもう他人の様に話さなくなってしまった。

しかし仲が良くなるイベントもないまま、俺たちは2年生になった。
が、この年最悪な事態が起こった。入学式が行われなかったのだ。そう、1年生が誰1人入学しなかった。
クラスの中では、
「このままじゃこの学校ヤバいんじゃないの!?」
「学校終了フラグ?」
言いたいこと言いあっていた。
するとある日の朝、校長が全生徒の前に立ち、こういった。
「えー、この年は1年生が1人も入学してこなかった。教師一同、非常に残念に思っている。1年生が誰も入ってこなかったので、今の2年生が卒業した時点で廃校が決定した。」
多少考えていたことだが、いざ現実を前にすると少し悲しくなってきた。生徒たちは衝撃すぎて口を開くものはいなかった。
「しかし廃校するまではこの学校はあり続ける。だから3年生、2年生は最後まで頑張ってほしい。」

今日言われたことが頭に残っていて、授業中は上の空だった。
廃校…か。俺らが卒業したらもうこの学校はなくなるんだな…。
その思いが一粒の雫となって目からノートにこぼれた。誰にもばれたくなかったから顔を伏せた。

休み時間、クラスメイトは集まって話していた。
「俺らが最後の代か?。なんか実感ないな?。」
「これからどうするんだろ。」
皆思ってることは違うが、寂しい、ということは同じだろう。窓の向こうは雨が降り始めていた。

この日から俺たちは何事にも一生懸命に取り組んでいた。朝のHRHも静かにしていたし、授業中も真剣に受けていた。確実にこのクラスはいい方向に進んでいった。オタクを除いては。
そして奇跡的に俺は朝野の家に行くことになる。

その日は朝野が学校を休んでいた。休んだ理由はただの風邪、と先生が言っていた。で、小学校の時よくあったが休んだ人の家に行ってプリントを届ける、がうちの高校では行われていた。でも、よほど大事なプリントじゃなければやらない。この日は健康診断に関するプリントで結構重要だった。
「このプリントは重要だから朝野の家に届けてもらいたいんだが…誰かやってくれる人はいるか?」
いくらなんでも、積極的にそこまでする人はいなかった。というか空気的に手を挙げずらかった。
「いないか?。じゃあ先生が勝手に決めるぞ。今日は2日だから出席番号2番に頼んだ。」
2番か?。…俺じゃん!!!
このときはドキドキした、っていうかびっくりした。

帰り道、先生から朝野の家を教えてもらい迷いながらも家に着いた。
……でかいな。
稀に見る豪邸だった。いや、ただ俺の家が小さいだけか?
緊張しながら家のインターホンを鳴らした。数秒たって返答があった。
「はい。」声からして母親だった。
「あっ、同じクラスの井上と言います。えっと、プリントを届けに来ました。」
「わざわざありがとう?。ちょっと待っててね。」
よかった。優しそうな親だ。
ドアが開いて、朝野の母さんが出てきた。
「今、紗希が起きてるから上がってかない?」
「ほえっ?」つい、気の抜けた声が出てしまった。
それは、つまり、俺が、朝野の、家に、上がる、って事ですか?
「ほら、ここまで来さして何か悪いじゃない。ねっ?」
「あっ、じゃあおじゃまします。」俺は奇跡的に朝野の家にあがった。

「わざわざありがとう。」
朝野がマスクをした口で俺に言った。風邪がうつらないように、と距離をあけるのは残念だったがまぁ仕方ない。
「いやいや、全然いいよ。風邪大丈夫?」
言って気がついた。風邪をひいてるってことは大丈夫じゃない、ってことだ。
「大丈夫じゃないけど、大丈夫(笑)。」
「なんだそりゃ(笑)。」
笑い声が朝野の部屋に響いた。
「そういえばさ、私パソコン壊れちゃったんだよね。」
「え?なんで?」
「なんか、電源がつかないの。」
百聞は一見に如かず、という事で例のパソコンを見せてもらった。確かに電源ボタンを押してもつかない。しかし俺も一回こうなったことはある。
「それたぶん、保護回路が働いてるんだよ。」
「保護回路?」
俺は昔やった手順で朝野のパソコンをいじった。数分たってパソコンの電源ボタンを押すと見事に電源がついた。
「えぇ?すごい!!井上君頭いいんだね!」
軽く褒められてテンションが上がった。
「まぁパソコンだけだからね。」
すると朝野が急に咳をし始めた。
「あっ俺そろそろ帰るね。がんばって直してね。お大事に。」
そう言って朝野の家を出た。

それからといったものの、朝野は風邪を治して学校に来たが、相変わらず俺と話す、ということは少なかった。しかし1回だけ大笑いしたことがあった。

朝野が俺に突然聞いてきた。
「ねぇ、オーズって何?」
オーズ?こっちが聞きたい。
「昨日ね、インターネットで動画見てたらコメントにオーズって。なんだろ?わかんない?」
オーズ…。もしかしてあれのことか?
「それorzのこと?」
「あっそうそう、それ。意味わかるの!?」
「それ人間が床に落ち込んでる時の顔文字っていうのかな?とにかく、落ち込んでいる人を表してるの?」
それでも朝野はまだ分からないようなので、俺は自分の体を使って説明した。
「ほら、ここがoで、ここがr、ここがz、ね?」
「あっほんとだ?!すごい!おもしろい!!」
俺もorzを中2で見た時何が何だか分からなかった。でも、話したのはそういうパソコン、ネット関係のことだけだったorz。

冬に雪が降った。クラスでは校庭に出て雪合戦をした。制服が思いっきり濡れて、教室がびしょびしょになって先生に全員で怒られた。でも、それも数少ない思い出のうちの1つだった。
超巨大雪だるまを作ったこともあった。全長2メートル、横幅2メートル。サイズを間違えてかなり不恰好になったが、逆にそこが愛着がわいた。

クラスもまとまりつつ3年生になった。この1年後にはもう学校がない、その事もだんだん現実味がでてきた。
一応この学校は学校らしいこともしている。その中に学級委員を決める、というのが1つだ。男女1人ずつで、仕事の内容は誰も知らない、というか誰も聞いたことがない。なぜなら担任の先生が「あれやれこれやれ」言うので年ごとにやることが違うのだ。
今年の学級委員に俺は立候補するつもりだった。なぜならこの学校の最後を最高な形で迎えられるように、自分で進んで取り組みたいからだ。今までこんな仕事をしたことがないから失敗はあると思うが、やっぱり悔いは残したくなかった。

「じゃあ今日は学級委員を決める。男子でやりたい奴はいるか?」
ハイ。迷わず手を挙げた。その瞬間、クラスから歓声が漏れた。
「おぉ?まじか井上!」
「夏マジかよ!!!」多少照れた。
俺のほかに手を挙げてる人はいなかった。ということは信任投票で過半数を取れば学級委員になることになる。
「男子は井上だけか。じゃあ女子でやりたい奴はいるか?」
すると朝野が手を挙げた。やはり歓声があがった。
「おぉ朝野さんスゲー!!」
「紗希ガンバレーー!!」
俺は朝野とやりたいと思っていたが、ほんとにやるとなるとちょっと緊張してしまう。今まで朝野と話してなかった分、ドキドキ感が一層増した。

「学級委員って意外に簡単だね(笑)。」
朝野が俺に言う。
「まぁ仕事があんまりないからね。」
学級委員になって2カ月たち、6月になった。
信任投票で二人とも過半数を変えて学級委員となった。が、学級委員らしい仕事はまだやっていなかった。
「井上君さ、何で学級委員になったの?」
いきなり聞かれた質問は少し悩んだ。
「この学校、これで最後じゃん?で、下手におわらしたくないわけよ。やっぱりこのクラスで最高な形で卒業して、大人になって学校は残ってないけど思い出に残るような高校生活にしたいから…そんな理由じゃだめかな?」
きれいごとっぽい言い草だが、本当に思っていることだ。
「ううん!いいと思う!っていうか、私も同じような理由で学級委員になったの。私、実は転校する前はいじめられてたの。」
突然のカミングアウトにどう反応していいか困る。
「いじめられてた、っていうか無視されてた、っていうか。でもこの学校は私を受け入れてくれて、オタクっていうちょっと変わってるけどでも一緒にいて楽しかった。私ね、またこの高校卒業したら引っ越さなきゃいけないんだ。」
「えっ!?引っ越し?」
「うん。北海道。でっかいどうで有名の。」
でっかいどうで有名ではないな、うん。
「だから、最後はやっぱり良い形で終わらせたいから。」
引っ越し、と聞いてすごく驚いた。じゃあ同じ大学に上がることもできないし、ましてや付き合うって事もできないのか…。現実はそんなにうまくいかないのか…。
「がんばろうな。」
「えっ?」
「だから、せっかく学級委員になったからにはがんばろうぜ!」
やばい、かっこつけて変なこと言っちまった。今すぐに訂正したかったが、朝野は、
「うん!がんばろう!」
と笑顔で答えた。

運動会も19人じゃやれることは少なかった。文化祭も行われなかった。
でも、それでも、やっていけることは全力で取り組んだ。
気づけば最後の月、3月に入っていった。
そしてある日、学級委員二人で集まって、話し合った。
「ねぇ、最後の思い出作りになんか大きいことやろうよ!」
朝野が俺に提案してきた。
「大きいこと?」
「そう。なんか、ほらタイムカプセルとか…あっ、でもタイムカプセルはだめか。学校壊されちゃうんだっけ。う?ん、そうだなぁ…」
考えて考えて、何分くらい経っただろう。朝野が口を開いた。
「そうだ!学校壊される、それを逆手に取ればいいんじゃない!?」
言っている意味がよくわからなかった。
「どういう意味?」
「だから、校舎とかに何かしても壊されるんでしょ?だからなんでもしていい、ってことじゃない?」
俺からすればそれは名案だった。
「なるほど!」
「だったら皆で校舎に色塗っちゃう!?」
校舎に色を塗る、一見バカげた考えだったが、俺らからすればそれは大真面目だった。
「でもそれさ、校長先生とか言わなければいけないんじゃない?」

「お願いします!最後の思い出作りなんです!」
二人で校長先生がいるところに行って、直々頼んだ。
「いい案だね。学校は君たちが卒業して1週間ちょっとで壊れることになってる。だから別にいいよ。」
「やったーー!!」
あっさりお許しが出て驚いたが、素直に喜んだ。
「でも、」
まだ校長先生の話には続きがあった。
「楽しくやるんだよ。」

ついに校舎に色を塗る日になった。クラスメイトは前々から絵具などを用意していた。赤、黄、緑、青、黒、さまざまな色があった。
生徒たちは思いっきり校舎に色を付けて、文字も書いて、教室内にも塗ったりした。そして、でっかく「今までありがとう」と書いた。
数時間かけて塗った校舎はカラフルに仕上がっていた。

次の日、卒業式が行われた。クラス全員泣いていた。鉄道オタクも、アニメオタクも。もちろんパソコンオタクの俺も。朝野も。
1週間後には俺たちの塗った校舎が壊されるんだ。そう思うと自然に涙があふれてきた。
卒業証書をもらって、教室で最後のHRHを行って、卒業となった。
しかし結局、俺は朝野に何も言えず終いだった。

もう一回だけ教室見ときたいな、そう思ってカラフルな教室に戻った。
ドアを開けたら朝野が窓から顔を出していた。しかし、俺が入ったことに気がついて振り返る。
「何してんの?」俺は朝野に聞いた。
「もう一回教室を見ようかな、と思って。」
あっ、俺と同じだ。
「なんかさ?あっけなかったね。」
「うん。」
確かに思ったよりあっけなかった。
「でもさ、やりたいことやったからいいよね!やっぱりやりたいことはやんないと。」
その言葉は俺にぐさっと刺さった。
―――やっぱり、告白したい。告白しないで後悔するのなんて嫌だ!
俺の心は静かに燃えた。
「あのさ、朝野。」
「なに?」
「えっとさ朝野、北海道いついくの?」
好きです、の4文字が言えない。
「明後日。」
「マジ!?」
ちょっと驚いた。でも今は告白のほうに集中していた。
「でもさ?北海道って寒いイメージがあるからちょっと不安だな?。私さ、さむが…」
「朝野!」
もうここしかない。これでいわなかったら後悔する――――。
「俺、朝野のこと好きだ!北海道行っちゃっても俺好きだ!」
「えっ…。」
「転校した時からずっと好きだった!」
ついに言った。2年間ずっと言えなかった思いを。
「…私も好きだよ。」
下を向いて顔を赤らめながら言った朝野の言葉はしっかりと俺の耳に届いた。
「もう会えなくなるけど…ずっと好き。」
「お、俺もだよ!」
俺は思うがままに朝野の手を握った。朝野は抵抗しなかった。むしろ、握り返してきた。
「俺、絶対朝野のこと忘れないから!」
「私も忘れないよ…。」
朝野は泣いた。数秒後、つられて俺も泣いた。
瞬間、抱き合った。
「今までありがとう…。」

そして朝野は北海道に旅立った。やがて彩られた校舎は壊された。
俺はなぜか泣かなかった。しかも心が清々しかった。

明日を見つめて 1.告白

ある一人の男とその半生にかかわった人たちの実話を
ベースに構成した物語です。
登場する人物が特定できないように、複数の人格が
一人の人物として集約されたり、一人の人格を複数の
人物として登場させたりしています。
大筋を変えることななく、出来事の背景は脚色してあります。
かなり長くなりそうなので、読んだ方の反応、コメントを
見ながら続編をアップするかどうかを判断させて頂きます。
(筆力のなさは、ご容赦ください)
****************************************************

高校の卒業式。式典も終わり、一同は、教室に戻った。
級友たちは最後の時間を惜しみ、それぞれに3年間を懐かしく
振り返っておしゃべりをしていた。
喧噪の中、感慨深く見守っている生徒の保護者たち。
生徒たちそれぞれには、担任の先生から今後への『はなむけ』の
言葉が伝えられ、ひとしきり感傷に浸った後、保護者たちは先に
校舎を去り、生徒たちはそれぞれに仲の良かったグループ毎に
帰途につこうとしていた。

佐藤浩平も悪友たち3人と駐輪場の方へ向かいながら、これから
どうするかを話し合っていた。
この時代、大学入試はセンター試験どころか、共通一次もまだ
行われていない。多くの私大の一般入試は、ほぼ2月に集中し、
国公立大の入試が3月に行われていた。浩平も含め、ここにいる
級友たちは、全員がそれぞれに志望していた私大に合格を勝ち
取っていた。

「さあて、どうすっかね。まっすぐ帰ってもしょうがねえし」

「久しぶりに4人揃ったし、ここは麻雀だろ」

「だな。それぞれ進学する大学も場所もバラバラだし、
 集まって麻雀ってのも、夏休みで帰省したときくらいに
 なっちゃうしな」

「じゃあ、とりあえず一旦帰って、浩平ん家に集合でいいな」

「ああ。じゃあ何か食い物と飲み物でも持ってきてくれや」

「ほいよ。かかった金はいつも通り勝ったもん払いってことで」

それぞれが家路につき、佐藤浩平も自転車のペダルに足を
かけた時、後ろから呼びとめられた。

「佐藤さん!!」

「んっ?」

振り返ると、女生徒ふたりが浩平の方に向かって歩いてくる。
ひとりは背が高く、すらりとした子で、まっすぐに浩平を見つめ、
隣の子の背中を軽く押している。良家のお嬢様という雰囲気が
あり、品のいい顔だちをしている。
もうひとりの子は、恥ずかしそうに友達に背中を押されながら、
たどたどしく、なんとか歩いているという感じである。
背格好はまあ平均的な女子高生。ちょっとだけスレンダーか。
伏し目がちの顔からでも、整った顔立ち、可愛さが際立っていた。

浩平は、自転車から降りて、女の子たちの方に向きなおった。
背が高い方の子が声を掛けてきた。
「はじめまして・・・ですよね。
 知らない私たちから突然呼びとめられて、驚きますよね。
 ごめんなさい。
 さあ、晴香、ちゃんと自分から言わなきゃ」
浩平は、この期に及んでも状況が呑み込めていない。
「?」
晴香と呼ばれた子は、頬を赤く染め、少し震える声で何とか
話し始めた。

「あの、あの。佐藤さんの、その、第二ボタンを下さい!」

「え!?」

背の高い子が、見かねて助け舟を出す。

「この子、斎藤晴香って言いますけど、ずっと佐藤さんのことが
 好きで。
 何度も『告白すれば?』って言ったんですけど、結局、何も
 言いだせずに今日まで・・・。
 それで、最後の日だからって私が無理に連れて来たんです。
 様子を窺ってたら・・・。あ、勝手にごめんなさい。
 誰にもボタンを取られていなかったんで、せめて思い出に
 貰っておけって焚きつけたんです」

「はぁ・・・」

「あっ、失礼しました。私の名前は」

「えっと、北島彩さん。・・・ですよね!? 確か、B組の委員長」

彩は驚いた。
「えっ、私たちのこと、ご存じだったんですか!?」

「正直に言うと、よくは知らないんだけど。
 3日ほど前にうちの、C組の立花先生の家に泊りがけで遊びに
 行ってね。ほらあの先生、カメラが趣味なんで、校内の生徒たち
 のスナップを大量にスクラップしているんだよね。
 で、出してくれた酒を飲みながら写真を見せてもらって、同学年
 の女子のことをいろいろと聞かされて・・・。
 その時に、北島さんの写真もあったし、どれも斎藤さん・・・だった
 よね?二人で一緒に写っていたから」

「そうだったんですか・・・」

「まあ、北島さんは委員長だったこともあって、以前から名前と
 顔だけは知っていて、・・・斎藤さんのことは、それまでは知ら
 なかったけど。
 そしたら、立花先生が、『校内男子の一番人気の子だ』って。
 ごめんね。俺はそういうこと全く疎かったんで、斎藤さんだけ
 じゃなく、校内の女子って、同じ中学校から来ていた子以外は、
 誰が誰なのか全然知らなくて。
 うちのC組は3年間、男子だけのクラスだったからなおさら・・・。
 でもね、立花先生から聞いた評判と、写真を見て、確かに
 飛びぬけてきれいな斎藤さんのことが気になったんで、
 情報通のクラスの奴に確かめてみたら、『知らないのお前
 くらいじゃないの? 俺もひそかに憧れてたし』って。
 今日まで話す機会も持てなったは残念だったね」

晴香が、残念そうに聞いてきた。
「うちの女子に興味がないのは、他の高校に彼女さんがいる
 からですか? だから・・・」

「いや、勘違いしないでね。うちの女子や他校の女子もなにも、
 俺、まるっきりもてないんで・・・。
 それなりに片想いもあったけど、一方的なものだったし。
 恥ずかしいけど、これまで付き合った女の子のひとりも
 いなかったから。
 男友達とわいわい騒いでいるだけで充分が楽しかったしね。
 だから、女の子にもてなくてもあまり気にならなかったって
 いうか・・・。あはは、負け惜しみだね・・・。
 斎藤さんの申し出は、正直うれしいし、ボタンなんか全部
 あげても困るわけじゃないからいいんだけど・・・にしても・・・。
 スポーツもできない。ドジで不器用。何の取り柄もない俺の
 どこが・・・?」

実際、浩平は未熟児であったことが影響してか成長が遅く、
背丈や運動能力がやっと人並みに追いついて来たのが中学生
になってからだった。
高校に入る頃には背丈はごく平均的な身長になってはいたが、
虚弱で、痩せていて、顔色も悪かった。
筋力や瞬発力には問題がなく、短距離走や短距離の競泳など
は、むしろクラス内では上位に食い込むこともあったが、
中・長距離走や中距離以上の競泳など、持久力を要する競技・
スポーツは、からきし苦手だった。スタミナが続かないのである。
容貌は、「ハーフなのか?」と言われるような顔つき。
鼻筋が通り、二重瞼で瞳の色素も薄く茶目。初対面の人からは
神経質そうに見られる。
深い思考に入った時や激怒した時などは、近くにいた人に
怖がられるほど鋭い目つきになるが、それ以外に普段他の人と
接する時は、実に柔和な目をしていた。
性格も争いを好まず、いたって穏やかである。
耳が隠れるくらいのウェーブのかかった半長髪は、手入れをする
でもなく、ヘアブラシで簡単にかき分けているのみ。
彼にとっては、それらのバタくさい顔つきや虚弱な体質など、
全てがコンプレックスになっていた。
ファッションには全く無頓着。可愛がってくれていた2歳上の従姉
が見かねて「浩平も少しは着るものに気を遣いなよ」と、選んで
くれた服をそのまま、何の不満も抵抗もなく着ているような男で
ある。

呆れたように彩が口をはさんだ。
「佐藤さんの自覚がないだけっていうか・・・。
 うちのクラス、佐藤さんの噂でもちきりだったんですよ。
 でも、そういう異性に淡白なところがクールに見えて、
 よけいにみんな気になっちゃうんだろうな・・・」

浩平はもっと話したかったし、ときめくものを感じてはいたが、
時間がない。
「んーっ。残念だけど、今日はこれから、ほら、
 さっき一緒だった悪友たちと約束があってね。
 俺ん家に集合なんで・・・。
 もし、よければだけど、明日の夕方にでももう一度会って、
 話が出来ないかな。
 本当は日中がいいんだろうけど、奴らとの付き合いは
 夜通しになりそうなんで・・・」

晴香の表情がパっと明るくなった。
「わっ、嬉しい! もちろん、大丈夫です。彩も、いいよね!」

「何を言ってんの? ずーっと片想いで告白も出来ずにいた
 憧れの人が、せっかく二人で会える機会をつくってくれるって
 いうのに・・・。
 私がのこのこついて行くわけにはいかないでしょ!」

「あぁ、そんなに堅苦しく考えないで。
 じっくり話してみれば『なんだ、こんな男か』と、がっかりする
 だけだから。
 仮にこんな俺でもいいって思ってくれても、もう3週間後には
 こちらを離れるし、思い出はひとつでも多い方がいいでしょ、
 お互いに。
 だから、もし良ければ北島さんも一緒に。
 俺も誰か一人連れていければいいんだけど・・・。
 男子憧れの二人と会うなんて言ったら、あっと言う間に他にも
 悪友共がおしかけてパニックになりそうだしね」

「そういうことなら、私もお邪魔しちゃおうかな・・・。
 晴香、いいの?」

晴香はコクコクと頷いている。

「斎藤さん、家はどこなの?」

「あっ、日ノ出町です。彩も近くです」

「日ノ出町なら・・・一軒だけ喫茶店があったよね」

「はい。『ほのか』ですよね」

「そうそう。それじゃ、そこに4時半でいい?」

「はい」

「それじゃ、よけいな一人も楽しみにしてます」

「なにもよけいなことないって。
 じゃ、晴香ちゃん、その時にボタンも持っていくね。
 おっと、何か都合が悪くなった時には家に電話して」

浩平は急いで自宅の電話番号をメモした紙片を晴香に渡した。

「ありがとうございます」

「ありがとうじゃなくて、晴香のも渡さなきゃ!」

「あっ、そうでした」
晴香は、可愛い猫のキャラクターが描かれたメモ用紙に
電話番号を書いて浩平に渡した。
まだ、携帯電話など世に出ていない時代である。
電話と言えば、お互いの自宅の固定電話にかけるしか
なかった。

「それじゃ。楽しみにしています。急いでいるときにごめんなさい」

二人と別れて自転車で家路に急いでいた浩平は、担任だった
立花の自宅で見た写真やその時の立花の話と、今日の二人の
印象に思いを巡らせていた。
晴香は確かに可愛い。恥ずかしさが薄らいで素に近い状態に
戻った顔立ちは、整っていながらも、きれいな女性にありがちな
冷たさも感じず、表情には愛らしさがある。
眉の太さに意思の強さを感じさせるが、こればかりは、実際の
ところは分からない。
あの顔立ちは、確かに男のハートを鷲掴みにしてしまうだろう。
プロボーションも若干細身の体に、けして大きくはないが均整の
取れた健康的な胸や腰つきをしていた。
テレビやグラビアで活躍するアイドルと比較しても遜色がない。
男どもが騒ぐのも頷けた。
残念なことに、その騒ぎにさえも俺は取り残されていたわけ
だが・・・。

対して彩は、まず背が高い。165cmは、あるんじゃないか?
ハイヒールなんて履いたら、172cmという、男としてはごく
標準的な俺の背丈と並んでしまいそうだ。
晴香と比べても随分とスリムな体形である。
まあ、そこは55kgと痩せ過ぎの俺に合ってはいるか・・・。
もっとも彼女にしてみれば、俺とつり合うことなど考える必要も
ないのだが。
若干面長の顔は、じゅうぶんに平均レベル以上。いや、かなり
高いランクだろう。晴香と並んでいることで、だいぶ損をしている。
肩の先まで延ばしたストレートヘアも顔や体形にマッチして、
全体に控えめで、自己主張し過ぎない雰囲気・・・そう、
「清楚」という言葉がピッタリか。
細い体に・・・胸もないが、俺は別に巨乳好きなわけではない。
委員長をやっていただけあって、言葉遣いや態度もきちんと
しているし、言いたい事が相手にきちんと伝わる話し方をする。
晴香と比較すると、姉のようにも見えるほどしっかり者という
ところか。
まあ、晴香の場合は、どこがいいんだかはさておき、俺が好き
だということで、やっとの思いでそれを伝えようとしていたわけ
だから、今日のあのシャイな姿は、普段の彼女から割り引いて
見てやらなきゃいかんのだろう。

この時点では、浩平は彩の方に魅かれ始めていることに
気づいてはいない。

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浩平の家では、彼女を持たないむさ苦しい男どもが4人。
浩平の両親が帰って来るまでは麻雀に興じ、その後、皆で
夕食を摂ってからは浩平の部屋に籠ってトランプをしたり下らぬ
話を明け方まで続けていた。
彼女たち二人の話は、誰の口からも出てくることはなかった。
浩平同様、悪友3人も類は友を呼ぶで、女の子に当たり前の
興味はあっても、皆『おくて』というか、意中の子はいても告白
するなど飛んでも8分、歩いて10分。
気の合う男友達と群れて、楽しく騒いでいるだけで満足して
しまう連中ばかりなのである。
どいつもおそらく、縁があって女の子と付き合うことになれば、
お互いに祝福し合うであろうほど気のいい連中ではあるが・・・。

あの二人の子を意識していなかったのは、さすがに浩平だけ
だったということは、随分後に開かれた同級会での会話で
分かったことである。
浩平以外の3人もまた、特に晴香には大いに憧れを抱いていた。
高嶺の花と、口にも出せずにいただけで。

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約束の時間の10分前には、浩平は『喫茶 ほのか』の前に
自転車を止めた。
浩平が
店の前を自転車で通る姿を、彼女たち二人は窓際の
テーブルで、窓とは反対側の席に座って通りを眺めていた。
晴香が、笑顔で手を振っている。彩がにっこり微笑んでいる。
彼女たちを横目に視認して、浩平も軽く手を挙げた。

初めての告白を受けた女の子と、その親友に会いに来たと言う
割には、浩平の心は落ち着いていた。
地元にいられるのは、あと20日しかないのである。
晴香がこれから、どこでどう過ごすのかを聞いてはいなかったが、
浩平が地元を離れれば、そう度々会えるような状況にはない。
であるならば、彼女がこれから浩平と初めて交わすプライベート
な会話の過程で、彼女が抱いていた浩平への感情が間違い
だったと気付き、このまま「さよなら」でも、浩平にとっては
束の間にせよ、自分に好意を抱いてくれた子の存在を知った
だけでも、これからの人生に大きな自信になるし、いい思い出
にはなる。
よもやあるまいとは思いつつ、晴香がその好意を膨らませる
ようなことがあれば、これからどうお付き合いしていけばいい
ものか・・・。かえって戸惑うだろう。
女の子と付き合った経験もない浩平には、そちらの方が見当が
つかない。

大学入試の合格発表が終わってから、それまで女性に縁の
なかった浩平にも、運転免許教習所やら、何かのイベントやら
で同世代の卒業を目前にし、進路が決まった解放感を共有する
女の子と偶然に知り合い、意気投合して一緒に映画を観たり、
お茶を楽しんだりという機会が何度かあったが、全てが恋愛
感情には発展しようもない、お互いにその場限りと割り切った
ものだった。
その場だけのものだからこそ、いわゆる「体目当て」の関係を
漁るような感覚は、浩介は元来持ち合わせてはいない。
そして、この『喫茶 はるか』での晴香と彩との出会いが、
この後の浩平の人生に大きな影響をもたらすことなど、この時は、
知る由もなかった。

「ごめん。待たせちゃったね」

彩が応じた。
「いえ。私達も待ち合わせて今、着いたところですから」

浩平は、空いている窓際の席に腰をおろす。
すぐにウェイトレスが注文を取りに来た。

「えっと、二人は仲良く紅茶なんだね。 俺は、コロンビアを。
 さて、忘れない内に。はい、約束のボタン」

浩平は、5つのボタンをテーブルの上に並べて置いた。
いたずらな目で、晴香に向って言う。
「さあ、どれが第二ボタンでしょう?」

「え!? そんなあ、分からないですよぉ・・・」

彩が口を挟む。
「せっかくだから、全部貰っちゃえば?」

「えぇっ、でもぉ・・・」

「アハハ。実はこれでした」
浩平は、ポケットからもうひとつ、小さな袋を取り出して、晴香に
渡した。
「その5つのボタンの内の一つは、予備用のボタンだよ。
 第二ボタンは、まとめて持っていたら自分でも分からなくなる
 から、真っ先に取って袋に入れておいたんだな」

晴香は、嬉しそうにお礼を言って、その小袋を受け取った。
彩は、浩平の顔をまじまじと見つめながら、『意外に・・・』という
顔をした。
「へえ、佐藤さんってこういうジョークもするんですね」

「そりゃあねえ。
 二人の持っている情報をもとにした俺のイメージは、やっぱり
 現実とは随分違うんじゃない?
 だから言ったでしょ。
 じっくり話してみれば『なんだ、こんな男か』って思うよって」

「いえいえ、逆ですよ。
 なんか、私には・・・というより、たぶん佐藤さんを見ていた
 ほとんどの子には、近寄りがたいイメージがあったんですけど、
 結構、くだけているっていうか・・・。面白い人だなあって。
 そうだ、せっかくだから、その残ったボタン、私が貰っちゃ
 おうかな!」

晴香が文句をつける。
「何で彩が佐藤さんのボタンを受け取るの?それ、おかしいし」

「いいじゃない。私だって思い出づくりに晴香に付き合ってここに
 来たんだし。
 残ったボタンくらい、それくらいのご褒美があったって構わない
 でしょ!!」
お互いに言葉の調子はきつくない。
からかい、じゃれあっている感じである。

「ボタンく・ら・いじゃないもん!」

「まあまあ・・・。俺にとっては不用品だし。
 じゃあ斎藤さんにもあと2つ。
 北島さんには、残った3つ。
 ここには第2ボタンは入っていないから・・・ね!」

なるほど。恋愛は時に、女の友情をもろくも崩してしまう・・・。
この二人は違うな。雰囲気としては、仲のいい親友同士で
じゃれあっているだけ。微笑ましい関係だな。などと、
浩平は、他人ごとのように二人を観察していた。

「ところで、斎藤さんたちは、地元に残るの?」

「私は、市内の●●銀行です。だから、自宅から通います」

「そっか。いいところに入れたね。
 実際、市内や県内で地場の優良企業に就職しようと思ったら、
 下手に県外の大学に進学してUターンするより、地元の高校を
 卒業してすぐに就職した方がよほど入り易いんだよね。
 ましてやうちの高校だったら指名が入るし。
 北島さんは?」

「私は、○○女子大短期大学部の栄養学科です。
 学校推薦でしたから、12月には合格を貰っていました。
 佐藤さんは、東京の△□大でしたよね」

「そう。ま、一応、経済学部だけど、将来何をやりたいかなんて
 まだ決まっていなくてね・・・。
 顔色や体形を見ればわかる通りで、体があまり強くないから、
 すぐに社会に出るのは心配だったようで、先生や親が進学を
 勧めてくれて。
 立花先生が、まあ何になりたいかも決まっていないなら、
 経済が一番潰しが・・・融通がきくぞって言うんで、ほんじゃあ、
 経済で無理せず入れる大学はどこかいなってんで決めた
 ようなもんだしね。
 優柔不断でしょ?
 斎藤さんは、銀行員。北島さんは、栄養士を目指して勉強か・・・。
 俺なんかより全然しっかりしてるよね」

晴香は、興味津々と言った顔つきで聞いている。
彩が口をはさんだ。
「そんな・・・、まだまだ全然しっかりなんかしてないですよ。
 それに、△□大って、そんなに楽に入れるようなレベルでは
 ないですよね」

「いや、それは一応俺達のクラスは進学コースだから、
 それなりに何とかなっちゃうもんで」

浩平たちが通っていた高校はもともとが実業高校で、商業科と
工業科が併設されていたが、浩平が受験をする年に普通科と
いう名の進学コースが追加され、再編されていた。
女子のみの実践商業科がA、Bの2クラス。
この中のB組が晴香と彩のいたクラスである。
浩平のいた男子のみの普通科がC組。
D、Eの2クラスは、男女共学の流通商業科。女子の方が多い。
F、G、Hの3クラスが工業科で、2年次から建築、電子工学、
情報工学の3コースに分かれる。
一応共学だが、ほとんどは男子である。
面白いのは、普通科の生徒でも1年生の時は、選択科目として
簿記や情報処理の科目を取れたところである。
C組の進学実績が一定の成果を得たことで、明年には普通科が
もう1クラス追加され、後に、「総合高校」という校名に変わり、
大幅に再編されていくことになった。

浩平は、運ばれて来たコロンビア・コーヒーに口をつけた。
晴香が不思議そうに聞いてきた。
「砂糖とミルクは入れないんですか?」

「受験期にね、眠気覚ましに頻繁に飲むようになってから、
 砂糖は入れなくなったね。
 ましてや、ちゃんとした喫茶店で出してくれるそれなりの
 コーヒーは、砂糖なしでもじゅうぶんにうまいよ。
 今や、眠気覚ましじゃなくて、俺にとってなくてはならない
 ものだね」

「甘いものは、好きじゃないんですか?
 それで、そんなにスマートだったり・・・」

「アハハ、たぶん君たちと同じか、それ以上に甘い物は好き。
 だけど、コーヒーは別。太れないのは体質だよね」

「へえー・・・。私、コーヒーは、砂糖なしじゃ苦くて飲めない
 ですよぉ」

「それは、斎藤さんはまだお子ちゃまだということで!」

「ひっどーい!! ま、でもその通りですけど・・・。
 食べても太らないって、いいですね」

「うーん、俺としては、もうちょっと太りたいんだけどね・・・。
 北島さんは? やっぱりコーヒーは苦手?」

「私は、紅茶派ですね。コーヒーは苦手ではないですけれど、
 あまり飲まないですね」

「そっか、それは残念。紅茶も嫌いじゃないけどね。
 砂糖の話が出たところで、俺のこと『佐藤さん』って呼ぶの
 やめにしようよ。
 『佐藤』って、必ずクラスに3?4人いるから、いつも名前で
 呼ばれるんだよね。
 何か『佐藤さん』って言われると軽く違和感が・・・」

晴香と彩は顔を見合わせ、少しの間を置いて、彩が応えた。
「じゃあ、『浩平さん』でいいですか?」

「うーん、同学年なんだから呼び捨てでもいいんだけど、俺も
 二人のことを呼び捨てには出来ないし、それでいいことに
 しようか」

晴香が言い、彩が続けた。
「じゃあ、私のことも名前で。
 私もあまり苗字で呼ばれたことはないんで、『晴香』の方が
 いいです」

「私も名前で呼ばれた方がしっくりします。『彩』でいいです」

「了解。
 で、晴香ちゃん。本題だけど、俺に好意を持ってくれたことは
 ありがとう。
 正直、嬉しかったし、もっと早くに言ってくれていたら俺の方が
 舞い上がっていただろうと思う。受験も手につかなかったかも
 知れないね。
 でも、俺がこっちにいられる日数は、あと20日。
 お互いを深く知ることもできずに、いきなり遠恋は難しいよね。
 晴香ちゃんには、これから、この地元で、いい出会いもたくさん
 待っていると思う。
 俺としては、すごく残念ではあるけれど、晴香ちゃんのためを
 思ったら、昨日と今日を高校生活最後の思い出のひとつとして
 割り切って、これからを楽しんでほしい。
 俺が晴香ちゃんの足枷になってはいけないと思うし・・・ね。
 もしかしたら、俺の方が残念な思いを引きずっちゃうかも
 知れないけど」

「はい。私も彩に背中を押されて、思い切って告白することが
 出来て良かったです。
 遠距離は・・・やっぱり辛いし、好きな人は側にいてほしいから。
 でも、・・・彩の言うとおり、もっと早く告白しとけば良かったな・・・」

彩が言葉を引き継いだ。
「でも、高校生活はもっと楽しめたかも知れないけど、晴香の
 性格を考えたら、それはそれで、この時季がすごく辛いものに
 なっていたんじゃない?
 良かったのかも知れないね。・・・これで」

「それにしても、こっちは3年間同じ面子・・・同じ顔ぶれの野郎
 どもばかり。
 そっちは、2年の時から、やはり同じ顔ぶれの女子ばかり・・・。
 二人は、3年間一緒だったのかな?
 いずれにしても、隣同士で、壁1枚隔てただけとは言っても、
 やっぱりなかなか話す機会もないし、遠い存在だったよね」

「それは、浩平さんがそういうことに関心を持たなかったから
 ですよ。
 結構、C組の男子たち、休み時間や放課後にうちのクラスに
 顔を出していたんですよ。
 ほとんどは晴香目当てでしたけどね。」

「なあに言ってんだか?彩だって随分言い寄られていたじゃない。
 彩も頑なって言うか、適当にあしらってばかりいるもんだから、
 中には、ついでに他の子にちょっかいを出しているうちに、
 意気投合してできちゃったカップルもいたし」

「ほう。うちの連中でかい? 誰よ、よれ」

「ほら、伊東君とあきちゃんとか、友田君とじゅんとか・・。
 と言っても浩平さんのことだから、うちのクラスの子は、
 名前を言っても分からないでしょ!?」

「まあ、たしかに。・・・そっか、あいつら、うまいことやってたんだ」
妬ましくはないが、ちょっぴり羨ましい。

「校内をいつも友達に囲まれて歩いている浩平さんの姿、
 晴香に引っ張られて私も陰からよく見ていたんですよ。
 全く気がつかなかったでしょ」

浩平は驚き、一瞬ではあるが、3年間の折々の情景が頭の中に
フラッシュバックしていた。
そう言えば、階段を踏み外した時・・・。一緒に歩いていた連れが
支えようとしたのも虚しく、踊り場に転がり落ちたその場に、
この二人がいたなあ。
確かに晴香の声だった。
『あぶない!! そういえば佐藤さん、この間まで足を怪我して
 杖をついていたよね。まだ治ってないのかな?大丈夫かな!?』
2年生の夏休み明け、実力試験の成績上位者が昇降口正面に
貼り出された時。そうだ、あの時も俺の左後ろにこの二人が
いたっけ。やはり晴香の声で・・・。
『佐藤さん、やっぱりすごいね!』って聞こえていた。
そうだ、そういえばあの時も・・・。

「いつもクラスメイトに囲まれて楽しそうに話しながら、歩いて
 いましたよね。
 ただでさえ浩平さんは近寄りがたい雰囲気なのに、いつも
 多くの友達と一緒で・・・。晴香も私も声をかけるチャンスなんて
 なかったですからね。
 浩平さんは、B組に顔を出すようなこともなかったし。
 まったく興味を示さないんだから、恋する乙女と、それを何とか
 してあげたい親友にとっては、罪な男ではありますよね」

「そう・・・なんだ。ずいぶんとカッコ悪いところも見られていたって
 いうことか・・・。
 そっか、B組に出入りしていた連中から、だいぶ俺のあること
 ないことも吹き込まれていたんだろうね。
 ようっし、仕返しだ。うちのクラスの奴らの事、聞きたい奴が
 いれば正体を暴いてやろうじゃないか。
 どれ、晴香ちゃん、誰からいこうか」

浩平は、名前の挙がった級友たちのエピソードや彼から見た
彼らの性格や素行を、面白おかしく話して聞かせた。
晴香は、ケラケラと笑い、時折腹を抱えながら話にのって、
次々に質問をしてきた。
彩も、終始ニコニコして、時に頷きながら浩平の話に聞き入って
いた。
浩平は、勿論、仕返しだと言わんばかりに、級友たちの失敗談や
エッチな側面を強調しながら話しているのだが、彩は楽しく聞き
ながらも感心していた。
この人は、表面的には友人の格好悪いところを聞かせている
ようでいて、けして彼らをけなしているわけではない。
むしろ巧みにその中に彼らの長所を織り交ぜ、
『だから、こいつはいい奴なんだ』。『この野郎は憎めないんだ』。
『愛すべき連中だよ』と、彼らのイメージを貶めないように、
「素敵な人たちだな」と思わせるように仕向けている。
それは、鼻の下をのばしてB組に顔を覗かせていた男たちの
話し方とは、明らかに違っていた。付け焼き刃の配慮などで
できることではない。そこに彼の人柄がにじみ出ている。
これが、彼が人を魅き付ける、いつも多くの友人たちに囲まれて
いた大きな理由のひとつでもあるのだろう。
この彩の浩平への観察は、彩の長い親友である晴香をも見直す
ことになった。
『親友よ。君は、上辺だけで浩平さんを好きになったわけでは
 なかったんだね。男を見る目はしっかりと持っていたんだね』

彩は、このとき、どうしようもなく浩平に強く魅かれる自分に戸惑っ
ていた。やがてそれが、自分と浩平にとっての大きな幸福と、
その後の浩平に、深い悲しみを背負わせることになろうとは
思いもよらずに・・・。

ひとしきり、晴香の興味を持っていたC組の男子について話し
終えたところで、浩平は、もう頃合いかなという風に切り出した。
「さて、晴香ちゃん、満足できたかな? C組は、面白い男どもが
集まったいいクラスだろ。あいつらと同級で3年間過ごせて、
俺もホントに楽しかった。
俺のことはいろいろと聞いているようだし、密かに観察されても
いたわけだから、まあ、それでいいよね。特に取り柄もないし。
彩ちゃんもどうだったかな。楽しんでもらえた?」

晴香は、本当に楽しく、いい時間が持てたと、喜んでいた。
しかし、彩がなんだか元気がない。顔を伏せて考え込んでいる。
晴香が心配そうに彩の顔を覗き込む。
「彩? どこか具合が悪い? だいじょうぶ?」

「えっ!? ううん・・・。いや、だいじょうぶよ。浩平さんの話に
 聞き入っていたら、なんだかいろいろ思い出して、ちょっと
 感傷的になっちゃった。
 アハハ、私らしくもない。
 浩平さん、おまけで付いて来た私ですが、すごく楽しかったです。
 ありがとうございます」

彩は、浩平がこの店に入った時と同じ笑顔で応えた。
彩は、『そうだ。お前はおまけなんだから・・・。晴香の引き立て
役だぞ』と、自分に言い聞かせた。

また会える機会があるといいねと、3人はそこで別れた。
彩は独り、『いい思い出だけなんかで、終わらせたくない』という
感情の迸りを制御できずに、それでも必死にこらえながら家路に
ついた。

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5日後、朝9時半。浩平の自宅の電話が鳴った。
「はい、佐藤です。 ああ、彩ちゃん? こないだはどうも。
 えっ、いやあ、さすがに起きてたよ。だいじょうぶ。
 どうしたの!? 晴香ちゃんに何かあった?
 えっ、映画を一緒にみたい!?
 いや、別に構わないけど・・・どうせ暇してるし・・・。
 友達? いやまあ、それぞれの都合で動いてるからねえ、
 なかなか連れだってどこかに行くということもできないし。
 それは、気にしなくてもいいよ。
 うん、今日? いいよ。だけど今、何が上映されているか
 分からないよねえ。
 あっ、新聞の折り込みで分かるの。うん。そっか、
 『シネ5』の近くで待ち合わせて、何を見るのかを決めようと。
 オッケー。いいよ。
 うん。・・・うん。じゃあ、お昼一緒に食べようか。
 えっ、空いてる方がいいから早めの11時半?
 分かった。じゃ、そこで」

あの日の会話だけじゃ満足できなかったのかな・・・。
それにしても、何で晴香ちゃん、自分で誘ってこないんだろ?
親友とはいえ、彩ちゃんも晴香ちゃんのキューピット役をこう度々
押し付けられたんじゃたまらんだろうに・・・。
浩平は、何か腑に落ちないものを感じながら、二人から誘って
貰えることは、やはり嬉しくもある。

『シネ5』とは、市内の主要駅からアーケードを歩いて5分程の
ところにある。正式には「△△シネマ ファイブ」という、大小5つの
上映館を持つ映画館である。
すぐ側の大きいけれど、大衆的な中華料理店で昼食を共に
しながら、何を観るか決めようと言う事であった。

さて、女の子とデートということになると、情けないが浩平には
どういう服装で行けばいいものか迷った。
自分が蔑まれるのは構わないが、自分のセンスのなさで二人が
恥ずかしい思いするのは、申し訳ないと思う。
以前に受けた従妹のアドバイスを思い出してみるが、組み合わせ
が・・・分からない。考えて、考えて・・・。考えるのをやめた。
気心の知れた仲間と一緒に外出する今までどおりのスタイルで
いいやと。
ジーンズに、黒のTシャツ、エンジ色のジャケットをはおった。
スニーカー履きに、布地のバッグを肩から提げた。

外はどんよりとして、いかにもひと雨来そうな空模様である。
折り畳み傘をバッグに詰めて、自転車ではなく、バスで向かう
ことにした。

早めのバスに乗ったつもりであったが、思いの他道路が混雑して
いて、降車のバス停に着いたのは、約束の5分前を切っていた。
小走りで待ち合わせの中華料理店に向かっていくと、彩が入口の
ところに立っていた。浅黄色のスカートに白のブラウス。グリーン
のカーディガンをはおっていた。
手を振っている。

「やあ、ごめん、ごめん。待たせちゃったね。店に入っていて
 くれればよかったのに。
 あれ、晴香ちゃんは? 中にいるの?」

「いいえ、今日は私一人で来ました」

「ああ、そうなんだ・・・」

「ご迷惑でしたか?」

「いや、とんでもない。彩ちゃんとのツーショットも嬉しいよ。
 ・・・とにかく中に入るろうか」
そう言えば、晴香と一緒に来るとは言っていなかったな・・・。

店に入り、店員に促されるまま席に案内されて行くが、
「こちらの席に」と指示された時に、彩が店員に向かって言った。
「すみません、なるべく周囲が空いているところにしたいのですが、
 あちらの席に。いいですか?」
浩平は、彩の何かしら決意を秘めたような態度に、自分に対して
極めて個人的な相談でもしたいのだろうか。晴香との間に何か
あったのかと、少し身構え、訝った。
店員の了解で、二人は結構広い店内の奥の方に席を取り、
丸テーブルに隣り合って腰を下ろした。

「さて、何を食べようかな?
 俺、朝飯は喰わないんで、腹が空いちゃった。」

「だめですよぉ! ちゃんと朝は食べなきゃ。
 だから浩平さん、ほっそりしてるんでしょ」

「なんとも、朝は苦手でね・・・。食欲がわかないんだよね。
 って言うか、細いのは彩ちゃんも負けてないんじゃ・・・」

「私のことは、いいんです!
 浩平さんは、朝の分もちゃんと食べて下さいね。
 何にしますか?」

「ええっと、うん。チンジャオロースとチャーハンにしようかな」

「じゃあ、私は、エビチリと卵スープと、普通にご飯にしよっと」

「あっ、エビチリもいいな・・・」

「アハハ、それじゃあ、私の分けてあげますから。ネ!?
 浩平さんは、好き嫌いはないんですか?」

「うん。嫌いなものはないね。これまでに食べたことのある料理
 と食材には。ただ、あまりに脂っこい物は苦手かな。
 嫌いではないんだけど、食べているうちに気分が悪く・・・ね」

料理をオーダーし、二人が同時に、置かれた水を一口飲んだ。
これから、何か大事な会話が始まるのを予感するかのように。
少しの沈黙の後、彩が意を決したように浩平の目をまっすぐに
見て口を開いた。

「浩平さん。私、浩平さんのことが好きです!」

「へ!?・・・」
浩平は、予期せぬ彩からのストレートな告白に驚いて、
素っ頓狂な声を上げた。

「私、あの5日前の浩平さんの話を聞いていて、浩平さんを
 見ていて、自分では抑えようのない何か・・・。経験したことの
 ない・・・胸を締め付けられるような感覚が湧きあがってきて。
 浩平さんを離したくないって・・・。もっと一緒にいたいって・・・。
 お別れした後にも、このまま終わるのは嫌だって・・・。
 でも、一時的な感情なのかなとも思いました。
 男の人を本気で好きになるのって初めてだったから、自分でも
 わけがわからなくて。
 家に帰り、日が経てば落ち着いてくるのかなって思い込むこと
 にしたんです。
 でも、逆でした。
 次の日も、そしてまたその次の日も、私の頭の中は、浩平さんの
 ことでいっぱいになっちゃうし。
 日が経つにつれて、『ああ、もう浩平さんはいなくなっちゃう』と
 思うと、いてもたってもいられなくなって・・・。
 私は、やっぱり浩平さんのこと、本気で好きになっちゃったん
 だって。
 会いたくて・・・・会いたくて。
 せめて、私の気持ちを聞いて欲しくて。
 それで今日、思いきって電話を・・・」

浩平には、自分でも驚くべきことに、ふいに『俺も、好きだ!』と、
叫び出したい感情が込み上げてきた。そして、一瞬にしてはっきり
と自覚した。
『ああ、俺も、彩ちゃんのことが好きになっていたんだな』と。

しかし、お互いに付き合っていくには、、冷静にクリアしなければ
いけない壁がいくつかある。まずは、それを話し合わなければ
いけない。浩平は感情を極力抑えて、話し始めた。

「ありがとう。素直に嬉しい。
 今、彩ちゃんの方から告白されて、俺も彩ちゃんのことが好き
 だったんだということに気がついた」

彩の顔が輝いた。

「でも、先にはっきりさせておかないといけない問題がいくつか
 あるよね。
 先ず、晴香ちゃんのこと・・・。
 俺たちが付き合い始めることで、彩ちゃんと晴香ちゃんとは
 気まずくならない?
 親友として今まで、何でも相談し合って来たんだよね。
 俺が言うのもなんだけど、特に彩ちゃんは、晴香ちゃんが
 『俺が好き』ということで、何とかしてあげようと後押ししてあげて
 来たわけでしょ?
 晴香ちゃんに、わだかまりは残らないかな?
 親友なだけに、なおさら。
 そりゃあ、俺は彩ちゃんが好きだ。いや、好きだったことに今、
 気がついた。
 女の子に先に告白させてしまって気がつくって情けないけど、
 これは、どうしようもない。
 けど、君たちの関係がこれで壊れてしまうことには耐えられない。
 それだけは、何としても避けたい」

彩は、意外にも深刻そうな表情も見せずに、卒業式の日から
今日までのことを話し始めた。

「晴香のことは、だいじょうぶです。
 晴香は、3年間は本当に一途に浩平さんを追っていました。
 でも、結局卒業式を迎えたあの日までは、言い出すことが
 できなくて・・・。
 浩平さんが東京の大学に合格して、どうやらそちらに行くようだ。
 地元にはもう、帰って来ないかも知れないと分かった時点で、
 晴香は、『これで失恋かあ・・・。でも、一度だけでも話がした
 かったな。思いを伝えておけば良かったな』って。未練な様子が
 ありありだったので、私が、『告白だけでもしちゃえば?
 ありきたりだけど、思い出に、制服の第二ボタンでも貰えるよう
 に頼んでみれば?それでスッパリとあきらめて、新しい職場で
 いい人をさがしなよ』と、あおったんです。
 そしたら思いもかけず、浩平さんの方から話す機会をつくって
 くれて。
 晴香は、その日、浩平さんと別れた後、
 『良かった。やっぱりいい人だった。思った通りの人だった。
  ほんの一刻でも、私に目を向けてくれて、本当に嬉しかった。
  これで、高校生活3年間に思い残すことはないや。
  彩、背中を押してくれてありがとう。今度は、私が彩を応援する
  番だね。早く、いい人見付けなよ』って。
 私は、思わずそのときにポロっと言っちゃったんです。
 『私、浩平さんを好きになっちゃったかも知れない』って。
 晴香は、ホントにビックリした顔をして、暫く固まっていました。
 でも、すぐにいつもの晴香の穏やかな顔に戻って、言って
 くれたんです。
 『そうかあ・・・。でも、それも分かるな・・・。だって、3年間・・・
  そう3年間も彩は私に付き合って浩平さんのことを見て来たん
  だもんね。
  私は、好きだと言う感情を隠しもしないで、・・・自分本位の目で
  浩平さんを見ていたけど、彩は、私の隣で、冷静に観察して
  きているんだよね。
  いろいろな人の浩平さんの噂も一緒に聞いて、実際に私と一緒
  に、自分の目で確かめて・・・。
  私は、能天気に浩平さんへの熱い思いを彩にぶつけて、時に
  慰めて貰って、時に怒られて、そして彩に甘えて親身に相談に
  乗ってもらっていただけだけど。そうだよね・・・。
  彩は、私に気を遣うあまり、無意識に自分の浩平さんへの感情
  を抑えて来たんだろうな・・・。そして今日、会って話してみたら
  ・・・か。
  思っていた通りの、素敵な人だったもんね。
  いいじゃん! さすがは親友! 同じ男に惚れたか。
  私は恋人にはいつも側にいて欲しいから、それが叶わない
  恋ならと割り切ったけど、遠恋でも二人の思いが強ければ
  やりようもあるかもね。
  浩平さんは、彩に好意を持ってはいるよ。それは、私が保証
  する。後は、彩次第だよ。もっとガッチリと浩平さんのハートを
  つかめれば・・・。
  会えない期間、彩が彼の心の中に、強い影響を持った存在と
  して、どう居続けていられるか・・・かな?
  よし、頑張れ!今度は私が彩を応援する。
  ただ、時間がない。思いを伝えるんなら、早くしなきゃ』って
 言ってくれて。
 でも私、そのときは、自分の気持ちにまだ半信半疑だったんです。
 本当に浩平さんのことが好きなのか・・・。
 ううん、好きなことには違いないんだけど、本当に恋と呼べるよう
 なものなのか。
 なんて言ったらいいんだろう・・・。うまく表現できないんだけど
 ・・・。何か、自分が自分でなくなりそうでこわい。
 それが、その時の私の正直な気持ちでした。そしたら、晴香が、
 『だから、それが恋なんだって!私の辛さが、本当の意味で理解
  できたでしょ。彩は、本気の恋の経験がなかったから、そうだ、
  未知との遭遇ってやつだわね。
  帰って、落ち着いてからよく自分の心に聞いてみなよ。
  はっきりするまでは苦しいぞぉ。
  はっきりしたらしたで、また別の辛さがやってくるけどね。
  実際に付き合うようになったら・・・、そりゃ私も経験がないから
  知らん。でも、その前まではアドバイスできるよ。
  これまで彩が私に言ってくれた言葉、それに対して私がどう
  感じたかっていう経験があるから』って。
 それで、昨日まで・・・、晴香の言ったとおり、本当に辛かった。
 でも、うじうじしている時間がない。それで、今日しかないと
 思って、浩平さんに電話する前に、晴香に電話したんです。
 『今日、告白するからついて来て』って。
 そしたら晴香、なんて言ったと思います?
 『付き合いたいって告白する女に、私が付いていけるかい!
  私の場合は、片想いに決着を付けるためだけ。ある意味、
  失恋前提で会いに行ったんだから、彩が必要だったんだよ。
  今日私が付いて行ったら、それこそ[人の恋路を邪魔する奴は]
  になっちゃう。
  だいたい、浩平さんが私に遠慮して本心を明かせなくなっちゃう
  でしょうよ。
  彩なら、だいじょうぶ。期待して報告を待ってるよ?ん』って。
 ひどいでしょ?」

「ふーん。晴香ちゃんの積年の思いが、彩ちゃんに移っちゃったと
 いうところか・・・」

「そんなことはないでしょうけれど・・・。
 だから、晴香のことは大丈夫です。
 私の告白、浩平さんに受け止めて頂いたと捉えて構わない
 ですか?
 その・・・彼女に・・・してもらえますか?」

「勿論。本来は、俺から先に告白しなきゃいけないことだったん
 だよ、きっと。俺、鈍いから・・・。うん、そうなんだよ・・・」
浩平は、少し下を向き考えた後、大きく深呼吸してから彩に
向き直り、真っ直ぐに彩の目を見て言った。
「俺は、佐藤浩平は、北島彩が大好きです。
 彼女になって下さい!!」

彩は、満面の笑みで応えた。目がキラキラしていた。
「はい。喜んで!」
照れながら見つめ合っている二人。
浩平は、男女や年齢を問わず、人の笑顔を見ることが好きだった。
自分も幸せな気分になってくる。
お互いの告白タイムが終わったところで、料理が運ばれて来た。
彩が、かいがいしく浩平の小皿に料理を取り分けてくれている。

「あっ、いいよ。エビチリは、彩ちゃんが食べた残りをもらうから」

「何を言ってるんですか?
 こうやって彼と料理を分け合って食べるのも、私の小さな夢の
 ひとつだったんですから。
 その代り、チンジャオロースも少し分けて下さいね」

「彼か・・・。彼女か・・・。夢か・・・。
 じゃあ、俺のささやかな夢も実現させてもらおうかな?」

「なんですか? あらたまって」

「俺ね、バカみたいなことだけど、彼女ができたら、『ちゃん』とか
 『さん』付けじゃなくて、呼び捨てにしたかったんだ。
 何かね、『俺の彼女だぞ』っていう感じでさ。
 まあ、同校で同学年だから、親しい間柄では呼び捨ては当たり
 前ではあるんだけどね。ハハ、バカでしょ!?」

彩は、笑いながら応えた。
「いいですよ。私もその方が嬉しい。
 じゃあ、私は、なんて呼ぼうかな?
 『浩ちゃん』でいいですか!?」

「いいよ。じゃあ、彩、もうひとつ。
 同い歳なんだし、タメ口にしょうよ。その方が親しみがわくし」

「うーん・・・。でもね、さっき彼女にしてもらいましたけど、私にとって
 浩ちゃんは、彼氏であると同時に、尊敬の対象でもあるんですよ。
 これは晴香にとっても一緒ですけど。
 だから、なかなか、すぐには難しいかも。
 徐々に・・・でいいですよね。
 あっ、このおエビチリ、おいしい。浩ちゃんも食べてみて」

さすがに「あ?ん」はしない。が、何とも赤面しそうな会話である。

「それにしても不思議だよなあ・・・。
 彩にしても晴香ちゃんにしても、3年間で二人で作り上げた俺の
 偶像が独り歩きしちゃったんだろうけど、何でこんなに魅力的な
 二人が・・・。
 実際に校内では相当人気があったようだし、引く手あまただった
 だろうに。
 それが二人とも、あぶれ者の俺に・・・」

「晴香は、私でさえ感心するほど、浩ちゃんに一途でしたからね。
 私は、晴香に振り回されて、他に目を向ける機会を失っちゃた
 かな。そして、知らないうちに浩ちゃんの存在が私の中で大きく
 なっていた。
 違うな・・・。他に目を向ける機会を失ったと言うより、他に目が
 行かないほど、浩ちゃんが好きになっていたのに、自分で気が
 つかなかった・・・ですね。
 もしかしたら、立場が違っただけ、感情の表現の方法が違った
 だけで晴香と私、二人でそれぞれに浩ちゃんに片想いをして
 いたのかも知れない・・・。
 あまりにも一途な晴香の姿を見ていたから、そこに割りこんで、
 私も好きだからとは言えるわけもないし、考えることを放棄して
 いたというか・・・。
 先に『佐藤さんが好きだ』と私に打ち明けた晴香を、3年間私が
 見守る役に徹して、晴香が失恋を受け入れた後で、にぶい私が
 やっと自分も同じ人が好きだったと気がついて。思わず漏らした
 から、晴香も応援してやろうという気になってくれたのかも知れ
 ませんね。
 そして結果的に、こうやって私が浩ちゃんの彼女にいすわっ
 ちゃった。・・・晴香に感謝しなきゃ」

浩平の方は見ずに、料理を口にしながら遠くを見るような目で笑み
を浮かべながら回想する彩の瞼には、うっすらと涙が滲んでいた。
浩平は、『このふたりの友情は、二人にとってなにものにも代え
がたいもので、お互いがこれまでも、そして、これからも大きな
存在としてあり続けるんだろうな』と、うらやましく感じた。

「そうだ。浩ちゃんに関しての一番確かな情報源は、
 実は、真知子先生だったんですよ」

「はい!? 真知子先生って、B組担任の?」

「そうですよ。放課後に真知子先生の時間が空いた時、期待して
 教室で待っている何人かに、興味のある男子のことについて、
 質問した子の要望に応じてよく話してくれたんです。
 勿論、男子の話はおまけで、いろいろな相談に乗ってもらって
 いたんですけどね」

「へえ、あの真知子先生がねえ・・・。
 俺達のクラスでも国語の担当だったから、そりゃいろいろと
 教室での様子は知られてはいるわけだけど・・・。
 でも、先生と生徒の立場だから、悪い話はしないんじゃない?
 確かに事実ではあっても、いい方の側面ばかりが、話題の男子
 の情報としては伝わり易いよね」

「そうでもないですよ。結構、厳しい評価をされる男子もいたし」

「それで、その噂に上る男子生徒の中に俺も入っていたと」

「うん。浩ちゃんも入っていたというより、真知子先生は、浩ちゃん
 のことだけは、・・・・ああっ、もう、この『浩ちゃん』って呼び方、
 ずっと付き合っていたみたいで、すごくいいナ。・・・ねぇ!?」

「そんなことは、どうでも宜しい!
 で、真知子先生は俺のことだけはどうしたって?」

「エヘヘ。
 真知子先生、浩ちゃんの話になると、明らかに他の男子たちより
 熱が入るっていうか、その場にいる子たちが聞いてもいないこと
 にまで話がいくの。ある時、
 『彼のことを理解した上で、あなたたちの誰かが彼を射止める
  ことができたら、先生は、喜んで応援するし、祝福するよ』って。
 『ただし、ちょっぴり嫉妬するかも知れないな』とも言ってましたね。
 先生、私のこと祝福してくれるかな? 嫉妬されちゃうかな?」

「なんじゃ、そりゃ。先生が嫉妬って・・・。
 先生と生徒で、しかも若いとはいえ既婚者だし・・・」

「そうじゃなくて、真知子先生も浩ちゃんのいちファンだったと
 思うんですよ。
 浩ちゃん、よく国語の授業で自分で書いた作文を発表させ
 られたでしょ」

「まあね。でもね、俺は嫌だったんだよ。
 書くことは構わないんだ。文章を書くのは、嫌いじゃないから。
 でも、みんなの前で読むのはねえ・・・。
 もともとあがり症でね。途中からは自分で書いた文章なのに、
 自分で何を言ってるのか分からなくなってきちゃう」

「真知子先生ね、すごく浩ちゃんの作文を評価していたんですよ」
彩の担任であり、浩平のクラの国語の担当だった教師・真知子の
浩平への評価は次のようなものだったと、彩は楽しげに話した。

浩平君の与えられたテーマに沿って、対象を冷静に見つめ、
客観的に評価し、論理的に物事の本質に迫ろうとする眼は、
今までの教え子の中でもズバ抜けている。
彼の凄いところは、そういう、科学的な論理思考だけではなくて、
本質を見極めた後に、実に人間的な感情の細やかさ・・・優しさを
持ってその対象を見つめ直し、価値の再評価をして結論を導き
出すところにある。
しかも、あなたたちがそうであるように、C組でも、鉛筆を走らせて
いる時間よりも頭を抱えて考えている時間の方が圧倒的に長い
生徒がほとんどなんだけれど、彼の場合は、テーマを見てから
それほど間を置かずに鉛筆が動き始めるんだな。
彼は、思考し始めると、書こうとする道筋が頭の中にすぐにイメージ
されていくんじゃないかな。そして、書き進めながらそのイメージを
形のあるものにし、その先、その先の道を作って、結論にまで到達
してしまう。
だから、他のみんながまだ三分の一も書けずに悩んでいるうちに、
全てを書き終えて、手直しに入っている。
それも、よく見ていると、文章校正をしているんじゃなくて、誤字
脱字を直しているだけなんだよね。
それで、だいたい10分以上は時間を余らせて提出してきちゃう。
彼が席に戻ってから、何かおかしなところはないか読んでみるけど、
そりゃあねえ、もっとここは、こういう表現にした方がというような
ところはあるけど、私が生徒に期待している水準のはるかに上を
行っちゃってる。
後で読み返してみても、感動すら覚える。

「もうね、褒める褒める」

「ほう、それはまた、えらく買い被ってくれたもんだね」

「そうかなあ・・・?
 でもね、そんなことを先生が言ったところで、私のようにすごく
 可愛いらしいけど、極めて普通の感覚しか持ち合わせていない
 女の子には、先生が浩ちゃんの何を私達に教えようとしている
 のかが、なかなか理解できないわけですよ。
 浩ちゃんの作文は素晴らしいと、私達に褒めて聞かせてもしかた
 がないわけだし」

「誰が、『すごく可愛いらしい女の子』だって?」

「わ・た・し! ねえ、・・・なんで怒ってるの?」

浩平の目が、深く思索する時の鋭いものに変わってきていた。
彩にとっては、初めて間近に見る表情であり、不機嫌そうに
映った。

「何も、怒っちゃいないよ。だいじょうぶ。
 うーん・・・。真知子先生が過大ではあっても、俺を評価して
 くれるのはありがたい。
 でも他のクラスで、先生が教え子の個人的なことを言い振らす
 のは、あまり愉快なことではないね」

「そこが、浩ちゃんなんだろうなあ・・・。
 他の男の子なら嬉しくて、単純に喜んじゃうところだと思うけど。
 じゃあ、この話、やめます?」

「いや、そこまで聞いといて、その先を聞かないわけにはいかない
 なあ・・・」

「でしょ!? じゃ、つづき」
真知子先生の浩平評を更に続けた。

先生の言いたいこと、分かる?
浩平君はね、しっかりとした信念を持っていて、それを忠実に
守ろうとしているところがあるね。ちょっと真面目すぎるけど。
それで、初めて会った女の子を見るにしても、他の男の子が、
どうしても見た目や上辺で判断してしまうところ・・・これは、
高校生くらいじゃ仕方がないんだけど、彼は、その時の姿勢や
態度、話し方や話す内容などで、おそらく極めて的確にその相手の
本質を見抜いて、その後の接し方を決めて行くだろうということ
なのよ。自分の信念にそってね。
だからこそ、彼が『この子なら!』と感じて、交際ができる女の子
なら、たぶん、間違いなく立派な子だろうと、先生は密かに期待
しているわけ。その立派な子がB組であってくれれば、喜ばしい
ことだけどねえ。

「だって。えへへ。
 浩ちゃん。私、何があっても浩ちゃんを支えるからね。
 浩ちゃんの負担にならないように、頑張るから。
 だから、捨てたりしないでね」

「おいおい、何でそういう方向に話が飛躍するんだ?
 彩が俺を支えるとか、負担にならないようにするとか、
 捨てないでって・・・。どこから・・・」

「だって・・・。ここまでの真知子先生の話でさえ、晴香や私に
 プレッシャーを与えるのに十分だったのに、先生はその後に、
 こう続けたの」

浩平君にはひとつだけ、おそらく彼のコンプレックスになっている
ことがあるのよ。それがなければ、もっとはじけて、もっと積極的に
なっているはずなんだけど・・・。
彼、あまり体が強くないんだな。
別に病気を持っていたり、特に生活や勉強や社会に出て仕事に
支障が出るようなものではないんだけれど、体力がねえ・・・、
頑健とは言い難い。
あなたたちも、彼の顔色やスマート過ぎる体型を見て、うすうすは
感じていることだと思うから話しちゃうけど、うちの先生たち、
・・・他の教科の先生も含めてね。彼だけは、宿題をやって来な
かったり、家庭学習でリポートを提出したりをさぼっても、大目に
みているんだな。勿論、彼にはそういうことは言ってないよ。
でも、彼もそういう先生たちの遠慮というか、配慮は感じている
はず。
事実彼は、家ではほとんど勉強している素振りがない。
あなたたちが、宿題やリポートを自分でやっているか、友達の
やったものを写したものか。あるいは、忘れたと言って提出して
来なかった子が、本当に忘れたのか。やる気はあったけど出来な
かったか、初めからやる気がないかなんて言うのは、先生たちには
お見通しでね。
彼は、「やりたくない」んじゃなくて、「やらない」んだな。
彼の場合、遅くまで家で勉強していたら、疲れがたまって、授業に
支障が出ることが自分で分かっているから。
それでも、実力試験なんかでは、あの成績。常に一桁台の順位に
いるよね。それは、家で勉強しない分、授業に集中できているから。
だから、彼に惚れちゃったら、唯一とも言っていい弱点。彼のそう
いう面、体力面をカバーして、支えられるかどうかをよく自分に言い
聞かせて交際を始めないとね。
彼は、そういう体力の面がコンプレックスになっていることは間違い
ないと思うけれど、そのことがあるから、他人の辛い面、痛みもよく
理解できる。
だから、他の人に対してはすごく寛容だし、優しいんだな。
だけど別に、彼と交際する上で、甘えちゃいけないとは言わないよ。
たぶん彼は、自分を愛した人の望むことには、自分のことはそっち
のけでも相手に応えてあげようとするし、それを自分の幸福と感じる
タイプだろうから。
でも、いつでも彼に甘え通しでは彼の体が続かないよね。
だから、彼とともに生きようと思うのなら、彼には体力面の負担は
あまりかけないこと。その分、精神面ではいくら甘えても彼は、
それに応えてくれるわよ。
だから、彼女にして欲しいんなら、彼の体に気を遣って、彼の支え
になってやれるかどうか。そういうパートナーになれると、自分で
思いきれたなら、大いに、彼にアプローチして欲しいな。
先生は、彼には早く、そういうパートナーを見つけて欲しいと思って
いるんだ。本当に、彼が本来の力を発揮できるように・・・ね。

「だから、私は浩ちゃんを支えていけなかったら、真知子先生に
 怒られちゃう!」

「ふーん・・・。まあ、受験期を除いて、家では勉強していなかった
 とか、体が弱いとかは、その通りだけどね・・・。
 でも、真知子先生もいくつか、間違えた認識をしているよね」

「どういうところ?」

「たとえば、夜、宿題や予習・復習をしようと思えばできなかたわけ
 じゃない。
 実際に、次の日が休みの時なんかは、徹夜で麻雀をやったり、
 平日でも、結構遅くまで連れと街中を徘徊していたものだし。
 世間では『不良』のレッテルを貼られている他校の連中ともよく
 飲みに行ったり、ロックバンドのコンサートを観に行ったりもしたよ。
 どんなに悪い噂がつきまとうような奴でも、付き合ってみなけりゃ
 分からないところがある。
 そういう奴らの中にも、実際には友達思いのすごくいい奴もいる。
 何よりも幼い時からの付き合いは大事にしたい。
 だから、朝方まで飲むこともあったし、とことん付き合ったよ。
 奴らに感化されて、煙草も吸っているし。
 校内では真面目な一生徒で通したけれど、それは、目をつけ
 られたら行動が縛られるからで、けして先生たちが言うような
 品行方正な人間じゃないよ。
 ま、彩には俺のそういう面も認識しておいてもらわなければ
 いけないから、ちょうどいい機会ではあるけれど。
 それに、俺が、いくら他人より体力がないとは言っても、人間が
 人生の中で最も気力・体力が充実しているのは、今の時期から
 30歳代半ば頃までだろうから、多少の無理はきく。
 俺も、今から今後十年間程が最も体力の充実期にあると思う。
 もともと虚弱だからこそ、それがより実感できている。
 一晩徹夜をするくらいはなんてことはないし、実際に睡眠時間を
 削ってでも遊んでいたしね。
 そういう意味では、俺は先生たちの配慮を逆手にとって、利用
 していたことになるよね。それに・・・」

「それに?」

「人の内面について、自分でもなかなか自分の本来の姿を客観的
 に観察して、言葉で表現するのは難しいことだけれど、分かり易い
 ところで言えば、俺が実は彩が好きだったっていう感情。これは、
 理屈じゃないんだよね。
 論理的思考だの、科学的洞察だのなんて、何の役にも立たない。
 だって、彩と向き合って話したのは、今日でたったの3回目。
 時間にして数時間でしかないわけだよね」

「・・・うん」

「たったそれだけの時間と回数で、ましてやこれまで、恋愛経験も
 ない俺が、北島彩という女の子がどういう子であるかなんて、
 その本当の姿なんて分かるはずがない。
 彩たちは、俺のことをいろいろと見たり聞いたりはして来たわけ
 だけれど、俺は、彩については全く知る機会を持てなかったわけ
 だし。
 確かに、彩のことは好きだよ。大好きだ。
 でも、はっきりと理由を聞かれたら・・・、まだ分からないもんな。
 情けないないことに、彩の方から告白されて、一瞬にして俺の
 方こそ初めて会って話した時から彩が好きになったんだって
 気がついた。
 そう、普通に人間としての好き嫌いじゃなくて、恋愛の対象として
 好きなんだって。
 この『好き』っていう感情。理屈じゃないんだよ。明確な理由
 なんかない。けして冷静に彩のことを観察して『この子なら』
 なんて思ったわけじゃない。
 だって今、目の前にいて俺のことを好きでいてくれる彩のことを、
 その顔、その姿、その言葉・・・。今見えている聞こえている彩
 以外、何も知らないんだもの。
 要は、きっかけとタイミング。それと相性・・・・なのかな?。
 世間で言うところの『縁』なのか。でも、そういうものともちょっと
 違う・・・。
 『好きだ』っていう、心の底から湧き上がってくる、胸をつかまれる
 ような感情は、それだけとも違う。もっと本源的な何か・・・。
 一生、言葉で理解することはできない感情かも知れない」

「そうですよ・・・ね。
 浩ちゃんには、私のこと、まだ何も知ってもらってないですね。
 『好き』な理由か・・・。
 私は、浩ちゃんのどこが好きかって聞かれたら、いっぱい言える
 けど、でもそれは、今だから。
 昨日まで、浩ちゃんが好きで好きでどうにかなっちゃいそう
 だった時は、浩ちゃんの言うとおり私も理屈なんかいらなかった。
 『だって、好きなんだもん』って」

「そうなんだよなあ・・・。
 でも彩。君を好きだと言うことだけは、間違いない。嘘じゃないよ」

「うん、うん・・・。ありがと。」
 彩の目から頬に一筋、涙が伝わり落ちた。

「なんで? 泣くなよぉ。俺、何か悪いこと言った?
 さっき話したような、不良っぽい人間を好きになって後悔した?」

「あっ、ごめんなさい。違います。
 そういう、私の知らない面も含めて、私が好きになった浩ちゃん
 だから、もっとたくさん知っていきたい。
 ・・・でも、あと2週間余りで、会えなくなっちゃう・・・。
 覚悟はしていたつもりだけど、私は、どうすればいいの?
 夏休みになるまで、ただ待っているしかないの?
 どうやって、この短い間に、私のことをもっともっと知って
 貰えるの?
 浩ちゃんが戻ってくるのを信じてただ、待つしかないなんて・・・。
 分かってはいたつもりだけど、やっぱり・・・。
 ごめんなさい。これじゃ、浩ちゃんを支えるなんて口ばっかり
 ですよね。負担になっちゃいますよね。
 でも・・・、お願いだから、きらわないで!」

静かな声音だが、涙は大粒のものに変わっていた。

これまでも、そしてこの後も、ずいぶんと『ごめんね』が多い二人の
会話。それは、もちろん二人の人柄をあらわすものではあるが、
二人にとって過酷な運命が投影した、誰にもフォローのしようの
ない、彩からの『ごめんね』がやってくるのは、4年後のことだった。

「いや、俺も分かっているんだよ。それなんだよな、問題は・・・。
 晴香ちゃんが俺を見限った理由もそこなんだから。
 よし、あとで二人でよく考えよう。な!? 泣くなって・・・。
 映画! 観たかったんだろ? 何にする?」

「あっ、そうだったネ!」
彩は、ハンカチで目を拭い、鼻を押さえながら、バッグから
『シネ5』の折り込みチラシを出した。
「ねえ、浩ちゃんは何が観たい?」

春休みのことでもあり、子供向けのアニメやら、ラブロマンスもの
やら、アデベンチャーやら、様々なジャンルの映画がロードショウ
公開されていた。

「うーん・・・。俺はその『戦国武将もの』がいいんだけど、女の子が
 観たい映画じゃないよねえ?」

「やったー! 実は私、時代劇が好きなんですよ。
 浩ちゃんの次に!!」

「彩、初めの印象と変わったね!?」

「えっ?そう? 私は何も変わってませんよ。
 浩ちゃんを好きになっちゃったことと、
 浩ちゃんの彼女にしてもらったこと以外は」
勿論、彩の心の振幅は、彩自身が一番自覚していた。
そしてそれは、願いがかなって交際が始まったのに、その相手が
すぐに離れて行ってしまうという、二人の関係の不安定さに由来
することも。

「だから・・・そういうところが・・・。ま、いいや。
 どれ、2回目が1時からか・・・。
 ちょっと早いけど、映画館に入って開演を待とうか」

彩がトイレに寄っている間に、浩平は会計を済ませて出口に立って
いた。
外はいつしか、ドシャ降りの雨。
浩平は、空を見上げながら、バッグから傘を取り出して彩を待った。

「お待たせえ。わあっ、すごい雨!」

「近場でお昼にして正解だったね。傘は、持ってる?」

「はい。持っては来てますけど・・・。浩ちゃんの傘に一緒に
 入っちゃダメ?」

「これ、小さいから濡れちゃうよ」

「すぐそこまでだから、だいじょうぶ。入っちゃおっと!」

浩平は左手に持った傘を自分の顔の右脇に回し、右手で彩の
右脇を抱えるようにして、彩の体が濡れないように気遣いながら
歩いた。
浩平がチケットを買っている間、彩は浩平の左側に回って、用意
して来たタオルで丁寧に浩平のジャケットやジーンズを拭いて
いた。

「浩ちゃん、ごめん。結構、濡れちゃったね。
 ジャケット脱いで? カゼひいちゃう」

「だいじょうぶだよ。映画を観ている間に乾くから」

「だめえ! カゼひいちゃったら、私のせいになっちゃう」

二人は、急ぎ足でロビーに入り、温かい飲み物を買い、前回の
鑑賞者が出てくるのを待って館内に入っていった。
後ろの方の、周りが空いている席に並んで腰かけ、手を握り
合っていたが、上映が開始されると、彩は、浩平の肩にそっと
頭をもたれて来た。
彩は、なんとも言えない幸福感に包まれながら、映画を観ていた。

「おもしろかったね? やっぱりあの迫力は、テレビじゃ味わえ
 ないよね」
ロビーから外に出ると、雨は上がり、雲間から日が射し込んでいた。
彩と浩平は、これからどこに行こうかと、どちらかから言いだした
わけでもなく、ごく自然に、歩いて10分ほどのところにある緑地
公園に向かっていた。
彩が、手を繋いできた。
春先に雨あがりの午後4時前、少し肌寒くはあったが、空気が
澄んで清々しかった。

雨上がりの平日、人影もまばらな公園を手をつなぎながら歩く
二人は、お互いの家族のことを紹介しあっていた。
浩平の家は、主要駅から徒歩だと30分ほど西側の住宅地に
あった。最近になって都市整備が進み、道路が拡張され、子供の
ころに遊んだ田畑や小川はつぶされ、市の施設、マンションや
ショピングセンターが次々と建てられていた。
浩平は、便利さは歓迎するものの、幼いころの懐かしい情景が
破壊されていくようで、寂しさを感じてもいた。
同居している家族は、公共団体職員の父とパート勤めをする
母だけ。6歳上の兄は、勤務の関係で社宅寮に住んでいて、
浩平の家にはいない。
彩の家は、駅からだと歩いて行ける距離ではない。
方角的には、駅から見て浩平の家より更に南西側に位置し、
浩平の家からでも歩けば40分以上はかかるだろう。
彩の父は、地元ではそこそこの規模の電子部品工場を持つ
会社を経営していた。母は、夫の経営する会社の経理を担って
いた。母は家事があるので、5時半頃には帰宅してくるが、父は
いろいろな付き合いもあって、毎晩遅く、午前様も珍しくはない。
『体が心配だ』と、彩は言った。
2歳上の姉は、他県の女子大生で、家を離れて独り暮らしをして
いる。
浩平は、『やはり、彩は、お嬢様だったな』などと考えていた。

「彩、あと残り半月。俺はなるべく彩と一緒の時間をつくりたい
 けど、彩はどうする?」

「私も・・・。あのね。そう言えば明日、朝9時半に、お父さんに
 おねだりして買って貰った車が来るの。軽だけどね、一応、
 新車よ。ドライブしよ!」

「そうかあ、いいなあ・・・。俺は後は筆記試験さえ合格すれば
 免許は取れるけど、進学に金がかかるから、とても車には回ら
 ないもんな。
 しかし、彩の運転で・・・だいじょうぶかあ・・・」

「これでも、運動神経はいいんだよ。教習所の先生にも褒められ
 たんだから」

「それにしても、初めて乗る車だしなあ・・・。
 ま、運転は慣れだから、乗っていれば何とかなるか。
 ・・・さて、問題は、俺が向こうに行ってその後だよな・・・」

「うん・・・」

「電話は、むこうに着いてすぐに申込みを済ませても1週間は
 かかるかな。
 とりあえずは・・・、手紙を交換しようか。
 電話が通っても、そうしょっちゅうかけてたら、お互いにお金が
 かかってしょうがないし。なるべく早く、バイトは探すけどね」

「手紙か・・・。1回やりとりするのに、1週間くらいはかかっちゃう
 でしょ?・・・声も聞きたいし、顔も見たくなっちゃうだろうな・・・。
 月に1回でもいいから、浩ちゃんのところに行ければいいんだ
 けれど、毎月のことだと、お母さんに不審がられちゃいそうだし。
 浩ちゃんだったら、素敵な女の人、いっぱい寄ってくるんだ
 ろうな・・・」
彩は、鼻をすすった。

「また、泣く・・・」

「だって・・・」

「俺が信じられない!?
 そんな男だと思って、俺と付き合いたいと思ったのかい!?」

「ううん、信じてる。信じてはいるけど、遠くにいる彼女より、やっぱり
 近くにいるきれいな人が寄ってくれば・・・。
 浩ちゃんは、二股をかけるような人じゃないのは分かっている
 けど、私なんかより素敵な女の人はたくさんいるわけで、お互いに
 魅かれあったら、たった1通の手紙で、交際したい人ができたから
 別れようって送られて来ても、私には、こっちでデートしたことが
 ある相手だという事実しか今はないし、それを拒否する理由も
 手段もないんだもん・・・」

「俺は、大学で知り合った友人たちは大事にしたいと思っている。
 何かしらサークルにも入るつもりでいるし、バイトもする。
 もちろん、そういった中で知り合い、親しく接する女性もいる
 だろう。
 だけど、彩。俺が彼女として付き合えるのは、お前だけだ!
 彩の顔が見られない、声が聞けなくて淋しくなるのは、俺も
 一緒なんだよ。だからと言って、淋しいからと言って、他の女に
 手を出すようなことは、絶対にない。
 そうだな・・・1週間に1回程度、電話をかけておいで。
 その時、もし俺の部屋に女の気配があれば、彩ならきっと
 気付くだろ?
 俺も、週一くらいは、彩の家に電話をするから。な!?」

「・・・うん。・・・信じてるからね。絶対だよ!」

「よし。夏休みには、また戻ってくるから」

陽が西の空に陰り、辺りは薄暗くなり始めていた。
どちらからともなく、密集した雑木林の前まで来ていた。
彩は、浩平の両脇に自分の腕を差し込み、少し上を向いて目を
つぶった。
いくら鈍い浩平でも、その仕草が何を意味しているのかは理解
できる。浩平は、唇を近づけ、・・・おでこにキスをした。
意地悪をして、そのまま放置してみる。
彩は、ゆっくりと目を開け、せつなそうに抗議をする。
「なんで? それだけ?」

浩平は、返事はせずに、また顔を近づけた。今度は彩の唇
目指して。
初めは軽く触れ、2度、3度、彩の唇を吸ってから、舌を割って
入れた。
彩は何の抵抗もなく受け入れ、自分の舌を絡ませた。
苦しくなっては離し、またつける。次第に濃厚なものにかわって
いく。時に、貪るように互いに唾液を吸い、飲み込んだ。
『クチュッ』という音とともに唇が離れ、舌と舌から糸を引いた。

彩は、トロンとした眼で見上げている。小さく呟いた。
「アッフウ。すごい・・・。体が溶けそう・・・」
口にこそ出せないが、彩は、キスの最中、自分の下半身が
熱を帯び、ジワっと何かが染み出してくるのを感じていた。
浩平にしがみつき、くぐもった声で呟いた。「愛してる!」
浩平は、彩の頭を撫で、ポン、ポンと軽く叩いた。

「彩、もう帰らなきゃ」

「うん・・・。そうね」

一旦、駅に戻り、彩が翌日に、浩平の家まで車で行くことを
約束し、彩はバスに乗った。浩平は、余韻を楽しみながら、
歩いて帰ることにした。
キスを経験しただけなのに、彩の顔には大人の色気が
加わったように見えた。

ビッ子の徹底したビッチぶり


高校生の時の修羅場投下します。
ゆとり嫌いな人読まない方が身のためです。
ゆとり乙wwて笑えるくらいの心広い人ドゾ
巻き込まれた修羅場
高三

私元部活動主将
友美親友
A子恋愛体質気が強い
ビッ子男なら誰でもOKな心優しいビッチ私と同じ部活
ビッ彼ビッ子の彼氏
私彼私の彼氏遠い学校で同じ部活で出会う

前提
私とビッ子と私彼は同じ部活動で私彼は他の学校
ビッ子は昔から私をなぜか嫌っている
ビッ彼はクラスの人気者、クラスに手下がいる
私と友美は親友、相談の時だけA子が来る

高三になり部活引退後、部活推薦で進学を決めたA子とビッ子。
みんなは受験モードで遊べないし部活も
引退したことで体力がありまってたみたい
夜遊びにハマりだした

夜遊びはいい出会いの場所みたいでビッ子は彼氏いるのにやりまくり。
その数20人超え、ここにはかけない凄まじい事もしてたそうな。ビッチの代名詞
例「昨日の男顔も性格もキモくて?朝目覚めてに朝日に照らされてさらに顔キモくて良くヤれたなーって(笑)ま、気持ち良かったからいいか!」

A子もすぐ夜遊びの相手に好きな人が出来てハマりだした、(Hとかはなしで)
A子からは恋愛相談で夜遊びの事を知った、
私と友美は夜遊びヤメロと止めたが恋は盲目で聞く耳持たなかった。

ビッ子にも好きな人が出来たと報告してビッ子も協力するよっ!と言い
その夜はA子の好きな人含めて遊んでたら、人の者欲しくなるビッ子はさらりと寝取った。
A子ブチギレ。ビッ子に詰め寄ると、
「まだつきあってないじゃん?第一私がちょっと誘っただけでノったから脈なかったんじゃねww」
それからA子、ビッ子険悪に
私と友美はいい機会だからA子の夜遊びを止めようとしたら
A子「もっといい男見つける!!」とビッ子とは別に夜遊びにはしる

ビッ子はそんなA子が気に入らなかったらしくクラスの手下男子を使い嫌がらせ。私達もとばっちり
A子その頃には夜遊びで出会た男と付き合っててルンルン気分で相手にしなかった
またさらにそれがお気に召さなかった女王ビッ子

夜遊びの知り合いからA子の彼氏探し、呼び出しまたもや寝取った。

A子怒り狂う

友美「夜遊びで出会う奴にまともなのいないって!下半身野郎はビッ子にくれてやれ」

私「夜しか合えない彼氏とか幽霊だったんだよ!耳取られる前でよかったじゃんw」

真剣に聞いてなだめても
冗談で紛らわせてもA子の怒りは収まらず帰って行った。

その次の朝
友美「夜、学校裏サイトみた?」
私「見てないよ?」
友美「見てみ、ヤバいてw」
見てみると【クサレヤリ●ン!!
彼氏いるくせにやりすぎキモイ!(略)
クラスでみるたび反吐がでる】
匿名で書かれてるけど確実A子。見る人が見たらビッ子とわかる内容。
こりゃないわ?朝来たら消させようwwと友美と話してたら

A子登校
私が話し掛けようとした瞬間。ビッ子突進して来てA子にビンタ。

A子「痛い!なにすんだよ!」
ビッ子「お前!私に言うことねぇのかよ!」
A子「…お前が先に手出したんだからなあぁ!!」

A子はビッ子に顔面グーパンチ

教室は
リアルごくせんwww(流行ってた)
と誰かが発言して一瞬和んだが

二人がマジで掴み合って殴り合ったり突き飛ばしたりしだしたんで
あれ?これヤバくね?誰か止めろよな空気になったが
二人共元々身長があり部活動で体鍛えまくってたので男子も下手に手を出せず。
二人が怪我しないように机と椅子をずらしスペースを作ったりしてた。

喧嘩は激化し怒鳴り合ってパンツ丸見えで蹴り合って
胸ぐら掴んで黒板近くに叩きつけるもんだからブレザーがチョークの粉で白くなってく
凄まじい光景だった

勇気ある男子生徒が止めにはいろうとしたが
見る限りでは力は同じ位で体鍛えてるからそう大きな怪我しなさそうだし
なにより今止めに入ったらはいった人が怪我しそう(センター前で手が命)
ある程度暴れさせて疲れたとこで取り押さえようと周りに指示

それに抗議してきたビッ子とビッ彼の手下のA、B、C

A「お前キャプテンだろ!とめろよ!」
たしかにビッ子とは同じ部活だったけど部活全然関係ない、しかもABCにはA子に嫌がらせの時私と友美もとばっちり受けて嫌いだった
私「私無理。怪我しちゃう。自分たちでしてよ」
友美「女に頼るとか情けなさ過ぎでしょ」
友美の発言でムカついたのか、私達に役立たず!無責任!など文句垂れながら二人を止めにかかる

まずAが二人の間に入って引き離しBがA子をCがビッ子を後ろからおさえようとした、が
A子は嫌がらせをしたBだと気付き振り払って顔面グーパンチ進学の棚に突っ込む
ビッ子をおさえようとしたCに関してはビッ子に
「さわんじゃねぇ!」と怒鳴られ終了
ビッ子はさらに間に入ったAを突き飛ばして退かせた、

ABC、二人を止めれたの、ものの数十秒wwww
情けなささ過ぎw
不謹慎だが笑ってしまった
止めに入ったのは火に油だったみたいで喧嘩はヒートアップ。

そこに担任がやっときた。あまりの光景に担任一瞬固まるが、
「お前たちやめないか!おい!やめろ!聞いてるのか!停学だぞ!やめろ!」
二人華麗にスルー見向きもしない
早くも心折れた担任、「生徒指導の先生呼んでくる」と呟き教室出ていった

担任の無責任さに教室内がざわついた

担任がでていった後、二人は殴り合うのを止め、距離を取り睨み合った。
ビ「なぁ?サイト書いたのお前だろぉが!?まじふざけんなよ!」
A「ちげぇし!!おまえの事なんて書いてねぇえし!!」
(書いたの認めちゃった)

支援ありがとう!

ビ「じゃあ誰の事書いてんだよいってみろよ!!」

A「誰だっていいだろが、お前に関係ないし」

ビ「どーせあれでしょ?彼氏取られたとかでキレてんの?
お前に魅力ないからでしょー?でかぶつ!デブスぺちゃぱいww」

A「ふざけんな!!ヤリ●ン股開きすぎなんだよ!2ヶ月で20人以上てやり過ぎじゃね?性病!!!」
クラス内どん引き
ビッ彼が遅刻してるのが唯一の救い
ビ「はぁ?そっ…そんなにヤッてないし!でたらめ言うな!!」

A「学校前のコンビニの●●とかー(かなり不評な奴でクラス女子うわぁ…('A`))ゲーセンの●●とかー「ああぁぁもぅ!!!!だっからどぉなのよ!何!!?悪いの!?!ヤれないブス共と私は違うの!!!」
クラスの大人しめ女子を睨み付けながら発狂
ビ「何?何見てんのふざけんなブス共!!」

A子余裕が出てきた。

A「そんだけヤッてても?本命には相手してもらえず片思いで終わってんだもんねー」
ビ「はぁ?分かんないじゃん大学一緒だし!!」
A「彼男くん私子と付き合ってんだよ?知らなかった?」

ビッ子私をバッと見る。怖い。A子チクりやがった巻き込まれたくなかった
確かにビッ子は彼男くん彼男くん騒いでたけど、
彼男部活で県内の新聞に取り上げられたり
県内では有名だったんで部内の子は誰でも騒いでたからその一人かと思ってた

ビッ子「はあ?私子なにそれ?彼男くんと付き合ってたの?」
私「あ…まあうん」
ビッ子「いつから?」
私「二年の代表強化合宿でさ」

ビッ子は落ち着いてニッコリ(かなりひきつってる)

ビッ子「へぇー本当に付き合ってんの?付き合えてんの??
私子さー裏で男子になんて言われてると思う??
チビでーうるさくてー
バカだからー

矢●真里っていわれてんだよ。」

嫌みたーっぷりにドヤ顔で言うもんだからなにいわれるかと思ったら
矢●真里wwかわいいじゃんww

私「えっ?…あ…ありがふぉwwwww」
ふひーwwって吹き出してしまって狂った私は矢口真里wwかわいいうれしいwww変なツボに入って笑いが止まらなくなった

ビッ子睨んでるから笑い止めなきゃいけないのにこんな状況で笑ってる自分に笑えて止まらない
高校時代の変なテンション

規制かかんないようにゆっくり投稿してますスマン
すると友美が笑顔で来てくれて
友「私子?笑いすぎ?!」と言いつつ私の腹を殴り正気を取り戻させてくれた

友「でも、あれだ!矢●真里にも似てるけど今太ってるからサ●コのが近いよー」
私「今日めっちゃ誉められるー痩せて卒業したら髪サ●コみたいに明るくしよー」
友「いいねー卒業したら一緒に染めいこー」

女子トークで誤魔化して着席しようとしたけど、だめだったビッ子かわらずキレてた

ビ「ねぇ!私子なんで教えなかったの!?」
私「だって聞かれなかったから。」
ビ「そーいって私のこと裏でバカにしてたんでしょ!?」
ビッ子が急に近づいてきたから私は全力で逃げた
ビ「なんで逃げるんだよ!!やましいから逃げるんだろ!」
私「追って来るから逃げるんじゃん!!」
ビ「なにもしない!」
私「なにもしないなら追いかけなくていいじゃんかああ!!」

小学生みたいに教室で追いかけっこ。(この間にビッ彼登校)

私はまだ大学決まってなかったから問題にならないように必死に逃げた

逃げ惑ってる間に男子三名がビッ子取り押さえてくれた

私「ビッ子が彼男すきな事自体知らなかったんだって!!巻き込まないでよ!」
と説明してる時、急にビッ彼現れてビッ子の胸倉掴む
ビッ彼「何?お前今度はだれと寝たの?●●(隣のクラスの男子)だけじゃなかったの?」
また男出てきたよ

ビッ子「うっさい。はなせよ関係ないじゃん」

この時一時限目の英語教師が来たが「授業が出来る状態になったら呼びに来なさい」と告げ退場

矢口からサエコ??想像つかんな
でもどっちにしろ可愛いか
ビッ子は誰似なんだろうしえん

ビッ子は冷酷な目が中●美嘉に似てたよー

ビッ子ビッ彼言い争い遂にビッ彼は
「お前とは別れる!!!」と宣言

ビッ「てか私達付き合ってたんだ?一方的でもお前に振られるとかムカつくんだけど」
ビッ子の滅茶苦茶さにクラス全員唖然

ビッ彼「…お前もういいわ、勝手にしたら」
ビッ子から手をはなし離れようとしたら
ビッ「(胸倉掴まれたの)痛かった!謝れ!!」
と後ろ向いたビッ彼を蹴った。性格悪
ビッ彼はビッ子一度睨み付け何か言おうとしたが何も言わず教室からでていった
その後ビッ子は教室をウロウロした後、空気を読んだのか教室を出て行った。

生活指導の先生が二人を呼びに来たがビッ子不在の為A子のみ連れ去った。

10分後まさかの私まで生活指導室に連行、英語教師が私とビッ子が喧嘩していたと発言したためだった
私は無罪を訴えたが、教師たちは「まずビッ子からも聞かなくてはダメ」と軟禁続行

A子とは口裏合わせ防止の為か各、個室で事情聴取

事情聴取が終わった頃にビッ子脱走中歩き煙草しているのを教師に見つかり現行犯逮捕

ビッ子の事情聴取が長引きそうなのでと生活指導室で一人っきりの昼食。

昼休みのみんなを窓から眺めてる時にビッ子の事情聴取が終わったみたいで校長室に呼ばれた

校長室にはすでにA子がいて泣きながらしきりに「私子すみません…」と言い凹んでた

校長室のフカフカソファーに座ったら、ビッ子が暴れながら生徒指導と教師二人に囲まれ登場。

みんな着席し、生徒指導が「お前ら、先生方に言うことはないか?」

A「御迷惑をおかけしました。すみませんでした」
私は少し考えた後
私「私は無実でs…指導「ビッ子貴様なにもないのかぁあああ!?」
ビッ子は生徒指導を睨み付け「何もねえよ!こんな学校辞めてやる!」
指導「辞めてどうすんだよ」
ビッ「辞めて大学いく!!!こんなやつらともう合いたくない!!!4月まで遊んどく!!」
教師意味わからずポカーン

私「wwビッ子推薦だから高校卒業しないとあの大学いけないんだよ?ww」
ビッ「お前と違って大学内定してんだよ!口出すな!」
私「だから卒業しないと内定取り消されるんだってー」
ビッ「ああ!?そんなデタラメいうな!」
クワァ!てまた掴みかかろうとしてきたので逃げた。
指導「私子の言う通りだぞビッ子」
私「もー。教室でも今みたいに逃げてただけなんですよー、私帰りたいです」
事情聴取のメモを見ていた校長が「そうみたいだね帰っていいよ」と許可がでたので退場。
ビッ子は「私子は私の悪口をふじこふじこ」叫んでたがスルー
逃げ切った。

二人は二週間の停学になったが無事卒業した。

写真を整理してたら卒業式に友達5人と集合写真撮ろうとしたら、ビッ子に背後から卒業証書の筒で殴りかかられた瞬間を収めた写真を見つけたので投下。

長くてすまんかった
許されるなら休憩所に後日談投下する!では

奈緒

奈緒といいます。
私は小さい頃からずっと頭のいい子として育てられていて、実際にそうだったと思います。
幼稚園の頃には漢字が読めて欠けていましたし、簡単な英語も自然に理解していました。
すごくお金持ちというわけではなかったので中学受験などはしませんでしたが、
私立中学の入試問題などは塾にいった子よりも良い点数を上げていました。
中学の成績はずっとベスト3に入っていて、そこから落ちることはまずなかったほどです。
そして真面目に過ごしてきました。
中学3年では生徒会の役員としてもみんなをまとめ上げていましたし、
髪を染めたり制服のスカートを短くしたりなんてすることもなく、おとなしかったと思います。
普段から小説や学術書を読むのが好きで、図書館に通うのが日課になっていました。
そのうち学校ではものたりず、市の大きな図書館へ行くようになりました。

そんな私の人生が大きく変わってしまったのは高校受験の時です。
私は国立大への進学者を多く輩出する地域で一番の進学校への受験1本に絞っていました。
模試の評価は常にAランクで合格は間違いがないと思っていたのです。
実際に入試に望んだ際もその出来には自信を持っていました。
合格発表の当日、余裕を持って私は志望校の掲示板を見に行きました。
しかし私の番号はどこにもありません。何かの間違いではないかと思いました。
私が受験番号を勘違いしているのかとも思いました。
しかし私の名前が書かれた受験票に書かれている番号はその掲示板にはなかったのです。
頭の中が真っ白になりました。とてもそれが信じられませんでした。
私の親も先生も何かの間違いではないかと私以上に動揺しましたが、
私が不合格であったというのは揺るがない事実となってしまったのです。

そして運が悪いことに、二次募集をしていたのは志望校とは真逆の、
地域で最も成績の悪い学校しか残っていなかったのです。
全くいい評判なんて聞きません。
噂では半分以上が中退する、なんて言われているほどの不良高でもあるのです。
しかし私には選択肢がありませんでした。
中学でトップクラスだった私はその高校への進学が決まったのです。

4月、私は新しい制服に身を包んでいました。
制服は学校の評判とは逆に地域で一番かわいいと言われていました。
紺のブレザーに赤チェックのスカートで、有名デザイナーがデザインに関わっているそうです。
そんな制服ですから、非常に目立ちます。
一目であの子は頭の悪い子というレッテルが貼られるのです。
しかしその時の私はかりに高校がどんなにひどくても、
自分で勉強を頑張れば大学受験で逆転できると、前向きな気持になろうと決心していました。

しかし高校の門をくぐったときに今まで見た世界と全く違うと分かりました。
男子はいわゆる不良、今の言葉で言うならお兄系?とでも言うのでしょうか。
私にとって非常に怖くて近づきたくないタイプの人達ばかりでした。
そして女子は新入生なのに8割以上が髪を茶色に染めていて、さらに巻き髪をしていたり、
制服のスカートをびっくりするほど短くしていたりと、見た目にもやりたい放題だったのです。
そんな中で私は完全に浮いた存在だったと思います。

そしてさらに驚いたのが勉強の内容でした。
英語はアルファベットからで、
生徒の多くはそれもa、b、cの順番も満足にかけなければ
大文字と小文字も分かっていないほどです。
数学は小学校の算数、簡単な掛け算からだったのです。
高校に入ったのにそんなところから授業があること、
そしてそれが分からないということに大きな衝撃を受けて
改めて自分がとんでもないところに来てしまったということがわかりました。
そしてこの制服を来て一歩外を出ると、
私もそれぐらいの勉強も満足にできない子として
世の中からは見られてしまっているのではないかという不安を感じずに入られませんでした。

入学から2週間ほどたった日、私はトイレに行きました。
当然ひとりです。
その時点で周りが自分と違いすぎると友達もつくらずに、つくれずにいたのです。
そして私がトイレのドアを開けたときに、中には女の子3人がタバコを吸っていたのです。
学校でタバコを堂々と吸うなんてと私は驚いて呆然と立ち尽くしていました。
彼女たちは私のクラスメートでした。名前はわかりませんが顔は見覚えがあります。
女の子3人は私の方をじっと見つめていました。そして私に声をかけてきたのです。

「吸う?」

思えばはじめてまともにこの学校にきて誰かと会話をした気がします。
私だって一日中黙っていられるほど精神的に強くはありません。
話しかけられた瞬間に「うん」と頷いて近づいたのです。
私は全くタバコなんて吸ったこともありませんし、むしろ嫌悪していました。
煙を吸って何がいいのか、全く理解できませんでした。

ショートカットの女の子が私に一本くわえさせて、簡単に吸い方を教えてくれました。
息を吸いながら火をつけ、火がついたら煙を肺まで飲み込むのだそうです。
私は人生で初めてのタバコを吸いました。

「けほっ、げほげほ!!」
最初の一息で大きくむせてしまいました。
でもそんな私に彼女たちは非常に優しかったのです。

「最初はだれだってそうだよね、大丈夫」

ショートカットの女の子は綾子、茶髪で巻き髪の女の子は千佳、
かなり明るい金髪に近い子は玲奈という名前でした。
私はタバコを吸いながら彼女たちが普段どういう生活をしているのかを聞いていました。
彼女たちにはみんな彼氏がいて、それは年上だったり、同じ年だったりするそうです。
綾子は同じ学校の人のようですが、他の二人は年上で千佳の彼氏は工事現場で働いていて、
玲奈の彼氏は高校を中退してフリーターと言っていました。
そんな話を聞きながらだとタバコの煙はそれほど苦ではなくなっていました。

そして一本吸い終わったあとに次の授業のベルが鳴ったので教室に戻りました。
私はいつもどおりすでに分かりきった内容でしたが真面目に授業を受けていました。
しかし授業中にどうも落ち着かないのです。
頭の中にはタバコのイメージが浮かんできました。もう一度吸いたいのです。
吸っている間は特に味を感じなかったのに、ある瞬間からたまらなく吸いたくて仕方なくなっていたのです。

授業が終わったあとに玲奈に「タバコ、もう一本ちょうだい」と声をかけました。
彼女はニコッと笑って「いいよ?」と再び女子トイレに行って一本吸いました。
吸い終わってしばらくすると、特に勉強をしている途中に無性に吸いたくなってくるのです。
そんな風に私はあっという間にタバコのとりこになっていったのです。

最初はもらうだけでしたが、やがて毎回もらうだけでは申し訳なくなってきたため、
箱ごと売ってもらうようにしました。
そしてひとりでも、いつしか自分の部屋でも吸うようになっていました。
一日で一箱を開けるほどヘビースモーカーになってしまったのです。

私と綾子、千佳、玲奈の4人で一緒にいることも多くなりました。
彼女たちは非常にフランクで、面白く、遊びについていろいろ知っていました。
私はおしゃれな服も持っていなかったし、彼氏もいませんでした。
中学時代は男子と付き合うことに全く興味もなかったのです。

ある日、私は玲奈とダサい服しか持ってなかった私は玲奈と服を買いに行ったのです。
そこで玲奈は好みの服をあっという間に選んで私に着させました。
今まで履いたことがないほどの短いスカートに、柄物のカットソーはラメ入りでした。
つまりは非常に派手だったのです。
ただ派手な服装では私の地味な顔は違和感があるので、メイクもしてくれました。
目の周りを黒く塗られて、ファンデーションも肌に何枚も重ねるほどの厚塗り、唇もピンクのグロスでつやつやと光っていました。
派手な服に派手なメイクをしてタバコをふかす私は1ヶ月前とは全くの別人になっていました。
玲奈は私のことをメイク映えがする顔と見抜いていたらしく、だから私にそういう服を着させたりしたのです。
玲奈だけでなく綾子も千佳も変わった私を喜んでくれました。
やはり今までの私はみんなから浮いていたのです。
ほめられた私はその後メイク道具を揃えたり、いわゆるギャル服を好んで選ぶようになりました。
髪も茶色く染めるようにしました。
学校は何も言わないので、何色にしても結果的には自由なのです。
学校にもメイクをしていくようになって、休み時間はタバコを吸いながらメイク直しをするのが日課となりました。
見た目もみんなになじんでいった気がしていい気分でした。

6月に入ってから私は玲奈の彼氏とその男友達と一緒に遊ぶこととなったのです。
男友達は裕太という名前で21歳でした。
茶髪にパーマをかけていて、ネックレスや指輪をジャラジャラとさせているような人です。
仕事は特にしていなくて、いろんなバイトをかけ持ちしているらしいということがわかりました。
裕太は私を見た直後に

「この子ちょーかわいくね? マジタイプなんだけど」

私を指さして大声を上げました。
私がかわいいなんてほめられたことはなく、はじめてのことでこそばゆい気持ちになりましたが、素直に嬉しかったのです。
恥ずかしがる私を裕太はいろいろ気を使ってくれて、
私がつまらない飽きないように面白い話をしてくれたり楽しませようとしてくれました。
私が男の人からそんな扱いを受けたのははじめてのことです。
中学時代なんて男子と話すのは生徒会の活動ぐらいでそれも事務的な作業です。
女子だから優しくしてもらったことなんてありませんでした。
裕太は私を女の子扱いしてくれました。
そんな裕太のことを私は気になる存在になっていました。

初めて会った翌週に裕太と二人で会いました。
彼の車でドライブに行ったのです。夜、夜景を見るためという目的でした。
しかし彼の目的は、みなさんならわかると思いますが、私の体でした。
彼は夜景の見える山まで車を走らせる途中で脇道に入りました。
車を止めたあとに、助手席に座る私に覆いかぶさったのです。
初めての事で気が動転して一瞬抵抗しようと体をじたばたさせました。
しかし彼の力のほうが圧倒的に強くて、私の腕は彼の手によって固定され、股を開かされました。
短いスカートでしたからすぐにショーツも脱がされました。
その時には抵抗する気持ちもなく、受け入れるつもりでした。
抵抗がなくなったことを感じた彼は私の胸を服の上から優しくもみ、乳首を中心にせめました。
私はだんだんと感じてきて、声を上げるようになり、彼の指が私の性器をまさぐったときにはすでに濡れていました。
それを確認して彼は自分の男性器を私の中に入れてきたのです。
最初は痛いと感じたんですが、あっという間に痛みよりも気持よさのほうが優ってしまって喘ぎ声を上げるようになりました。

「なんだ、奈緒、ヨダレを垂らすほど気持ちイイのかよ、相当のすきものだな」

私は自分がヨダレを垂らしながらよがっていることに気づかないほどに、感じまくっていたのです。
そして自分の中である頂点まで達したときに意識が飛んでしまうほどの気持よさを感じたのです。
その瞬間は体が硬直して震えるほどでした。
私は初めてのHでいってしまったのです。
Hでいくことの快楽はこれまでに感じたことがないほどに強く衝撃に、記憶に残りました。
そしてぐったりとした状態で吸うタバコのおいしさは格別だったのです。

裕太とのHをして以来、私は学校をサボりがちになりました。
裕太のアパートでHをするためです。
どうせ授業は受けても受けなくても内容は分かりきったことなのです。
それよりもHの快楽の方が私の欲望をかきたてました。
裕太は昼間はアパートにいるので、その間は猿のようにHをしまくっていました。
彼も私が学校をサボってHしにくることを喜びました。
彼は私にいろんなことを教えてくれて、お*ん*んをしゃぶるのも随分上手になりました。
上目遣いでしゃぶると彼は嬉しそうな顔をしれくれるので、そして私も嬉しくなってさらに感じて濡れていたのです。

私は一学期の間に茶髪に染めて、制服も可愛くなるようにスカートの丈を短くしたりリボンを変えたりして改造したり、
メイクもしっかりとするようになりました。彼氏もいました。
周りの女の子も大体そういう子ばかりでした。私は周りに馴染んだたのです。
勉強一辺倒だった生活が一気に楽しくなってきたのです。

そして二学期になったときに私に変化がありました。
それは授業についていけなくなってきたのです。
勉強の内容は一学期とそれほど変わっておらず、相変わらず小学生レベルの内容でした。
しかし私は記憶力が低下していたり、頭の回転がどうも遅くなってきたみたいなのです。
昔は覚えていた内容も出てこなくなってきたのです。
勉強しようにも集中力が続かなくなり、すぐにタバコを吸ってしまうのです。
二学期になってクラスの1/4はすでに退学していましたが、その中ですら私は中間の成績しか取れなかったのです。
中学校で上位をキープし続け90点以下を見たことがなかった私が、50点ぐらいが精一杯になっていたのです。
でも私はそんなことが全く気にならなくなりました。
それよりはもっと毎日を楽しみたかったのです。
彼とは毎日Hをして、気持ちよくなることだけを追求していました。
友達とはファッション誌を読んでかわいい服を探したり、新しいメイクを試したり、おしゃれをすることに一生懸命でした。

しかし、裕太との関係は長く続かなかったのです。
10月になって裕太のアパート行きドアを開けたときに裕太は他の女を連れ込んでHをしている真っ最中でした。
裕太は逆ギレして、物を投げつけて出て行けと叫びました。
私はショックで街をふらついていたのですが、その時に男にナンパをされました。
私は誰かに温めて欲しくて、その男についていきHをしました。
全く見ず知らずとの男とのHにも抵抗感がなくなっていたのです。
私の中でタガが外れて、それ以来ナンパに簡単についていくようになりました。
そんなことをしていると3ヶ月で50人以上の男とセックスを楽しむようになっていたのです。
Hのあとのタバコは欠かせなくなっていて、吸う本数も1日に2?3箱になるのも当たり前になってきました。
そんな生活をしているとお金がなくなってくるのですが、援助交際もやっていたのでお金には困りませんでした。

その後、あたしは繁華街でタバコを常に吸いながら歩いているあの高校の制服の女はサセコだとちょっと有名になったの。
それぐらい簡単に股を開いていたからね。
だってHする方がきもちいいんだもの。

三学期から二年生になるときの試験なんだけど、あたしはほとんどの科目で赤点を取っちゃったの。
もう全く勉強とかきょーみないからね。
どうせよくわかんないし。
昔はわかったかもしれないけどぉ、今は理解ができないんだよね。
で、追試もどこかの男とHしててサボっちゃったし、そもそも出席日数もたりてなかったから留年しちゃったの。
でももう綾子も千佳も玲奈も学校をやめてたから、別にもういかなくていいかなって思っちゃってやめちゃったんだよね。

で、あたしいまなにしてるかっていうととりあえずお金欲しいからソープではたらいてるよ。
あとねAVにもたまに出てるの。
お金があれば生活にはこまんないし、あとあたしはHしてタバコ吸ってればだいたい満足だから、今っていい感じなんだよねえ。

そうそう、中学校のとき私より成績がちょっと下だった男の子がいたんだけどね。
彼は今某有名大学なんだって。すっごいよねえ。
その男をたままた街で見かけちゃって、逆ナンしちゃったの。
向こうは童貞だったけど食べちゃいました。
あたしのことに気づいてびっくりしてたけどね、Hしたあとまで全く気づかなかったみたいだけど。
それでその子にもタバコを勧めちゃった。
まあ、あたしのセフレみたいな感じでこれから楽しもうかなって思っているよ。

mother(純情編)



つづき
父が頻繁に帰宅するようになって俺の心に嫌なものが芽生えた。
後から考えると理不尽で、おかしい考えだと思うが、
それは嫉妬心というより、単に”母に裏切られた”という怒りのような感情だった。
俺は子供だった、特に心が幼かった。だから、そういった感情を隠すこともできずに、母に対する態度にもろに出てしまっていた。
当然、母はそんな俺の変化に気づいた。
「もうずっと前からお父さんに対して何の感情も無いのよ!あるとすれば、それは、徳君の父親だということ、そのことを思う時だけ、あの人を少しは愛しいと思うわ。あの人は徳君の父親。私の命より大切な貴方の父親なの。だから、黙って、あの人の好きなように・・・」母は泣いていた。
「別にいいよ。何、泣いてるの!俺は、何とも思ってないから」
「嘘よ。ここのところ、ずっと機嫌が悪いじゃないの!」
俺はつい思わず言ってしまった。
「そうかもね。気持ち悪いんだよ!お父さんに抱かれた後、俺とキスするなよ!たばこ臭いんだよ!キモイよ!」
母は、よほどショックだったのか完全に固まってしまった。涙までも止まって泣き止んでた。
母は弱弱しい声で「ご、ごめんなさい。。。もう、お父さんには、好きにさせないからっ。」と呟いた。
俺が黙っていると、「徳君が嫌がるなら、もうあの人の好きにはさせない。絶対に。」と母は断言した。
俺は、なんとなくムカついた。
「はい?何を言ってるの!そんなの無理に決まってるでしょ!やめるのが逆だよ。俺にベタベタしてくるのを止めろ!」
「・・・」
「・・・」しばしの沈黙後、母は、かなり取り乱した。
「好きなの。徳君のことが大好きなのよ。徳君に嫌われたら、もう生きてはいけない。そんなこと言わないで!」
俺は心の中で『うわっ、またノイローゼモードか。まずいな、これは』と思い
「分かったよ。分かったから落ち着いて!じゃあ、約束ね。お父さんには、もう抱かれない。俺は今まで通り。はい、解決!」

それから数日後、父が家に帰って来た翌朝、母の様子が少し変だということに気づいた。
すぐに、ピンときた。母を問い詰めると、あっさり白状してくれた。
特に母に執着しているわけではなく、むしろ最近はウザイとさえ思い、少し距離をおこうと思っていた。
しかし、ちょうど学校で嫌なことがあったのと、母の裏切りが重なってしまったため、少ない俺の許容量が爆発してしまった。
「嘘つき!約束を破ったんだね。もう貴女とは口を聞かないから!」
そう言って母の弁解には全く耳を貸さずに、朝食も取らずに予定時間よりも早く学校へ向かった。

誤解をされては困るが、家で母と「あん、あん」ちちくり合ってるだけが、俺の生活ではない。
当然、勉強や校内行事なども頑張っている。成績はトップクラスだし、学級委員もしてるし、しかも、今度、生徒会長に立候補しようとしていた。
しかし、ここで問題が起こった。全校で選挙をやる前にクラス内で立候補者を決めるのだが、このクラスレベルの立候補者が二人になってしまった。
話し合いで調整したのだが、俺も相手も、どうしても生徒会長に立候補したいと言って譲らない。
仕方なくクラス内で投票をした結果、人望が有りすぎたからか、3票差で俺は敗れた。
それでも俺は生徒会長以外の、書記や会計なんかでは、絶対に立候補したくないと言い張った。
この様に、学校で非常に嫌なことがあった。だから、約束を破った母に対して思いやりを見せることなど到底できなかった。

学校へ着くと、かなり早めに出てきたので、まだ誰も教室には居なかった。
俺は母のことでムシャクシャしていたので、通常の精神状態ではなかった。だから、つい出来心でやってしまった。
クラス内投票で俺を負かした憎き奴の机の中から、家に持ち帰らないで置いてあったノートや教科書などを掴んで、ゴミ箱まで持ってった。
そして捨てようとした。だが、その瞬間「何やってるんだよ!」。。。やってしまった。見られてしまった。しかも、当の本人に。
俺は謝った。それしかできなかった。散々、詰られた。最低な奴だ、卑怯な奴だと。分かってるよ、俺は最低な奴だ。
その憎き奴は言った「あんな綺麗なお母さんがいるのに、お母さんも悲しむぞ!」と。
俺は急に思い出した。そういえば、この憎き奴・・松原は、以前から母のことを気に入っていたのだ。

「本当に、ごめん。今回こと、母からも松原に謝罪してもらうよ。明日にでも、うちに来ない?」
松原は「え?」という表情をした後「謝罪とかは別にいいよ。お邪魔して良いなら、普通に行くよ」と、乗り気なご様子。
「分かった。謝罪は要らないんだね。じゃあ、母には、お願い事でもしてもらおうかな。なんとか会長は辞退して、書記で出馬して下さいって」
松原は「何言ってるの?それは、もう決まったことだろ!」と、ご立腹なご様子。
「駄目かな?たとえば、うちの母が素っ裸になってお願いしても駄目?」
松原は一瞬、ぽかーんとなって、「ば、ばかなこと言うな!何言ってんだ!お前は」と、顔を真っ赤にしてご立腹なご様子。
「ごめんごめん。だけど松原が会長降りるなら、本当に母を裸にすることはできるよ。流石にSEXは無理だけど、おっぱい触ったりとかしてみない?」
松原は赤い顔をさらに赤くして「自分の母親だろ!本気で言ってんのか?そんなこと本当にできるのか!」と、あれ?最後、少し興味を示したご様子。
「だから、別に、やらせるわけじゃないし。何、興奮してんの? 裸を見せて少し触らせるだけだよ。鼻息が荒いぞ。恥ずかしい奴。」
松原は完全に固まってしまった。何かを考えているようだった。母の姿でも思い出していたのだと思う。
「マジで、あの綺麗なお母さんが裸か・・・。いや、有りえん!」と、首をプルプル振って煩悩を振り払ってるご様子。
「有り得るんだよ。それと、ただの裸じゃなくて素っ裸ね。覗きでもないぞ、ちゃんとお前の見ている前で、ブラジャーもパンツも脱ぐんだよ。」
「そ、それ本当なのか?そんなことが本当にできるのか?」と、鼻息荒く生唾ごっくんしているご様子。
「だから、本当だよ。鼻息が荒いよ。この変態!」
「鼻息荒くもなる、ていうか、お前に何を言われてもいい。あのお母さんの、、ハ、ハダカが見れるなら・・。」と、完全に興奮状態のご様子。
「で、どうする?きちんと返事が聞きたいな。明日、母とHなことしてみる? それとも生徒会長になる?」

帰宅して玄関を開けると、母が玄関で蹲っていた。
母は俺の顔を見たとたんに飛びついてきた。
「徳君、ごめんなさい、お願い!話を聞いて!お願い・・」
俺はその言葉に返事をせずに、無言で母をぎゅっと抱きしめた。
母は驚いた様子で何か言おうとしたが、口を開く前に、俺が唇で塞いだ。
母は一度大きく目を開けたが、すぐに目を閉じて、その後、狂ったように唇を貪ってきた。
俺は、しばらく母の好きなようにさせていた。
「ハア、ハア、徳君、ごめんね。ハアハア、本当にごめんね。」少し落ち着いた母は、昨夜の裏切りを吐息交じりに何度も謝った。
俺は頃合を見て「お母さん、ごめん!俺の方こそ謝らなきゃならないことがあるんだよ。本当にごめん!」と切り出した。
「え?徳君、いったいどうしたの?」
「どうしても聞いて欲しいことがあるんだけど、話聞いてくれる?」
俺は携帯の画面を母に見せた。母と二人で撮った写メを何枚か見せた。
特にエロイ写真ではなくて、母が俺のほっぺにチュウしているものや、抱き合ってるもの。
若干のおふざけで俺が母の胸を揉んでるもの、母が俺の股間を触ってるものなど、全て服を着ているし、ごく普通の恋人どうしが撮る様な写真だ。
「あら、なんだか恥ずかしいわね。ついこの間なのに懐かしい。この写真がどうかしたの?」
「同級生の松原に見られちゃったんだ。」
「え・・そんな」
「色々詮索されて、お母さんと愛し合ってることも白状しちゃった。ごめん!」
「えっ・・そうなの」不思議なものだ、大問題なはずなのに『愛し合ってる』という言葉に反応して、母の目は嬉しそうに輝いた。
「松原に脅されたよ。写真もコピーして獲られた。お父さんや、先生や皆ににバラすって言うんだ」俺は泣きべそをかいて続けた。
「こんな写真が出回ったら生きてはいけないよ」
母は少し考えているようだったが、すぐに、真剣な形相になって
「そうね。無理やり離れ離れにさせられるわ、きっと」 え?お母さん、そこまで考えちゃうか?と俺は疑問に思ったが、そこはスルーして。
「う、うん。そうだね。それ以前にお父さんに知られたくないし、母親とデキてるなんて学校のみんなに知られたら、俺はもうお終いだよ」

「なんとかするしかないわね。その子は、いくら欲しいって言ってるの?、」
「お金じゃないんだ、松原が求めてるものは。知らないと思うけど、松原は以前からお母さんに憧れていたんだよ!
明日、松原をうちに連れて来るから、その時、お母さんに奴の相手をして欲しい」
「相手?構わないけど・・・」
「そんなに、あっさりOKしないでよ。裸になるんだよ。裸になって松原の言うことを何でも聞かなきゃならないんだよ。本当にいいの?」
「裸って・・・まさか、、、無理よ。そんなの。そんなこと許されないわ」
「いや、最後までじゃないよ。松原は裸を見て少し触りたいと言ってる。SEXは駄目だって言ってあるから。
本当に、ごめん。俺のせいで、こんなことになって、ごめん」俺は土下座して、ひたすら頭を下げた。
「徳君、頭を上げて!そんなことしなくていいから。私がいけなかったのよ。
徳君と仲良くなれて嬉しくて、つい、あんな写真を撮ってしまって。少し考えたら想像できることなのに・・
分かったわ、松原君のことは任せて、裸でも何でもなって、必ず、写真を返して貰うから、ね、もう頭をあげて」
「ごめん、本当に、ごめん」俺はなぜだか涙目になっていた、俺って役者か?。

翌日学校へ行くと早速、松原が近寄ってきた。
「今日のことだけど・・・」
「うん、終わったら一緒に帰ろう」
「あっああ、うん、ありがと。えっと、、、相談があるんだ。」
「相談って?」
「今日さ、俺1人だと、緊張して、恥ずかしくて、どうして良いか分からないから、本間も一緒に行っちゃ駄目かな?」
「はあ?、駄目に決まってるだろ!何、考えてんの!」
「いや、そうなんだけど、1人じゃ無理だよ、なんとか頼むよ」
「意気地なし! どうしょうもない奴だな!おまえ!」
「ごめん。何て言われても仕方ないよな。俺たち、選挙でお前の応援者になるよ。まだ、やりたい人が居なかったよね?
応援演説は俺に任せてくれ。死ぬ気で頑張って、必ず当選させるから」
「お前、書記に立候補するんだろ、立候補者は応援者になれないだろ!」
「立候補やめるよ、うちのクラスからは、お前1本に絞って、一丸となって頑張ろうぜ!俺が音頭を取るからさ」
「それで、今日、本間も許せってか?」
「頼むよ。」
「ったく、しょうがない奴だな。働いてもらうぞ、死ぬほど」

放課後になり、松原と本間を伴って帰宅した。
母は玄関で俺たちを出迎えてくれたが、俺に笑顔で「お帰り」と言うと、
感情のこもらない冷たい目で、松原と本間を一瞥して、「こんにちは」と一言だけ言った。
松原達が緊張してガクブルしながら挨拶してるのも聞かずに背を向けてリビングへ行ってしまった。
俺は、まずいと思って、すぐにリビングへ行き、母に耳打ちした「頼むよ。あいつ等が不愉快になったら、俺はお終いだよ」
母は、はっとした感じになり「ごめんなさい、徳君を苦しめてる子達だと思うと憎らしくて・・」
母はすぐに廊下まで戻ると笑顔で「どうぞ、こちらに」とリビングに二人を案内した。
母がキッチンへ行くと、松原達もやっと緊張を解いた。
「久しぶりに会ったけど、メチャクチャ綺麗だな」
「冷たい雰囲気なんて、本当に市川寛子そっくりだよ。いつも兄貴とテレビで見てるよ」
俺が冗談っぽく「んじゃ、早速、チンコに頬ずりでもしてもらうか?」と言うと
松原は、かなり大きい声で「ばかー」と叫んでしまって、慌てて口を押さえて真っ赤な顔になった。

母はなかなかリビングへは来なくて、やっと来たと思ったら、お菓子を置いて、すぐにまたキッチンへ行ってしまった。
二人とも落ちつかない様子で、俺も何だか落ち着かなくなってきた。
そんな時、母がリビングへ顔出して「飲み物は何がいい?」と聞いたので、俺は思わず
「そんなのいいから、早くこっちへ来てよ、待ってるんだから!」と言ってしまった。
母は、「ごめんなさい、そうよね」と言うと、俺たちの方へ来た。
そして、松原と本間を見ながら、「どうすればいいの?」と尋ねた。

二人ともオドオドして何も言わないので、痺れを切らせて、仕方なく俺が言った。「とりあえず、脱いでもらうか?、お母さん、脱いじゃって!」
母が無言で脱ごうとすると、松原は慌てた様子で叫んだ「いえ、脱がないで下さい!」
「そ、そのままで、そのまま、少し眺めてても良いですか?」 
「はい?そのままって?服を着たままか?そんなの見てどうするの!」思わず俺は叫んでしまった。
「いいんです。よく見たいんです。」松原はなぜか敬語で、そう言うと立ち上がって、食い入るように母を眺めた。
本間も立ち上がった。母の周りを回ったりしながら、じっくり母の体を眺めている感じだった。
思わず出てしまったのか「綺麗です。凄い綺麗です。テレビで見るよりも、だんぜん綺麗です」と言ってしまい、
慌てて「あ、すみません、アナウンサーでそっくりな人がいるんです」と真っ赤な顔で取り繕ってた。
生唾を飲み込みながら、真剣に母の姿を眺めている彼らを見ていたら、つい俺も口が滑ってしまった。
「お母さん、そのままじゃ芸がないから、何かポーズとかとってみたら?」母が「う?ん」と考える仕草をすると、
「いいんですか!でしたら、こうやって髪をかき上げてもらえますか?」と、すかさず松原が指示した。
「お?」と二人の声が聞こえた。俺はアホか、裸でもないのに、と思った。
突然、本間が中腰になって、「駄目だ、ごめん、トイレ」と慌てた様子で廊下へ出ようとした。
「お前、馬鹿か、トイレで抜いてどうすんだよ!」思わず言ってしまった。
すると恥ずかしそうに松原が「俺、何回か、もう出しちゃったよ」と。馬鹿かこいつら!と、なぜだか純情すぎる彼らが腹立たしく思えて
「こうするんだよ!」と言って、母の胸を鷲づかみにして、思いっきりキスをした。二人の熱い視線を意識して
俺はキスをしながら、母の着ているニットをまくって、バンザイさせて、素早く脱がせた。二人の歓声が聞こえたような気がした。
そしてブラの上から胸を揉み、キスした。
どのくらいそうしていたか、母が少し気分を出してきたところで、止めた。
そして、俺はブラの肩ひもを触りながら「全部、脱いじゃって」と母に言って、
後ろを振りかって松原達に、「もういいだろ?裸になっちゃっても」と尋ねた。
二人は、同時に生唾を飲み込んで、無言で、こくりこくりと頷いた。

背の高い彼女

高校で凄いデカイ女が居た。名前はミキ
バレー部でレギュラーで身長は170cm
なんか全国のバレー関係の偉い人が見に来るくらいの選手
逆に俺は凄いチビで身長158cmしかなかった。

158cmというと大体高校生女子の平均と同じ位で本当にコンプレックスだった。
部活は陸上部だったけど身長のある奴が羨ましかった。
努力したけどいつもあと一歩及ばず・・あと10いや5センチ高ければって常に思ってた。

ミキとはクラスが同じでクラス委員の仕事でよく一緒になった。
ミキは積極的な奴で係りの仕事とかも進んでやる
だから自然に集団のリーダーになってしまう
俺は逆に地味で雑用とかをすぐ人にふられちゃうタイプ
ただ、ずるい事が嫌いだからツイツイ真面目にやってしまうから余計に任せられてしまう
クラスメイトも多分僕がそういう事を進んでやってると思ってたかも

ミキが部活で忙しい時とか良く仕事を頼まれた。
「ごめん佐藤君私先輩達に呼ばれたんだ、先生にこのプリント持って行ってくれない?」
「・・・いいけど」
こんな感じで、自分も部活があったけど正直選抜にも選ばれない補欠組何となく引き受けていた。
陸上の先輩達にもミキに頼まれて委員の仕事してたっていうと
遅れて行っても何も言われなかった。

ミキはショートヘアで
室内運動とはいっても陸上部と一緒に長距離のランニングしたりするので
バレー部の連中もかなり日焼けしてた。
スポーツに関しては男勝りだけど、一緒に委員の仕事とかしてると
意外に細やかで女の子らしい面もある
バレーでは有利だとは言っても身長が高かったり筋肉がつきすぎる事は
やっぱり少し気になるらしい
「可愛い服とかきれないんだよねw」と明るくおどけて言ってるけど
そういう事を頻繁に言うって事は内心コンプレックスなのかもしれないと思った。

ゴミ出しの時、焼却炉の前でついぼやいてしまった事があった。
「俺はもっと身長高くなりたいよ・・あと10cmあったならな・・・・」
「えーでも佐藤君は今のままの方がいいよ」
「なんでだよ・・」
身長の高いミキにそう言われてカチンときた。
「だって佐藤君の事 女子の間では可愛いって評判だよw」
ミキはフォローのつもりだったかもしれないけど
当時の僕は身長が低いとストレートに言われるより
可愛いとかそういう風に言われるのが一番傷ついた。
小学校の頃は良かったけど周りがドンドン身長が伸びていく時期から
とても嫌な言葉になっていた。
「俺は男だ!可愛いとか言われたってうれしくねーんだよ!!」
つい大声になってた、ミキに可愛いとか言われると異様に悔しく悲しく思えた。
男として見られてない自分が情けなかった。
僕はそんなに人前で怒る事はないからミキもビックリしたんだと思う
少しショックを受けてる表情のミキを置いて僕は教室にズカズカと歩いて戻った。

それから数日は凄く気まずい空気だった。
ミキも何となく悪かったなという感じで腫れ物に触るように僕に接してきた。
僕もいい過ぎたなという気持ちからミキの顔が見れなくなった。
ただ、お互い律儀にも委員の仕事だけは真面目にこなすから
どうやっても毎日顔は合わせた。

バレー部や野球部サッカー部など運動部は持久力の獲得のために
長距離のランニングを陸上部と合同で良くやった。
その日も野球部女子ソフト部女子バレー部陸上部で郊外をランニング
僕は足の速さも幅跳びもどんなに頑張っても今一だったが
持久力だけは負けたくないと思っていた。
毎日かなり走りこんでいたので部内でも結構なタイムだった。
まあ、それでも大会にはもっと上の奴が出ていたのだけど・・・
ミキと気まずくなって始めてのバレー部との合同練習
走っているとミキが後ろから追いついてきた。

「・・・・・・」

気まずいからというより部活の時は私語厳禁
お互い黙って併走する
でも何となく解ってた。
ミキは業と僕の速度に合わせているんだと
隣に感じるミキの息遣いが妙に安心感を与えてくれた。
(俺こいつの事好きなのかな・・好きだから可愛いとか言われてあんなに悔しかったのかな)
そんな事をグルグル考えている間にゴールしてしまった。

部活が終わって帰り支度していると
ミキが声をかけてきた。
「あの・・・佐藤君ちょっと待っててくれる?」
ミキらしくない少し控えめな言い方、何処かソワソワして眼が泳いでいた。
「な、なに?」
「あの、急いでたらいいんだけど・・ちょっと話したい事があるから・・」
「わかった・・」
周りに人が居たのでこれ以上ココで2人で話すのは目立ちそうだったので
ぶっきらぼうに答えて部室に荷物を取りにもどった。
解らないけどなぜか、ミキはその僕の後姿を長いこと見つめてたような気がした。

それから30分くらいバレー部の長いミーティングを待っていた。
陸上部のメンバーは殆どが帰り支度をしてさっさと帰ってしまった。
夕日も完全に沈んでしまいあたりはもう暗くなってきていた。
家の方角である学校の裏門近くのベンチに腰掛けていると
ミキとバレー部の数人が自転車を押してやってきた。
「あれ、佐藤君じゃんw」
「あー佐藤!」
「何してんの?帰らないの?」
「・・・・・」
なんと言えばいいのか迷っていると
「私が待って貰ってたんだ」
ミキがあっさり言う
「えーっまじ?!」
「あんた達付き合ってんの?」
物凄く意外そうに言うのが妙に頭にきたが黙っていた。

「違う違う・・ちょっとクラス委員の仕事の事で佐藤君に頼みたい事あったから」
「なーんだ、つまんないの」
ミキの説明にあっさり納得する・・まあ仕方がない・・バレー部のエースが
こんなチビの男を相手にするわけはナイ・・・僕が他人でもそう思っただろう

「ごめんね佐藤君まった?」
「いや・・別に・・」
でも、それでも僕は少なからずショックだった・・もしかして・・と淡い気持ちを抱いていたのがバカみたいに思えた。
また悔しい気持ちがわいてきていた。
「そっか、じゃあ私達先行くね」
「うんじゃあ明日ね!」
「ミキばいばーい」
「佐藤君もバイバーイ」
「佐藤!ミッキーに悪戯すんなよ!」

「ばっしねーよ!!」
「キャハハハ!」
笑いながら遠ざかっていくバレー部の女子の背中に大声で言う

「待たせてごめんね、ミーティング長くなっちゃって・・江川先生直ぐ話が長くなっちゃって・・」
バレー部メンバーを校門の向こうに見送った後改めてミキが言う
「まあ、気にしてないよ、江川先生話なげーからな・・」
江川先生の話の長さは校内でも有名だった。
「そうなんだよねwしかも同じ話何度もするんだもんw」
グランドを照らすライトの明かりでミキの顔がホッとしたように笑うのが見える

「まあ、真面目で生徒の事考えてくれるいい先生なんだけどねwたまに熱過ぎるんだよw」
ミキが饒舌に話す。
そういえばこういう風に長く話をするのは久しぶりに思えた。
いつも一緒に委員の仕事をしていたけど短い挨拶だけ 「うん」とか「おう」とかばかりだった。
「で、委員の仕事の事ってなに?」
「あ・・あのね・・」
「それで呼び止めたんだろ、今日中にやっておかないといけない事?」
「いや・・あの・・」
「ごめんなさい!!」
「は?」

ミキが長い体をくの字にまげて行き成り謝る
「なにが?」
「佐藤君が気にしてるのわかんないで・・あんな適当な事いって・・ごめんなさい・・」
「あ、ああ・・・」
ゴミ出しのときの事だと直ぐに思い当たる
「もう別に気にしてないよ、お前も律儀に謝らなくていいし・・」
「本当にごめんね・・私鈍いって言うか相手の気持ち解らずにポンポン適当な事言っちゃうっていうか・・本当ごめん」

「いや、俺も男らしくなかったよ・・あんな事位でイライラしてさ・・お前なりにフォローしてくれたんだろうし・・お互い様って事で気にしないで行こうぜ」
「本当?!」
「ああ、男に二言はねーよ」
この頃の僕はヤタラと男らしさを気にしていた。
だから良くこんな台詞をミキの前で言ってたように思う
「じゃあ今までどおり仲良く委員の仕事やっていこうね!!」
そういうとミキは自転車に飛び乗って
「じゃあね佐藤君!また明日!」
というなり行ってしまった。

「あ、ああ・・」
真面目なミキらしい真っ直ぐな謝罪だった。
しかしミキとまた普通に話せると思う一方
なんだ、結局ミキは委員の仕事が上手く回らないのが嫌だったのかと思えて
やっぱり悲しかった。
今にして思えばミキの精一杯の告白だったのに、この頃の僕は
どうしようもないコンプレックスの塊でそれに気がつく事が出来なかった。

翌日からミキと僕はまた普通に話すようになった。
僕はすっかりミキへの気持ちを自覚していたけれど
自分に自信が持てないばかりに只友達として側に居る事しか出来ないで居た。
告白する勇気なんて持てるはずもない
相手は学校期待のバレー部エース、方や万年味噌っかすの陸上部員
釣りあいなんて取れるわけがないと思い込んでいた。

「佐藤君って毎日練習凄い頑張ってるんだってね」
「は?」
「顧問の静岡先生言ってたよ、アイツは凄く頑張ってるって・・」
(そしてその後、アレで体格がよければなって言ったんだろうな・・)
ミキの最後の部分が微妙に尻すぼみになったのを感じてそう思った。
実際静岡先生は良く僕に言ったものだった。
「佐藤もっと飯を食え!スポーツは練習だけじゃないぞ!食うのも練習だ」と

自分でも解ってる・・これでもかなり頑張って食べてるが・・いかんとも身長は伸びない・・
どんなに頑張ってもなぜか筋肉のつきにくい人 身長が伸びない人というのは実際居るのだ
「まあ、ソレしか取り得が無いからな、練習だけだよ出来るのは」

自分らしくない弱気な台詞だった。
「そ、そんなこと無いよそれって大事な事だよ」
「まあな・・でもそれだけじゃあダメなんだよ・・」
色々やってみた、努力だって部員の誰よりもやってきたつもりだ
でもやっぱり届かない・・・やるせない気持ちになってしまう
「・・・・・・」
それが伝わったのかミキはそれ以上何も言わなかった。

大学受験を控える季節になって僕は陸上部をやめることにした。
このまま、陸上を続けても結果は出ない・・勉強に身を入れなければ・・・
両親や担任とも相談し顧問の静岡先生も引き止めなかった。
別に僕に才能がないから引き止めなかったわけじゃないと思う
僕の練習を毎日見てきた先生だからこそ、僕の決心が固い事を理解してくれたんだと思う

ミキは既に有名大学への推薦入学が決まっていた。
そこの監督さんが直々に家にやって来て両親共々説得したらしい
ミキも大学側の待遇に納得してその大学に決めたらしい

「勉強苦手だから助かっちゃったw」
放課後の教室でプリントの整理をしながら向かい合わせて雑談をしていた。
外はすっかり冬でチラチラと雪が降っていて
教室の中は生徒の人影が消えて一段を冷え込んできて
ミキはマフラーを首に巻いて話していた。

「嘘付けおまえ成績もそんなに悪くなかっただろ」
「でも、毎回大変だったんだよw」

「そういう風には見えなかったけどな・・」
「・・・さ、佐藤君は何処の大学いくの?」
「あ?俺?」
「うん何処?」
「まだ決めてないけど・・多分県外かな・・県内じゃあ卒業しても田舎じゃ就職も厳しいし」
「そっか・・」
「お前は良かったな、推薦だからこのまま卒業までバレーできるんだろ?」
「うん、来週から週1で大学生の練習に参加する事になってる」
「だから時々学校休む事になるから委員の仕事佐藤君だけに任せる事になるかも・・」
ミキはそういうと少し寂しそうにこっちを見た。
「まあ、頭悪い俺でもまだ受験まで1年以上あるし委員の仕事くらい、一人でなんとも無いよ気にするなよ」
気にしないようにと思って精一杯明るく言ったのに、ミキの顔はそれでも暗いままだった。

「でも、お前そのうちオリンピックとかでるかもな」
「ははどうかな・・うん・・でもそうなったら良いかな・・」
「今のうちにサインくれよw高く売れそうだw」
「え・・・・売るんだったらあげないよ・・・」
「冗談だってw」

「佐藤君も・・さ」
「ん?」
「陸上大学行っても続けなよ」
「まあ、走る事は嫌いじゃないからな受かって大学に陸上あったら運動不足解消にやるかもな」
「うん」

「・・・・・・・・・・・・」
急にお互い眼があって沈黙する
机を挟んで二人向き合ったまま、次に何を言うべきか迷っているようだった。

「じゃあそろそろ帰るか」
たまりかねて無難な事を言う自分・・
「うん、帰ろう・・・」
どこか寂しそうなミキ

机を片付けて職員室にプリントを置いていく
並んで歩くとミキは余計に大きく感じる
皮肉だった、遠くで見ているミキは普通の女の子なのに
そばにくればくるほどに、つりあってない気がしてならなくなる
あと10cm高ければミキと同じ170cm・・そしたら素直に告白だって出来るのに・・
つまらない男のつまらない拘りだった。

年が明けてバレンタインデーの季節
クラスの女の子がなにやら楽しげに雑誌を広げて話している姿が目立つ
「あんたも1個くらい貰ってきなさいよ」と母が冗談で言うので
そういえばバレンタインデーだったなと思い出す。
ギリチョコなら今までにも幾つか貰っている・・
まあ、大抵先輩から可愛いからとか、同級生や部活の後輩から面白半分
そんな理由でもらうチョコばかりで
「好きです!憧れています!」なんてチョコは一度も無い

バレンタインデー当日
朝からチョコを貰った人気者の男子が上機嫌にしているという傍ら
どうせ今年も一つも貰えないという連中が「あっそう言えばそんなイベントあったな」とか
「俺チョコ嫌いだし」という痛々しい予防線を張っているのを乾いた気持ちで眺めていた。
もしかしたらミキがくれるかな・・そんな事を考えなかったわけじゃないけど
期待するだけ裏切られた時のショックは大きい・・と諦めていた。

教室でも義理チョコのやり取りが大っぴらにしかも頻繁に行われてた。
女の子同士で交換したり男子に小さい奴を配る子も居た。

朝ミキは挨拶だけしてそのまま自分の席についた
休み時間もそんな素振り一つも見せなかった。

そんなミキが昼休みに今年卒業の3年の先輩にチョコをあげたという話が
僕の耳に入ってきた。
噂好きの子がはなしているのを偶然聞いてしまった。
3年の陸上部の一井先輩・・他校生からも毎年チョコを貰うイケメン・・
(やっぱりな・・)と思った。
どんなに日ごろ仲良く話していたって、ミキも俺みたいなチビより
身長180cm以上で大会にも出てるような男がいいに決まってるよな・・当然だな・・
お似合いだよ・・そういえば一井先輩もミキと同じ大学の推薦だった。

世界に一筋の光すらも差さなくなった気がした。
そんなくらい気持ちでいるとミキが僕の所へやってきた。
「佐藤君・・ちょっといい?」
「・・なに・・」
「あの・・コレ・・」
ミキはそういうとチョコレートの入った箱をポケットから取り出した。
「あっ!ミキ佐藤にチョコあげてんの?!」

それを目ざとく見つけて騒ぐ女子
「あ、あの・・」
ミキが慌てる
「でも、ミキって3年の一井先輩に告ったんじゃないの?」
女の子が興味深々で聞いてくる
「えっ・・あの・・」
ミキが真赤になる
「バカね、佐藤のは義理にきまってんじゃん!」
「一井先輩にあげたチョコ方が箱大きかったしね」
同じ女子バレーの子が気を使ったのだろう、ミキを庇うように割ってはいる
「佐藤は日ごろミキの代わりに委員の仕事してるから、ねミキ」
「あ・・えっ・それはそう・」
「ホラ見なさい!」
「なーんだつまんないの、でもまあそうだね佐藤君じゃね」
「ないよね」と小声で言う女子の声
クラスメイトも口々に「佐藤だしな」とか勝手な事をいって席に戻ってしまった。

「あの・・佐藤君・・」
2人取り残された僕とミキ
「いらない・・」
悔しかった・・泣きたいほどに悔しかった。
「えっ・・」
「俺はチョコが欲しくて委員の仕事してきたわけじゃない、だから要らない」
「でも・・」
「要らない」
なおも何かを言おうとするミキをさえぎるように言う
そのまま席を立って教室を出て行く
ミキは追いかけてはこなかった。

そのまま昼休みが終わるまで屋上で空を見てた。
大声で叫びたい・・
口まであけて叫びそうになった所で、やめてそのまま拳を握りしめてうずくまる
放課後机を見るとチョコレートの箱が入っていた・・・
ミキが僕に渡そうとした物だった。
僕はそれをとるとそっとミキの机の中に入れ家に帰った。

次の日から僕達は一切話をしなくなり
僕はミキの顔を見れなくなっていた。

一井先輩とミキはアレからもよく2人で話しているところが目撃され
バレンタインデーから一井先輩が卒業するまでの間、僕も一度見かけた。
1階の渡り廊下でなにか親しげに話す2人を僕は二階の窓から見下ろしていた。
2人は付き合っている、この頃クラスの人間なら皆そう思っていた。
ミキが限りなく遠い存在になった・・ミキを見ているだけで心が締め付けられるようだった。

3年の毎日は勉強の毎日
そんな中ミキと数人の推薦入学者は早々と大学の練習に参加するため
良く学校を休んだ
ミキを見ているだけで辛かったのに、ミキの席がガランとしているともっと辛かった。
もう諦めなければならないのに、毎日のようにミキの姿を探している自分が情けなかった。

このままミキと二度と話さなくなって
どんどん凄い選手になっていくミキが一井先輩と仲良く大学生活を送っている夢を見た。
そんな苦しさから逃げたくて毎日ミキのことを忘れたい一心で勉強に打ち込んだ
毎日殆ど眠れなくて日に日にやつれて行く僕を両親や担任もちろんクラスのやつ等も
心配しだした。

「おい、佐藤おまえ顔色悪すぎるぞ」
「佐藤大丈夫か?」
心配してくれる人たちに、僕は「大丈夫」とだけ答えた。
誰にもいえない・・誰にも言いたくなかった

学校で模擬テストが終わった直後だった。
答案用紙集めて教壇に持っていこうとしたときだった。
急に目の前が真っ暗になって真横にぶっ倒れて気を失った。
確かに朝から頻繁に立ちくらみがするとは思っていた・・
意識を失う瞬間 体の真ん中の芯がプツンと切れるような感触がして
あ・・・俺・・死んだかもと思った。

直ぐに病院に運ばれた。
次に意識を取り戻した時には病院のベットで点滴をうたれていた。
「受験生だからと言って頑張りすぎはいけませんよ」
医者の話だと極度のストレスから来る寝不足と栄養失調で暫く安静らしい
「幸いテストの結果は良かったから、数週間休んでも大丈夫だ、少しは体を休めろ」
担任の先生がクラスメイトからの花束を持ってやってきてそう告げた。

病院のベットでなんだかリタイアした老人のような気持ちになっていた。
ベットの上で身を起こして窓から毎日遠くの景色を見て過ごした。
何もする気が起きなくて・・不思議と腹だけはすいた。
親がかなり心配してくれて、母のために元気になろうと思えた。
ミキの事はもう頭に無かった。
(忘れよう・・つまらない劣等感も・・悲しさも全部思い出にしてしまおう)

そう思っていた・・・・

コンコン
病室のドアがノックされた。
「はい?」
そう返事をするとドアがそっと開いてミキが入ってきた。
「・・・・・・」
言葉がでなかった。
諦めたばかりなのに・・ミキの顔を見ただけで涙があふれてきた。
握り締めた拳に涙がポタポタと落ちてきた。
「佐藤君・・大丈夫?」
ミキがベットの脇に置かれた椅子に座る
「ずっと合宿だったから・・友達から昨日聞いて戻ってきたの・・」
何処かホッとしつつも寂しい声だった。
「本当はココにはこない方がいいと思ったんだけど・・佐藤君のことが心配で・・」
僕より広い肩が震えていた。

「何度もちゃんと言わなきゃと思ったんだけど・・・言い出せなくなって・・・」
「これ・・・」
そういってバックからミキが取り出したのはあの時のチョコレートだった。
「これ・・・」
「あけてみて・・」

包みをひらいていくと中には不恰好なチョコレートと一枚の便箋が入っていた。
「それが私の本当の気持ち・・」
ミキが言う
便箋には一言だけ書かれていた。

「ごめん・・ミキ俺は・・俺は・・」
つまらない意地から捻くれて勝手にいじけて
情けなくてミキに申し訳なくて・・涙が止まらなかった・・
弱った体には泣くことすら厳しかった。
ミキは静かに頷くと手を握ってくれた。

「佐藤君は怒るかもしれないけど・・聞いてくれる?」
だまって頷く
「私ね高校に入って直ぐ怪我しちゃって、怪我自体は大したこと無かったけど、休んでた間に凄く調子を落としてた時期があったの」
「何も上手く行かなくて落ち込んでて、部のメンバーにも迷惑かけてて」
「私本当は1年生の時部活やめようかって思ってたんだよ」

「知らなかった・・」
1年の時から一緒に委員をしてきたのにそんなことがあったなんて知りもしなかった。
「でもね、佐藤君があるとき何かの話で言ったんだよね」
「俺は身長が低いけどソレを1度言い訳にしちゃったら、ずっとソレを言い訳にするようになってしまう気がする」
「何か欠点なら改善できる、でも身長は改善できないだろ・・だから身長を理由にはしたくないんだって」
「凄く勝手だけど自分より小さいくて頼りないと思ってた佐藤君が、凄く確りしてるように見えた。」

「その時からかな・・佐藤君のいう事とかする事を真剣に見るようになったの・・」
「毎日身長差のある人たちと弱音吐かずに対等に張り合って頑張って諦めなくて」
「江川先生も静岡先生も、アイツのあの才能は学校1だって言ってたんだよ」
「うそだぁ・・」
思わず言う
「本当だよw」
ミキが笑う

「だから早く良くなって・・残りの高校生活、佐藤君と少しでも長く過ごしたいから・・」
「うん・・」

「あっ!」
「あとね、一井先輩にあげたのはコンビニで買った奴なの、あの人高校最後だからクレクレってしつこいから」
「・・・・・・・」
唯一の気がかりを見透かしたようにミキが付け加える
「初めての手作りは佐藤君にあげたかったから・・」
ミキが耳まで真赤にする

「ごめん・・ありがとう・・俺みたいな奴にそんな風に言ってくれて」
「こら!またそういうネガティブ言わない」
「ごめん・・」
「自分がす、好きになった人がそんなだとなんか寂しいじゃない・・」
「ごめん・・」
「ほら!!また謝る!!もう謝るの禁止!!」
「ご・・」
また性懲りにもなく謝ろうとする僕の口をミキの唇が塞ぐ

一瞬だったけど効果は抜群だった。
「禁止」
真赤な顔でニコッと笑うミキ
「はい・・」
ソレがとっても可愛く思えた。
「へへw佐藤君のファーストキス奪っちゃったw」
「・・・・別に初めてって言った覚えないけど・・」
「そっか・・初めてじゃないの?」
「・・・・・・初めてです。」

「よかったw私も始めてだったんだ・・・」
「・・・・・・・・・・・」
ミキの手が優しく僕の手を握る
「元気になったらまたしようね・・」
「うん・・・」
「遠距離でもいいから大学行ってもしようね」
「うん・・」

「あっ!」
ミキが急に思い出したような声を上げる
「えっ?」
「あとね、私の事デカイって言うの無しね!」
「は?」
「他の人ならいざ知らず好きな人に言われると落ち込んじゃうのよ」
「身長はお互い治せないんだから気にしない事いい!?」
「うん」
「あと」
「まだあるのかよ・・」
「あのね・・たまには佐藤君のこと後ろから抱っこしたいなw」
「おまえなぁ・・・・・・・」
「ダメ?」
「・・・・・・」
「・・・たまに・・なら・・」
「ふふw」
僕の渋々の言葉にミキは満面の笑みを見せた。
その笑顔とキスが点滴以上に僕を元気つけた気がした。

・・・・・・・・・・・・・・最後に・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

退院後ミキとの交際は順調で
いつの間にかクラスでも公認の仲になった。
最初はビックリしていたクラスメイトも
「まあ、確かに言われて見れば佐藤は真面目だもんね」と
周囲の反応は現金なものだった。

2人手を繋いで並んで歩くとよく姉と弟に間違えられた。
でも前のように気にしないと思えるようになった。

高校最後の文化祭僕とミキ主演で眠り姫をやった。
凄いいやだったけど押し切られてしまった。
デカイお姫様にチビの王子様、シリアスなシーンで多いに笑いを取った。
今では良い思い出になっている

県外への大学進学で運よくミキの通う大学の近くに希望に近い大学があった。
かなりの名門だったが、それこそ死ぬような思いで勉強してなんとか現役合格できた。
両親は、彼女のお陰だと喜んだが
ミキは僕が元来の努力家だからだと誉めてくれた。

ミキはバレーの大学生選手として期待され毎日頑張っている
恋愛ご法度なんて言われてたのは随分昔の話で
最近は節度を守っての恋愛は自由のようだ
僕も無理して入った大学のカリキュラムに追われるし
ミキも強化選手として忙しいから中々合えないけど僕等なりに上手く行っていると思う

僕のアパートで会う事が多いけど
そういう時はミキに抱っこされるようにして色々と悩みを聞くのが毎回のパターンだ
意外に泣き虫なミキは僕を後ろから抱きしめつつ寂しいとか言うけど
コートの中では微塵もソレを感じさせないプレーをしている
本人曰くそれがバランスなのだという
エッチの相性は良いと思う、大きな体に似合わずミキは従順なMなので
大きな体のミキを後ろからせめるとき等は興奮する
嫌がらずに奉仕してくれるし、とっても尽くしてくれる良い子だ
ちょっと精力旺盛すぎるから僕もかなり鍛えていないといけないけのがたまにきずだけど

という事で余談な部分はこの辺で終わり 読んでくれてありがとう

ネコ耳少年市場調査

愛玩用のペットとして販売が開発された「ネコ耳少女」「ネコ耳少年」。
予想通り大人気のネコ耳少女に対し、
ネコ耳少年の方はいろいろ問題もあるみたいです。

ケース1:高岡雫さん(20)の場合
とにかくいたずらっ子でどうしようもないんです。
いくら言っても私の下着で遊んでグチャグチャにしちゃうし……
それでペット屋さんに相談したら『去勢したら?』といわれまして、
そうしようと獣医さんのところに行ったんです。
でも、まだ治療分野が確立してないからと断られたんです。
ほら、体は人間に近いから病気とかは普通の病院で
診察することになってるじゃないですか。
それで去勢手術を獣医さんで扱っていいのか業界でモメてるんですって。
それで、仕方がないから自分で去勢することにしたんです。

できるのかって? 意外と簡単でしたよ。
ネットとかで調べたら同じことしてる人がいて、
動画とかもブログにあがってたし。
ちょっと袋を切ってタマを引っ張り出して、
ねじりながら引っ張ればほとんど血も出ませんし。

しばらくはすごく痛そうにしてたけど、
今はすっかりおとなしくなったのでよかったです。
おいたしても取ったタマ見せて『次はちんちん切るよ!』
って叱ればすぐに泣きついてきますからね。

ケース2:朝野恵美さん(16)の場合
かわいいのが好きで買ったのに、
アレが……その、おちんちんが人間のと同じでグロくて、
不潔な感じがして嫌で嫌で……切っちゃいました。

でも『ちんちん汚いから切るよ』って言ったら、
本気で嫌がって逃げるんです。
なんかイライラして『嫌ならもういらないから出てけ!』って怒ったら、
おとなしく出しましたけどね。

あとは根元縛って包丁でストン、ゴミ箱にポイ、って。
そこまではよかったんですけど、血を止めるのが大変でしたね。
今は丸い傷跡が残ってるだけでかわいいですよ。

タマはフヨフヨしてかわいいから残してます。

ケース3:小川律子さん(22)の場合
普段はいいんですけど、サカリがついちゃうと大変で。
私にペニスを擦り付けてきたり、
マスターベーションしてそこら中に精子を撒き散らしちゃったり。
それに、サカリのついたネコ特有の変な声を出してうるさくて
夜もよく眠れなくなっちゃって。
そんなときに私の上に乗ってきて、ペニスを口に入れようとしたので、
腹が立って噛み千切ってやったんです。

それでようやくおとなしくなるかな、と思ったら、
傷が治ってからがまた大変で、マスターベーションもできなくなって、
3分の1くらいになったペニスを
しょっちゅう私にこすりつけるようになったんです。

『ペニスだけじゃなくて睾丸も食べられたいの?』ってすごんだんですけど、
もう本人……本ネコ? も衝動が止められないらしくて、
これはどうしようもないな、ということで1個噛み潰してみたんですが、
あれって潰しても小さくなって治るんですね。
しばらくたったらまた同じことをしてきたので、
もうこれは取らないとかわいそうだなと思って、
残りの1個もまとめて噛み砕いて食べちゃいました。

今ではおとなしく留守番もするし、いい遊び相手になってくれてます。

分析
この他にも「飼ってたら彼氏が嫌がったので去勢した」とか、
「外に放したら他のネコ耳少女と交尾をしてしまい苦情が来た」など、
多くの意見が寄せられています。

外見的に人間の男性器がついていることで嫌がられたり、
通常の人間やネコと比べても、性欲が高いせいで
飼い主に不快な思いをさせることが多いようです。

これらの問題点は、事前に去勢をすることで解決します。
調査では、ネコ耳少年の去勢率は63.3%と、
実に6割以上が去勢済み、2割以上が去勢を考えているとのことです。
しかし、先に挙げられていましたように動物病院では扱ってもらえないケースが多く、
また、販売店側でも資格の問題で行えません。

このため、直接の所有者である飼い主自らが、
自己の責任の下で去勢を行う分には法的な問題はないため、
現在はネコ耳少年と去勢器具をセットで購入する人がほとんどです。

この去勢器具も「タマは残したいがペニスはいらない」
「性欲をなくさせたいのでタマだけ不要」「どちらも不要」など、
除去する部位もさまざまなら
「大事なペットの一大イベントなので印象深い去勢をしたい」
「躾の一環として効果的なため、お仕置き用に段階的に潰せる器具を利用したい」
「(器具を)見せたら泣くところがかわいいので、見た目の怖いものがほしい」
など、ニーズとしてもさまざまあり、
ペットショップに多種多様な去勢器具が置かれ、人気商品になっているひとつの理由になっています。

今後の課題
これらの去勢器具にはすべて、サイズからも人間にも使用可能となっており、
まだ少数ですが姉弟の児童が喧嘩の際に睾丸を器具で潰してしまったり、
冗談のつもりで女生徒が男子生徒の股間にペニス切断器具を当て、誤って作動させてしまったり、
浮気した夫への報復で完全去勢をするなど、
実際に人間を去勢するのに使用されたケースも報告されています。

これに対して、現在、去勢器具の製造元は、
「絶対に人間には使用しないでください」との注意書きをするなどの対応をしていますが、
これらの事件は今後も増加傾向にあると予想されます。

新市場開拓の可能性
これら去勢器具を、女子高生などの間でアクセサリー代わりに持つのが流行しているそうです。
去勢器具の『男性器を破壊する』という目的のエキセントリックさと、
自分には無縁ながらある意味非常に危険なものを持つ、という点が人気を集めているようです。

ショップでもネコ耳少年を飼ってはいないが、
去勢器具のみを購入する女性が増えているとの調査もあり、
今後も拡大していくものと思われます。

先の課題については努力するとして、これら潜在的なユーザー層の獲得による
市場の拡大についても検討をする必要があると思われます。



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