体育祭から二週間もすると彼女の脚は順調に回復したようだ。
腫れも引いたみたいで、自転車通学を再開した。
文化祭の後、すぐに中間テストが始まった。
それが終わると、
十月も既に半ばで数日後に学年旅行を控えていた。
俺達の通う学校は全ての学年に泊りがけの旅行がある。
受験がある為、
三年生の修学旅行だけは春先に予定されているが、
一、二年生の旅行は秋に計画されていた。
テストの前から周囲の話題は、
その旅行に関するものばかりになった。
皆、それぞれの思惑があるのだろう。
目的地は山で、その近くにある湖畔のホテルが宿泊先だった。
往復はバスで、二泊三日の予定だ。
当日は秋らしく、さっぱりとした天気だった。
目的地が近付くと空気がひんやりしてくる。
午後にはホテルに到着して部屋に入った。
今日は、そのまま食事、就寝となって、
明日は山、明後日は湖を散策する予定になっている。
部屋の規模は、まちまちで
各クラス四人から八人部屋を割り当てられ、
それぞれ決められた部屋に別れた。
俺は四人部屋に入れられる。
食事が終わり、各自大浴場で風呂を済ませると、
周りの男達は急激に色めきたってくる。
何とかして女子の部屋に行こうとしているのだ。
そのテンションは異常で、普段のクラスメイトからは
想像もつかないような別の顔を見せる者もいた。
ホテルの造りは、中心にフロントがあり、
その両側に広がるように部屋が配置されている。
ちょうど、上から飛行機の主翼部を見るような形で、
胴体がフロント、主翼の部分が客室という感じだ。
ホテルの入り口は北側にあって、
そこから入ると正面にフロントがある。
それに向かって左側、つまり東側が女子の泊まる客室。
反対に右側(西側)は男子の客室だった。
便宜上、女子の方を東棟、俺達の方を西棟と呼ぶ事にする。
生徒が泊まる部屋は二階にあって、
そこから東棟と西棟を直接行き来する事は出来なかった。
一度、一階に下りてフロントの前を通っていかなければならない。
当然、そこには教師がいる。
逆に言えば、そこさえ押さえておけば
反対の棟に行く事は出来ない、と教師達は考えているのだろう。
事実、その通りだった。
学校側が、このホテルを選ぶのも納得出来た。
監視する方は非常に楽だろう。
俺は東棟に行くのにあまり熱心ではなかったから、
行けないなら行けないで仕方ない。
男同士で遊べばいいか、と思っていた。
だけど、困難であればあるほど燃える者達もいて
何人かは女子の部屋に向かおうと果敢に挑戦しては
敢え無く撃沈して部屋に戻されたりしたようだ。
初日はバスに揺られていただけなので、
皆、体力は余っている。
遅くまでチャレンジしている人もいたようなのだが
俺は零時を過ぎる前に自分の部屋で寝てしまった。
翌朝、朝食の席で昨夜の話が出ると、
何人かは女子の部屋に行く事が出来たらしい。
詳しく聞くと、女子側の協力があっての結果らしく、
逆に言えば、そこまでしないと東棟に行くのは難しい、
という事だろう。
腫れも引いたみたいで、自転車通学を再開した。
文化祭の後、すぐに中間テストが始まった。
それが終わると、
十月も既に半ばで数日後に学年旅行を控えていた。
俺達の通う学校は全ての学年に泊りがけの旅行がある。
受験がある為、
三年生の修学旅行だけは春先に予定されているが、
一、二年生の旅行は秋に計画されていた。
テストの前から周囲の話題は、
その旅行に関するものばかりになった。
皆、それぞれの思惑があるのだろう。
目的地は山で、その近くにある湖畔のホテルが宿泊先だった。
往復はバスで、二泊三日の予定だ。
当日は秋らしく、さっぱりとした天気だった。
目的地が近付くと空気がひんやりしてくる。
午後にはホテルに到着して部屋に入った。
今日は、そのまま食事、就寝となって、
明日は山、明後日は湖を散策する予定になっている。
部屋の規模は、まちまちで
各クラス四人から八人部屋を割り当てられ、
それぞれ決められた部屋に別れた。
俺は四人部屋に入れられる。
食事が終わり、各自大浴場で風呂を済ませると、
周りの男達は急激に色めきたってくる。
何とかして女子の部屋に行こうとしているのだ。
そのテンションは異常で、普段のクラスメイトからは
想像もつかないような別の顔を見せる者もいた。
ホテルの造りは、中心にフロントがあり、
その両側に広がるように部屋が配置されている。
ちょうど、上から飛行機の主翼部を見るような形で、
胴体がフロント、主翼の部分が客室という感じだ。
ホテルの入り口は北側にあって、
そこから入ると正面にフロントがある。
それに向かって左側、つまり東側が女子の泊まる客室。
反対に右側(西側)は男子の客室だった。
便宜上、女子の方を東棟、俺達の方を西棟と呼ぶ事にする。
生徒が泊まる部屋は二階にあって、
そこから東棟と西棟を直接行き来する事は出来なかった。
一度、一階に下りてフロントの前を通っていかなければならない。
当然、そこには教師がいる。
逆に言えば、そこさえ押さえておけば
反対の棟に行く事は出来ない、と教師達は考えているのだろう。
事実、その通りだった。
学校側が、このホテルを選ぶのも納得出来た。
監視する方は非常に楽だろう。
俺は東棟に行くのにあまり熱心ではなかったから、
行けないなら行けないで仕方ない。
男同士で遊べばいいか、と思っていた。
だけど、困難であればあるほど燃える者達もいて
何人かは女子の部屋に向かおうと果敢に挑戦しては
敢え無く撃沈して部屋に戻されたりしたようだ。
初日はバスに揺られていただけなので、
皆、体力は余っている。
遅くまでチャレンジしている人もいたようなのだが
俺は零時を過ぎる前に自分の部屋で寝てしまった。
翌朝、朝食の席で昨夜の話が出ると、
何人かは女子の部屋に行く事が出来たらしい。
詳しく聞くと、女子側の協力があっての結果らしく、
逆に言えば、そこまでしないと東棟に行くのは難しい、
という事だろう。